山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2015年山行一覧>上信・中津川魚野川[3/3]
3日目 |
2015年9月21日(月・祝) くもりときどき晴れ |
燕ゼン上1360m付近…北ノ沢・南ノ沢二俣…寺子屋峰・赤石山1960m鞍部…寺子屋峰…高天ヶ原サマーリフト上=高天ヶ原バス停=湯田中駅=長野駅
燕ゼン上1360m付近 | 4:41起床 |
6:13 | |
庄九郎沢出合 | 6:24 |
庄九郎滝 | 6:35 |
小平沢出合1450m | 7:06 |
7:16 | |
芝沢出合1600m | 8:31 |
北ノ沢・南ノ沢二俣 | 8:50 |
9:14 | |
中ノ沢出合1730m | 9:54 |
寺子屋沢出合1740m | 9:58 |
魚止め滝? | 10:02 |
1830m二俣 | 10:30 |
10:42 | |
1920m水涸れ | 11:09 |
11:17 | |
寺子屋峰・赤石山1960m鞍部 | 12:15 |
12:47 | |
金山沢の頭 | 13:30 |
13:43 | |
高天ヶ原サマーリフト上 | 14:22 |
高天ヶ原バス停 | 14:36 |
15:46 |
前日の反省を生かし、保温下着を着て寝たのでさほど寒くなかった。今日は稜線まで抜ける予定だ。トイレしやすいようにハーネスはつけずに歩く。谷なので日差しがないが、天気はくもりか晴れのようだ。
9/21 幕営地から歩き始める。 |
9/21 ナメになると庄九郎沢出合。真ん中に岩が置いてある。 |
ナメが出てくると庄九郎沢出合。出合にはナメの真ん中に高さ1m幅2mくらいの岩がでんと置いてある。
9/21 庄九郎滝。右のルンゼから高巻く。 |
9/21 ルンゼから振り返った庄九郎滝。 |
ナメ滝を3つほど登り、庄九郎滝はまだかと思っていると現れた。左から右に流れる滝でなかなか美しい。左岸のルンゼを登る。ルンゼの下部は倒木があったりして荒れているが、登って行くと苔に包まれた岩に水がスダレ状に落ちて美しい。昨日の親子連れのアドバイスに従い、左手のロープを無視してさらにルンゼを登る。あらかた登りきったあたりで左の小尾根に取り付くとナイフリッジになっていて上流側に踏み跡っぽいのが見える。こちらを下るがかなり急であった。小尾根をもう少したどってから下った方が良かったのかもしれない。下りつくとカール状の地形になっているので本流へ戻るべく下るが、崖になっていて下れない。しばらく左岸を巻く。巨岩の連なるゴウトウに入ったようだ。
9/21 庄九郎滝の巻きで小尾根を乗っ越して下るところ。 |
9/21 ゴウトウに出たところ。 |
9/21 大岩の連なるゴウトウを通過する。 |
9/21 小平沢出合で一休みする。 |
岩が大きく、越すのに手こずる。ときどきHさんのザックを引き上げて空身で登ってきてもらった。しばらく登ると標高1450m付近で小平沢出合。1時間歩いたので休む。小平沢出合の少し先で左岸に幕営適地があった。巨岩帯の終わりは判然としないが、小平沢出合から15分くらいで大岩は姿を見なくなる。でも小滝が多い。標高1550m付近にある小滝を左岸から巻いたら土壁でズルズル滑って苦戦した。どうみても釣り人が歩いている通りに見えないので、みんな右岸を登っているのだろうか。10分ほどの巻きにも関わらずずいぶん疲れてしまって沢に戻ったところでズルッとすべって腰まで水に浸かってしまった。標高1560m付近の滝の下でもすべって尻餅をつき、疲れたから滑るのか、滑るから疲れているのかわからなくなってきた。
