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2007年秋 - 南アルプス・尾白川黄蓮谷右俣


2007年9月1日(土)-4日(火)
場所
山梨県北杜市(旧・北巨摩郡白州町)/南アルプス北部
コース
9月1日
府中本町=竹宇駒ヶ岳神社…五合目小屋跡…尾白川黄蓮谷五丈ノ沢出合(泊)
9月2日
五丈ノ沢出合…黄蓮谷右俣…甲斐駒ケ岳…五合目小屋…五丈ノ沢出合(泊)
9月3日
五丈ノ沢出合…尾白川黄蓮谷出合…尾白川本谷…六合石室…甲斐駒ケ岳…竹宇駒ヶ岳神社(泊)
9月4日
竹宇駒ヶ岳神社=府中本町駅(解散)
参加者
K、H、中山
参考文献
07南アルプス・尾白川黄蓮谷右俣の地図

はじめに

 尾白川は南アルプス・甲斐駒ケ岳を源流とする川であり、釜無川、富士川を通じて太平洋に流れている。上部で尾白川本谷、黄蓮谷、鞍掛沢の3つに分かれ、うち黄蓮谷と本谷を今回登った。ルートは1日目に黒戸尾根経由で五丈沢出合泊、2日目に黄蓮谷遡行、3日目に本谷遡行&下山である。

 黄蓮谷は尾白川支流の中でもっとも南寄りであり、源流が尾根上のコルなどではなく駒ヶ岳山頂にある。上部は急なスラブ滝で一気に山頂に突き上げる。私は2年前登ろうとしたが、難しさに舌を巻き坊主の滝で引返した経験がある。Hさんは20年前に1回登っており、Kさんは2回登ろうとして2回ともアクシデントで登れなかったそうだ。前回登れなかったので今度こそ登りたいと思う反面、難しい沢なので恐れもあった。

 予定では北アルプス黒部川黒薙川柳又谷だったが、天候が悪く柳又谷では登山口が黒薙温泉で縦走への切り替えも難しいので変更となった。変更の対象として何度か失敗している黄蓮谷と、まだ3人で誰も登ったことのない尾白川本谷になった。黄蓮谷と尾白川本谷ならば黒戸尾根から甲斐駒ケ岳往復の縦走への切り替えも容易だからだ。

1日目

2007年9月1日(土) くもり

府中本町=竹宇駒ヶ岳神社…五合目小屋跡…尾白川黄蓮谷五丈ノ沢出合(泊)

1日目コースタイム
竹宇駒ヶ岳神社10:00
10:14
黒戸尾根
1430m付近
12:10
12:30
横手分岐12:40
黒戸尾根
1628m峰西コル
13:03
13:13
黒戸尾根
1920m付近
14:00
14:13
刀利天狗14:45
15:00
五合目小屋跡15:40
15:58
黄蓮谷五丈ノ沢出合16:57
22:30就寝

 朝7:00、府中本町駅集合。Kさんの車に乗って中央道経由で西へ。須玉ICで降りて竹宇駒ヶ岳神社に到着。着替えを車に残し出発。駒ヶ岳神社の水場で水を汲んでから尾白川に架かる吊り橋を渡る。今日は黒戸尾根五合目を経由して黄蓮谷の五丈沢ノ出合まで。

 尾白川本谷、黄蓮谷の入渓ルートは3つある。

  1. 竹宇駒ヶ岳神社から尾白川渓谷道をたどる
  2. 日向山南斜面の林道終点から尾白川に下降する
  3. 黒戸尾根を五合目までたどり、五丈沢脇の廃道を下って黄蓮谷に出る

 1.は渓谷道が荒れているため迷いやすいらしい。「関東周辺の沢」P.244には「尾白川探勝道は(千丈ノ岩小舎まで黒戸尾根経由と)時間的にほぼ同程度だが、荒れているため迷いやすい」とある。私はたどったことがない。

 2.は駒ヶ岳神社の下で分かれる日向山南斜面の林道から入るルートである。私の持っている地形図(長坂上条)には鞍掛山南東尾根1399m標高点まで林道が伸びているが、日向山東尾根の登山口近くにゲートがあり、そこから歩きになる。沢を渡るところで盛大に崩壊しており、迷いはしないがガレのトラバースが少し怖い。林道終点1399m標高点から沢床にはロープがあり容易に下りられる。2年前にこのルートをとった。

