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2020年冬 - 奥多摩・雲取山


2020年12月29日(月)〜12月30日(火)
場所
山梨県北都留郡丹波山村、埼玉県秩父市(旧・秩父郡大滝村)/奥多摩
ルート
12月29日
JR青梅線奥多摩駅=丹波バス停…サオラ峠…三条の湯(泊)
12月30日
三条の湯…三条ダルミ…雲取山…霧藻ヶ峰休憩舎…三峯神社バス停=三峰口駅=西武秩父駅
参加者
中山、O氏
参考文献

はじめに

 内地に帰ってきてから雲取山に近いのに登っていない。雲取山は日帰りできる距離だし、何度か登っているので体力測定にもよいのだが、新型コロナウイルスの流行があったり、仕事で携帯電話を持たされていたりで、そもそも山にあまり行っていない。

 年末に雲取山に行くぞと決めてからまわりに声をかけてOさんが来てくれることになった。ルートをいろいろ考えたが、どこを歩いてもだいたい歩いたことのある場所でつまらない。天祖山や唐松林道など行ったことのない道は林道が通行止めだったりして通れない。

 地図をにらめっこして見つけたのは三条の湯から雲取山に登るルートであった。三条の湯には1度だけ将監峠から縦走してきて入浴しただけで泊まったことはない。そのときも真夏だったので入浴してからたっぷり2時間後山林道を歩いたので下山感はなかった。

 三条の湯のウェブサイトによると、後山林道土砂崩れのため通行止めで、サオラ峠からの入山しかできないそうだ。入山者も少なさそうで静かな山行が楽しめそうだ。この案をOさんに示し、三条の湯に興味があるという返事があったので三条の湯泊を決めた。2人用のテントを持っていなかったので久しぶりに素泊まり小屋泊を予約した。

 下りは三峯神社でも石尾根でもよかったので、Oさんに決めてもらい三峯神社に下山することにした。

1日目

2020年12月29日(月) 晴れ

JR青梅線奥多摩駅=丹波バス停…サオラ峠…三条の湯(泊)

コースタイム
丹波バス停7:50
7:55
尾根900m鞍部8:36
サオラ峠9:40
9:52
御岳沢10:35
権現谷11:00
11:06
三条の湯11:25
21:10就寝

 奥多摩駅行きの列車に乗ると、ちょうどOさんを見つける。うつらうつらしていたら奥多摩駅に着いていてOさんにゆすられて起きる。

 奥多摩駅7:00発丹波行きのバスは私たちを含めて8人ほど乗車。鴨沢で3人、終点丹波で私たちともう1人が下車。8時前の丹波は晴れているもののまだ日陰で寒い。バス停には屋根があり、トイレもあるのでそこで用を足す。晩飯をOさんに持ってもらう。

 ENEOSの看板の青梅寄りに「サヲウラ峠登山口」と書かれた看板を見つけ、コンクリート舗装の道に入る。途中の看板に迷いつつも、舗装道が下り始めるところに鹿避け柵の出入口を見つけ、畑に入る。畑から出るときも柵の開け閉めがあった。

鹿避け柵
12/29 鹿避け柵を開けて畑に入る。
900m鞍部
12/29 900m鞍部に出る。

 植林帯を斜めに歩いていくと尾根に出る。894m標高点の300mほど東の900m鞍部のようだ。尾根の北側は白い砕石のようなものが見え、重機はないものの工事でもしているように見えた。日陰で寒くて鼻水が出る。

 900m鞍部から明るい枯れ葉の積もるジグザグ道を登る。南向きの斜面は日も照ってきて暑い。丹波の集落がずいぶん下に見える。下山してくる単独行の人がいて、今朝三条の湯を出たのかなと想像する。

 やがて尾根の西側を巻く道に入る。ザレた斜面に刻まれた道で日陰だ。尾根が近づいているのになかなか登り切らないと思っているとサオラ峠に出た。尾根上に小さなほこらがあって、北側が広い。南風が寒いので北側に寄って休むことにする。家で作ってきたテルモスの紅茶が温かい。

 丹波からサオラ峠までは15年前に下ったはずだがまったく覚えていなかった。今回の山行ではこのサオラ峠から三条の湯まで、三条の湯から三条ダルミまでが私にとって初めて歩くルートで、温泉と合わせて新鮮さを求めた。

