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2007年夏 - 奥多摩・多摩川水根沢谷


2007年8月25日(土)
場所
東京都西多摩郡奥多摩町/奥多摩
コース
JR奥多摩駅=水根バス停…水根沢谷遡行…水根バス停…JR奥多摩駅
参加者
東工大稲垣さん(D1)、Crisさん(D1)
天気
晴れ
参考文献
関連する山行
07奥多摩・多摩川水根沢谷の地図(Crisさん用に作ったので英語表記です)

はじめに

 水根沢谷は多摩川の支流、小河内ダムの下で多摩川の左岸に合流している沢である。水源は石尾根鷹ノ巣山〜六ツ石山間の水根山。簡単な登攀、泳ぎ、滑り台など沢登りの要素が詰まっており、初心者でも楽しめる良渓である。またバス停から入渓点まで近く、遡行対象となっている区間は水平距離1000mと短いのでお手軽な沢である。実際、私も2003年、2005年に続いて3度目であり、もっとも多く訪れている沢である。

 ことの起こりは2年ほど前、私がまだ修士課程の学生だった頃、研究室の飲み会でCrisさんを沢登りに誘ったことに始まる。彼女はもともとゲレンデでクライミングをするのだが、沢登りはしたことがないという。沢登りが日本独特の登り方と知った私は、酒で気分がよかったこともあって「それなら沢登りに連れていくよ」と簡単に約束してしまった。しかし私はその約束を果たすことなく、日本に1年間の留学の予定だった彼女はフィリピンに帰ってしまった。

 で今年の4月、彼女は博士号をとりにまた日本にやってきた。それで機会を逃さず、私は約束を履行すべく計画を立てた。先に述べたように初心者を連れて行くにあたって簡単な沢を選んだ結果、水根沢谷に連れて行くことにした。

日帰り

2006年8月25日(土) 晴れ

JR奥多摩駅=水根バス停…水根沢谷遡行…水根バス停…JR奥多摩駅

コースタイム
水根バス停9:40
水根沢谷
入渓準備
9:53
10:10
水根沢谷
遡行終了点
12:38
13:05
水根バス停13:40
13:47

 ホリデー快速おくたま号に乗るべく、新宿駅9番線集合、と思っていたら9番線は工事中で開いていなかった。代わっておくたま号は11番線からの発車だったので、急きょ集合を11番線に変更した。無事2人とも会うことができた。車内ではみんな眠いので奥多摩駅までぐっすり眠る。

 9:15奥多摩駅着。この夏の暑苦しい奥多摩に意外にたくさん人が来ている。見たところ登山の人はいつもより少なく、キャンプや釣り客が多いように感じた。駅前のトイレを済ませて9:25発車の臨時バス鴨沢西行きに乗車。水根バス停まで約15分、340円。水根バス停では私たちのほかに水根沢林道を登ると思われる男性2人組が下車した。

 10分ほど歩いた入渓点で入渓準備。私は残念ながら眼鏡用のひもを忘れてしまったので、仕方なくφ6mmの細引きをめがねひも代わりにしばりつけた。そろそろ出発するかという段になって10人くらいの大集団がやってきた。とりあえず先に行ってもらう。その後にも5人くらいのパーティーが見える。今日は天気もよく、ここのところ暑いので水根沢は大人気のようだ。混雑に巻き込まれてはせっかくの遡行もつまらないので先に出発する。

 入渓していきなりゴルジュの始まりだったような記憶だったが、実際はしばらく河原歩きだった。沢登り初めての2人はただの河原歩きでもけっこう興奮しながら歩いている。それでも5分くらいで最初のゴルジュ。3m、4mの滝と続くが、最初の3mの滝は真ん中を突破。次の4mの滝にはさっきの10人くらいの集団がザイル出して取り付いている。私たちのすぐ後を追っていた5人くらいのパーティーも重なって狭いゴルジュが大混雑だった。しばらく待つが、登るのがすごく遅い。どうやら水上でやっているようなキャニオニング体験ツアーのようだ。全員待っていると1時間くらいかかりそうなので4m滝は左側から越す。

最初の3m滝
8/25 最初の3m滝。奥の4m滝に行列ができている。
稲垣さん
8/25 最初の3m滝を登る稲垣さん。

 第一のゴルジュを通過し、また平凡な河原な河原歩き。そして第二のゴルジュ。以前右からへつって登った胸ほどの深さの淵はすっかり埋まってしまって、 容易に歩いて登れた。