 3.は一般ルートの黒戸尾根を五合目までたどり、そこから黄蓮谷に下るルートである。五合目から黄蓮谷に下るルートが荒れており、けっこうヒヤヒヤする。特に上部にある10mほどのザレのトラバースは崩壊が激しく、将来崩壊が進めば上方の樹林帯を巻くことになるかもしれない。また3.のルートをとると本谷を遡行する場合、黄蓮谷出合まで下らなければならない。今回とったのは3つ目のルートである。

 天気は予報通りのくもり。Hさんをトップにゆっくり歩く。吊り橋を渡ったところで尾白川渓谷道を右に分ける。しばらく登ると同じ渓谷道の上方の道をまた分ける。えんえんと樹林帯の斜面を登る。いったん尾根沿いの道になり、斜面のトラバースを挟んだ後、また尾根沿いの道。道は2mほどU字状にえぐれており、ボブスレーのコースのようになっている。約2時間じっくり登って標高1430m。尾白川から平らかな尾根が登ってきて合流している。ここまで歩いてきて人には会わない。

 休んだところから少しで粥餅石分岐。粥餅石へ向かう道が封鎖されていて、「登山道」の看板が新道をさしている。Hさんの話だと、かつて竹宇からの道はここで尾白川側を巻いて粥餅石を経由し、1628m峰北の斜面で現在の道に合流していたそうだ。粥餅石には水が湧いていたらしいが、今は道が崩壊して歩けない。

 粥餅石分岐からヤセ尾根を登ると横手分岐。横手駒ヶ岳神社からの道と合流する。ここにある看板の一つに竹宇への道を「冬道」と表現しているものがあるが、どういう意味なのだろう。冬は竹宇しか下れないということなのだろうか。

 横手分岐から急な登り。笹を刈るカッターが置いてあり「触らないで」と張り紙があった。道側に刃が伸びていて見つけたとき怖かった。途中で尾白川側に巻くようになり、粥餅石からの旧道を合わせる。ここには古い「白須>」と書かれた看板が立っている。白須は竹宇の下の集落の名前であり、登山口としては竹宇と同じである。粥餅石へ向かうルートについて細かい字で書かれていた。崩壊したザレのトラバースが難しいようだ。もっとも見える道も笹に覆われつつあり、あまりたどる気がしない。

 粥餅石からの旧道を合わせてすぐ笹ノ平。現在は何の変哲もない笹の斜面だが、Hさんによると昔は笹がさほど生えておらず、平坦地にテントも張れたそうだ。また水も流れており、幕営地として使えたらしい。しかし現在は言われないと気がつかないような場所になっている。このあたりで体長3cmくらいのクワガタの雌を拾った。うれしいが連れて行くこともできないのでその辺に放る。笹ノ平から崩壊気味の急斜面を登り、1628m峰西コル。何とか龍神の石碑がある。

 1628m峰西コルからかなり急な登り。しかも単調。ガスが出てくる。1920m付近で3張りほどできそうな広いスペースを見つけ、一本とる。

 1920m付近から10分ほどで刃渡り。まわりはガスで景色はない。大武川側がザレたところを過ぎると刀利天狗の登り。はしごをいくつか登る。刀利天狗で一本。

 刀利天狗から急な道を登り、やがて黒戸山の巻きになり、下りになって五合目小屋に到着。が、五合目小屋は解体され、更地になっていた。今年3月にHさんが来たときは五合目小屋があったそうなのでこの半年の間に取り壊されたらしい。今日はここに泊まる予定だが、もともとテント泊の予定なので問題はない。

 HさんとKさんが水場を確認しに行く。時刻は16時近く、もともと天気が悪いという予報なので私はテントを出して天気図をとる用意をしていた。10分ほどして2人が戻ってきた。曰く、水がない、と。水がなくては泊まることができないので今日は黄蓮谷まで下ることになった。早急に荷物をまとめる。もっとも五合目の水場は4年前も2年前も涸れていて水が出ているところを見たことがないので、涸れてしまったのかもしれない。

五合目小屋跡
9/1 跡形もない五合目小屋跡。水場も涸れていたので黄蓮谷まで下る。
黄蓮谷への下り
9/1 黄蓮谷への下り。ザレ場・通称「Nゾーン」を通過するHさん。

