山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2002年山行一覧>2002年夏 - 黒部川上ノ廊下[5/8]
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2002年8月8日 |
祖父平…岩苔乗越…水晶岳(往復)…鷲羽岳…三俣山荘(泊)
祖父平 | 3:00起床 |
5:30 | |
2231m | 6:30 |
6:43 | |
三俣山荘− 祖父岳の道 | 7:43 |
7:58 | |
岩苔乗越 | 8:57 |
9:40 | |
水晶岳 | 10:37 |
11:00 | |
岩苔乗越 | 11:55 |
ワリモ北分岐 | 12:07 |
12:25 | |
鷲羽岳 | 13:18 |
13:42 | |
三俣山荘 | 14:30 |
18:30就寝 |
この日はもっとも縦走パーティーと接触する確率の高い日である。私は会うとしたら水晶岳の往復が一番可能性があると考えた。縦走パーティーは予定通りならこの日三俣山荘を出ているはずであり、こっちのほうが遅いはずなので水晶岳から帰ってくる縦走パーティーとこれから水晶岳へ向かう沢パーティーが出会う可能性が高いと思った。永谷君は岩苔乗越までつめないで、三俣山荘から水晶岳往復にしたいと言っていたが、ここまで来たからと源流を最後まで詰めることにした。
テントをたたむと西側に鐘の形をした黒部五郎岳が見えた。頂上付近だけ日があたっていた。昨日来た道を戻り、源流に出る。源流を遡る。河原はなくなり、ごろごろした岩を越えていく。途中、雪渓があり左岸を巻いた。水が冷たい。1時間で三俣蓮華岳から沢が流れる2231mに着いた。真正面から日が差し、まぶしい。永谷君に後光が差しているといったら、永谷君は車に拝めといっていた。なんかご利益あるのと聞くと「家内安全」らしい。
次の一本で祖父岳と三俣山荘を結ぶ登山道との交差点まで。それまでと対して変わらない渓相で、前方におばさんを見つけ登山道に出たことがわかった。ちょうどそこで山岳警備隊のヘリコプターがやってきて少し旋回して岩苔乗越のほうに飛び去っていった。岩苔乗越へは道があるが、どこだかよくわからないので沢沿いに歩いていたら雪渓にぶつかった。薄い雪渓なので登れない。右側から落ちている枝沢を登る。私はここで黒部と別れるのかと思って一人で写真を撮っていた。先に行く2人を追いかけると10mほど登ったところで岩苔乗越のほうから一般登山客が。おお、これが道か。道を発見する。「こんなでっかいザックしょった人見ませんでしたか?」と聞くと見ていないそうである。どうやら2人は枝沢を直進したらしい。先へ行った車と永谷君を追っかけ、つかまえた。ここで水を汲むため一本とる。
雪渓の下で水を汲む。涼しいというか寒い。小川サイズになった黒部川の横を登る。岩苔乗越に近づいて来ると赤い石ころのザレの登りで、ただ大岩に書かれただけの「黒部川源流ココから」という源流標を見つけた。
登山道と交わるところ。 黒部の流れももはや小川。ここから1時間で稜線の岩苔乗越に着く。 |
岩苔乗越。 沢タビを脱ぎ、山靴に履き替える。ここから水晶岳の往復。 |
岩苔乗越で昼飯。長らくお世話になった沢タビを脱ぎ、山靴に履きかえる。吹き抜ける風が寒い。正面に水晶岳が見えた。ここから水晶岳を往復する。東に見えるワリモ北分岐は狭そうに見えたのでザックを岩苔乗越において往復する。しかし、ワリモ北分岐にザックを置けるだけのスペースがあったので荷揚げしておけば良かった。永谷君が結局使わなかったザイルをものすごく捨てたがっていた。
水晶岳の往復。なだらかに下っていき、水晶小屋のある赤岳に登る。岩が赤い。一方、水晶岳は岩が黒いので黒岳とも言うのだろう。水晶小屋から水晶岳へ。これは長かった。しかも水平かと思ったら長い登り下り。途中で永谷君が「ここを水晶山にしようぜ」といったが、水晶"岳"は向こうだといって連れていった。ひとしきりの登りのあと、水晶岳の山頂に着いた。
水晶岳山頂から槍ヶ岳を眺める。 こっち向いてる車とむこう向いてる永谷。 天気が良く、富士山も見えた。 |
水晶岳山頂から黒部ダムを眺める。 中山「あそこから来ちゃったヨ」 |
天気がいいこともあって眺めは最高だった。黒部ダムの堰堤から黒部川のみぞがずっとたどれる。薬師岳や黒部五郎岳の下を巡り、ザックを置いてきた岩苔乗越に出るのだ。南側は槍ヶ岳や南アルプスらしきもの、富士山が見えた。槍ヶ岳は遠く、明日あそこまで行くのかと思うと気がめいった。山頂で同席したおばちゃんがフィルム一本使い切るんじゃないかって勢いでシャッターを押していた。そのくらい景色が良かった。あとで考えると私もあそこでたくさん写真を撮れば良かった。
岩苔乗越まで戻る。縦走パーティーには会えなかった。順調に行っていればいまごろ野口五郎岳を登っているころだろう。一方で「縦走パーティー敗退説」も的を射ているようだった。いろいろ道具忘れてたし、2人だけだとけんかするかもしれんし。岩苔乗越からワリモ北分岐に戻り、あとは鷲羽岳を登り、三俣山荘へ下れば今日の行程も終わりである。
まずはワリモ岳へ登る。これが鷲羽岳かと思って登っていたら違った。ショック。しかもそのあとの鷲羽岳への下りと登りを見るとなおつらい。登りきって一本。槍ヶ岳が水晶岳で見たときより少し近く感じた。それでもあの距離と登りを見るとやる気がなくなる。永谷君は「湯俣温泉か新穂高温泉に下ろうぜ」といっていたが、あれを見ると確かに下りたくなる。
三俣山荘へ急なジグザグを400m下る。長かった。三俣山荘に着いて幕営料を払い、テント場へ向かった。テント場に着いて見ると先を歩く永谷君がかん木に向かって暴言を吐いていた。何事かと思い、見てみるとかん木のかげには、この日の朝、三俣山荘を出る予定のはずの縦走パーティーのテントがあった。三井君が外に出ており、八木沢はテントの中にいた。なんでも「上高地から1日で北穂高小屋に行けず、岳沢で一泊した」そうだ。縦走パーティーは三俣蓮華岳の山頂でたばこをふかす初川さんを見たそうで、これで全員お互いを見たことになる。
4時の気象通報を聞くとどうやら天気が悪そうだった。トイレは小屋の中で紙があった。三俣山荘は水が無料だった。小屋ではビールとかジュース(350円もしくは450円)とかを買っている大学生らしき連中がいて驚いた。ブルジョアジーめ。いつか見返してやる(いつ?)。