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2002年夏 - 黒部川上ノ廊下[3/8]


2002年8月5日(月)〜11日(日)
場所
富山県中新川郡立山町、上新川郡大山村、長野県大町市、南安曇郡安曇村、岐阜県吉城郡上宝村
ルート
8月4日
JR中央本線新宿駅=松本駅=JR大糸線信濃大町駅(泊)
8月5日
JR大糸線信濃大町駅=扇沢=黒部ダム堰堤…平ノ渡し…奥黒部ヒュッテ…熊ノ沢出合(泊)
8月6日
熊ノ沢出合…下ノ黒ビンガ…上ノ黒ビンガ…金作谷出合…立石(岩苔小谷出合)(泊)
8月7日
立石…薬師沢出合…赤木沢出合…祖父平(泊)
8月8日
祖父平…岩苔乗越…水晶岳(往復)…鷲羽岳…三俣山荘(泊)
8月9日
三俣山荘…三俣山荘…三俣蓮華岳…双六小屋…西鎌尾根…槍岳山荘(泊)
8月10日
槍岳山荘…南岳…大キレット…北穂高岳…穂高岳山荘(泊)
8月11日
穂高岳山荘…奥穂高岳…紀美子平…岳沢…上高地=松本(解散)
参加者
C.L.中山(3), 永谷(3), 車(2), 初川(OB)

黒部川上ノ廊下の地図

2日目

2002年8月6日

熊ノ沢出合…下ノ黒ビンガ…上ノ黒ビンガ…金作谷出合…立石(岩苔小谷出合)(泊)

2日目コースタイム
熊ノ沢出合2:00起床
5:07
下ノ黒ビンガ6:15
6:25
廊下沢出合手前7:35
7:54
上ノ黒ビンガ手前8:52
10:00
金作谷出合10:58
11:10
1692m12:07
12:25
1720m付近13:35
13:50
立石14:30
19:00就寝

 朝起きると車が夜に雨が降っていたといっていた。外に出しっぱなしだった靴下は夜露で濡れた程度だった。明るくなるまで待つ。夜が明ける前に雲が見えたが、明けるころには雲は晴れていた。

 朝イチの渡渉。いきなり車が流された。勢いがつく前に一回岩に1秒間ほどつかまったが、ダメで流されてしまった。流された距離は30mほどか。うまい具合に対岸にたどり着いた、と思ったら本人は背泳ぎしていたらしい。私も1mほど流された。そのあとは車と私と二人でスクラム組んで渡ることにする。

 はじめの難関、下ノ黒ビンガ。流れのゆるい腰上くらいの渡渉で右岸へ。右岸のまわりこみでは分流している勢いのあるところを腰くらいの渡渉で渡った。そこを抜けるとまた河原でどうやら抜けたらしい。たいしたことなかった。そこで一本。振り返って見ると左岸には高い逆層のスラブが屹立していた。水量が多いと泳ぐか右岸を高巻くらしいが、右岸を高巻くのは難しそうだった。一本とる。

下ノ黒ビンガ
下ノ黒ビンガを通過した後、後ろを眺める。
流速も遅く、腰をこえる程度の徒渉で済んだ。
熊ノ沢出合から一本。
下ノ黒ビンガ
下ノ黒ビンガの下で現在地確認。

 次の難関、口元のタル沢出合先へはそんなに遠くなかった。ガイドでは15mの泳ぎがあるらしいが、泳ぐというより流されるだけで済んだ。はじめ、流れの弱く浅い真ん中を歩いていたが、深さが胸ほどまできて流されそうになり、右岸に泳いだ。泳いだというより流された。何とか右岸に取り付き、次の手がかりをとると立てた。足がつかなくてパニックに陥ったが、パニックに陥ったのは私だけのようだった。車は冷静に立ち泳ぎしていたようだ。そのあと廊下沢の出合まで若干の勾配があり、車は流れの強い分流が渡れず、困っていた。私も一回流れが強くて流されそうになった。廊下沢出合手前で一本。