 五合目から黄蓮谷まで下る。下り道は小屋跡から続いている。すぐ五合目の水場を通り過ぎ、黄色と黒のロープで通せんぼした箇所をくぐる。しばらくトラバースののち、ザレのトラバース。このザレはもろく、かつてKさんが来たときNさんが滑落したといういわくつきのザレだ。水平に足を出そうとすると崩れるので少し上から回る。トップのKさんが渡りきってからNさんの滑落の話をボソッと話し、後に続く私とHさんをおびえさせた。このザレのトラバースは黄蓮谷への下り道で一番の難所であり、この山行の間「Nゾーン」として恐れられた。

 ザレのトラバースの後は緩い傾斜の下りだが、やがて急な斜面になる。下れないので右(黄蓮谷下流側)へ50mほどトラバースし、下る。2年前に登ったときは急な斜面をそのまま登り、途中の一枚岩のトラバースで冷や汗をかいたが、そこは通らずに済んだ。もっともどちらも赤テープが付いているのでいったいどのルートが正しいのか分からない。

 トラバースを終えると後は延々と急な下りが続く。岩の上がすべりやすく、木をつかみながらの下降になる。特に私がよく滑ったが、幸い滑落はなかった。だいぶ下で千丈ノ岩小舎(?)の前に出る。(?)をつけたのは千丈ノ岩小舎がどうやら2つあるらしいから。通り道にある小舎は岩陰といった雰囲気であり、風が吹けば吹きっさらしになりそうなところ。もう一つはHさんによれば、低いながらも天井があり、奥行きのある小舎らしい。私は後者を見たことがないが近くにあるそうだ。どうも後者を千丈ノ岩小舎と呼ぶそうなので、前者の岩小舎には(?)を付けた。

 千丈ノ岩小舎(?)から5分ほどの下りでやっと黄蓮谷に出る。五合目から約1時間の緊張する道であった。出たところは千丈ノ滝の落ち口で五丈ノ沢出合のすぐ下である。黄蓮谷をひとっ飛びに越し、8m滝を左岸から巻くと良好なテン場に出る。ここで幕営。2年前も同じところで幕営した。この土日は天気が悪いという予報だったからかほかに人はいない。流されないようビールを黄蓮谷で冷やし、夜は長く晩酌を続けた。

2日目

2007年9月2日(日) ガス

五丈ノ沢出合…黄蓮谷右俣…甲斐駒ケ岳…五合目小屋…五丈ノ沢出合(泊)

2日目コースタイム
五丈ノ沢出合4:00起床
5:55
奥千丈ノ滝下
2160m付近
7:50
8:03
奥千丈ノ滝上
2360m付近
8:57
9:17
2685m付近10:50
11:12
黒戸尾根
2860m付近
11:45
12:10
甲斐駒ケ岳山頂12:24
12:30
黒戸尾根
2860m付近
12:40
七丈第一小屋13:32
13:58
屏風小屋跡14:29
14:44
五丈ノ沢出合15:40
19:20就寝

 4:00起床。計画ではこの日は尾白川本谷だったが、甲斐駒山頂まで黄蓮谷7時間半に対して、尾白川本谷は9時間半と長いため、黄蓮谷に登ることにする。今日はテントを五丈ノ沢出合に置き黄蓮谷を空身でアタックし、明日はテントを背負えば途中で泊まることもできる。

坊主ノ滝
9/2 坊主ノ滝。右から巻き。
滝
9/2 坊主ノ滝〜二俣間の滝。右のヤブの中を登る。

 天気はガス。水は少し冷たい。河原を少し歩くと坊主ノ滝。右のルンゼを登り、やや崩れぎみの尾根に取り付く。巻き道ははっきりせず、行き詰まるたびにトップを交代しながら歩く。巻こうと思えばだいぶ遠くまで巻けそうだったが、途中で沢に下りる。下流部にもあるような大きいスラブの小滝を越えて15m滝。スラブなので直登はできないが、右の草付きから登れる。その上で二俣

黄蓮谷二俣
9/2 黄蓮谷二俣。左俣を渡って右俣を登る。
烏帽子小屋
9/2 残置ザック。

 左俣がかなり急な角度で下りてきている。左俣はアイスクライミングの対象としてよく登られているようだ。私たちは右俣を進む。左俣側からゆるいスラブを登ってトラバース。トラバースしたところで2段20mほどの滝があるのだが、その手前に赤いザックが中身は空のまま置いてあった。事故があったそうでザックを残置したようだ。

