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2017年冬 - 奥多摩・雲取山


2017年2月11日(土)
場所
東京都西多摩郡奥多摩町、埼玉県秩父市(旧秩父郡大滝村)
ルート
JR奥多摩駅=鴨沢バス停…七ツ石山…雲取山…芋の木ドッケ…三峯神社=西武秩父
参加者
中山(単独)
参考文献

はじめに

 この週末、久しぶりに決まった予定はなかった。軽めの山に行きたいと思っていたところ、職場で西多摩新聞の回覧を見て雲取山の標高と今年の西暦が一致することを知った。

 東京都最高峰の山である雲取山(標高2017m)が今年、西暦と標高が一緒になることから話題を呼んでいる。

(中略)

 標高が2017mのため、数年前から登山愛好者の間では2017年を待ち望む声も多く、昨夏には都により雲取山の山頂標識が木製から石造に建て替えられている。

「標高2017m 今年は雲取イヤー」西多摩新聞,第2578号,2017年1月27日(金)P.1

 三峯神社から1泊2日の縦走の計画を組んでみたものの一緒に来る人もなく、行くかやめるかか考えていた。木曜日に雪が降ったり、金曜日も檜原村の都道の雪害体制で残ったり、最近だるいので寝てようかとも思ったが、やることを決めないと土日は寝ているだけになりそうだし、2017年中に雲取山に行ける保証もない。でも日曜日は休みたいので土曜日に日帰りで行くことにした。

 2月の雲取山はけっこう雪が多いので、鴨沢から日帰り往復を計画し、もし雪が多ければ七ツ石山で帰ろうと考えていた。しかし、ネットで前日金曜日に登った記録を見ると雲取奥多摩小屋のヘリポートの地面が見えるくらい雪が少ないのでワカンもアイゼンも持たずにスピードアップを図ることにした。ネットは便利なものだ。

 雲取山は前回の記録を見ると私にとって2年ぶり7回目の山のようだ。

日帰り

2017年2月11日(土) 晴れ

JR奥多摩駅=鴨沢バス停…七ツ石山…雲取山…芋の木ドッケ…三峯神社=西武秩父

コースタイム
鴨沢バス停6:41
6:46
小袖乗越7:05
堂所8:06
七ツ石小屋8:44
8:51
七ツ石山9:10
雲取奥多摩小屋9:40
小雲取山10:00
雲取山10:16
10:30
雲取山荘10:42
大ダワ10:50
芋の木ドッケ11:24
白岩山11:30
白岩小屋11:43
11:55
前白岩山12:06
お清平12:32
霧藻ヶ峰12:49
13:00
三峯神社奥之宮入口13:47
三峯神社本殿14:03
三峯神社バス停14:25
14:35

 福生に住んでいる地の利を生かし、始電で鴨沢に向かう。奥多摩駅6:00発の鴨沢西行きに乗る。無雪期はぎゅうぎゅうのバスだが、2月は私を含めて5人と少ない。寒いのでカッパズボンをはき、スパッツをつけてまた寝る。

 乗客はみんな鴨沢バス停で下車した。トイレを済ませて歩き始める。小袖乗越はまだ7時というのに満車になっていた。トイレが建設途中で完成すれば便利である。着ているフリースが暑くて脱ぐ。林道を離れてしばらくは樹林帯を巻く道である。陽の当たらない針葉樹の下は雪が残っていたが、南面の落葉樹林では雪がなかった。車で来た人が多いようで20パーティーくらい追い抜いただろうか。でも多くても3人くらいのパーティーであった。

小袖乗越
2/11 朝7時にもかかわらず小袖乗越の駐車場はすでに満車に近い。トイレが建設中だった。
小袖乗越
2/11 日陰にはうっすら雪が積もっているがトレースがついている。

 堂所に出ると弱い西風が当たってきて寒い。手袋の中で指を握る。積雪があるが、5cmくらいだしトレースもあるので苦にはならない。しかし、息が上がってきてつらい。2年前は鴨沢から七ツ石山まで休まずに歩けたのになあ、と思いながら七ツ石小屋で休む。喉も渇いていたのでテルモスの紅茶を飲んで人心地ついた。

片倉谷源頭の水場
2/11 片倉谷源頭の水場は凍っていなかった。
石尾根縦走路
2/11 石尾根縦走路に出たところ。積雪10cmほど。

 七ツ石小屋から進むと片倉谷源頭の水場。凍っていなかった。七ツ石山の巻き道を分けて山頂へ向かう。石尾根縦走路に出ると積雪は10cm程度。鷹ノ巣山へ向かうトレースは少ない。新田次郎の「寒冷前線」を思い出す。

