山ノ中ニ有リ山行記録一覧2006年山行一覧>奥日光・湯泉ヶ岳

2006年秋 - 奥日光・湯泉ヶ岳


2006年10月7日(土)〜8日(日)
場所
栃木県日光市(一部・旧栗山村含む)、群馬県利根郡片品村
コース
10月7日
湯元温泉…金精峠…念仏平避難小屋(泊)
10月8日
念仏平避難小屋…金精峠…金精トンネル入口
参加者
単独行
天気
7日雨、8日みぞれのちくもり
参考文献
参考
06奥日光・湯泉ヶ岳の地図

はじめに

 この山行は栃木・群馬県境である奥鬼怒の2326m峰〜鬼怒沼の縦走を行う予定であった。しかし、念仏平避難小屋でみぞれに降られたため予定を変更し、金精峠へと引き返した。2003年2005年にも計画したが前回、前々回に続き、悪天候で敗退した。なお、この翌年2007年に縦走に成功している。詳しくは「2007年秋 - 奥鬼怒・金精峠〜物見山」を参照してほしい。

1日目

2007年10月7日(土) 雨

浅草=(東武伊勢崎線・日光線)=東武日光=(東武バス)=湯元温泉…金精峠…念仏平避難小屋(泊)

コースタイム
湯元温泉10:00
10:15
白根山中曽根登山口10:23
10:28
金精トンネル入口11:18
11:26
金精峠11:47
11:50
念仏平避難小屋13:03
13:05
2326m峰13:40
念仏平避難小屋14:00
16:30就寝

 朝起きて気合い入れて出発する。これまで2回退けられている2326m峰〜鬼怒沼だがそれらの敗因は悪天候であった。今回、天気予報によれば栃木県北部の降水確率は7日30%、8日10%、9日20%であり、2日目以降のヤブ縦走では雨が降ったとしても小雨程度ですむだろう。今回は行ける、と自信を持って出発した。

 浅草から快速に乗り、一路東武日光へ。日光でバスに乗り換え湯元温泉へ。ずっと睡眠をとる。竜頭ノ滝辺りから起きるとバスのワイパーが動いている。どうやら雨が降っているらしい。前回と同じ展開で嫌な予感がする。

 バスの終点、湯元温泉で下車。小雨の降る中バス停横の車庫に逃げ込む。トイレに行きたかったのでいったんトイレに駆け込むが、けっこう寒い。これも前回と同じ展開だ。靴を履き替えカッパを着て出発する。

 湯元温泉から金精峠の旧道を歩く。途中白根山へ登る中曽根登山口を分ける。そこに登山届入れがあるので登山計画書を提出する。金精峠の旧道はそこで鎖で封鎖されているがたぶん車止めだろう。鎖をくぐって歩く。金精峠の旧道は車が走れるほどの幅であり、砂利道である。歩きやすく車も来ないのでのんびり歩ける。

 金精峠旧道は途中で金精沢を渡る。そこで旧道はここまでたどってきた車道と分かれて金精沢の左岸沿いについている。前回水の流れていなかった金精沢だが、今回はそれなりに水が流れている。前日の雨のためだろう。旧道を歩く。旧道はここから笹をかぶっており道が分かりにくいだけでなく、だいぶ濡れる。旧道を抜けると国道に出るのでここからは国道を歩く。

水の流れている金精沢
10/7 雨のためか水の流れている金精沢。旧道は沢の右を行く。
法面工事
10/7 法面工事を行っている作業員の方々。土曜日で天気悪いのにお疲れさまです。

 途中去年と同様道路を片側交互通行にして工事をしていた。去年は道路下の橋の工事だったが、今年は道路上の法面工事であった。土曜日の雨の中安全帯つけて作業する人たちに敬意を表する。

 工事箇所からしばらくで金精トンネルの栃木側入口。トンネル入口付近は10台ほど車を停められるスペースになっており、数台の車が止まっていた。いくつかは工事用車両なので先ほどの工事で使っているのだろう。他は作業員さんが乗ってきた車と登山者の車と考えられる。少し休んで登り始める。

 車から出てきた2人パーティーの後ろを歩き始める。金精峠の登りは下から予想するよりきつい。そのことは前年の登りで知っていたのでゆっくりと登る。途中で2人パーティーを抜いて登る。約20分で金精峠。峠に出ると群馬側からの風が強く閉口する。歩いてきた栃木側を見るとところどころ赤く紅葉が始まっている。湯ノ湖の向こうには男体山があるが頭に雲をかぶったままだ。長くは休んでいられないのですぐ出発。向かう湯泉ヶ岳はガスをかぶってはっきりしない。雨がパラパラ降る。

湯ノ湖と男体山
10/7 金精峠から見る湯ノ湖と男体山。男体山は雲をかぶっている。
湯泉ヶ岳の登り
10/7 金精峠から見る湯泉ヶ岳の登り。湯泉ヶ岳もガスっている。

