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2007年春 - 奥多摩・日原川倉沢谷本谷


2007年5月26日(土)
場所
東京都西多摩郡奥多摩町/奥多摩
コース
倉沢バス停…倉沢谷遡行…魚留橋…倉沢バス停
参加者
東工大ワンゲル 辛島(3)
参考文献
関連する山行
07奥多摩・日原川倉沢谷本谷の地図

はじめに

 倉沢谷は奥多摩・日原川の支流の一つであり、源頭に三ツドッケ、蕎麦粒山の二峰を控える谷である。下流部は水量の多い谷であり、泳ぎもある。魚留滝上の上流部は三ツドッケに伸びる塩地谷、蕎麦粒山に伸びる長尾谷に分かれる。

 当初の予定は倉沢谷でなく、同じ日原川の巳ノ戸谷であったが、ザイルを持ってくるはずの栗山が寝坊して来られなくなったため、急きょザイルを使わない倉沢谷に変更になった。

 天気は晴れ、気温も5月にしては28度(東京)と高く、泳ぐこともできたのでよかった。

日帰り

2007年5月26日(土) 晴れ

倉沢バス停…倉沢谷遡行…魚留橋…倉沢バス停

コースタイム
倉沢バス停8:50
マイモーズの悪場往復9:30
標高630m付近10:31
10:47
八幡沢出合10:54
11:46
倉沢鍾乳洞12:00
魚留橋12:22
12:46
倉沢バス停13:24
13:36

 朝、奥多摩駅へ向かう途中、立川駅で栗山からメールを受け取る。寝坊したから来られなくなったそうだ。ザイルを持ってくるはずの栗山が来られなくなって、予定の巳ノ戸谷は遡行が難しくなった。とりあえずもう一人のメンバーの辛島を探す。

 ホームの端の方で列車を待つ辛島を見つけ、2人で相談する。ここまで来たので山行を取りやめにはせず、どこかの沢を登ることにする。青梅線で私が持っていた「奥多摩大菩薩高尾の谷123ルート」をめくり、ザイルを使わずに登れそうな沢を探す。

 その結果、倉沢谷本谷に決めた。理由は2つ。目立った滝がなく、ザイルなしで登れそうだから。また今日の気温が高いため、泳げることである。

 登る沢を決めた後はだらだらおしゃべりをしていて奥多摩駅に着いても気がつかなかった。それに気づいて急いで列車を降り、東日原行きのバスに乗った。バスは人で一杯だった。

 川乗橋を過ぎ、倉沢バス停に着く。バスのアナウンスがなかったのであやうく乗り過ごすところだった。倉沢バス停は日原川の倉沢谷出合にあるが、どこかの山の登山口ではないので下車するのは私たちだけだった。

 バスを降りて倉沢谷林道を2分ほど歩く。切り通しを過ぎたところで谷に下りる。踏み跡はあるが、崩れやすく歩きにくい。それでも河床に下り立ち、沢タビに履き替える。

倉沢谷
5/26 倉沢谷へ下る。
マイモーズの悪場
5/26 マイモーズの悪場へ下る。

 「奥多摩大菩薩高尾の谷123ルート」によればこの下流に「マイモーズの悪場」なる名所があるそうなので、見学に行く。ナメのあるゴルジュを下っていくとクランク状に左に曲がっていくところに出た。下っていってもいいが、戻るのがめんどくさそうなのでその辺で引き返す。上を見ると倉沢橋がずっと高くにかかっていた。

 ザックを置いたところに戻り、9:30遡行開始。ところどころ深いところがあり、腰くらいまで浸かりながら歩いていく。もっとも横からも巻けるところがほとんどだが。

 9:40、大きな淵に出合う。奥には2mほどの滝がかかっている。先に辛島に泳いでいってもらうが、しばらくして戻ってきた。次に私。ホールドはあるが、足がない。水面下でハングしていて登れない。諦めて帰ってきた。しかたがないので右からおとなしく巻いた。巻き道はしっかりしている。

泳ぐ辛島
5/26 大きな淵を泳ぐ辛島。取り付けない。
2段5mの滝
5/26 2段5mの滝。右から巻く。

 その後も明るい沢を歩いていく。「奥多摩大菩薩高尾の谷123ルート」で右岸を巻く淵は気がつかなかった。9:50、2段5mの滝。登るのが難しそうなので右から巻く。その滝の上は水で磨き上げた廊下のようになっており、そこを登るのが気持ちよかった。

 その後はいくつか淵に入りながら登っていく。どれも巻こうと思えば巻ける淵だが、せっかく来たので積極的に水の中に入っていった。最初の淵で体を冷やした辛島はできるだけ巻いていた。滝もあるが登るのが難しい滝はない。