七ツ石山
2/11 七ツ石山山頂は雪が少ない。大きな石柱が立っていた。
七ツ石山からの眺め
2/11 七ツ石山から雲取山方面を眺める。晴れ。

 七ツ石山山頂は14年前に比べて雪が少ない。土が見えている場所もある。高さ2mくらいの石柱が立っており、石柱が建てられたのは雲取山だけでないと知る。天気は晴れで雲取山への縦走路がよく見える。七ツ石山の下りは雪が凍っていたり、泥んこになっていると下りにくいが、新雪がクッションになって歩きやすかった。

 ブナ坂から気持ちのよいカラマツ林の防火帯を登る。この調子なら夏道と同じコースタイムで歩けそうだな、と思い三峯神社まで抜けることを思いつく。鴨沢バス停が標高540m、三峯神社が標高1080mなので登りの少ない三峯神社起点のコースどりしか当初は考えていなかった。1番バスが鴨沢バス停なら6:40、三峯神社なら10:00と後者がだいぶ遅いので三峯神社起点なら雲取山日帰りは困難である。一方、今回は鴨沢バス停起点なので比較的時間の余裕はある。あとは三峯神社のバスが何時か分かればそれに合わせて歩くだけだ。1日5便くらいだったと思うが、三峯神社で1時間以上待たされるのは寒いので嫌だ。雲取奥多摩小屋でバスの便が分からないかと小屋をのぞいたが時刻表がなさそうなのですぐ退散した。

雲取奥多摩小屋
2/11 雲取奥多摩小屋は雪が少ない。遠くに雲取山避難小屋が見えた。
雲取山
2/11 雲取山最後の登り。

 小雲取山14年前に比べて雪が少ない。14年前は指導標の柱部分が積雪で見えなかったが、今年は雪がくるぶしくらいまでしかない。5人くらいのグループを追い抜く。

 小雲取山からは登り下りの少ない尾根道を歩き、最後のひと登りで雲取山避難小屋についた。日が当たって屋根から雫が滴っている。外の温度計は氷点下4.5度を指していた。天気がよいので外のたたきのベンチで休む。相模湾らしき海まで見えた。避難小屋の中に三峯神社のバス時刻表がないか探したが、西東京バスのものしかなかった。

 雲取山山頂には東京都最高峰を示す新しい石柱と「雲取山西暦二千十七年記念」と書かれた木柱が立っていた。せっかくなので写真を撮ってもらう。手袋を取ると手が冷たい。富士山もよく見えた。

雲取山山頂
2/11 雲取山山頂で新しい石柱と記念写真。後ろは「雲取山西暦二千十七年記念」と書かれた木柱。
雲取山
2/11 雲取山荘へ下り始めると登山者は減るがトレースはついている。

 三峯神社のバスの時刻は分からないが、午後なら1時間に1便近くあるだろうと想定し三峯神社に向かうことにした。時刻表も雲取山荘にあるだろう。雲取山から北へ踏み出すと人は少なくなる。鴨沢からの道の半分以下だろうか。雲取山荘までの道は北側斜面なので4月には凍っていて難儀した思い出があるが、新雪がクッションになっていてむしろ歩きやすい。雲取山から三峯神社までの道は三峰雲取自然研究路としてところどころ案内看板があったり、三峯神社まで何kmと表示があるのが助かる。

 雲取山荘に着く。休んでいる人は1人だけで鴨沢からの道の喧騒がない。水場は凍っていて流れていなかった。小屋の入り口に三峯神社のバス時刻表が貼ってあってメモする。4時間後の14:35が有力候補と考えて出発する。

雲取山荘
2/11 雲取山荘は水が凍っていた。
シカ
2/11 大ダワから芋の木ドッケまでの間でシカ2頭を見かけた。

 廃墟の雲取ヒュッテのあたりが今回のコースで最も雪が多かったが、それでも10cmくらいであった。大ダワは大ダワ林道が閉鎖されたままだ。大雲取谷遡行の逃げ道として便利なのだが残念である。途中で行く手に物音がしてビビるが見るとシカであった。2頭がじーっとこっちを見ている。7年前にも白岩山で逃げないシカを見ているので人に慣れているのだろうか。冬に駆除していると思うのだが。

