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2日目 |
2006年12月27日(水) みぞれのち雪 |
中東沢出合…千天出合…P2取付(泊)
中東沢出合 | 3:50 |
6:17 | |
千天出合下流 左岸巻き | 9:30 |
11:00 | |
千天出合 右岸巻き | 12:00 |
12:45 | |
千丈沢の滝 | 14:26 |
P2取付 | 15:20 |
20:00就寝 |
夜中、何度か雷のような音とともに木に積もった雪がテントに落ちてきた。はじめは正体が分からず驚いていたが、3回ほどで正体が分かり落ち着いた。しかしそのうち腰の辺りが寒い上にテントの布に圧迫されてきた。私は端っこで寝ていたのだが、落ちてきた雪がテントのへりに落ちてきてテントの布の上に落ちてきたようだ。おかげで寒くて狭い思いをした。
朝起きるとテントの外は昨日より30cmほど積もっていた。おそらく昨夜の落雪によるものだろう。
まだ夜も明けきらぬ6時過ぎ、出発。中東沢は昨日に比べて増水しており、簡単には渡れなくなっていた。昨夜の雨のせいであろう。石を投げ込もうにも石は雪の下なので掘り出せない。仕方がないのでアイゼンを履いて底上げし、荷物と人を別々に飛び石で渡した。HさんとKさんは滑って転倒する危険を鑑みて裸足になっていた。
中東沢出合のすぐ先で水俣川が左に曲がる。吉川氏の記録で言うところの第二徒渉ポイントであろう。吉川氏の記録には「倒木があり馬乗りで渡れるが危険、少し先を飛び石で渡る」とあるが倒木もなく、渡れそうな飛び石もなく、靴を脱いでの徒渉となる。
12/27 第二徒渉ポイントを渡るKさん。 |
12/27 水際のへつり。 |
左岸に渡って歩き出すとすぐ露岩にぶつかり進めなくなる。露岩を巻くにしてもだいぶ高くまで登らないと行けなさそうだ。そこで徒渉を考える。そこら辺の石を投げ込んだり、倒木を引きずってきて橋にしようと試みるが、動かせるものは飛び石にも橋にもならず、飛び石かは橋になるものは動かせなかった。仕方がないのでまた靴を脱いで三回目の徒渉。ここは吉川氏の記録では「左岸を高巻いて支沢を下降ぎみに渡る」とあったが、私たちの見立てでは巻きは難しそうだった。
結局、徒渉前の工作も含めて徒渉には1時間くらいかかってしまった。1510m付近で広い河原に滝がある。その滝の上で川は左に曲がるが、右岸は岸壁でへつれない。そこで膝までまくって左岸に徒渉。先ほどの徒渉から15分ほどであり、昨日から数えて4回目になる。天気はみぞれ混じりの雨。ザックは濡れてしまう。ザックに防水スプレーをかけておけばよかったと後悔する。渡ってから行動食を軽く食べる。
12/27 左岸の高巻きに入る。 |
12/27 左岸の高巻き。やや古い残置ロープがある。 |
左岸の道をしばらく歩くと右側に露岩が出ている。ここは上から高巻き。徒渉かとも思えたが、右側の木に赤布があり高巻きと分かった。念のためにロープを出す。残置ロープと桟橋の板が部分的に残っていた。下降は残置ザイルを頼りつつ、クライムダウン。
しばらく河原歩き。ここでやっと水俣川の奥に北鎌尾根の末端が見える。途中、水平距離200mほど高巻く。ここでは危ないところもなく、ザイルも出さなかった。
12/27 北鎌尾根の末端が見える。 |
12/27 通算5回目の渡渉。 |
河原に降り立ったあたりで対岸へ徒渉。かつて橋があったらしく、橋に使われたらしいワイヤーが残っているところである。吉川氏の記録では第三徒渉ポイントとなっているが、我々は通算5回目の徒渉だ。Kさんは靴下など濡れたものを脱いだ上でプラスティックブーツに新品のポリ袋をかぶせ、濡らさないように徒渉を試みたが、あとで聞くとダメだったらしい。
本日4回目の徒渉もこなすと私は体力的にはかなり弱ってきていた。しばらく水俣川右岸を歩き、千天出合の巻きにさしかかる。夏は川沿いに千天出合に出るが、冬は巻いてしまうので千天出合は通過してしまう。巻き始めは赤布が2本の木にそれぞれ結んであって目立つ。Kさんがザイルをつけてリードしている間、立ったままペンギンのように首を体にうずめて休む。雪がちらちら降っていた。
12/27 千天出合の右岸巻き。 |
12/27 天上沢の滝。 |
やがてKさんが安定したところまでたどり着いたので追って登る。この千天出合の巻きは長く、河原にはほとんど降りない。ときどき赤ペンキや赤布を見つけながら巻き続け、左から2本目の沢が下りてくるあたりで対岸に赤布を見つける。上流側からぐるりと巻くと飛び石で渡ることができた。ここが吉川氏の記録の第四徒渉ポイント。
12/27 天上沢対岸の北鎌尾根。P1か。 |
12/27 P2取付に幕営。 |
予定は北鎌尾根P2の肩だが、すでに15:20といい時間なのでここでテントを張ることにする。水俣川左岸の台地でP2取付と呼ばれるところである。ここには岩に桃子さんという人のレリーフが打ち付けてあった。私が生まれた昭和56年の5月に遭難したそうだ。その目の前にテントを張った。
この夜はHさんによく指導されたSさんが485gのハムを出し、みんなから好評を得ていた。寝ている間もテントに雪が落ちてくることもなく快適であった。