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2016年夏 - 上信越・清津川本谷[3/3]


2016年8月5日(金)〜8月7日(日)
場所
新潟県南魚沼郡湯沢町/上信越
ルート
8月5日
越後湯沢駅=元橋バス停…赤湯温泉…セバト沢出合上1120m(泊)
8月6日
セバト沢出合上1120m…西ノ沢出合…清津川本谷右俣…白砂山…堂岩山…堂岩山水場(泊)
8月7日
堂岩山水場…野反湖=長野原草津口駅
参加者
L. 中山、H
参考文献
柏瀬祐之、岩崎元郎、小泉弘編「日本登山体系2 南会津・越後の山」(白水社,1981)p.258

2日目

2016年8月6日(土) 晴れ

セバト沢出合上1120m…西ノ沢出合…清津川本谷右俣…白砂山…堂岩山…堂岩山水場(泊)

コースタイム
セバト沢出合上1120m付近2:30起床
4:08
西ノ沢出合4:48
5:02
カンバノ沢出合5:17
5:21
涸沢出合5:27
赤土居沢出合6:12
6:26
東ノ沢出合7:00
沖ノ西沢7:09
7:17
左俣出合8:02
中俣・右俣二俣8:12
8:23
右俣1800m二俣9:21
9:38
右俣1900m二俣10:05
右俣1910m水涸れ10:10
10:22
2035mガレ10:55
11:08
白砂山・佐武流山稜線2090m11:21
11:32
三県境11:40
白砂山11:58
12:44
八間山分岐13:44
13:54
堂岩山13:58
堂岩山水場14:13
18:55就寝

 上信越・清津川本谷[2/3]から続く。

金属光沢
8/6 右俣に入ると赤い岩の中に金属光沢のする何かが埋まっていた。
清津川本谷右俣
8/6 清津川本谷右俣はいくつもの小滝をかける。

 中俣・右俣二俣からは白砂山に最も近い右俣を遡る。水量1:1の二俣があれば右へ右へ辿る。東側から日差しも差してきて暑い。赤茶けた岩に金属光沢のする小さな鉱物が埋まっていて不思議に思う。銀色だから銀なのだろうか。でもこれだけ赤い鉄分の多い沢で錆びていないというのも不思議だ。石英に光をあてるとこんな風に光るのだろうか。1730m付近に左岸から小沢を合わせるといよいよ傾斜が急になる。滝も5mから8m程度の高さの滝が出てくる。しかし、これが意外とスタンスもあり、倒木もありと難しくない。少し困っても水流に手がかりを探せば解決する。小さく右に曲がるあたりで1790m付近二俣。右俣に少し苦労しそうな7mほどの滝が控えており、ここで休む。

清津川本谷右俣
8/6 ボロボロの滝は都合よく真ん中にかかった倒木で登れた。
1790m付近二俣
8/6 右俣1790m付近二俣で一休み。さらに右俣に入る。

 7mほどの滝は取り付いてみると難しくない。続く、倒木が2本立てかけてある滝が今回の核心部であった。倒木の左手から足を倒木に突っ張って登り、最後はガバホールドをつかんで這い上がった。Hさんが苦戦し、シュリンゲを出してザックだけ引き上げる。空身のHさんは右往左往したが、結局私と同じルートを登ってきた。続く10mほどの滝は左手のダイモンジソウの咲くリッジから登る。ドンづまって1890m付近の二俣に至る。左俣は上部に土壁が見える。地形図の1940m付近に描かれたがけだろうか。先ほどの滝で苦労したので短いが休む。

清津川本谷右俣
8/6 Hさんが苦労した倒木の引っかかった滝。
清津川本谷右俣
8/6 この滝も左手のダイモンジソウの咲くリッジから簡単に登れる。

 右俣に進む。水涸れになったら水を汲もうと思ったらすぐ水が涸れるため、少し下って水を汲む。ここが最後の水場であり、暑いので頭から水をかぶったりして過ごす。水が涸れても笹やぶ漕ぎになる。傾斜が急でつらい。笹をかき分けるとほこりっぽくてむせる。虫も多い。土のガレに出て急だが一休みする。日が出ているが、南側から雲がやってきてかげるのでさほど暑くなかった。

1890m付近の二俣
8/6 1890m付近の二俣。左俣に土壁が見えるため、右俣に進む。
水涸れ
8/6 1890m付近の二俣から少しで水涸れ。谷地形を探してヤブ漕ぎ。

 笹やぶ漕ぎをしながら、途中また2回土のガレに出る。Hさんは人が入っているのかしらね、踏み跡みたい、と言っていたが、単なる雨裂であろう。最後は一段大きく登るようにして笹やぶを引っ張って稜線に出る。私も2回ほど落っこちたが、Hさんはだいぶ苦労して乗り上げていた。振り返れば上ノ間山から忠次郎山、上ノ倉山に至る上越国境稜線が眺められる。私たちが詰め上げた佐武流山から白砂山に至る信越国境稜線はうっすらと踏み跡があり、ここまでの詰めに比べればルートファインディングの手間が省けだいぶ楽だ。背丈を越える笹やぶながらさほど苦労しなかった。ただし、Hさんのペースは上がらず、ところどころで後続を待った。

