山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2020年山行一覧>奥多摩・日原川倉沢谷本谷
8月1日に関東地方が梅雨明けし、晴れの日が続いている。気温の低かった梅雨から一転し、真夏日が続いている。この週末は東京オリンピックの閉会式が予定されていたため、8日9日が土日、10日が山の日で3連休である。家でくすぶっていても暑いだけなので、涼を求めて寒い沢に行くことにした。
ザイルを持っていないのでまた登ったことのある沢から探し、日原川倉沢谷本谷を選んだ。12年ぶり3回目となる。バス停からほとんど歩かず入渓でき、帰りも林道を下るだけのお手軽な沢だ。
日帰り |
2020年8月8日(土) くもり |
JR奥多摩駅=倉沢バス停…倉沢谷本谷遡行…魚留橋…倉沢バス停=JR奥多摩駅
倉沢バス停 | 7:48 |
7:57 | |
八幡沢出合 | 8:50 |
標高560m付近 | 9:02 |
9:12 | |
鳴瀬沢出合 | 9:22 |
大岩 | 9:30 |
標高630m堰堤上 | 10:20 |
10:33 | |
倉沢鍾乳洞 | 10:39 |
魚留橋 | 10:52 |
10:57 | |
倉沢バス停 | 11:37 |
12:05 |
7時27分奥多摩駅発東日原行きバス集合。去年の台風19号で日原街道が崩れたが、仮設の桟橋を通るためにひと回り小さいバスが控えていた。満席、立ちも5,6人ほどいる。車掌さんも乗っていた。登山道が崩れているとかで白妙橋、川乗橋バス停は通過。倉沢バス停で降りた我々3人が最初の下車客だった。前に座っていた女性組は小川谷に行くようだった。
倉沢バス停で下車する。谷はだいぶ深くて、バス停からすぐ下り道があったはず、という記憶があやふやになる。山側から落石が散らばる切り通しを過ぎて下り道を見つけ、谷底に下った。
8/8 林道に岩ガレが積み重なった切り通しから倉沢谷に入渓する。踏み跡ははっきりしている。 |
8/8 倉沢谷に降り立つ。水量が多くてよい。 |
梅雨が明けたにもかかわらず、思ったほど気温は高くなく、くもり空だ。ずぶ濡れになりにきたのに困る。入渓して5分ほどで2段5mの滝。まだ足が慣れていない私たちは「奥多摩大菩薩高尾の谷123ルート」に従い右から巻いた。その上部で沢に戻ろうとしたが、ツルツルの岩で降りられない。沢は低い大岩を巻くようにU字型に右に屈曲していてそのまま巻いて行けそうだったが、一箇所降りられる場所を見つけ、腰まで浸かって大岩に乗っかった。
8/8 2段5mの滝は右からまく。 |
8/8 2段5mの滝の上。右手の大岩をぐるりと巻くように沢が流れている。いったん沢に下り、大岩の凹角を登る。 |
その後も2mほどの小滝を連ねるが、淵に入ると腰くらいまで浸かり、ゆっくり進む。深い淵だと滝に取りついても足場があるかどうかわからず、手間取ることが多い。2人とも消極的で私が先に淵に入って行けるかどうか確かめてから追いかけてくる。
8/8 淵のある滝は腰まで浸かる。 |
8/8 水流の中にスタンスを求める。 |
35分ほど歩くと八幡沢出合。左から何段も滝をかけて下ってきている。その先に門のような2段5mの滝が控えている。手前の淵が深くて泳ぎ、岩に乗っかる。1段目は淵を左からへつって滝壺で右に渡る。2段目は足掛かりがなくてS君に先に行ってもらう。水流の中に足場があるのを確かめると私も簡単に登れた。
8/8 2段5mの滝。1段目は淵を左側から近づき、滝壺で右に移って登る。 |
8/8 ホールド、スタンスを探しながら2段目を登るS君。 |
2段5mの滝を登ったところで入渓から1時間なので休む。10分ほどで鳴瀬沢出合。沢からコンクリートの桁橋が見えるのでわかりやすい。さらに10分ほどで大岩が真ん中にあり、右から登る。
8/8 鳴瀬沢を分けた後、水流に足を取られそうな落ち口を渡る。 |
8/8 大岩を過ぎて2m滝。泳いで右から取り付く。 |
8/8 ツルッとした2m滝。登れるのか不安になる。 |
8/8 泳いで取り付くと小さなスタンスがあった。上の水たまりのガバホールドをつかむとあとは腕力で上がる。 |
