八ヶ岳・中山尾根←|→北アルプス・前穂高岳北尾根3峰[1/4]
今年も富士山の合宿に行ってきた。
2年連続8回目である。今年は雪訓が初めての人を3人迎え、2泊3日の日程で行った。各自の都合に合わせて金土日の2泊3日組と土日だけの1泊2日組に分かれた。
0日目 |
2016年12月8日(木) |
立川駅集合=吉田口登山道・馬返し(泊)
立川に10時に集合し、馬返しへ向かう。予定では中山、W、S、W、Sの5人であったが、Sさんは熱が出たとのことで不参加。ただ、装備や食料を多く持っていたので22時に立川に来てもらった。なお、下山後聞いたところ、インフルエンザだったという。Wさんは道具をほとんど持っていないため、やはり立川でKさんに道具を借りていた。
Sさんの運転する車で馬返しに向かう。23:30に馬返しに着くと、ほかに1台の車が止まっていた。土日は馬返しも混雑するが、木曜夜ならさほど混まないようだ。車の横にテントを張って寝る。端っこで寝ると寒かった。
1日目 |
2016年12月9日(金) 晴れ |
馬返し…五合目佐藤小屋…富士スバルライン五合目上…小御岳流し2650m付近雪上訓練…富士スバルライン五合目上(泊)
馬返し | 6:25起床 |
7:20 | |
二合目 | 8:08 |
8:20 | |
四合五勺井上小屋 | 9:21 |
9:33 | |
五合目佐藤小屋 | 10:13 |
10:25 | |
富士スバルライン 五合目上 | 11:00 |
12:15 | |
小御岳流し 2650m付近 | 13:12 |
15:12 | |
富士スバルライン 五合目上 | 15:50 |
19:45就寝 |
朝起きてテントをたたむ。車は1台増えていただけであった。天気は晴れだが馬返しから見る富士山は雲に隠れていて見えない。Sさんから受け取った道具と食料が重いのでゆっくり歩く。もう1台の車の5人くらいのパーティーが先行するが、二合目で追いつく。先行パーティーは四合目の小屋跡で休んでいたが、私たちは四合五勺井上小屋、まで歩いた。天気は晴れだが、山の方からは風の音が聞こえてくる。五合目佐藤小屋は平日のためか営業していなかったが、風を避けるために小屋前のテーブルで休む。出発するころもう1つのパーティーが登ってきてテント場に向かっていた。
12/09 馬返しにて。テントをたたんで出発準備。 |
12/09 五合目佐藤小屋から風が強い。 |
佐藤小屋からスバルライン五合目へ向かう。五合目付近の雪は少ないものの、七合目付近から上は雪で覆われていた。泉が滝を過ぎ、雪溜まりになっている道は雪がしまっていて歩きにくい。
いつもの場所で荷物を置き、テントを張る。例年は雪がないが、今年はうっすらと雪が溜まっているので足で蹴って均す。今日は風が強そうなので、事前にハーネスを装着する。またアイゼンの着脱を試しに行う。Wさんのアイゼンが合わなかったので調整した。準備が調うともう12時を過ぎている。小御岳流しの練習場へ向かう。樹林帯を登っていくが、WさんとSさんが遅い。ゴーグルを出して待つ。樹林帯を抜けて礫を登る。歩きにくいのと西風に当てられて2人はやはり遅い。教えていないのに耐風姿勢で固まったりしている。裏を返せばついてくるW君の体力は相当だと思う。小御岳流し2650m付近に着く。傾斜が緩いがさらに登るには時間がかかるのでここで練習することにする。
12/09 五合目佐藤小屋から見る山頂は雲の中。 |
12/09 スバルライン五合目を背景に小御岳流しを登る。 |
アイゼンを付けて登下降の練習を行った。トラバース、滑落停止も少し行う。しかし、みんな風に当てられて縮こまるばかりであんまり練習しない。時間も15時だし風に吹かれるのも練習のうちと思い、切り上げて下山する。
12/09 小御岳流し2650m付近についてアイゼンを履く。 |
12/09 西風が強くて消耗するので少し練習して下った。 |
W君に手伝ってもらって雪袋に雪を詰める。SさんとWさんに先行してもらったら下山は意外と速く、呼び止める。私以外はみんな初めての富士山なので固まって下山した。うまい具合にテントにはたどり着けた。雪袋を出すとW君の雪袋は破けていたのでスペアの雪袋を使った。
水作りの後はご飯とカレー作り。ご飯は私もあまり見ていなかったのだが、芯があったため再度水を入れて炊いた。カレーは作ってからトマトピューレなどを見つけたが、鍋の容量がいっぱいなので入れなかった。結局、カレーがいくらか余った。酒もみんなさほど飲まず19:45に就寝した。Wさんが前日あまり眠れなかったようなのでカイロをあげた。
2日目 |
2016年12月10日(土) 晴れ |
富士スバルライン五合目上…小御岳流し2650m付近雪上訓練…富士スバルライン五合目上
富士スバルライン 五合目上 | 6:11起床 |
8:20 | |
小御岳流し 2700m付近雪上訓練 | 9:17 |
14:00 | |
富士スバルライン 五合目上 | 15:00 |
21:00就寝 |
夜は寒かったが、睡眠不足のためよく眠れた。朝はカレーを食べた後、ラーメンを2人分、もちはW君と私だけが食べた。雪は固かったためか45リットルの雪袋1袋しか使わなかった。みんなあまりお茶を飲まないので水分を取るよう促すが、やっぱりあまり飲まない。もっと強く言った方がいいのかなとも思うが、水を飲まなくても行動できる人もいるかもしれないと思いちゅうちょした。山の生活を指導するのは難しいもんだ。
今日も同じ小御岳流しの2700m付近まで登り、練習の続きを行うことにする。午後になれば土日班が追いついてくるはずだ。