淵
8/25 埋まった淵。
ゴルジュ
8/25 ゴルジュを着々と登る。

 その滝の先もすっかり砂利で埋まってしまってゴルジュの中なのに河原のようになっている。それでもできるだけ流れから離れないように登る。この第二のゴルジュで私が一番難しいと思っていた樋状の滝も埋まってしまって滝までへつる難しさはすっかり失われてしまった。

Cris
8/25 肩まで水を浴びながら登るCrisさん。
樋状の滝
8/25 樋状の滝。手前の淵がすっかり埋まっていた。

 そしてゴルジュの出口の2段10m滝。右から容易に巻くこともできるが、せっかくなので登る。稲垣さんもCrisさんも私もトライするが、1.5mほど登ったところで滑って落ちてしまう。最初に1段登ったCrisさんからロープの要求があったので、右から巻いて木を支点にしてロープを出した。私がもたもたしている間にCrisさんはすでにおっこってしまっていた。2人とも何度か挑戦を続けるが、前日の雨のためか水が冷たく2人とも巻いてきた。そうしたらせっかくロープを出した意味がないので、私が下って空身で挑戦する。ビレイヤーはCrisさん。

樋状の滝
8/25 樋状の滝を登るCrisさん。2年前は足がつかなかったところ。
2段10m滝
8/25 2段10m滝に取りかかる稲垣さん。しかし登れない。

 2段10m滝は一見簡単そうに見える。左側から壁が押し迫っているのでうまく手足を突っ張って行けば登れそうなのだ。実際はじめの1.5mほどは登れる。しかしその上は傾斜があり、水流も強いため、立つことができない。いろいろと試したあげく、バックアンドニー(背中とヒザ)で登ることにする。それも水流を背にするので尻アンドニーと言ったところか。尻は何とか引っかかるが、水流が強いためになかなか登れない。ぐりぐりと背中を動かし、膝と手をつっぱって何とか登れた。ずっと水流を浴びていたのですっかり体が冷えてしまった。

 ザイルを回収する間、2人には休んでいてもらう。しかし、すぐ後続のパーティー(単独行と4人ほど)が来たのでさっさと撤収する。ワサビ田と小屋を過ぎて第三のゴルジュ。最初の淵は泳ぐ。左からへつることもできるがせっかくなので泳ぐ。ここがまともに泳いだ唯一の淵だった。その辺りでまた込んできたので道を譲る。待ち時間で滑り台して遊ぶ。水は思いのほか冷たいので各自1回だけにしておいた。その上の滝も深かったが足はついたので各自適当に登った。

2段10m滝
8/25 2段10m滝をバックアンドニーで登る中山。水流がつらい。
淵
8/25 深い淵を泳ぐ稲垣さん。

 第三のゴルジュには大した滝はない。のんびり歩いて行くと遡行終了点の半円の滝。ここはまずセオリー通り、滝をまたいで登る。体が固くなっており、大股開くと股が痛い。そんな困難もあったが、じわじわと登りきる。半円の滝ではまた何回かずつ滑り台を楽しむ。滑り方が下手なのか、何度か沢の水を飲んでしまった。今日の沢の水は前日の雨のせいか少し濁っていた。せっかくの滑りなのでカメラのムービー機能も初めて使った。音も入ってなかなかいいムービーが撮れた。

半円の滝
8/25 半円の滝を登る稲垣さん。

 半円の滝の上で足下を替え、食べ物を少し口に入れて下山する。水根沢林道に登るところでちょっと道を間違うが、その後は無事水根バス停に下れた。バス停ではわずか7分待ちであった。奥多摩駅に着いてもえぎの湯に寄り、ホリデー快速おくたま号に乗って帰った。帰りの列車ではみんな疲れていたのでぐっすり寝た。

終わりに

 2年ぶりに水根沢谷を訪れたが、2005年に続いてさらに淵が埋まっている印象を受けた。この先もっと土砂が流れ込んで沢が埋まってしまうのかもしれない。登るのは容易になるが、何度も来る身から言うとレベルは保っていてほしいと思う。また、遡行中、単独行を含めて6パーティーほど見た。こんなに人が入っているとは驚いた。

 まあ総じて言うとくそ暑い東京(この日の最高気温は32.9℃、気象庁・大手町)から逃れ、寒い思いをできたので満足である。


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