9/21 小平沢出合の先の左岸に幕営適地があった。 |
9/21 標高1550m付近にある小滝。左岸の土壁を登ったらズルズル滑って苦戦する。 |
9/21 標高1550m付近にある小滝の土壁の高巻き。 |
9/21 芝沢が右手から滝をかけて合流する。芝沢を渡って滝の右を登る。 |
標高1580m付近にまた20cm以下放流の看板があり、左岸に幕営適地があった。右手に芝沢が滝をかけて下ってきているところに高さ5mほどの滝があり、これは右を快適に登れた。25,000分の1地形図には標高1615m付近に滝記号があるが、このあたりはゴルジュでどの滝か分からなかった。ところどころの釜をがんばって巻きながら穏やかな河原になると北ノ沢・南ノ沢二俣。日差しも当たるので休憩する。
9/21 水量は減ってくるが淵の通過でがんばってへつる。 |
9/21 北ノ沢・南ノ沢二俣でひと休み。 |
北ノ沢・南ノ沢二俣には右岸の笹薮の中に幕営適地があった。北ノ沢ではここが最後の幕場だと思う。我々は志賀高原に下りるので北ノ沢を遡る。ところどころ小滝の釜をへつりながら歩く。標高1695mの左岸に枝沢が入ってきた後で右岸が崩れていた。最近崩れたらしくて崩壊面はグズグズの土、倒木をくぐり抜けて通った。右手に寺子屋沢を分けてゴルジュに入る。8mほどの滝を左から登る。これが「ヤマケイアドバンストガイド 沢登り 入門とガイド」でいう魚止め滝だろうか。
9/21 南ノ沢を分けても淵のへつりが続く。 |
9/21 右岸が崩れて沢がふさがっていた。 |
9/21 寺子屋沢出合を過ぎる。 |
9/21 「ヤマケイアドバンストガイド 沢登り 入門とガイド」でいう魚止め滝だろうか。 |
今回は北ノ沢の本流筋をたどるつもりである。25,000分の1地形図の青線をたどり、青線が途切れた後は寺子屋峰・赤石山間1950m最低鞍部2箇所のうち、南側の鞍部を狙う。だいぶ水流が減って1830m付近二俣で休む。これを過ぎると笹薮が邪魔で休むスペースがとれない。北ノ沢・南ノ沢二俣から北ノ沢経由稜線までは「ヤマケイアドバンストガイド 沢登り 入門とガイド」では4時間、「改訂増補 関東周辺の沢」では3時間とかなり時間がかかるようだが、北ノ沢・南ノ沢二俣から1830m付近二俣まで1時間強でついてしまい、自分の現在地確認を疑う。ここから稜線まで1km弱で傾斜も緩やかだし2時間も3時間もかかるだろうか、と。結果的にはそのくらいかかった。現在地が分かっているうちに時計の標高を合わせておく。
9/21 1830m付近二俣で休む。この先はササが沢を覆って休める場所がない。 |
9/21 1920m付近で水汲み。 |
1830m付近二俣の先は足元はナメなのに両岸笹が伸びてきて邪魔である。なかなか水の尽きない沢を歩き、いよいよ1920m付近で流水が途切れる。水を2リットル汲み、詰めに入る。暑いのでカッパを脱ぐ。軍手を出すのを忘れたが、何とかなるだろう。根曲がり竹のヤブに歩き出す。
9/21 根曲がり竹のトンネルを抜ける。 |
9/21 谷の地形が尽きると根曲がり竹の藪漕ぎ。 |
根曲がり竹のトンネルの下に水たまりが飛び飛びにあるので、この谷地形を探して歩く。基本的にはトンネルの下を通る。周りはササの葉っぱがたくさん溜まっていて、水が出ると周りに引っかかるようだ。稜線はそう遠くないのだろうが、こんなに水が出るのかと驚く。いよいよ谷地形が見つからなくなり、正面突破を試みる。根曲がり竹をかき分け踏んづけて歩く。西へ進むがだんだん平坦になり、とうとう下り始めた。コンパスで西を確認するが下りであり、まだ道にはぶつからない。現在地が分からなくなり、不安になるが、このまま西へ進む。西へ1段下る際、根曲がり竹に乗って周囲の様子を見ると右手にルンゼっぽい地形が見えた。下りると沢になっていたのでいったんこの枝沢を下り、二俣で折り返して稜線へ向かった。ササのトンネルをさまよいながらまた笹薮を漕ぐと今度は稜線の道に転がり出た。