芋の木ドッケ
2/11 芋の木ドッケの巻き道。階段が整備されていた。
芋の木ドッケ
2/11 巻き道を終えると芋の木ドッケの看板があった。

 芋ノ木ドッケの山頂も踏みたいと思っていたのだが、指導標に芋の木ドッケの表示がなく「白岩を経て三峯神社」の看板に従って歩いていたら芋の木ドッケを巻いてしまった。巻道には階段があったりしてよく整備されている。巻道を終えると芋の木ドッケの看板があった。

 緩やかに登って白岩山。すでに休んでいた人たちがいたので先へ進む。下り始めるとボッカを背負った人が歩いてきた。雲取山荘に届けるのだろうか。通年営業は大変だ。下り切ると白岩小屋に到着。廃屋なのは7年前と変わっていない。窓が割れていて中にも風が吹き込んでいた。雨はしのげそうだが風は防げない。西寄りに展望のきく箇所があり、見ると大洞川の谷と正面に和名倉山、左手に飛竜山となかなかの景色だ。和名倉山はこれほどに大きな山なのに登山道がないためにほとんど登られていないのはもったいない。かくいう私も和名倉沢を途中まで登っただけなので和名倉山には登ったことがない。景色はよいが西風が冷たいので東に移動する。木の根元の雪のない箇所に腰を下ろす。テルモスの紅茶が残り少ないが、三峯神社に着いたら自動販売機もあるだろう。素手でせんべいの袋に手を入れて食べていると手が冷たい。

白岩小屋
2/11 廃屋の白岩小屋。
和名倉山
2/11 白岩小屋西面の眺めがよく大洞川流域の山、特に和名倉山がよく見えた。

 前白岩山を越えてなだらかな下りで転び尻もちをつく。新雪の下に凍った雪が見えた。転んだのはこの1回であった。前白岩の肩から急な下りになる。1箇所だけ鎖場があり、岩角で滑らないよう慎重に下る。木の間から三峯神社の建物が見えるが、まだ遠い。下り切るとお清平。大血川・大陽寺方面の道が伐採作業か何かのため閉鎖されていた。

三峯神社
2/11 前白岩の頭を過ぎて三峯神社が見えた。
霧藻ヶ峰
2/11 前白岩の頭から下り、お清平から霧藻ヶ峰へ登り返す。

 霧藻ヶ峰の登りに取り掛かると南面だからか雪が少ない。落ち葉の道を登る。登りきると山頂に霧藻ヶ峰休憩所があった。2月だからか小屋は閉鎖されており、ベランダみたいな部分で休む。山座同定の丸い銅版が置いてあり、三国山から両神山までの稜線が見えることに驚いた。あの辺が帳付山かなとか想像して悦に入る。

霧藻ヶ峰
2/11 霧藻ヶ峰休憩所は閉まっていた。
三峯神社への道
2/11 三峯神社への道は枯葉の歩きやすい道であった。

 秩父宮レリーフを過ぎ、和名倉山火事の看板を見て地蔵峠に至る。峠と書いてあるが、霧藻ヶ峰の肩といった感じだ。霧藻ヶ峰から下りきると平坦な道が続く。落葉樹林と常緑樹林が交互に続き、散歩道のようでいい。ただ、霧藻ヶ峰から北の地図を持っていないので三峯神社までの距離がわからず不安になる。バスに間に合うために妙法ヶ岳には行かず、針葉樹林帯を歩いていくと鳥居をくぐってコンクリート舗装路に出た。

 せっかくなので三峯神社本殿に参る。真冬なのに人が多く、駐車場もほぼいっぱいになっていたのは驚いた。予定通り14:35発の急行バス西武秩父行きに乗車した。ほぼ満席のバス2台が発車し、寝ているうちに三峰口駅、西武秩父駅についた。西武秩父駅の仲見世は工事中で温泉ができるようである。秩父は登山客が多いので温泉ができるのはうれしいが、高尾山口みたいに常に混んでしまうのではないだろうか。体が冷えているので横瀬駅で下車して武甲温泉に浸かる。18:03の横瀬発の列車に乗り、東飯能乗り換えで東福生に帰った。

おわりに

 思ったより雪が少なく、ワカン、アイゼンは不要であった。ストックがあるとバランスが取りやすくてよい。夏道と同じくらいの時間で歩くことができ、思いつきで三峯神社まで歩いたが、無事バスにも乗ることができた。

 歩行距離は20km、歩行時間も7時間40分と冬にしては長く歩けたのもよかった。指導標がよく整備されていたので迷うことはなかったが、地図とにらめっこする機会がなかったのはちょっと寂しい。記録を書きながら地形図を見返しても場所から記憶が想起できない。といっても寒くて地図を出す余裕もあまりなかった。

 最後に温泉にも入ることができ、充実した山行であった。


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