樹林帯のやや東寄りを歩くと雪道でヤブが少ない。樹林帯を抜けるまでの真ん中あたりで転石に慰霊のレリーフはめ込まれていた。今まで見たことがないが、この樹林帯は迷いやすいので他にもいろんなものがあるのかもしれない。
12/10 テント内で靴を履き、スパッツを着ける。 |
12/10 テント外に出てハーネスを装着する。今年は上部の風が強く、ていねいに装着できないおそれがあるからだ。 |
樹林帯を抜けて早めに西側へトラバースすると雪のついたゆるいガリーに出る。ガリーを抜けて台地に出てから西へトラバースすると楽に雪面に出られた。今日は昨日より風も弱い。昨日より1段登ったやや傾斜のある小御岳流し2700m付近で練習する。
12/10 樹林帯を抜ける。 |
12/10 小御岳流し2700m付近で登下降の練習。 |
今日は時間があるので一通りのメニューを行う。午前は登下降、トラバース、バックステップ。Wさんは昨日より傾斜があるのが不安なのか、下部のゆるやかな箇所で練習していた。午後は滑落停止。雪面が硬く、ピックはよく刺さるが痛い。一応、ロープで確保するが、支点がどうしても不確かなものになる。スタンディングアックスだとピッケルが入らないし、ピッケルを寝かせたものを雪で埋め戻してもサラサラの雪でシュリンゲを引くと動く。腰と足を置く場所をピッケルで十分に切って肩がらみで確保した。SさんもW君もけっこう滑り落ちるのでロープも活躍した。ずっと確保していたので尻が冷たい。
12/10 バックステップの練習。 |
12/10 スタンディングアックスビレイのため支点を作ろうと雪を掘るが硬くて掘りきれない。 |
午後になって土日班がやってきた。Kさんはさらに上へ、Hさんたちは新人の指導にあたってくれた。参加予定だったWさんは土曜日に仕事が入ったとのことで欠席。金土日班が4人、土日班が4人となった。私が苦難した支点もHさんの力でピッケルのシャフトの半分くらいまで埋まり、グリップビレイやコンテの大阪方式による確保を教えた。
12/10 13時過ぎに練習をやめて雪をかきとり下る。 |
12/10 本栖湖の向こう側に白峰三山が見えた。 |
14時に下山する。Sさん、WさんはHさんたちと先に下ってもらう。今日もW君と雪袋に雪を詰め、2人で下山する。やや東寄りに出てしまった。少し登り返してテントに戻る。
テントは私たちの4, 5人用エスパースの横に夏用の4, 5人用エスパースが立っていた。土日班のテントだ。狭いので別々のテントで飯にする。テントに入った後の最初のお茶だけは土日班のテントで作ってもらった。晩飯は鍋。鍋の容量が小さく、2回に分けて作る。ご飯は3合用意したが、みんな小食で2合だけ炊いた。こちらのテントは飲んべえがいないので19:30にシュラフにこもる。
隣のテントはいつも通り酒を飲んでいて20時くらいから山の歌を歌っている。歌集を預かっていたWさんがトイレついでに隣のテントに入っていた。私は鼻が詰まっているようで眠れず歌を聴いていた。21時くらいまで歌は続き就寝した。
3日目 |
2016年12月11日(日) 晴れ |
富士スバルライン五合目上…小御岳流し2670m付近雪上訓練…富士スバルライン五合目上…五合目佐藤小屋…馬返し
富士スバルライン 五合目上 | 5:00起床 |
7:12 | |
小御岳流し 2650m付近雪上訓練 | 8:10 |
10:15 | |
富士スバルライン 五合目上 | 10:51 |
11:20 | |
四合五勺井上小屋 | 12:10 |
12:20 | |
馬返し | 13:18 |
13:40 |
昨晩も寒かった。寝ていると床面に接している尻などが冷たくなり、起きるたびに姿勢を変えて寝た。私の隣のWさんもあまり眠れなかったようだ。対してW君は熟睡できているようでシュラフが暖かいのか寒さに強い体質なのかうらやましい。私同様端っこに寝ていたのに。私もシュラフの替え時なのだろうか。
12/11 滑落停止の練習。 |
12/11 土日班といっしょに登下降の練習 |
今日も小御岳流し2670mで練習。2時間ほどの練習なので登下降が中心。何度か滑落停止もやるが痛いし、カッパがボロボロになる。10時過ぎに切り上げて下山。
12/11 雪は固く、日光に反射していた。 |
12/11 日が差すころに練習をやめて下山を始めた。 |
テントを回収し、馬返しに下る。次回に登る山に合わせてテントや鍋を各参加者で持ち替えた。佐藤小屋へ向かって歩き始めるとWさんが遅い。聞くとKさんから借りた靴は2cmほど大きいようだ。預けたザイルを回収し、不即不離で歩くことにする。途中、Kさんは倒木からクリスマスリース用の枝葉を手にいれてザックに入れていた。
馬返しに着くと、KさんとYさんは温泉によらず帰京するという。W君に精算をお願いし、土日班は帰ってしまった。金土日班はいつもの葭之池温泉で風呂に入り、うどんを食べて解散した。
久しぶりの2泊3日の富士山で、毎日小御岳流しの練習は初めてであった。西風も冷たく富士山らしい天気であったが、雪は今までで最も硬く、滑落停止をためらうくらいであった。年末に向けての練習にもなったし、道具の調整も行おうと思う。
初めての冬富士が3人いて、1人で指導するのは大変であったが、確保の仕方は私も複数知っておかねばならないと気付かされた。知っているつもりでも教えるとなると知らないことがあることを改めて自覚した。あとは年末の準備と好天を祈るだけだ。
(2016年12月17日記す)