2035m雨裂
8/6 2035m雨裂でヤブ漕ぎを一休み。
信越国境稜線
8/6 白砂山と佐武流山を結ぶ信越国境稜線に出た。後ろは上ノ倉山と大黒山。

 登りきって三県境。ピークなどではなく、白砂山ー上ノ間山間のなだらかな尾根の一部である。前回来たときはガスのため、佐武流山への道は全くわからなかった。山にあってこれほど特徴のない三県境もないのでHさんに写真を撮ってもらう。トンボがたくさん飛んでいた。

 白砂山へは250mほどの短い距離だが、笹やぶに覆われている。私には踏み跡があるので楽だが、Hさんには純粋な藪漕ぎらしく時間がかかっていた。

三県境
8/6 群馬・長野・新潟の三県境。来るのは2度目。あまり来る機会はないと思い記念写真を撮った。
上信国境稜線
8/6 三県境から上信国境稜線の踏み跡をたどる。後ろ中央は上ノ間山。

 白砂山山頂には12時に到着する。今からなら走って下れば15時台のバスに間に合うなと思ったが、Hさんがヘロヘロで途中で泊まることにする。日本登山体系には下りに白砂川猟師ノ沢を提案している。白砂山山頂から南側に目をやれば猟師ノ沢が伸びており、うまく雨裂を選べば沢に下るのは難しくなさそうだ。ただ、白砂川に合流してからが長い。山頂には単独行氏が2人休んでいたが、大休止を取っているうちに2人とも下って行った。

白砂山
8/6 白砂山にて記念撮影。
堂岩山
8/7 八間山・堂岩山の分岐でHさんを待つ。

 沢たびをしまって靴で歩く。3人組が白砂山に向かっているのとすれ違う。日帰りにしてはやや大きい荷物だなと感じた。と、私のザックの底が濡れている。調べると日本酒パックから酒が滲み出ているようだ。登山者がほとんどいないのをいいことにザックの中身を全部出して点検する。ザックに内側に配置したゴミ袋に酒がたまっていた。他の袋類も酒臭い。雑巾で拭けるだけ拭いて再度パッキングする。その間、Hさんには先を進んでもらった。

 途中でHさんを追い抜き、堂岩山の手前、八間山との分岐で待ちながらザックを干す。ついでにパンツもさらして乾かす。Hさんが追いついて堂岩山に登る。堂岩山山頂は平たく、ぬかるんでいた。展望もなく休むには適さない。先を進む。

 堂岩山から15分下って北沢の水場。ここで水が手に入るので泊まることにする。休んでいると単独行が来た。聞くと佐武流山へ向かうとか。白砂山から佐武流山へ向かう稜線へは曲がる場所がわかりにくいことを伝える。一方、単独行氏から白砂山山頂付近で会った3人組も佐武流山へ向かうことを聞く。こんな暑い8月に白砂山から佐武流山へ縦走する人が2組もいることに驚いた。そのあと来た別の単独行氏は白砂山に登ったあと、八間山へ向かうそうだ。白砂山に向かう人はもっぱら日帰りだけだと思っていたのでいろんな人がいるもんだと感心する。

 au携帯電話の電波が入ったので、在京連絡人のKさんに経過報告をメールする。飯を食べるともう眠くなって日暮れとともに寝た。

3日目

2016年8月7日(日) 晴れ

堂岩山水場…野反湖=長野原草津口駅

コースタイム
堂岩山水場4:30起床
6:02
地蔵峠6:55
7:07
野反湖バス停7:43
9:11

 今日は野反湖へ下るだけ。9:11発のバスに間に合えばよいので明るくなる4:30に起きてラーメンを食べた。6時に下り始めると早くから登り始める人たちとすれ違う。早いですね、もう白砂山に登ってきたんですか、と問われると恥ずかしい。野反湖までに20人くらいに会った。

 地蔵峠で休み、野反湖に到着する頃には日も昇って暑くなっていた。バスを待つ間、テントを干したり、靴を洗ったりして過ごす。着替えのパンツは日本酒がしっとりとしみ込んでいて気持ち悪い。9時頃にバスが到着し、乗車した。長野原草津口駅まで1時間20分、1,500円の道のりだ。他に客は女性客が2人同じく野反湖から長野原草津口駅まで乗っていた。

 駅前の軽食屋で蕎麦を食べ、ビールを飲む。吾妻線でもビールを飲み、高崎で解散した。温泉に入ろうと小野上温泉駅での下車を検討していたが、2時間待ちになるのでやめた。私は八高線に乗って行ったら乗り継ぎが悪く、16時に家に着いた。

おわりに

 1度も雨に降られず人もおらず、穏やかな沢を楽しむことができた。上信越の沢は奥深くて旅という感じで好きだ。沢初めの足慣らしにもよかった。

 涸沢出合まで河原は広いので幕場は困らないが、一方で増水すると危ないので注意を要する。沖ノ西沢出合と左俣出合の間に鉄分を含んだ湧水が流れているため、飲み水には適さない。東ノ沢出合の下流では鉄分は感じられなかった。この鉄分のせいか、魚は皆無である。

 困難な淵や滝はなく、30mザイルを出す機会はなかった。本文中に触れたように1790m付近二俣の上、1箇所の滝で、Hさんのザックをシュリンゲで引っ張り上げただけであった。詰めの笹やぶは魚野川のように寝ていることもなく、地形も複雑ではないので慣れていれば難しくないと思う。

(2016年8月9日記す)


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