山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2011年山行一覧>北アルプス・槍ヶ岳東鎌尾根[4/4]
5日目 |
2012年1月1日(日) 雪 |
ヒュッテ大槍…槍ヶ岳山荘…槍ヶ岳…千丈沢乗越…中崎尾根…奥丸山北コル…槍平小屋(泊)
ヒュッテ大槍 | 3:08起床 |
6:30 | |
槍岳山荘冬季小屋 | 7:40 |
8:10 | |
槍ヶ岳 | 8:50 |
槍岳山荘冬季小屋 | 9:35 |
10:00 | |
千丈沢乗越 | 10:35 |
中崎尾根2400m付近 | 12:36 |
12:50 | |
奥丸山分岐 | 13:38 |
2195m付近 | 14:06 |
14:16 | |
槍平小屋 | 14:40 |
19:40就寝 |
今日は外界でくもりの予報。天気が崩れる前に早く穂先に登り、下りたい。
1/1 東鎌尾根の岩場でロープを出す。 |
1/1 薄い朝焼けを背景に東鎌尾根を登る。 |
ヒュッテ大槍を出て稜線沿いに歩く。1箇所岩場の上を歩く際、ザイルを出す。そこから私が先行する。グエッグエッとライチョウの鳴き声が聞こえてきたが、暗くて姿は見えない。とすると天井沢からライチョウが飛来して槍沢側に着地した。風にながされて滑空しているライチョウを見たことはあるが、自力飛行しているライチョウを見るのは初めてだ。着地点を見定めてシャッターを切るが暗くてあまり写らなかった。
1/1 肩の小屋へのトラバース。 |
1/1 大槍への登り。 |
登るにつれガスの中に入り、視界が定まらない。ヒュッテ大槍からはほとんど夏道と同じで稜線ではなく、適宜巻いていく。やがて大槍のふもとに至り、トラバースして槍岳山荘に至る。冬季小屋に入り、ピストンの準備をする。テルモス、防寒着などを持つ。肩の小屋は人が多く、単独行の人、1組の夫婦、ほかに穂先から下ってきたパーティーもいた。遅れ気味のHさんは小屋で待っているとのことで、Kさん、Sさん、中山の3人で槍の穂先をめざす。
1/1 槍ヶ岳山頂にて記念撮影。 |
1/1 大槍から下る。 |
ザックは私だけが背負い、3人でザイルを結びコンテで登る。肩から見る穂先はガスに覆われまったく見えない。取り付きからすぐのところがルートが分からず迷う。夏の登りルートに出て私がザイルを引っ張る。やがて雪のついた鉄梯子が出てきたので、これを登り、槍ヶ岳山頂に達した。下から吹き上げる風が強く、ビレイする手がかじかむ。3人頂上に達した後、記念撮影だけ行い、すぐに下る。下る途中で6人ほどのパーティーと行き違った。下って冬季小屋に入る。
1/1 ガスの濃い西鎌尾根を下る。 |
1/1 千丈沢乗越から中崎尾根へ下る。 |
冬季小屋でひと休みし、槍平へ下ることにする。5年前の北鎌尾根のときは晴天で、トレースのある飛騨沢を下ったのが、いまは吹雪でトレースがあるかどうかも分からない。冬季の一般ルートである中崎尾根を下ることにする。小屋を出て千丈沢乗越へ下る。ガスが濃く、視界が10mほどしかない。千丈沢乗越から下りだすが、先行する別パーティーが道迷いで引き返してきた。千丈沢乗越近くまで登り返し、トラバースして中崎尾根に出た。
1/1 ガスの濃い中崎尾根をロープでつないで下る。 |
1/1 中崎尾根2300m付近のテント村。 |
中崎尾根の下りでもザイルを出す。飛騨沢寄りのハイマツの斜面を下る。ところどころハイマツに支点を取りながら下った。ある程度下りきると別のトレースと合流した。そこからの下りはガスがいっそう濃くなり尾根も広くなってトレースも判然としない。くもるメガネをふきながらトレースを探す。バラバラにならないようザイルは外さずに下る。それでもしばらく下るとガスが薄くなり、ダケカンバの樹林帯に入った。
