山ノ中ニ有リ山行記録一覧2011年山行一覧>北アルプス・槍ヶ岳東鎌尾根[1/4]

2011年冬 - 北アルプス・槍ヶ岳東鎌尾根[1/4]


2011年12月28日(水)〜2012年1月2日(月)
場所
長野県安曇野市(旧南安曇郡穂高町)、松本市(旧南安曇郡安曇村)、大町市、岐阜県飛騨市(旧吉城郡上宝村)
ルート
12月27日
新宿=(高速バス・車中泊)
12月28日
安曇野スイス村=宮城ゲート…中房温泉…合戦小屋(泊)
12月29日
合戦小屋…燕山荘…大下りの頭下コル(泊)
12月30日
大下りの頭下コル…大天井岳…貧乏沢コル先2610m(泊)
12月31日
貧乏沢コル先2610m…赤岩岳…西岳…西岳ヒュッテ…水俣乗越…ヒュッテ大槍(泊)
1月1日
ヒュッテ大槍…槍ヶ岳山荘…槍ヶ岳…千丈沢乗越…中崎尾根…奥丸山北コル…槍平小屋(泊)
1月2日
槍平小屋…滝谷避難小屋…新穂高温泉=平湯温泉=松本=立川(解散)
参加者
中山、K、H、S
参考文献

はじめに

 槍ヶ岳は北アルプス南部にある標高3180mの山。東鎌尾根は槍ヶ岳から東に派生する尾根であり、燕岳〜大天井岳〜西岳の稜線と水俣乗越で接続している。

 「日本雪山登山ルート集」には、積雪期に槍ヶ岳へ至るルートとして中崎尾根、大喰岳西尾根、南岳西尾根、横尾尾根の解説が載っている。東鎌尾根については、燕岳、常念岳の項にサブコースとして触れられているだけである。

 大天井岳から槍ヶ岳へは、赤岩岳から先がやせた岩稜できわめて難しく、上級者に限られる。

中村成勝編「日本雪山登山ルート集」(山と渓谷社,1997)P. 111

 なお、「日本登山体系 槍ヶ岳・穂高岳」には東鎌尾根の記述は見つけられなかった。

 昨年の年末、この燕岳〜槍ヶ岳の縦走を計画したが、天候が悪く、大天井岳で引き返した(2010年冬 - 北アルプス・大天井岳[1/4])。今年はそのリベンジをかけて同じルートを行くことに決めた。なお、偵察とデポを兼ねた山行を11月に行った(2011年秋 - 北アルプス・槍ヶ岳東鎌尾根[1/4])。

0日目

2011年12月27日(火)

新宿=(高速バス・車中泊)

 昨年は快速ムーンライト信州で新宿を発ったのだが、今年はタイミングが合わず、白馬行きの夜行高速バスで新宿を出発する。Hさんと私は新宿バスターミナルから、KさんとSさんは日野バス停から乗車した。Hさんが買ってきたビールは売れゆきが悪く、残ってしまった。談合坂サービスエリアの休憩の後に就寝。

1日目

2011年12月28日(水) 晴れ

安曇野スイス村=宮城ゲート…中房温泉…合戦小屋(泊)

コースタイム
宮城ゲート5:40
5:50
発電所6:45
6:58
観音峠7:30
7:46
中房橋8:42
8:55
中房温泉9:41
10:12
第一ベンチ10:50
1750m付近11:05
11:19
第二ベンチ11:34
第三ベンチ下12:05
12:20
第三ベンチ12:25
2225m付近12:56
13:11
富士見ベンチ13:17
合戦小屋13:51
18:30就寝

 まだ暗い安曇野スイス村で4:30に下車。他に下車した客はいなかった。寒いのでバス停脇の待合所に逃げ込み、靴を履いたりスパッツをつけたりする。ちょうど他のバスのトイレ休憩場所にもあたっており、トイレだけは開いていた。予約した南安タクシーに乗り、宮城ゲートへ向かった。

 30分ほどで宮城ゲートに到着した。料金は4,800円。まだ暗い。ゲートを横から通り、登山届の箱に計画書を提出する。ヘッドランプを点けて歩くこと約1時間で発電所の横を通り中房川を渡る。観音峠には名前と異なりお地蔵さんが祭ってあった。ちょうど温泉の配水管のマンホールがあり、蓋が暖かかったのでKさんとHさんが寝転がって背中を温めていた。睡眠不足で暖かくなると眠くなる。もう一つ発電所の脇を通り中房橋の脇で一休み。ちょうど若い4人組に追い抜かれる。聞くと名古屋のチーム猫屋敷で同じ表銀座縦走コースを4泊5日で抜けるとのことであった。チーム猫屋敷はこの前、甲斐駒黒戸尾根でも見かけた。行く山が重なるようだ。