2段20mの滝
9/2 2段20mの滝。左から登る。Kさんにシュリンゲで引っ張り上げてもらった。
河原
9/2 2段20mの滝〜奥千丈ノ滝の河原。穏やかな河原だが突き当たりの右から急な奥千丈ノ滝が始まる。

 2段20mの滝は左から越える。上部の乗り越しが難しく、トップのKさんが木にかけてくれたシュリンゲで這い上がった。その上で沢は左に曲がり、しばらく河原歩き。直線上の河原歩きが終わり、沢が右に曲がるあたりでいよいよ黄蓮谷のハイライト、奥千丈ノ滝

奥千丈ノ滝最初の滝
9/2 奥千丈ノ滝最初の滝。
奥千丈ノ滝
9/2 奥千丈ノ滝を登るKさん。だんだん急になってくる。わずかな晴れ間の瞬間。

 はじめの滝はゴツゴツした岩で簡単に登れる。滝はゆるく右に曲がっているので滝の全景は分からない。はじめのうちはデコボコのホールド・スタンスふんだんな滝。沢が左に曲がり始めるとだんだん傾斜がきつくなってきてヒヤヒヤする場面が出てくる。いつのまにか坊主中尾根から下ってくる三角ノ沢出合を通り過ぎ、一枚岩のスラブになってくる。スラブの上に直立するのは難しい傾斜で、スラブの切れ目に生えている草付きを選んで登る。振り返れば高度感のある滝の途中で、滑ればいっかんの終わりである。私はフリクションで登るのが苦手なのでおそるおそる登っていた。HさんもKさんも慣れているのか割とすたすたと登っていたように感じる。一回は私が手詰まりになり、KさんHさんが横から登っていったが、私はビビって一歩一歩確かめながら登った。一枚岩のスラブを右の草付きから巻いて一段落。沢に戻る。

奥千丈ノ滝
9/2 奥千丈ノ滝。写真ではよく分からないが、そこそこ傾斜があって私はビビりながら登った。
奥千丈ノ滝
9/2 奥千丈ノ滝。水流沿いに登れないので右から巻く。

 いったいどこまでを奥千丈ノ滝と呼ぶのか分からないが、この先も滝は連続する。やっぱりはじめはゴツゴツの岩、だんだんと一枚岩のスラブになって滑りそうになってくる。上部は水流に沿って登る。場所によってはヌメって滑りやすいところもあり、ヒヤヒヤする。

 とにかく沢登りではこのあたりについて空の青さに強い印象を受けたという記述があるが、私は冷や汗をかいた思い出しかない。ていうか、空青くないし。

奥千丈ノ滝上部
9/2 奥千丈ノ滝上部。ゴツゴツの岩の滝。
奥千丈ノ滝上部
9/2 奥千丈ノ滝上部。一枚岩のスラブになってくる。

 しばらくは水流沿いに進めるが、あるところで滝が登れず、左から巻く。が、左側も厳しいスラブでルートに困る。私は左へ左へと進んで行ったが途中で真上に登るらしく、後の2人に置いて行かれた。しかたがないからビビりながら下降し、2人を追いかける。スラブのトラバースではホールドに乏しく、「この軸足が滑ったら200m落ちる」とか思いながら抜き足差し足歩く。そんなところが何度も出てくる。3分間に1回くらいの割合で「滑ったら死ぬ」というギャンブルに満ちた登攀を続けた。

奥千丈ノ滝上部
9/2 奥千丈ノ滝上部。傾斜が強くなってきた。
奥千丈ノ滝上部
9/2 奥千丈ノ滝上部。奥の滝が登れず左から巻く。先行くKさんを眺めるHさん。

 そんな滝群もガラガラの河原のようなところに出て終わる。地形図では場所が分からないが、Hさんの高度計によれば標高2360m付近である。開けたところで奥には涸れ滝が控えており、涸れ滝の下にはまだ雪渓が残っていた。涸れ滝の上にはインゼル状の緑の島があり、「関東周辺の沢」の遡行図を見ると烏帽子沢出合付近だったのかもしれない。

奥千丈ノ滝上部。
9/2 奥千丈ノ滝上部。スラブ上をトラバースするHさん。この辺は生きた心地がしなかった。
奥千丈ノ滝上部
9/2 奥千丈ノ滝を登りきったあたり。いったん水が涸れる。奥に雪渓がある。

