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2011年春 - 上越・仙ノ倉山北尾根


2011年4月9日(土)〜10日(日)
場所
新潟県南魚沼郡湯沢町
ルート
4月9日
毛渡橋…仙ノ倉谷出合…小屋場ノ頭…仙ノ倉山北尾根1180m付近(泊)
4月10日
仙ノ倉山北尾根1180m付近…シッケイノ頭…仙ノ倉山…小屋場ノ頭…仙ノ倉谷出合…毛渡橋
参加者
K、W、中山

はじめに

 仙ノ倉山は谷川連峰で唯一標高2,000mを越える山である。夏に訪れたことはあるが、積雪期ははじめてである。

 仙ノ倉山北尾根は東を毛渡沢、西を仙ノ倉谷に挟まれた尾根である。ヤブが繁茂しているため、積雪期に登るのが一般的である。取り付きは仙ノ倉谷の出合で尾根を忠実にたどる。コースとしては往復ないし平標から元橋バス停への縦走が多いようである。

1日目

2011年4月9日(土) 雨

毛渡橋…仙ノ倉谷出合…小屋場ノ頭…仙ノ倉山北尾根1180m付近(泊)

コースタイム
毛渡橋9:30
10:01
610m付近10:20
10:28
670m付近11:00
11:13
仙ノ倉谷出合11:45
12:23
仙ノ倉山北尾根940m13:05
13:15
小屋場ノ頭1182.0m13:55
仙ノ倉山北尾根1180m14:03
18:50就寝

 東所沢駅に集合し、所沢ICから関越へ。家のふとんで5時間半寝て、武蔵野線でも1時間寝たのだが、眠気がとれず車で寝ていた。

積雪
4/9 雪の大谷のような林道。
重機
4/9 雪かきの最後には無人の重機が止まっていた。

 毛渡橋の北側のたもとに車を置き、歩き出す。一昨年、日白山に行ったときは地面が見えていたはずだが、今年は道の両側に雪が2mほど積もっている。しばらく歩くと雪かきに使ったと思われる重機がおいてあり、そこから先は雪が積もっていた。雪の上を歩き出すとズボズボと落ちるのでわかんをはく。わかんは天狗尾根で壊したので新しく買った。歩いてみると順調である。途中でシュルンドに隠れるカモシカを見かけた。

仙ノ倉山北尾根
4/9 仙ノ倉山北尾根を望む。上部がガスっている。
カモシカ
4/9 カモシカがシュルンドに隠れていた。でも逃げなかった。

 仙ノ倉谷出合に着いてみると仙ノ倉谷にかかるつり橋があった。積雪対策に板が外されており、両側のワイヤーだけが残っている。しかもこちら側の岸はメインロープに覆いかぶさるように雪が乗っかっている。簡単には渡れそうにない。上流側を歩いて渡れそうなスノーブリッジを探すが、見当たらない。

 結局つり橋を渡ることにした。下流側から雪のひさしの下に入り、ロープ上に乗っかって少しずつ進む。下には雨で濁水の流れる仙ノ倉谷。さしずめアスレチックだが、最後に対岸で乗っかった雪塊が崩れ、あやうく落ちそうになった。先に渡ったKさんに引き上げてもらったが、心臓バクバクで脳も胃もびっくりしていた。私にとっては今回の山行の核心部であった。

つり橋
4/9 板の外されたつり橋で仙ノ倉谷を渡る。
仙ノ倉山北尾根取付
4/9 仙ノ倉山北尾根取付。

 しばらく平らなところを歩き、仙ノ倉山北尾根に取り付く。取付から急な登りで、今日の雨以前に踏まれたトレースがあった。つり橋で落ちかけた私は心拍数が上がったままで息が切れ、遅くなってしまった。途中でひと休みするも胃がびっくりしたままで食べ物を受け付けない。飴をなめる。

小屋場ノ頭
4/9 小屋場ノ頭への急登。
小屋場ノ頭
4/9 小屋場ノ頭先の鞍部付近。このあたりに幕営。

 小屋場ノ頭を過ぎて平坦な稜線。雪が多いせいか幅もあり、歩きやすい。鞍部から登り始める標高1180m付近でひと休み。雨が強くなってきたのでここで幕営する。

 幕を張ると雨は少し弱くなってきた。周りはガスで何も見えない。この日の晩はKさんの用意してくれた鶏鍋を食べて早めに就寝した。

2日目

2011年4月10日(日) 快晴

仙ノ倉山北尾根1180m付近…シッケイノ頭…仙ノ倉山…小屋場ノ頭…仙ノ倉谷出合…毛渡橋

コースタイム
仙ノ倉山北尾根1180m3:50起床
5:30
仙ノ倉山北尾根1465m6:17
6:37
シッケイノ頭7:32
仙ノ倉山北尾根1740m7:40
7:55
仙ノ倉山北尾根1465m10:06
10:28
仙ノ倉山北尾根1180m10:48
11:15
仙ノ倉谷出合11:47
12:00
毛渡橋13:06
13:30