ザレ場
12/29 サオラ峠下のザレ場のトラバース。
サオラ峠
12/29 広いサオラ峠。祠がある。

 サオラ峠から三条の湯まで水平か緩い登り道と思っていたが、地図を見ると300mほど下ることが判明する。丹波からけっこう登ってきたのでもったいないなあと思いながら、はじめは水平な道を行く。隣に石尾根らしき尾根が見えてあの一番高いところが雲取かねえ、と話す。写真を撮ろうと思っても手前の枝が邪魔で撮れない。

雲取山
12/29 右手の一番高い山が雲取山だと思う。
御岳沢
12/29 下っていき御岳沢を渡る。

 やがて下りになる。沢が見え、捨てられたワサビ田の段が残っていた。こんなところまでわさびを作りに来ていたのかと思うと大変だと思う。下には御岳沢が流れていて、その先ずいぶん低いところに道がある。翌日雨の予報でひょっとすると来た道を戻るかもしれないと考えていたのだが、この道戻るとだいぶ登りだねえ、どうせ登るなら雲取登りたいなと話す。下りついた御岳沢は凍っておらず、水も冷たくない。12月にしては温かい。

 御岳沢を離れて三条の湯へ向かうときれいな石積みの上で道が分かれる。下は地形図に載っている後山川右岸の道に通じているようだ。権現谷に下ると少し氷が張っていて冬らしさを感じる。それでも11月末の甲武信ヶ岳千曲川源流の方が凍っていたし、寒かったと思う。しばし、氷の造形に感動しながらザックも下ろさず写真を撮る。

権現谷の氷
12/29 権現谷に氷が張っていたので写真を撮る。
三条の湯
12/29 樹間から三条の湯の建物。

 カンバ谷を渡って尾根に出ると三条の湯が見える。樹間からずいぶん大きな小屋に見えた。15年前はお風呂にしか入らなかったからあまり記憶がない。

 三条の湯の小屋に着き、受付にあった申し込み用紙に氏名や翌日の予定を記入し、小屋番を呼ぶが誰も出てこない。しょうがないので、勝手に食堂に入り持ってきた牛乳をあたためてココアを作る。そうしている間に小屋番さんが戻ってきたので、改めて宿泊の登録を済ます。素泊まり1泊5,800円/人。案内された部屋「飛龍」は10畳ほどの広さで照明に灯油ストーブまである。ふとんもたくさん。久しぶりの素泊まりに豪勢な客室に通され感動する。誰か後から来るのかなと思ったが、誰も来ず2人の個室であった。

 すでにお風呂が沸いていたので2人で入りに行く。ちょうどよい湯加減で硫黄の香りもして温泉らしい。来てよかったと満足する。風呂から上がって持参したビールを飲んでふとんでひと眠り。せせらぎの音だけが聞こえてくる。小屋につきものの発動発電機の音がない。小屋のウェブページによると水力発電を行っているそうだ。YAMAPの記録を一時停止するのを忘れていて途中で起きる。

 起きると沢沿いにはソロテントが5つほど見える。後山林道が通れないのにこれだけ宿泊客がいることを不思議に思いOさんとどこから来るのかな、将監峠の方から縦走するのかな、雲取から下ってくるのかなと話す。奥多摩駅発丹波行きの2番目のバスは12時過ぎなので、サオラ峠を越えてきて14時過ぎに幕営するのはかなり早い。もうひとっ風呂浴びようかと風呂に行ったが混雑していた。暇なので読書したり、16時に天気図をとったりして過ごす。明日の雨の原因となっている低気圧付近はさほど等圧線が混んでおらず、降ってもザーザー降りにはならないんじゃない、昼には抜けるでしょと適当に予報する。そのあとお風呂から上がってきた人を見つけてすかさず2度目の入浴。そのころにはテントはさらに増え、9張ほどになっていた。1つだけ2,3人用、他は1人用に見えた。

三条の湯のお風呂
12/29 三条の湯のお風呂。定員は4人。
三条の湯個室「飛龍」
12/29 三条の湯個室「飛龍」には照明もストーブもあった。

 風呂から上がって食堂に移動し、晩ご飯にする。10畳ほどの食堂には薪ストーブが焚かれていて暖かい。6人ほどで大宴会をやっているパーティーがずっといて、1人の晩飯付宿泊の人、カップルの人が入れ替わり入ってきた。冬の空いているであろう時期にこれだけ混雑するので人気の宿のようだ。宿泊受付の際、宿泊は初めてですか、と聞かれたがリピーターが多い小屋なんだと再確認した。