観音峠
12/28 観音峠で休む。
中房温泉
12/28  中房温泉から合戦尾根に取り付く。

 9:41に中房温泉に到着。天気は晴れで下界にいるのがもったいない。立ち寄り湯の温度計は-5℃を指していたが、気温はプラスに感じた。下山する人もパラパラといる。2泊3日の行程で燕岳往復の人が多いようだ。そんな中、顔にしもやけをつくったパーティーが下山してきた。Hさんの話だと蝶ヶ岳から縦走してきたとか。

合戦尾根
12/28 富士見ベンチを過ぎて明るい尾根を歩く。
合戦小屋
12/28 合戦小屋に到着。

 合戦尾根に取り付く。積雪は30cmほどで笹が見える。トレースはしっかりついているので迷うことはない。アイゼンは付けずに登る。天気は快晴で歩いていると暑い。まるで5月の連休のようである。途中、スパッツのゴムベルトがフックごと布地からちぎれて機能しなくなってしまった。替えは持っていないのでそのまま履き続けた。中房温泉から3時間40分で合戦小屋に到着。積雪は1mから1.5mほどだろうか。去年は吹雪だったので、風を避けるために小屋の少し下に幕営したが、今日は天気もよいので小屋の横に張った。合戦小屋にはほかに3張テントがあった。

2日目

2011年12月29日(木) 雪

合戦小屋…燕山荘…大下りの頭下コル(泊)

コースタイム
合戦小屋3:10起床
6:40
燕山荘8:14
9:10
蛙岩9:54
大下りの頭10:20
大下りの頭下10:30
18:10就寝

 夜は風が吹き、テント内には霜が下りていた。アイゼンを履き合戦沢の頭へ向かう。すでにチーム猫屋敷は出発しており、その後彼らに追いつくことはなかった。天気はくもりで後ろからぼんやりと霞んだ太陽が上がってきた。燕山荘から下ってくる登山客が多く、すれ違う。トレースは明瞭でところどころ赤布を付けた竹竿を立ててある。しかし登るにつれ吹雪が強まり、横殴りの吹雪を受けながら歩いた。最後に燕山荘を西側からぐるりと巻いて燕山荘の玄関内に入り、休ませてもらった。

合戦尾根
12/29 風の強い中、合戦尾根を登る。
燕山荘
12/29 晴れ間を縫って燕山荘を出発。

 燕山荘の温度計は-12.7℃を指していた。小屋内のテレビの天気予報は今日は低気圧が日本海を通過中であることを告げていた。しばらく待っていると一時的に晴れたのでこの機に進めるところまで進む。ハーネスを装備し、小屋を出る。西風を受けながら進む。プラスチックブーツとアイゼンの相性が悪いのか何度もアイゼンが外れた。この日は4回はずれた。危険な場所ではないのでそのたびに付け直すが、こう外れやすいとクライミング中は危ない。外れ方も岩にあたった衝撃などではなく、何ということもない雪面でポロッと外れるので原因がよく分からない。外れる直前に前爪側のアイゼンの針金がプラスチックブーツから外れかかっていたようすを見たので、この箇所の形があっていないのかもしれない。

燕山荘
12/29 燕山荘を出て大天井岳方面へ向かう。
蛙岩
12/29 蛙岩に近づく。

 蛙岩はトレースが高瀬ダム側を巻いていたようだが、安曇平側の方が容易なので少しラッセルして巻いた。去年は蛙岩の中を通ったが、ザックを別にして受け渡さないといけないので、巻けるなら巻いたほうが楽だ。

蛙岩
12/29 蛙岩を安曇平側から巻く。
大下り
12/29 大下りの頭から下る。このあと雪風が強くなり鞍部で幕営した。

 大下りの頭まで来るとガスが出てきた。正面の山もガスに包まれ見えなくなってしまった。大下りの頭から下りきったところでKさんと相談する。とりあえずテントひと張り分のスペースを整地し、好天を待つが、天候は悪くなるばかりであった。あきらめて幕営する。稜線にいるが、低気圧が通過中という割にはさほど風は強くない。この日は4時間と短い行動時間になったので時間があった。Kさんのガソリンストーブの調子が悪いのでようすを見ていた。この日は早めに就寝した。


山ノ中ニ有リ山行記録一覧2011年山行一覧>北アルプス・槍ヶ岳東鎌尾根[1/4]

inserted by FC2 system