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2011年秋 - 北アルプス・槍ヶ岳東鎌尾根[1/2]


2011年11月3日(木)〜11月5日(土)
場所
長野県安曇野市(旧南安曇郡穂高町)、松本市(旧南安曇郡安曇村)、大町市、岐阜県飛騨市(旧吉城郡上宝村)
ルート
11月2日
新宿=(高速バス)=松本駅(泊)
11月3日
松本=穂高=中房温泉…燕山荘…大天井岳(泊)
11月4日
大天井岳…西岳…東鎌尾根…槍ヶ岳(泊)
11月5日
槍ヶ岳…中崎尾根…奥丸山…槍平小屋…新穂高温泉=松本
参加者
中山、K、I、H
参考文献

はじめに

 槍ヶ岳は日本第四の高峰であり、形が槍の穂先に似ているためその名がある。東鎌尾根は槍ヶ岳から東に派生する尾根であり、燕岳〜大天井岳〜西岳の稜線と水俣乗越で接続している。

 昨年の年末、この燕岳〜槍ヶ岳の縦走を計画したが、天候が悪く、大天井岳で引き返した。今年はそのリベンジをかけて同じルートを行くことに決めた。今回、偵察とデポを兼ねて燕岳〜槍ヶ岳の縦走を行った。

 過去に私がこの周辺をたどった山行として以下がある。

2006年秋 - 北アルプス・槍ヶ岳東鎌尾根[1/3]
5年前の偵察。ルートは上高地〜槍沢〜槍ヶ岳〜東鎌尾根〜大天井岳〜燕岳〜中房温泉
2010年秋 - 北アルプス・大天井岳[1/2]
昨年の偵察。ルートは中房温泉〜燕山荘〜大天井岳〜牛首展望台の往復。積雪が多く、途中で引き返し。
2010年冬 - 北アルプス・大天井岳[1/2]
昨年の年末山行。ルートは中房温泉〜燕山荘〜大天井岳の往復。天候が悪く、途中で引き返し。

0日目

2011年11月2日(水)

新宿=(高速バス)=松本駅(泊)

 新宿21:20発の高速バスで松本へ向かう。KさんとIさんは途中日野バス停で乗車。Kさんは風邪をひいているようで酒に口をつけなかった。なし崩し的にKさんとIさんの分のビールを飲み、双葉SA付近から寝た。

 0:20に松本に到着する。ポリタンを忘れたので駅前のコンビニでペットボトルの烏龍茶を買う。改札前で就寝。あとで話しを聞くと日付を過ぎても自由通路には人が歩いており、エスカレーターの音がうるさかったらしいが、酒のおかげか私は熟睡していた。

1日目

2011年11月3日(木) くもり

松本=穂高=中房温泉…燕山荘…大天井岳(泊)

コースタイム
中房温泉7:22
7:46
第一ベンチ8:24
1695m付近8:37
8:51
第二ベンチ9:06
第三ベンチ9:41
9:55
富士見ベンチ10:28
合戦小屋10:58
11:26
燕山荘12:26
13:00
蛙岩13:35
大下りの頭13:55
大下りの頭下14:05
14:15
切通岩手前15:10
15:24
2825m付近道迷い16:25
16:45
大天井岳17:02
17:07
大天荘冬季小屋17:17
20:10就寝

 朝一番の大糸線に乗り、穂高駅へ。バスに乗り、中房温泉に着く。バスには10人ほど乗客が乗っており、駐車場にはほかにもたくさん車が停まっていた。天気はくもりで、雲が低い。暑くも寒くもなく11月にしては暖かい。トイレを済ませて出発する。デポをはじめとして登攀具、アイゼンなどザックが重い。

 合戦尾根の急登。ジグザグに登り、第一ベンチを通過。その上でひと休み。休んでいるとけっこう人が登ってくる。第二ベンチを過ぎ、第三ベンチで休む。昨年の偵察では11月20日に合戦尾根を登ったが、そのときは第二ベンチから雪が積もっていた。今年は11月3日と早いのか、単に雪が少ないのか雪はない。意外と下ってくる人もいた。上の方に風が吹いている音がした。