 湯泉ヶ岳の登りもけっこうきつい。260mの登りで主に群馬側をジグザグきって道がつけてある。群馬側からの風に追いまくられながら登る。なかなか先の見えない登路でこんなに長かっただろうかと気落ちしながら歩く。やがて湯泉ヶ岳の肩に出る。道には水が流れている。湯泉ヶ岳南は平らなので道が排水路となっているようだ。湯泉ヶ岳の分岐は気づかずに過ぎる。やがて湯泉ヶ岳東の巻き道。笹の張り出した斜面で歩きにくい。特に濡れた笹でヒザ下が濡れる。ここまでカッパの下を着ていなかったがここでザックから出して着ることにする。すでにジャージはだいぶ濡れていてもっと早くカッパを着ておけばよかったと後悔する。

 湯泉ヶ岳の巻き道が北斜面に移ると前方から2パーティー8人ほどとすれ違う。笹が邪魔ですれ違いにくい。湯泉ヶ岳の巻きを終えると笹ヤブは鳴りをひそめる。平坦だけどゆるい登り下りのある道を行く。途中高薙山への尾根を分けるのを確認しながら歩く。やがて沢を渡って念仏平避難小屋にたどりつく。今日は予定通りこの小屋に泊まる。いつもの私であれば予定を少しでも早めようと先を急ぐのであるが、雨が降っているのでツェルトで寝るのは苦痛だし、すでに体が濡れていて体を乾かしたいため、念仏平避難小屋泊まりとする。また前回は天候が回復する見込みがなかったのでその日のうちに引き返したが、今回は天気予報が明日以降天候が回復すると伝えている。なので小屋で天気の回復を待つことにする。

念仏平避難小屋の水場
10/7 念仏平避難小屋の水場。紅葉が始まっている。
2326m峰
10/7 2326m峰。ガスっている。

 とはいえ時刻はまだ13時。寝るにはまだ早い。手前の沢で水を汲み、2326m峰を空身で偵察する。小屋のすぐ先の小沢はやはり増水していて一足では飛び越えられなかった。しばらく背の低い木々の林で眺めがよいはずだがガスで遠くは見えない。そのうち針葉樹の林に入る。途中で小さな沢を渡る。雨水の流れる道をしばらく歩き、道が2326m峰からそれそうになるあたりで左のヤブに突入。ヤブといってもたいしたものではない。歩きやすいところを求めればいくらでも歩ける。ただ今日は濡れないように道を選びながら歩く。

 道をそれてから少し登るとピークみたいなところに出る。割と平坦でどこがピークか分からない。25,000分の1地形図によれば西の端に「・2326」と標高点が示されているのでたぶん西端が最高点なのだろう。西端へ移動し、最高点からさらに県境沿いに進む尾根を探す。去年と同じ尾根を発見し、やはりヤブにはばまれたのでそこで引き返した。

 避難小屋に戻ってガスに火をつけスープを飲んで暖まった。小屋には誰も来ていない。小屋の中には湯泉ヶ岳北ですれ違ったパーティーが休んだ跡と思われる濡れた床くらいしか人跡がない。3連休の初日だし、これから誰か来るだろうと思ったが誰も来なかった。15時にラジオをつけるがラジオの電源が入らないことが分かり、16時の気象通報で天気図をとることも諦める。やることもないし、靴下やジャージなど濡れたものがたくさんあるのでそれらをガスで乾かしていた。

 結局人は来なかった。人もおらず寂しい小屋泊まりとなる。外は強い風が吹いており、ときどき小屋がきしむような音がする。思い出したように雨がザアザアと小屋に降りつけてなにやら物悲しい。明日天気が回復することを祈って寝る。

2日目

2007年10月8日(日) みぞれのちくもり

念仏平避難小屋…金精峠…金精トンネル入口=二本松バス停…赤沼バス停=東武日光=浅草

コースタイム
念仏平避難小屋8:30起床
10:01
金精峠11:01
11:03
金精トンネル入口11:21
11:23
↓車に乗せてもらう
二本松バス停11:44
11:57
赤沼バス停12:09
東武日光14:00
15:01

 夜はけっこう寒かった。ここで寝るときはいつも寒い(2003年のときも寒かった)。寒くて3時頃から1時間ほど起きてしまった。予定通り4時に起床するが、風と雨はやむ気配がない。外を見ないでも音で分かるので今日は停滞とする。

 8:30。たっぷり寝てから起きる。外は風の音はするが雨の音はしない。天候が回復するきざしだろうか。期待に胸ふくらませて小屋の扉を開けるとそこにはみぞれが降っていて小屋の前にはうっすらと雪だまりができていた。ここで寝るときはいつも雪が降る(2003年のときも雪が降った)。前回は11月だったので雪が降ったのは仕方がないが、今回は10月上旬でまさか雪が降るとは思わなかった。