 晩ご飯は鍋。肉、白菜など家ですでにペミカンにした材料を鍋に入れる。焼酎を飲みながら持参したイカの塩辛やチャーシューなど食べて満足する。冬は山になまものを持ってこられるのがいい。締めはうどん。

 最後に1人でお風呂に入りに行くと2人組が入浴していた。後山林道が通れないのにみんなどこから来るのか不思議だったので「どこから上がられたんですか」と聞いたら「最短ルートで、お祭りから」と意外な答えが返ってきた。後山林道は歩いて通れるそうだ。まさかの回答にびっくりした。それならこれだけ人がいるのもうなづける。2人組は明日サオラ峠を越えて丹波に下るとのことで温泉三昧のようだ。

 部屋に戻ってOさんにそのことを報告する。明日の朝雨次第で下山も考えていたので、それはマズイなと選択肢が増えたことに困惑した。そんな雑談をしてからストーブを消し、床についた。ふとんにはシーツがなく、予約時に持参するよう言われた通り、シュラフカバーに入ってふとんに入った。

2日目

2020年12月30日(火) くもり時々雨、のち晴れ

三条の湯…三条ダルミ…雲取山…霧藻ヶ峰休憩舎…三峯神社バス停=三峰口駅=西武秩父駅

コースタイム
三条の湯6:30起床
7:47
水無尾根1760m迂回終わり8:56
9:01
三条ダルミ9:54
雲取山避難小屋10:22
10:40
雲取山荘11:00
大ダワ11:15
酉谷山分岐11:32
芋の木ドッケ11:49
11:55
白岩山12:00
白岩小屋跡12:13
お清平12:58
霧藻ヶ峰休憩舎13:11
13:21
三峯神社バス停14:24
14:30

 朝起きると意外と雨は降っていなかったが、ふとんが気持ちよくてだらだらごろ寝しているうちに6時ごろから雨が降ってきた。雨粒は大きいがまばらな降りだ。

 食堂に移動してマルタイ棒ラーメンをゆでて食べる。ストーブにかけてあるやかんのお湯は使っていいと小屋番さんに教えてもらったのでテルモスの紅茶に使った。また、スマホの充電ケーブルがあったので出発するまでの間、充電させてもらった。

 食堂では丹波に下るかお祭りに下るか相談しているパーティーがいた。ザーザー降りでもないので私たちは予定通り雲取山に登ることにする。

三条の湯食堂
12/30 食堂でラーメンを作る。
三条の湯
12/30 雨降りの三条の湯。

 カッパを着て、ザックカバーをつけて小屋を出発する。一応、小屋番さんに雲取山に行くことを告げておく。暖かく、手袋は必要ない。

 小屋の前から三条沢に沿った道を行く。すぐ三条沢を渡り、斜めに登っていく。青岩谷の斜面をトラバースしながら登っていき、途中緩い下りがある。おそらく道が崩れてその上を巻くように道を付け替えたんだろう。標高1400m付近で水無尾根に出る。木はないが鞍部のような箇所で展望もあまりない。雲取山は尾根に隠れて見えず、飛龍山も雲の中だ。

水無尾根
12/30 水無尾根を巻いて登る。濡れた枯れ葉を踏んで歩く。
水無尾根
12/30 標高1400m付近で尾根に出るとハゲているが展望はない。

 そこからしばらく急な水無尾根をジグザグと登る。公開中のアニメ映画「鬼滅の刃」では主人公が雲取山の出身とテレビアニメを見たOさんから聞く。なんで雲取なんだろうね、山の上に住まないでしょ、ペーターとヤギ追って夏の間だけ山にいるならわかるけど、と雑談する。三条の湯の食堂でも宴会パーティーが鬼滅の刃を話題にしていたので人気のようだが、私は見ていないのでピンとこない。

 標高1500m付近で水無尾根の青岩谷よりを下るようになり、不安になる。おいおい、これ下山しちゃうんじゃないのか、と思うがちょうど反対側から登ってくる人もいたので、どこかには通じていると安心する。ある程度下ると右手にロープが張られており、ぶら下がった看板に「迂回路→」とある。どうやらここも道が崩れて山側に巻道を作ったようだ。