 10:17、沢が左に曲がる標高620m付近で右から細い枝沢が下りてくる。魚留ノ滝までの半分くらい来たかと思うが、実際には1/4ほどしか進んでいなかった。

ゴルジュ
5/26 ゴルジュを行く。
倉沢谷林道
5/26 倉沢谷林道の橋の下で一本。

 10:31、倉沢谷林道の橋の見える標高630m付近に着く。左から枝沢が下ってきており、枝沢に橋が架かっている。ちょうど日が当たっており暖かいので一本とる。10:47出発。

 一本とったところからすぐゴルジュ。体が冷えているので右から巻く。10:54、八幡沢出合。倉沢谷林道が八幡沢を渡っている。その先の2mほどの滝を私は直登したが、辛島は左から巻いてきた。そこには残置ロープが垂れていた。10:57、大岩。右からでも左からでも歩いていける。11:03に通った2mほどの滝は寒いので右から巻く。11:06に通った2mほどの滝は泳いで取り付いた。

樋状2mの滝
5/26 樋状2mの滝を泳ぐ中山。
樋状2mの滝
5/26 樋状2mの滝を突っ張って登る中山。

 11:10、3m滝は手前の淵で釣り人が釣っていたので左から巻き。巻いていたら10mほど上の林道に出てしまったので、また沢に下る。11:17、樋状2mの滝。手前に淵があり、泳いで取り付く。滝の部分は手足を突っ張って登った。その後は体がすっかり冷えてしまい、淵には入れなくなってしまった。

大岩
5/26 流れを二分している大岩を登る辛島。
5m滝
5/26 広い淵を持つ5m滝。

 11:23、大岩が流れを二分しているところに出る。滝を登るには左の方がホールドスタンスがあって登りやすそうだ。しかし、水量は右より多く、水しぶきに負けて戻ってくる。右は登れない。辛島が大岩を直登し、私もそこを追った。11:31、広い淵を持つ5m滝。右から小さく巻く。11:37、6m3段滝。左から巻く。巻き道はしっかりしている。胃が冷えてちょっと気持ち悪い。

 11:46、。どうやって越えようか迷っていたが、近づいてみると下に高さ1.2mくらいの穴があいていてそこからくぐっていけた。穴の中はクモの巣が張っていて難儀した。堰を抜けた先は小広くなっていて日が暖かい。

堰
5/26 堰をくぐる辛島。
魚留橋
5/26 魚留橋で遡行終了。

 12:00、倉沢鍾乳洞に出る。昔は整備された道があったらしく、倉沢谷には橋脚だけ残っている。せっかくなので倉沢鍾乳洞の様子を見に行く。倉沢谷左岸を30mほど登ると石灰岩の一枚壁にぶつかる。人が入れるくらいの穴があいているがその穴はすぐ行き止まりだった。左の方に人の頭くらいの穴が10ほどあいている。ちょっとのぞいてみたいが登ると下りられなさそうなのでやめておく。穴からは冷たい空気が漏れだしている。一枚壁の右端に立ち入り禁止のフェンスがあり、その先に他の洞穴があるようだったが、急な登りだったのでやめておいた。

 10分ほど鍾乳洞の手前の穴を見学してから倉沢谷まで戻り、魚留の滝まで登る。変な形に削られた石灰岩の壁などを見ながら歩くと12:19、魚留橋。橋をくぐって15m魚留ノ滝を見学する。登るには難しそうな滝だ。

 魚留橋まで登り、装備解除。40分間倉沢谷林道を下り、出発点の倉沢バス停に戻った。バスの待ち時間で倉沢橋からマイモーズの悪場を見下ろしにいくが、葉っぱが生い茂っていて沢はほとんど見えなかった。10分足らずの待ち時間の後、バスが来て奥多摩駅に戻った。

 家に帰ってシャツとジャージを洗濯して気がついたが、沢登りにしてはめずらしく土の汚れが少なかった。今回泳ぎもあって全身濡れたのでそれなりに汚れたと思っていたのだが、洗濯物をすすいだ水はきれいだった。鍾乳洞に代表されるように谷の周辺は石灰石でできていて、粘土分は少ないのかもしれない。

おわりに

 天気もよく、急に決めた沢にしては十分に楽しめた。ルートも好きなように取れるし、ザイルも要らないので夏に初心者を連れて行くにはいいと思う。水量が多く、遡行対象が短いという点で水根沢谷と似ているので、人気のある水根沢を避けるなら倉沢谷を遡行対象にしてもよいと思う。

 ただ5月に登るには気温が高くても水が冷たいので泳ぎを続けるのは難しかった。


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