9/21 寺子屋峰・赤石山間1960m鞍部に出た。最低鞍部より赤石山寄りであった。 |
9/21 金山沢ノ頭に登る。 |
結局どこをさまよっていたのか正確には分からないが、稜線に出たのは最低鞍部ではなく、寺子屋峰・赤石山間1950m最低鞍部2箇所のうち、南側の最低鞍部のさらに南の1960m鞍部であった。ちょくちょく撮っていた写真のGPSも稜線に出たところ以降しか記録がとれていなかったので分からない。
割に稜線が平坦だったのでさまよってりゃそのうち道に出るだろう、急登+濃いヤブだと登れないしな、くらいに考えていたが、平坦だと稜線に向かっているかどうか分からず難しいことが分かった。結局1時間強藪漕ぎをしていたことになる。北ノ沢・南ノ沢二俣から3時間なので標準タイムといったところか。
登山道に出てパンを食べながら帰りのルートを考える。はじめは赤石山経由で大沼に抜けようと考えていたが、エアリアマップで時間を数えて見ると寺子屋峰経由で高天ヶ原に抜けたほうが近いことが分かった。予定を変更して寺子屋峰に向かう。急登をこなして金山沢ノ頭。分岐なのでHさんを待つ。息が上がっているHさんに聞いて一休み。北側からガスが上がってきて少し寒い。この寺子屋峰付近が今回の山行の最高点である。
9/21 高天ヶ原サマーリフトの上の駅。 |
9/21 高天ヶ原サマーリフトで高天ヶ原に下った。 |
岩菅山往復らしい単独行のおじさんを寺子屋峰で抜いて下っていくと寺子屋スキー場に出た。周囲は草が刈り払われて気持ちの良い場所だ。スキー場を下って高天ヶ原スキー場の上端に出た。高天ヶ原サマーリフトが運行していて観光客が歩いている。リフトの社員の人からは歩いて下っても20分くらいですよとアドバイスを受けたが、今日も8時間歩いて疲れているので高天ヶ原サマーリフトに乗り下ることにした。料金は下で支払い550円であった。
高天ヶ原で湯田中行きのバスを待つ間、ホリデープラザ志賀高原というホテルが日帰り入浴をやっていたので温泉に浸かった。他に客がおらず、500円で風呂場を独占できたのでよかった。風呂上がりに外の道路の気温表示を見ると12℃と書いてあった。寒いわけだ。
15:46高天ヶ原発のバスに乗り湯田中駅で乗り換え。B特急に乗り換え、長野駅に出る。高速バスは空席がなかったので新幹線自由席の切符を買って、腹ごしらえしてから乗車し帰京した。
魚野川はガイドブックに称されるように規模の大きく山深い沢であった。下流部は水が冷たく泳ぎも覚悟していたが、腰ぐらいまでしか濡らさずに済んだ。中流部のカギトリゼン付近のナメ滝も青いトロも美しく一見の価値はあると思う。上流部はなかなか尽きない水をたどり、1時間強の藪漕ぎ付きで稜線に出た。今年は規模の大きい沢に入っていないので満足した。
ザイルを出したのは高沢出合、カギトリゼンの2箇所。長さ30mのザイルで十分。泳ぎはなく、ジャンプを多用する。釣り人が入っているので要所要所にトラロープがある。幕場はところどころにあり、整地しなくても得られる場所がある。詰めは根曲がり竹の藪漕ぎを覚悟しなければならないが、極力谷伝いに登っていき、谷が尽きたらコンパス切って西へ向かうしかないと思う。
個人的には焚き火を起こせなくなっているのがショックなのでどこかで練習しようと思う。
(2015年9月23日記す)