念仏平避難小屋の中
10/8 念仏平避難小屋の中。
念仏平避難小屋
10/8 外に出てみたらみぞれが降っていた。

 たとえみぞれがやんだとしてもヤブに積もったみぞれはすぐ消えない。なのでこれ以上の停滞は無意味と判断し、下山することにした。下山ルートは北へ根名草山経由で女夫淵温泉へと下る道と、南へ来た道を湯元温泉へ引き返すルートがあるが、エアリアマップによれば後者の方が歩行時間が短いので湯元温泉へ下ることに決めた。

 ただでさえ寒い上に風が強いので金精トンネル入口まで休まず一本で行こうと考える。ゆっくりペースで出発。途中、来るときにはなかったと思う倒木がいくつかあった。昨夜の強風で倒れたのだろうか。金精峠では昨日以上に強い風が吹いており、風に背中を押されたり前傾姿勢で風に立ち向かったりしながら道をたどった。そろそろだれか登り始めてもよい時間なのでだれかとすれ違わないかと楽しみにするが結局金精トンネル入口まで誰にも会わなかった。

倒木
10/8 昨日はなかった気がする倒木がいくつか。
強風
10/8 写真だと分かりにくいが右から左に強風が吹いており樹木の枝が左に傾いている。奥は刈込湖、切込湖。

 金精トンネル入口でこれから登る3人パーティーに会う。金精峠は群馬側からの風が強いですよと忠告する。なんでも谷川岳に登る予定できたが、水上近くの道が通行止めになっている上に谷川岳ロープウェイも動いていないらしいのでこちらに来たとか。日光より日本海よりの谷川岳がダメだとすると上信会越どこも天気が悪いのだろう。

 金精トンネル入口から湯元温泉へと下り始める。すぐ車が止まる。乗せてくださるそうなのでお言葉に甘えることにする。なんでも長野から来たそうだ。丸沼からロープウェイに乗って白根山近辺をを歩こうと思ってきたそうだが、天気が悪いので予定を変更して戦場ヶ原を歩くことにしたそうだ。三本松バス停で降ろしてもらい、バスに乗り換える。日光と沼田を結ぶ国道120号線はひどく込んでおり、バスが遅れていたので次のバス停の赤沼バス停まで歩くことにする。

三本松バス停
10/8 三本松バス停まで来たら晴れてやんの。奥の鞍部が金精峠。
湯元温泉まで180分
10/8 紅葉に悪天候と相まって奥日光は大渋滞。日光駅から湯元温泉まで180分。まるで遊園地。

 雪はやみ青空が見えている。男体山と三岳が山頂まで見えている。白根山と湯泉ヶ岳は雲をかぶっているが金精峠は見える。天気は回復へ向かっているようだった。機を逃したと残念に思うが、降ったみぞれはすぐ消えないし引き返す判断は間違っていなかっただろう。

 赤沼バス停では遅れてきたバスにあやうく乗り遅れるところだった。国道120号線は日光市街までずっと渋滞で約2時間で東武日光駅にたどり着いた。東武日光駅からの区間快速浅草行きもずっと込んでいた。

 今回の悪天候だが台風並みの低気圧が原因で北アルプスでは吹雪になっていたそうだ。7人が白馬岳で遭難、4人が奥穂高岳で遭難したらしい。それを聞くと引き返してよかったと思った。あとから天気図を確認(tenki.jpによる)したが、念仏平避難小屋の外でみぞれが降っていて驚いた9時頃、中心気圧968hPaの低気圧が釧路沖にあり、東北地方から近畿地方にかけて西高東低の気圧配置になっていた。北半球で地衡風は低気圧の中心を左手に見ながら吹くので、前述の地方では北風となる。その北風が日本海から湿った空気を運んできたため天気が荒れたのだと思う。

おわりに

 また天気に恵まれず敗退した。甲子園風に言うと2年連続3回目の敗退である。天気さえよければ2326m峰から湯沢峠くらいまで行く自信はあるのだが。

 こうなると私がとるべき方法は、絶対に雨も雪も降らない日に行くか、雨や雪が降ったとしても絶対に濡れずにヤブ漕ぎできる体制で望むかのいずれかである。後者はどんな完璧な装備をそろえたとしても雨の中ヤブ漕ぎしたくない場合なので避けたい。すると絶対に雨も雪も降らない日に行くしかない。絶対に雨が降らない日を選ぶのは難しいが、絶対に雪が降らない日は選ぶことができるだろう。夏ならば雪には降られまい。今回10月上旬でみぞれに降られるとは思っていなかったので今回を反省点として次回は9月中に望みたい。

 翌年成功した山行については「2007年秋 - 奥鬼怒・金精峠〜物見山」を参照してほしい。

(2006年10月8日記す)


山ノ中ニ有リ山行記録一覧2006年山行一覧>奥日光・湯泉ヶ岳

inserted by FC2 system