 どうやらわれわれひとパーティーしか上ノ廊下には入っていないようである。誰にも会わない。上ノ廊下独占である。一本とっている間ひかげが寒くて寒くて参った。黒部川で寒かったのはこのときだけか。廊下沢の出合を過ぎる。人の身長を越えるくらいの大きな岩がごろごろしており、途中、車がザックが重くて登れないところがあった。そこはザックを別に持ち上げて登った。左岸をぐるりと巻くと旧黒五跡の河原に出た。広い。平坦である。流れは2つになり、穏やかである。だらだら歩き、中ノタル沢出合で一本。上ノ黒ビンガの手前である。

中ノタル沢出合
中ノタル沢出合。
旧黒五跡の河原が終わり、上ノ黒ビンガに入る手前。車は取材拒否の姿勢。
大休止
順調に来たので1時間の休憩。睡眠不足で寝る車を撮った。

 中ノタル沢出合は持ってきたガイドブック(のコピー)によると1日目のテン場になっている。しかし、9時前についてしまった。計画は金作谷出合まで。永谷君の意見により、昼飯昼寝付き一本をとる。日差しが暖かかった。車の荷物が重いので食当セットを永谷君に渡した。

上ノ黒ビンガ
通過した上ノ黒ビンガを眺める。徒渉だけで済んだ。
滝
上ノ黒ビンガをこえるときれいな滝が本流に流れ落ちている。
それを撮る初川さん。

 上ノ黒ビンガを通過する。両側の壁は下ノ黒ビンガより大きいが、通過は下ノ黒ビンガ同様簡単だった。せいぜい腰の渡渉。この辺になると、流されながら下流方向に下ればいい、ということがわかったので対して苦もなく渡渉できるようになった。上ノ黒ビンガを通過して美しい滝を見る。ここまで楽に進むと遡行というより観光旅行に来ている気分だ。「まもなく見えてまいりますのが上ノ黒ビンガ、これを抜けましたところに右手から美しい滝が下りてきております。」ってな感じ。金作谷出合まではいくつか美しい滝が黒部川本流に流れており、キレイだった。途中で一本とり、金作谷出合に着いた。

 金作谷出合までで考えた。立石まで行ける。金作谷出合に着いて初川さんに聞いた上で初川さんは「どっちでもいいよ」というので立石まで行くことにした。永谷君の反対を押し切って。金作谷出合先は泳ぐ所があるそうで朝っぱらから泳ぎたくないということがあった。金作谷は右岸に汚い雪がたまっており、両岸ともガレがたまっているので、テントを張るなら出合より少し下流よりにテントを張るしかないだろう。

 金作谷出合を出て両岸が狭まったところで泳ぐ必要が出てきた。といってもやっぱり流されるだけだが。そこで初川さんがうまく対岸にたどり着けず、「あっ、やべっ」といいながら流されていた。そこらへんの水は本当にきれいで水底の砂利がはっきり見えた。そのあとへつり。右岸から左岸に渡り、残置シュリンゲをつかんで渡る。車にとってはここが一番難しかったようだ。5分くらいためらっていた。下は底の見えぬ美しいエメラルドグリーンでそこそこ流れもあるので泳いで突破は難しい。結局がんばって通過した。

 途中で車が流されそうになって行けない所でシュリンゲを出しながらも1692m付近で一本。車は普通難しいと思われるような足の着かない流れのところは容易に突破するが、水流の強いところはひざを越えたくらいでダメらしい。面白いやつだ。

 赤牛沢の手前で一本とって立石に着いた。岩苔小谷にかかる流木を渡った台地にテント場を見つけ、そこにテントを張った。行動終了。

立石のテント場
立石。赤牛沢出合を過ぎ、岩苔小谷との分岐である。
その間の台地にテン場に適したところがあった。

 車のしょっていたテントを乾かす。堀井さん差し入れの犬用タマゴボーロを食べる。普通のタマゴボーロと同じだが、どうも「犬用」というのがダメで食べながらもまずいと思った。「糞が臭くなくなる」とかいてあったが、効果のほどは知らない。退屈だったので寝ていたら16時3分前に起きた。すぐに気象図をとる。黒部川にいる間はくもりとか雨を予想したが、実際は晴れて良かった。メシのあと、永谷君が車に「川に下りてコッヘル洗ってきて」とおつかいさせていた。そのくらい自分でやれよ。テントでは永谷君が車の上に乗っかり、「先輩にありがとうございます、って言うんだ」と言っていたら、初川さんが永谷君の上に乗っかり「ほら、永谷、ありがとうと言え」と言っていた。


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