 夜は鼻が詰まり寝苦しかったが、でもたっぷり寝た。

 翌朝は快晴。テントを置いて仙ノ倉山を往復する。5:30に出発。万太郎尾根から上がってくる太陽に山の端がうっすら染まる。細い稜線を上がっていく。ひとしきり登り切り1465m付近でひと休み。振り返ると毛渡沢の谷がまっすぐ伸びてその先に岩原スキー場の斜面が見える。仙ノ倉谷の向かいには一昨年登った日白山が見える。

北尾根
4/10 翌日は快晴。北尾根を登る。
毛渡沢
4/10 北尾根を登る。背景には毛渡沢の谷と岩原スキー場の斜面。

 さらに仙ノ倉山北尾根を登っていく。雪庇は毛渡沢側に発達しているので、主に仙ノ倉谷側の雪面を登る。日が上がって雪が緩んでくる。ときどき雪を踏みぬいて落ち込む。だんだんと遅れてきて2人の50mほど後ろを歩く。仙ノ倉谷から尾根を一つ合わせ、シッケイノ頭に登る。登っていると暑く、上は長袖のTシャツで歩く。

仙ノ倉山北尾根1465m
4/10 1465m付近でひと休み。
仙ノ倉山北尾根
4/10 仙ノ倉山北尾根1627m峰へ至る稜線。
仙ノ倉山北尾根1627m峰
4/10 仙ノ倉山北尾根1627m峰を歩く。真ん中の山はシッケイノ頭。
シッケイノ頭
4/10 シッケイノ頭の登り。

 シッケイノ頭まで登ると平坦な雪面が広がっていた。仙ノ倉谷側に笹ヤブが出ているところがあるが、野球ができそうなくらいの広さがある。雪も締まっていて歩きやすい。雪原の真ん中あたりで休む。前にKさんが来たときはここで幕営し、夜に強風に吹かれてテントのポールが折れ、夜中にシュルンドまで下って朝を待ったそうだ。

シッケイノ頭
4/10 シッケイノ頭を越えるとただっぴろい雪原が広がる。奥は仙ノ倉山手前の偽ピーク。
雪原
4/10 雪原から仙ノ倉山へ登る。
仙ノ倉山北尾根
4/10 仙ノ倉山の登り途中で振り返る。
仙ノ倉山
4/10 仙ノ倉山山頂から偽ピークを振り返る。

 シッケイノ頭からは仙ノ倉山まで300mの登り。まっすぐに急登していく。やがて一つ偽ピークを越えるとすぐ仙ノ倉山であった。

 仙ノ倉山の眺望は非常によかった。東側には巻機山、茂倉岳、谷川岳、日光白根山、皇海山、上州武尊山、西側には日白山、平標山、苗場山、佐武流山、白砂山、稲包山が見えた。人はおらず、明るいがまったく静かな山頂だった。

谷川岳
4/10 谷川岳方面の眺め。
バックステップ
4/10 下り、1627m付近ではバックステップで下るところもあったがザイルはださなかった。

 下りにかかる。下りは登りのときよりさらに雪がゆるみ、ズボズボと踏み抜く。私は特にはまりやすいのか脱出が下手なのかどんどん遅れてしまった。しかもスパッツの上部に留めがないためかスパッツ上部が開いて落っこちるたびに雪が靴に入る。雪がアイゼンにもくっつく。途中で左アイゼンの前方の金具が外れたので付け直す。今朝1本目をとった1465m付近で休む。さらに1180m付近でテントを回収し、下山。

 仙ノ倉谷のつり橋は1回渡っているからか無事渡れた。わかんに履き替えて毛渡沢沿いの雪上を歩くが、留め方が悪いのかベルトをきつく締めてもカタカタ動く。途中沢を渡るところでつま先が外れたので手にぶら下げて歩いた。

 13:00に毛渡橋の車に到着。スパッツの中に入った雪でプラスチックブーツのインナーはずぶ濡れである。サンダルに履き替え、岩の湯に寄って帰京した。

おわりに

 メインの2日目は快晴で、積雪も多く、条件はよかった。また他の登山者もまったく見なかった。

 ただ、久しぶりの山とあって、心肺機能の衰えを感じた。特につり橋のあとは心拍数が高いままで急登はこたえた。また、雪面を踏みぬいて股ぐらいまでハマってしまうことが多く、脱出に体力を消耗した。KさんとWさんのようすを見ているとどちらもさほど苦労しているように見えないので、慣れというかコツがあるのだろう。

 つり橋も雪の付き方によっては渡れないかもしれない。橋のほかにスノーブリッジがなければ仙ノ倉谷を渡ることができない。

 あと、道具の不備もいくつか見つかった。スパッツの上部に留めがなく雪が靴に入る、左アイゼンの前方の金具が外れる、靴に付けたわかんがぐらつくといった問題があった。買い直すとか修理するとかして5月の連休に備えよう。


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