 どうせ三条ダルミまで登るなら下り道にせず尾根から水平にトラバースしてくれれば、登ったり下ったりしなくて済むのにと残念に思う。実際、三条の湯から三条ダルミまでの道は極力尾根に上がらず急登を避けて緩やかに高度を稼ぐように付けられている。尾根伝いに道をつける登山道の感性とは対照的だ。おそらく昔からの丹波から三峰方面に抜ける峠道だったのだろう。

 YAMAPの行動開始の操作を忘れていたのでザックを下ろして開始した。画面を見ると三条の湯から現在地まで直線で結ばれてしまい、変なルート図になった。

水無尾根
12/30 標高1400m付近から新しくつけられたらしいジグザグ道を登る。
水無尾根
12/30 登山道に張った氷を避けて登る。

 涸れ沢を1つ巻くと登山道に氷が張っている。夏なら水場なのだろうか。思いの外カチンコチンに凍っているので氷の際の枯れ葉を踏んで歩く。日がさし南向きの斜面は暑い。道は段々と上がって尾根が近くなるが、なかなか尾根には出ない。

 峠道にありがちなひと登りがないまま三条ダルミに出た。弱く日が照っており、この後天気がよくなることを期待する。

三条ダルミ
12/30 三条ダルミはくもりでときどき日差しがさす。
雲取山避難小屋
12/30 雲取山避難小屋で休む。

 三条ダルミから少し登った雲取山荘への巻き道は倒木で塞がれていた。笹の生えた急な斜面をジグザグに登る。南風も出てきてつらい。山頂へは最後緩やかな斜面だと思っていたが、目に見えたピークを登り切るとガスの中から雲取山の避難小屋が現れた。

 ちょうど鴨沢から登ってきた人に山頂の場所を尋ねられ、あっちと北を指さす。避難小屋の外には別の単独行が火を焚いてカップ麺を食べていた。私たちは寒かったので小屋の中に入って休んだ。トイレに寄ると紙を持ち帰るように袋があった。トイレを済ませて避難小屋でテルモスの紅茶を飲み、ザックカバーをはがしてザックにしまった。小屋の中の温度計は3℃を示していた。

 山頂には先ほど道を聞いてきた人とこれから三峰に行くという人の2人が写真を取り合っていた。ついでなので私も写真を撮ってもらう。Oさんはいい、と言って映らなかった。三峰に下る人は初めてらしく鴨沢へ下るのと比べてどうですか、と聞かれてOさんと顔を見合わせる。距離は同じくらいだと思うけど、標高は三峰の方が高いから楽かな、でも急に下るところがあったような、と適当に答える。

雲取山山頂
12/30 雲取山山頂はガスっていてパラパラと雨が降っている。
雲取山荘
12/30 雲取山荘の屋根を雨がたたく。

 雲取山から三峯神社までは3年前に歩いている雲取山荘に下ると雨が降ってきた。Oさんが雲取山荘のトイレに寄るのに合わせてザックカバーをまたかける。途中分岐があり、男坂を選ぶと雲取ヒュッテの横を通り、大ダワに出る。苔の生えた奥秩父らしい日原側の斜面を登り、酉谷山分岐を分けると芋ノ木ドッケの大洞川側を巻く。木の階段などが整備された道を歩いていくと歩荷さんが3人バラバラに歩いてきた。尾根に上がった鞍部に芋ノ木ドッケの看板があった。

 3人目の歩荷で従業員というおじさんが休んでいたので雑談する。三条の湯から登ってきたことを伝えると後山林道が通れるかどうか聞かれたり、昔は雲取山荘から三条の湯へ風呂に入りに行っていたと聞く。年越しの客を聞くと、240人の定員のところ、感染症対策で1/3の80人にしており、予約は80人弱とのこと。でも寒波が来ると予報されていて「最近の客はすぐ登るのやめるからな」と笑っていた。

 ゆるゆると登ると樹林帯のピークにテーブルと椅子が置いてある。なんだここ、とキョロキョロすると西寄りに看板が見える。白岩山の山頂のようなので写真を撮り、三角点をなでる。

 下りつくと白岩小屋跡。前は戸締りされていて中がよく見えなかったが、戸が外れ、南側の壁が傾いて中がよく見えた。中はふとんが散らばっていたが意外ときれいであった。ビバークはできそうだ。