第一ベンチ
11/3 合戦尾根の第一ベンチを通過。
合戦小屋
11/3 合戦小屋。

 休んでいる人が多い富士見ベンチを過ぎる。少しがんばって合戦小屋に着いた。Hさんが遅れ気味のため、ザイルを預かる。休んでいると寒い。燕山荘に向かうと下ってくる人は上下カッパを着ている。雨が降っているのか聞くと風が冷たいとのことであった。雪がないため、燕山荘へは夏道をたどる。

合戦沢ノ頭
11/3 合戦沢ノ頭を通過する。燕山荘はガスに隠れている。
燕山荘
11/3 燕山荘へ最後の登り。

 着いた燕山荘はガスに覆われていた。まだ時間があるので、大天井岳まで行くことにする。大天井岳には水がないので燕山荘で水を買う。1リットル200円であった。念のため、500mlペットボトルの天然水200円を4本購入する。

燕山荘
11/3 水を買って燕山荘を出発する。
蛙岩
11/3 蛙岩を過ぎて表銀座縦走路をたどる。

 大天井岳に向かう。稜線に雪はなく、行く先の大天井岳は雲の中で見えない。蛙岩を過ぎ、大下りの頭を過ぎて下りついたところで一休み。蛙岩の手前付近と、この鞍部付近の東側は雪が積もれば幕が張れそうだ。

大下り
11/3 大下りの頭からの下り。大天井岳は雲に隠れている。
ロープ
11/3 為右衛門吊岩を過ぎて振り返ると、夏道がロープで塞がれていた。

 為右衛門吊岩への登り返しでは夏道は安曇平側を巻くが、その道はロープが張ってあり通れなかった。特に説明書きもなかったため、それが夏道であることに気づかず、冬道の稜線伝いの道を行く。冬道は歩かれてない登山道であり、不安になりながら歩く。為右衛門吊岩を通過すると夏道と合流した。

 切通岩の手前で休む。木がなく、西風が強くあたり寒い。切通岩を通過し、大天井岳へ登る。

ザレ
11/3 ザレ場の稜線を歩く。西風が寒い。
切通岩
11/3 切通岩を通過して大天井岳へ登る。

 大天荘に出るため、夏道を辿りたかったのだが、これまた夏道が石で塞がれており、気がつくと冬道の稜線を登っていた。ガスの中に入り、中間の白い杭を過ぎて遅れ気味のHさんを少し待つ。羽が半分くらい白くなったライチョウが5羽歩いていた。何とかトラバース道に出られないか道を探すが、山頂直下のガレ場に出て引き返す。

大天井岳
11/3 気がつくと大天井岳の冬季ルートに迷い込んでいた。
ライチョウ
11/3 ライチョウが何かをついばんでいた。

 小屋を閉めるから夏道にロープや石積みを作って冬道に誘導するという考えは分からないこともない。夏道のトラバース道は雪が積もると雪崩のおそれがあるからだろう。しかし、雪が降る前までは夏道を通行しても雪崩のおそれはあるまい。そして雪が積もってしまえば夏道は見えず、夏道のトラバース道に迷い込むおそれもない。さらに、登山ルートの選択は登山者の自己責任に任されており、雪山に登る人が自ら雪崩のおそれのあるルートを選択することはない。結果的に夏道を封鎖することはあまり意味がないと思う。今回のように強制的に冬道を歩かされるアルバイトの問題が大きい。夏道を閉鎖せず、登山者が選択できるようにした方が、登山者にとってありがたい。

大天井岳
11/3 17時すぎに大天井岳頂上に到着。
大天荘
11/3 大天荘の外観。左端が冬季小屋。

 結局冬道を山頂まで登った。山頂にも雪はなかった。薄暗くなった大天井岳山頂を過ぎ、大天荘に下る。営業は終了しており、小屋をぐるりと回って冬季小屋にたどり着く。外にはテントが1張張ってあった。小屋には中房温泉から往復の単独行さんがいた。上段をお借りしてテントを張る。夜は麻婆春雨を食べる。みんな疲れており、20:10に就寝した。外はガスが切れてお月さまが見えた。


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