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今年も富士山の合宿に行ってきた。
今年は全体では土日月の2泊3日の予定だったが、私は土日で帰ってきた。天気はよく、日曜日に山頂を踏むことができた。
今回、リーダーを務めたが、入山する人と下山する人が日ごとに入り乱れてそのスケジュールを立てる方が難しかった。
0日目 |
2010年12月3日(金) |
立川駅集合=吉田口登山道・馬返し(泊)
23:00立川駅に集合。立川に向かう途中の中央線の車内でAさんからのメールを受け取り、仕事で今晩集合できないことを伝えられる。そこで翌日朝出発するKさんに頼むよう連絡しておいた。さらに立川に着いてから参加メンバーのWさんが車で来ていたが、ヒザを痛めて行けないということが分かる。もう1台のYさんの車では、Yさん、Kさん、Iさん、私の荷物が入らない。Iさんの発案でKさんの車をIさんが運転し、なんとか4人馬返しにたどり着いた。
例年より1週遅いからか馬返しには私たちの車以外に10台くらいの車が止まっていた。4-5人用エスパースを立て1:30就寝。
1日目 |
2010年12月4日(土) 快晴 |
馬返し…五合目佐藤小屋…河口湖口五合目上…小御岳流し2850m付近雪上訓練…河口湖口五合目上(泊)
馬返し | 6:00起床 |
6:50 | |
二合目 | 7:34 |
7:50 | |
四合五勺井上小屋 | 8:40 |
9:00 | |
五合目佐藤小屋 | 9:30 |
9:48 | |
河口湖口五合目上 | 10:20 |
10:53 | |
小御岳流し 2665m付近 | 11:33 |
11:59 | |
小御岳流し 2865m付近雪上訓練 | 12:32 |
14:11 | |
河口湖口五合目上 | 14:50 |
20:40就寝 |
夜中トイレに起きる。風が吹いていて寒かった。エアマットもいつからか2, 3時間で空気が抜けるようになってしまい、夜中起きたときにふくらました。
明け方6時に起床。出発準備をしていると続々と車がやって来る。駐車場の真ん中あたりでは10人くらいで体操しているグループもいる。天気はよく、馬返しから見る富士山は白く輝いていた。一合目を過ぎ、二合目の神社で一休み。雪はない。プロトレックの内部電池が切れたのか、また時計の表示が2005年1月1日0:00にリセットされていた。二合目からしばらくで林道細尾野線終点を過ぎ、登りが続く。
12/4 馬返しから出発。 |
12/4 二合目でひと休み。 |
三合目の小屋は屋根が落ちていたが、これは一昨年くらいからだったろうか。四合五勺井上小屋で一休み。井上小屋は小屋には五合目と書いてあるが、歴史案内の看板には四合五勺と書いてある。五合目だと佐藤小屋と重なるので四合五勺の方が分かりやすい。時代によって区切りも変わるのだろうか。馬返しにはあれだけ人がいたのに、歩いているのは年配の3人組くらいだった。
井上小屋の上の道には氷の川ができていた。いつもこのあたりは道が凍っていて歩きにくいが、今回と特に氷の面積が広く、難しかった。一部水も流れていた。昨日の午前中に東京でも雨が降ったし、気温が高かったので、ここでも雨が降ったのかもしれない。
12/4 吉田口五合目佐藤小屋から見る富士山頂。雪が少ないように見える。 |
12/4 河口湖口五合目の上で幕営し、小御岳流しでの準備をする。 |
五合目佐藤小屋では発動発電機の音がしていたので、人が入っているようだ。テントも6, 7張り張ってある。特に河口湖よりにジャンボエスパースが3張りもあった。佐藤小屋から河口湖口五合目へ向かう。見上げると下の方は雪が少ないようだ。泉滝のあたりは凍っていて危なかった。スバルラインはまだ通れるようで、河口湖口五合目には観光バスまで入っていた。これを見て土曜昼に東京を出るKさんたちにスバルライン通行可能であることを伝える。また雪が少ないことから水を持ってきてもらうようメールでお願いした。
ヤブにテントを張り、ザイル、ハーネス等練習の準備をして小御岳流しへ向かう。
12/4 樹林帯を登る。 |