 現在地について3人で話すが、いまいち遡行図のどこにいるのかよく分からない。逆くの字滝にも気がつかなかったし、ひょっとしたらまだ奥千丈ノ滝の中なのかもしれない。「関東周辺の沢」には「次々と登れる滝が連続して面白い」とあるが、3人とも滑りそうなスラブの連続に「もう飽きたよ」という意見で一致した。今日はガスで岩が濡れており、晴天時よりフリクションが効かないのかもしれない。私にとってはこの一本がすべて核心部だった。しかし、ザイルを出すことはなく2段20mの滝でKさんがシュリンゲ一本出しただけだった。難しいのだがザイルを出そうにも残置ピンがないし、あと一歩が出にくいところばかりなのでザイルを出すほどでもないところが多い。結局黄蓮谷を通じてザイルを出すことはなかった。

踏み跡
9/2 左岸の巻き。踏み跡はあるがヤブの中。
巻き
9/2 左岸の巻き終わり。

 涸れ滝を左から巻く。そこから左岸の巻き。ヤブの中の踏み跡をたどる。約20分の巻きの後、沢に戻ると二俣状になって左俣には15mくらいの登れない滝がかかっている。ここも巻く。写真を撮っているものの、ガスで視界が悪かったこともあってこのあたりはよく覚えていない。ただ巻きが長い。最後の巻きは40分ほどかかった。巻き道には空のペットボトルも落ちていて人が歩いているらしいのは確かだった。

巻く
9/2 いったん沢に出るが登れないのでまた巻く。
ハイマツ
9/2 ハイマツのヤブ漕ぎ。Hさんのヘルメットだけ見える。踏み跡と空のペットボトルがあった。

 一番長い40分の巻きののち、また沢に戻る。二俣になっており、ここで一本とる。岩を伝って落ちてくる水をポリタンに詰めて休む。雨も降ってきて寒い。みんなカッパを着る。私はシャツが濡れて寒かったのでシャツを脱いで絞ってまた着た。

一本
9/2 沢に戻って一本。寒い。
ガス
9/2 ガスでどこがルートかわからない。

 二俣の左俣を登る。左なら間違えていても出てくるのは黒戸尾根なので帰りも楽だからだ。結果的に山頂に行くにはここで間違えたらしい。ガレ場を登っていくとハイマツのヤブに突入する。ハイマツのヤブ漕ぎなんて知床縦走以来、久しぶりだ。20分ほどだが先の見えないヤブ漕ぎの末、稜線に出た。場所は黒戸尾根2850m付近。山頂の100m下だ。

登り
9/2 最後の登り。黒戸尾根2850m付近に出た。
山頂往復
9/2 山頂を往復。

 ここでギアを外す。休みながら甲斐駒山頂にいくかどうか相談。明日は尾白川本谷の予定だが、天気が悪いので遡行しないかもしれない。なので空身で山頂を往復する。

 甲斐駒ケ岳山頂には10分ほどで着いた。案の定、ガスで何も見えない。日曜日なので縦走装備の人たちが何人かいた。みんな甲斐駒は初めてではないので特に感慨もなく5分くらいで山頂を辞す。途中で置きっぱなしのザックを回収し、黒戸尾根を下る。九合目付近で雷鳥のつがいを見かける。北アルプスで見かける雷鳥より黒っぽく見えた。八合目の鳥居は崩れ落ちていた。七丈小屋で一休み。Hさんは股擦れが発生し、つらそうだ。五合目への下りのヤセ尾根に架かる橋からは奥千丈ノ滝左岸に注ぐ三角ノ沢がよく見えた。五合目を経由して五丈ノ沢出合の幕営地に戻った。五合目からの下りは2回目で空身だったこともあって、昨日より安定して下れた。

雷鳥
9/2 雷鳥。九合目付近にて。
八合目鳥居
9/2 八合目の鳥居が壊れていた。

 テン場に戻って翌日の天気図をとる。島根県の北に低気圧があり、温暖前線、寒冷前線を伴いながら東に移動しているので、明日は雨と予測。しかしラジオの天気予報は晴れ。なぜだろうか。結果的には翌日は晴れだった。この日はみんな疲れてしまって19:20に就寝した。