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2006年秋 - 上州・草津白根山


2006年9月30日(土)
場所
群馬県吾妻郡草津町
コース
9月29日
白根火山バス停…逢ノ峰…ロープウェイ山頂駅…本白根展望所…鏡池…ロープウェイ山頂駅…白根火山バス停…湯釜…白根火山バス停…芳ガ平ヒュッテ…横笹…谷沢川林道…天狗山スキー場下
参加者
K、M、Y、K、K、M、H、その他一般参加12名
天気
くもり
参考文献
06草津白根山の地図

はじめに

 草津白根山は草津にある白根山で日光白根山や南アルプスの白根三山と区別するために「草津」の名を冠することが多い。草津白根山は赤城山と違って外輪山と火口湖の形式をとっていないが、山頂付近がなだらかで白根山、逢ノ峰、本白根山などいくつかの山に分かれている。最高点は本白根山の三角点峰北東の2171m峰である(25,000分の1地形図から推定)が、このピークには登山道は開かれていない。次点の本白根山三角点峰は2164.8mだが毒ガスのため立ち入り禁止、湯釜となりの白根山2160mも毒ガスのため立ち入り禁止である。そんな感じであちこちが毒ガスのため立ち入り禁止なのだが、人が入れる中ではおそらく本白根山三角点峰と鏡池の間の本白根展望所が2140mで最も高く、ここを登って草津白根山を登ったことにするのが妥当な気がする。実際、本白根展望所をめぐるルートは人も多かった。

 「アルペンガイド3 上信越の山」によればかつては白根山も湯釜の周囲も歩けたそうだが、現在は立ち入り禁止である。「アルペンガイド」には本白根山三角点峰がモデルコースの中に組み込まれており,1994年には本白根山三角点峰は入ることができたようだ。なお、草津白根山も赤城山と並んで日本百名山の一つである。

 今回は都庁山岳部で一般職員を対象に公募する登山大会の一環で随行した。

2日目

2007年9月30日(土) くもり

不二旅館=白根火山バス停…逢ノ峰…ロープウェイ山頂駅…本白根展望所…鏡池…ロープウェイ山頂駅…白根火山バス停…湯釜…白根火山バス停…芳ガ平ヒュッテ…横笹…谷沢川林道…天狗山スキー場下…西の河原露天風呂(入浴)=池袋駅西口(解散)

コースタイム
白根火山バス停6:30
6:55
逢ノ峰7:10
ロープウェイ山頂駅7:22
本白根展望所8:01
8:18
鏡池8:36
ロープウェイ山頂駅9:14
白根火山バス停9:35
9:42
湯釜9:55
白根火山バス停10:04
10:11
芳ガ平ヒュッテ11:01
12:02
横笹12:30
大周り12:57
13:04
谷沢川林道13:20
天狗山スキー場下13:45
13:49

 5時半起床。前日23時過ぎに寝たので眠い。着替えて外に集合。旅館の用意してくれた朝飯と昼飯のおにぎりを受け取り、6時出発。

 この日は白根火山バス停を中心に本白根山周遊、湯釜往復の後、芳ヶ平を経由して天狗山スキー場下まで下るという前日に比べると長い行程である。エアリアマップでは5時間半の行程だ。もっとも前半は車の通る白根火山バス停を起点・終点としているので動けなくなった人が出ても対応しやすい。実際2人ほど体調の悪い人がいたようだが白根火山バス停から徒歩約10分の白根火山ロープウェイを使い、下山したようだった。そちらにはKさんが付き添ったので私はよく知らない。

 白根火山バス停はまだ朝早いので人も車も少ない。駐車場の一角でおっちゃんがトウモロコシをはじめとして野菜を売っていた。朝からご苦労様である。外はまだ寒く、Tシャツにもう一枚は必要なくらいであった。

 まずは本白根山周遊。正面の逢ノ峰を越えて本白根山へ向かう。白根火山バス停から見る逢ノ峰は標高差はあるもののおだやかな様子を見せている。両側木で囲われた道は土がだいぶ削られており、ところどころにある土留めを越えるのが面倒だ。天気予報では今日の天気はくもりとのことだったが、逢ノ峰の上にはうろこ雲がかかっており天気はよさそうだ。

逢ノ峰の登り
9/30 逢ノ峰の登り。後方は白根火山バス停。
本白根山の登り
9/30 ロープウェイ山頂駅を過ぎて本白根山の登り。木道で歩きやすい。

 逢ノ峰の山頂にはあずまやとリフト用か電信用か建物があった。まだ歩き始めて15分なので休まずに先を行く。逢ノ峰を越えてスキー用リフトの上の降り場に出る。まだ秋なのでリフトは動いていない。道がよく分からず、スキー場の中の細い踏み跡を歩く。しかし、だいぶ下ってからスキー場の西の端に道があるのに気づき、こちらに移動した。道理で下りにくいと思った。