12/4 小御岳流し下部を登る。 |
樹林帯を抜けると西風が強い。赤茶色のザラザラの斜面を歩く。滑りやすく、いつ歩いても苦手だ。ある程度登り、標高2665m付近でアイゼンを履く。いつもの練習場に出て練習を行う。私の高度計は昨年より130mも高い標高2865mを差していた。Iさんが何度か耐風姿勢をとりながら後ろから歩いてきた。
12/4 雪を求めてさらに登る。下に見えるのは河口湖口五合目 |
12/4 耐風姿勢の練習。 |
この日の練習内容は歩行訓練と滑落停止。Kさん、私が教え役で、Yさんに教える。Yさんは10年ほど前に都庁山岳部で冬富士の練習を職員対象に募集していたときに参加したことがあるそうだ。でも今年部に入ってから今回改めて装備を一新し、再度富士山の練習に挑戦である。何回か直登と下降を繰り返すが、右足と左足のかかとをひっかけて滑落してしまった。すぐ下にいた私も避けてしまい、Yさんも滑落停止を教える前だったので止まらず15mほど流されてしまった。幸いけがはなかったが、すぐあとで滑落停止の練習を行った。前日雨が降ったのか雪面が固く、ピッケルはささるのだが、腕が擦れて痛い。あんまりたくさんは練習できなかった。あとは耐風姿勢とスタンディングアックスビレイを行った。
12/4 下る練習。 |
12/4 スタンディングアックスビレイの練習。 |
練習を終えて雪袋に雪を詰めて下る。まっすぐ下っていたらだいぶ西寄りに出てしまい、河口湖口五合目の小屋が見える辺りからテントを探してしまった。14:50に着いて、今日中に帰るYさんは15:00に馬返しに下っていった。
Kさん、Hさん、Aさんは16:20頃にスバルライン経由でテントに到着。そのころにはマーボー茄子もできて、ご飯を炊いているところだった。Yさんは日も暮れた18:30ごろに馬返しから到着。テントにみんな集合して酒を飲んだ。私は何度も足がつってつらかった。
2日目 |
2010年12月5日(日) 快晴 |
河口湖口五合目上…吉田口登山道…浅間神社奥宮…吉田口登山道…五合目佐藤小屋…馬返し=葭之池温泉=立川
河口湖口五合目上 | 3:40起床 |
5:35 | |
六合目 | 6:01 |
6:14 | |
七合目鳥居館 | 7:13 |
7:25 | |
本八合 | 8:30 |
8:41 | |
浅間神社奥宮 (富士吉田口頂上) | 9:46 |
10:02 | |
六合目 | 11:26 |
11:50 | |
五合目佐藤小屋 | 12:08 |
馬返し | 13:05 |
13:30 |
3:40起床。Aさんが小御岳流しでの練習をしていないので、本当なら小御岳流しへ行くべきなのだが、天気もよさそうなので全員で吉田口登山道を登り、山頂を目指すことにした。今日帰るKさん、Aさん、私のパーティーと明日帰るKさん、Yさん、Iさん、Hさんのパーティーに分かれて登る。
ヘッドランプをつけて六合目へ向かう。ところどころ氷が張っていて危ない。私ははじめからアイゼンをつけていたのでよかったのだが、Kさん、Aさんは滑りそうになっていた。泉滝のあたりが特に凍っていた。
吉田口六合目に着いて、テントなどの道具を置く。ここからは防寒着や登攀具、ザイル、テルモスなどに装備を絞り山頂を目指す。東の空はすでに明るく、佐藤小屋に泊まったと思われる人たちが次々登っていた。山の端に登山者のシルエットが映える。
12/5 吉田口六合目。東の空が赤い。 |
12/5 相模湾に昇る太陽。 |
歩き始めるとすぐ相模湾から太陽が上がってきた。はるか遠くに水平線のようなものが見えていたが、太陽はその下から上がっている。どうやら水平線の上に雲が広がっているようだった。しばらく見ていると太陽がその雲の上にも現れ、鏡もちのように2段がまえになった。めずらしい太陽だ。
ひとしきり日の出を楽しんだ後、歩き始めると道はすっかり雪に覆われている。年によっては七合目までアイゼンつけないで済むのだが、今回は雪が多いようだ。しばらく登って行くと七合目の下で大きな雪崩の跡にぶつかった。吉田大沢から流れてきたようだ。登山道が礫混じりのデブリに覆われており歩けない。左手の雪面を登る。登山者が多いが、早めのペースで歩き、快調に抜いていく。