白岩小屋跡
12/30 白岩小屋跡は戸が外れて中がのぞけた。
霧藻ヶ峰休憩舎
12/30 霧藻ヶ峰休憩舎には小屋番さんがいた。

 だんだんとガスは取れ、雲は2000m付近にあるものの展望が見える。遠くに三峯神社も見えた。ときどき登山者が現れるが、みんな単独行だった。お清平への下りに鎖場があり、岩場で滑って手をつく。お清平で休もうかと相談していたが、ベンチは濡れておりあまり休みたくない。Oさんはトレイルランを趣味にしていて、休む必要性が分からないというので、じゃあ、霧藻ヶ峰休憩舎まで行くかと相談する。正面の1547m峰は巻いて霧藻ヶ峰休憩舎に着く。

 休憩舎は開いていて小屋番さんもいた。中には単独行の人がお湯を沸かしてカップ麺を食べていた。三条の湯で作った紅茶を積極的に飲みテルモスは空になった。今度こそザックカバーはいらんだろとザックにしまう。Oさんがトイレに寄ったのでラジオをつける。霧藻ヶ峰は日差しがさし暖かいが、ニュースでは数年に1度の寒波が来ると伝えていた。大洞川向かいの和名倉山を見るが、2ヶ月前に登ったにもかかわらずのっぺりしていてどれが山頂でどれが何尾根かわからない。

 起伏の少ない道をダラダラ下ると奥宮への道を2度ほど分ける。三峯神社は登山と下山ばかりでうろうろしたことがないので一度奥宮など観光して参ってみたいものだ。天気はすっかり晴れて暖かい。誘ったけど寒いからいい、と断ったSさんも来ればよかったのにね、とOさんと話す。

両神山と三峰神社
12/30 霧藻ヶ峰から両神山と三峰神社が見えた。
三峯神社の鳥居
12/30 バスの時間が近かったので鳥居で頭を下げてバス停へ向かった。

 三峯神社の駐車場上の開けた茶屋の前に出ると14:15。バスの時間は14:30なので今回は参詣を諦めて鳥居で頭を下げる。コロナ禍にも関わらず参拝客は多く、駐車場も満車に近い。バス停どこだと探すと駐車場の端っこに50人ほどの謎の行列が階段まで連なっている。マジかよとOさんと困惑する。

 しょうがないのでマスクをつけて列に並び、スマホ、財布を取り出しバスに乗車する。並んでいた人たちは全員乗り切ったようだが、私たちは当然立ち。ジグザグ道を揺れながら三峰口駅で降りようと相談する。

 三峰口駅で立っている客のほとんどが降りるかと思ったが、下車したのは私たち含めて5人ほどであった。三峰口駅では30分ほど待ち、余ったせんべいなどをもぐもぐ食べる。ガラガラの列車に乗って御花畑駅で下車。予定では西武秩父駅にできた祭りの湯に入るつもりだが、どうせさっきのバスの混み具合を考慮すると、温泉も大混雑だろうと諦めムードでのぞいてみる。下駄箱は鍵が付いている箱が多く、意外と空いているんじゃね、と中に入ると窓口も空いていたのでそのまま入浴した。お風呂は年末年始の夕方、三峰神社の参詣客も多いという混雑する条件にも関わらず空いていた。Oさんと逆に経営が心配だね、と余計なうわさをすると冷たい風が吹いてきた。

 西武秩父駅から乗った西武秩父線も空いていてクロスシートを2人で占領する。東飯能で乗り換えるとひどく寒く、山の上よりずっと寒い。加えて強風のため八王子行きが遅れていてニュースに聞く寒波やべえとOさんと話す。隣の金子駅までは徐行運転したが、その後は通常運転で拝島駅には15分遅れで到着した。終点まで乗るOさんと別れ、解散とした。

おわりに

 今回の目的である温泉に入ることについては三条の湯に3回もつかることができ、ついでに雲取山にも登れて十分に満足できた。

 久しぶりの小屋泊で10畳を2人の個室として使い、照明と灯油ストーブがあって、食堂では薪ストーブと携帯充電器があって、お風呂に入れるとあって、贅沢な山行であった。私にはまだまだテントの窮屈な山行の方が身の丈に合っていると背徳感を覚えるくらいであった。三条の湯を目的に訪れるリピーターがいるのもうなづける。

 雨の予報も6時から12時くらいまでの弱い雨で済み、びしょ濡れで凍えずに済んでよかった。12月にしては積雪も見ずだいぶ暖かい山行であった。

(2020年12月31日記す)


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