パッとみると淵を泳いで登れるかな、という滝も多いが、取り付いてみると意外と足場があったり、ガバホールドがあったりして登れてしまう。巻こうと思えば巻ける滝が多いが、ずぶ濡れに来ているので積極的に水の中に入っていく。大岩から20分ほどのところにある細長い淵は私は毎回泳いでおり、水流に負けずに泳ぐのが楽しいのだが、S君は右から水際をへつって行ってしまった。Oさんは私に続いて泳ぎに挑戦したが、2度流されてS君と同じへつりで突破した。
8/8 細長い淵で流されるOさん。 |
8/8 細長い淵を泳ぐのを諦めてへつるOさん。 |
細長い淵から10分ほどで立派な5mほどの滝。登れないかな、と思いつつも右から水流のそばまで寄ってみると意外とホールドがあって水流の横を登れてしまった。
8/8 5mほどの滝は登れないと思ったが、とりあえず水流まで近づいてみた。 |
8/8 5mほどの滝は水流まで近づくとその右を簡単に登れた。 |
5mほどの滝のあと、5mほどの直瀑は左から登ろうとしたが、スタンスがなくその間も水しぶきを浴び続けるので諦めて右から登った。そのすぐ上に堰堤があった。これは林道のある左側から巻く。
8/8 5mほどの直瀑は左から登ろうとしたが足がなく登れず。 |
8/8 堰堤が出てきたので左から巻く。 |
堰堤の上の堆砂敷きで休む。広々としていて気持ちがいい。5分ほどで倉沢鍾乳洞への歩道の残骸を通る。右側の大きな岩壁に圧倒され、注意してみると岩の下から水が流れているのを見つけた。これも鍾乳洞の入り口、というか水の吐き出し口の1つなのだろう。首を突っ込んでのぞいてみたが真っ暗で穴のサイズすらわからなかった。振り返ると大きなカエルがいるとS君が見つけていた。足を近づけても逃げるそぶりもなく、正面にカメラを構えても黙っている。
その先、沢が明るくなる。右側が崩壊したようで、倒木が多い。林道がつづら折れになって倉沢谷上流の長尾谷に続いているはずだが、たぶん道が崩れてなくなっているだろう。倒木をくぐっていくと魚留橋をくぐる。その先に魚留の滝。狭まっていて全景が見えないが6段くらいある。「奥多摩大菩薩高尾の谷123ルート」には15mと書いてある。パッと見、難しそうで登る気もなく、ここで遡行を終える。
8/8 魚留橋をくぐる。 |
8/8 魚留の滝を見て遡行を終える。 |
倉沢林道を辿って帰る。林道から見る沢は様子が違って、こんな滝登ったっけ、と話しながら歩く。よく見ると右からとりついたとか思い出せるのが楽しい。林道からは3人ほどのパーティーと焚火をしているおじさんを見つけた。遡行中は誰も見かけなかったので待ち行列もなくよかった。意外と釣りしている人は見かけなかった。
倉沢バス停に着くと次のバスは30分後であった。沢たびを履き替えたりするにはちょうどよい時間だ。少し日原よりに自分が設計した斜面があるので1人で駆け足で見にいった。ポケット式落石防止網がかかっているのを見付けたが、もっぱら落石予防工のことしか覚えていなかったので、大岩にロープ伏工が施されているのを確認してバス停に帰ってきた。
バス停で着替えていると車が多い。八王子や多摩ナンバーが多いが、所沢など他県のナンバーも見かける。この先鍾乳洞しかないし、どこかへ抜けられるわけじゃないのにね、と話す。東京都が「都外への旅行や帰省は控えて」と呼びかける中、都内山間部への人出が増えていると聞いたが、どうやら本当のようだ。
定刻より早く来たバスも臨時便であった。満席だったので3人で立つ。日原鍾乳洞って行ったことないんだけど人気なんだな、暑いから涼しい鍾乳洞に行くのかなと思う。車掌さんがトランシーバーで連絡を取りながら、狭い待避所で登ってくる自家用車をかわしていくようすは職人芸である。
奥多摩駅に着くと駅前は観光客で混んでいる。ちょうど列車が入線したところだったので乗車した。前回同様河辺の温泉に浸かって解散した。
盛夏にずぶ濡れになれる沢を人と会わずに楽しめてよかった。積極的に水の中に入るとほとんどの滝が登れたのもよかった。2週間前に登った水根沢谷は寒かったが、倉沢谷はそれより簡単な沢なので、順序を逆にすればよかったと思った。
今回もカメラにジョワイユ12MEGA PIXEL 防水デジタルカメラを使った。電池を抜いて保管していたところ、内部電池が弱いらしく、日付と時間が1ヶ月ほど巻きもどっていた。電池を抜くなら毎回日時の設定が必要なようだ。あとレンズが濡れるとぼやける問題はなんとか改善できないか試してみたい。
(2020年8月9日記す)