七合目鳥居館の前でひと休み。八合目へ向けて出発。日もすっかり上がり、風もなく暖かい。Kさんは登山道にこだわらず己の道を歩き、私とAさんは登山道沿いに歩いた。八合目の上にも小さな雪崩があった。よくみると吉田口登山道と下山道の間にも雪崩の跡があった。暖かい日があって雪が緩んだのだろうか。ハイペースで歩いているので意図的に呼吸量を増やしながら歩く。若干頭がぼんやりするが、気持ち悪くなったりはしない。順調だ。
12/5 吉田大沢から流れてきた雪崩のデブリ。七合目下にて。 |
12/5 山中湖を背景に登る。八合目・本八合間にて。 |
本八合でひと休み。休んでいると屋根の上から雪がザザザっと落ちてきた。びっくりして屋根から少し離れたところで休む。しかしここは風が吹き、少し寒かった。遠く、相模湾が黄金色に輝いていた。寒くなったので目出帽を出し、アクリルのシャツを1枚着る。雪面は一部カチカチに凍っていてキックステップを怠るとカリカリと滑る。この高さでも雨が降って雪が解けたのだろうか。
歩き始めてしばらくでAさんが目出帽などを出す。じっくり歩いて九合目。高山病でつらいのか夏の富士山みたいにぐったり寝っ転がって休んでいる人がいた。今日は日差しが暖かいので風さえ避けられれば状況はよい。
12/5 九合目から山頂を仰ぎみる。もう少し。 |
12/5 富士山頂の鳥居をくぐる。 |
快調に歩いて吉田口の山頂に着いた。見慣れた「富士山頂上浅間大社奥宮」の石柱が建っている。その脇には7人ほどの学生パーティーが休んでいた。話を聞いてみると慶応のワンゲルだそうだ。佐藤小屋に張ってあったジャンボエスパース3張りも彼らのものだそうだ。私の大学のワンゲルは風前のともし火なので活動が活発なのはうらやましい。山頂でしばらく休む。時刻は10時。河口湖口五合目から約4時間であった。
12/5 富士山頂にて私(左)とAさん(右)。 |
12/5 下りにかかる。九合目でYさん、Hさん、Kさん、Iさんに会った。 |
馬返しに下る。下り始めると、九合目付近で今日も泊まる班のYさん、Hさん、Kさん、Iさんとすれ違った。Iさんはおととし途中で引き返したが、ここまでくれば登れそうだ。後日、全員登れたと聞いた。
本八合から下る。気がつくと吉田口下山道を下っていた。冬季は人が少ないので混雑もない。距離の短い登山道を往復するのが一般的である。実際、下山道には足跡がなかった。Kさんは順調に下っていき、そのうち見えなくなってしまった。私とAさんも追いかけるが、なかなか追いつかず鎌岩の下りで道を間違え決定的に差がついてしまった。
12/5 白く輝く雪面を下る。本八合にて。 |
12/5 雪崩跡を渡り、吉田口下山道から登山道へ。 |
その下、Kさんは七合目上部への道を見つけ、登山道と下山道の間にある雪崩跡を渡っていったが、私たちは気づかず下っていた。雪崩跡を渡れるところがあるとは考えていなかったので、このまま下山道を下るつもりだった。途中で左手からKさんが大きな声で私を呼んでいるのに気づいた。Kさんは七合目の小屋群の途中にいた。見ると雪崩跡に渡れそうなところがあったので、そこを慎重に渡った。
登山道へ渡ってから道沿いに下る。急な斜面が続き、靴ずれができてしまったが、六合目まで下った。六合目付近では雪上訓練を行っている若者たちがたくさんいた。六合目まで下ると暑い。着ているものを脱ぎ、アイゼンをはずし、靴ずれの処置を行う。その間にKさんもAさんもデポを回収し、最パッキングが終わっていたので先に下ってもらう。
準備を済ませ私も下る。五合目佐藤小屋は気温8℃を指していた。通りで暑いわけだ。あとはバタバタと早足で下り、馬返しに戻った。馬返しは車で溢れていて、駐車場の下にも何台か止まっていた。ずいぶんひとが多い。
帰りは葭之池温泉に寄り、うどんを食べて帰京した。
1泊2日だったが、山頂まで登ることができ、充実した。今年は天気がよく、風も弱く、あたたかくてよかった。例年より1週遅かったからか人が多かったのは驚いた。
(2010年12月11日記す)