あとは下るだけである。ときどき雪を踏みぬいてひざ上まで落ちるが、トレースまで這い上がる。2400m付近の幕営跡で一休みする。さらに2300m付近にはテント村ができており、その横を抜けて奥丸山分岐に至る。奥丸山分岐からは夏道の少し上をトラバースし、夏道と同じ尾根を槍平へ下る。急な尾根道でところどころバックステップも使いながら下った。
1/1 奥丸山分岐から槍平小屋への急な下り。 |
1/1 槍平小屋に泊まる。 |
最後に槍平に飛び出す。ここまで来れば安全圏である。Hさんも疲れているのでここで泊まることにする。槍平小屋の冬季小屋にはすでに5人パーティーと1人テントがあり、片隅を使わせてもらう。あとで3人パーティーもやってきた。この日Sさんの指が凍傷で水泡ができていることが分かった。山で最後の夜となり、ゆっくり酒を飲み、シュラフを乾かして寝た。
6日目 |
2012年1月2日(月) 雪 |
槍平小屋…滝谷避難小屋…新穂高温泉=平湯温泉=松本=立川(解散)
槍平小屋 | 4:02起床 |
6:58 | |
滝谷避難小屋 | 7:35 |
7:45 | |
チビ谷出合先 | 8:11 |
8:30 | |
白出沢出合 | 8:51 |
柳谷出合 | 9:11 |
9:40 | |
新穂高温泉バスターミナル | 10:41 |
11:55 |
この日は新穂高温泉へ下るだけ。雪のトレースは偵察時の登山道よりも歩きやすい。偵察よりも1時間早く新穂高温泉に下ることができた。スキーを履いている人や橇のトレースもあり、多彩な人が歩いているようだ。雪がしんしんと降り、休んでいるとどんどん雪が積もっていた。
新穂高温泉バスターミナルに着き、中崎山荘の風呂に入った。バスの折り返し場所がターミナルではなく、ロープウェイ乗り場に変更されており、危うく乗り過ごすところであった。あとは平湯温泉で松本行きのバスに乗り換え、松本から特急あずさで帰京した。
去年は天候が悪く、大天井岳で敗退した計画だったが、今年は1日目全日、3日目午後、4日目全日が晴れ、槍ヶ岳まで到達することができた。天気に加えて、メンバーの技術、偵察時のデポがうまく機能したと思う。
また、今年は先行するチーム猫屋敷のトレースを使用することができた。ありがとうございました。
使用した交通機関は以下の通り。
今回の各小屋の状況は以下の通り。
小屋名 | 営業小屋 | 冬季小屋 |
---|---|---|
合戦小屋 | 閉鎖 | なし |
燕山荘 | 営業 | 閉鎖 |
大天荘 | 閉鎖 | 開放 |
大天井ヒュッテ | 閉鎖 | 開放 |
西岳ヒュッテ | 閉鎖 | ー |
ヒュッテ大槍 | 閉鎖 | なし |
槍岳山荘 | 閉鎖 | 開放 |
槍平小屋 | 閉鎖 | 開放 |
ザイルを使用した箇所は全部で7箇所。
大天井岳の登り | コンテ、150mほど。岩場、風。 |
---|---|
大天井岳の下り | コンテ、200mほど。急な岩場。 |
赤岩岳山頂付近 | コンテ、100mほど。急な雪面のトラバース、急な岩場の下り。 |
西岳の下り | コンテ、300mほど。雪のルンゼの下り。 |
東鎌尾根ヒュッテ大槍上 | スタカット、30mほど。両側が切れ落ちた岩場。 |
槍ヶ岳穂先 | コンテ、200mほど。岩場、風。 |
中崎尾根上部 | コンテ、600mほど。急なハイマツの斜面、濃いガスの緩斜面。 |