 逢ノ峰から下りきると白根火山ロープウェイ山頂駅。ロープウェイは朝早いためまだ動いていなかった。ここから本白根山の周遊コースを反時計回りに回ることにする。またスキーのゲレンデに入り、少し登ってからゲレンデを横切って登って行く。道は登りだが木道状に整備されており、大変歩きやすい。100m近く登りきると今度は平坦になる。両側笹と針葉樹に囲まれており、木道がなければ迷ってしまいそうなところだ。

 平坦なところを過ぎると道は最高点2171m峰の東側を巻くようにして斜面をトラバースして行く。小尾根を回りきると突如クレーターのような窪地の上に出る。クレーターの直径は300mほど。スケールは小さいが富士山の火口のようだ。火口は下草が生えており、噴火の跡は見られない。むしろ広い野球グラウンドに見える。向かいには岩がごつごつした白根山展望所がある。火口を反時計回りにぐるりと回って白根山展望所に向かう。道はよく整備されており、高山植物を荒らさぬよう道の外からでないようにと看板があった。

火口跡
9/30 火口跡を回って白根山展望所へ。
浅間山
9/30 白根山展望所から見る浅間山。

 白根山展望所のすぐ下で静山スキー場と入山禁止の本白根山三角点峰への道を分け、ひと登りで白根山展望所。白根山展望所は周囲より高いがそこがピークであることを示すものはない。遭難碑が一つあるだけだ。景色はよく、北は白根山、横手山、南は浅間山から篭ノ登山へ至る稜線、その奥には南アルプス、富士山が見えた。くもりの天気予報がうまい具合に外れてよかった。ただ景色がいいということは周囲に木がないわけで、当たる風が冷たい。しばらく休んで出発した。休んでいる間にも次々と人が訪れ、火口の反対側にもどんどん人がやってきていた。たくさん人が来ているが、ほとんどの人が反時計回りに本白根山周遊コースを歩いているようだった。

白根山展望所を後に
9/30 白根山展望所を後に鏡池へ向かう。
鏡池
9/30 道は鏡池をぐるりと回る。

 火口の周りのなだらかな稜線を歩き、樹林帯へ。泥で少し歩きにくい道を行くとこんどは右手に鏡池を見るようになる。道は緩やかに下って行き、鏡池の少し上に出る。そこにあった看板によれば鏡池の湖底は石の配置が亀甲状の模様をしており、珍しいものだそうだ。小泉武栄「山の自然学」によれば水の凍結・融解によって砂礫がふるい分けられ亀甲状の模様を作り出すらしい。

 鏡池で休むKさんファミリーを追い抜き、ロープウェイ山頂駅へ戻る。鏡池を過ぎると急な下りになるが、殺生河原への道を分けて水平な道になる。沢を巻くようにしてロープウェイ山頂駅に出た。朝は動いていなかったロープウェイだが、戻ってみると稼働していた。またロープウェイ山頂駅南側のスキーリフトも稼働していて1回350円と書いてあった。朝登った逢ノ峰は西から車道を歩いて巻くことができるので巻いて行く。

 弓池が見えてきて白根火山バス停に戻ってきた。朝と違ってバス停は人と車でごった返している。向かう湯釜も蟻の行列のように人が連なっていた。それでもここまで来て湯釜を見ないのも惜しいので湯釜を往復する。ほとんどの人はスニーカーなどを履いていて登山者はごくわずかである。急な坂道を登りきり、湯釜到着。湯釜は白濁した青い水をたたえており、周囲は火星のような赤い土の斜面で囲まれていた。行けるところまでフェンスでかこってあり、湖畔に近づくことはできない。おそらく毒ガスの影響を避けるためだろう。写真を撮って引き返す。引き返す最中、2班とすれ違った。

弓池
9/30 弓池。奥は湯釜の登り。
湯釜
9/30 湯釜にて著者近影。

 白根火山バス停に戻って一休み。ここから芳ガ平を経由して天狗山スキー場下に向かう。Kさんファミリーが出発してすぐ我々1班も出発する。しかし、子供たちは元気なものですぐに見えなくなってしまった。私たちはクロマメノキやリンドウなど植物の名前をMさんに教えられながらゆっくり下った。クロマメノキはブルーベリーみたいな植物だが、盗掘にあっているらしく看板がそこここにあった。途中毒ガスが出ているので立ち止まらずに歩けという看板があり、注意を引いてつい立ち止まってしまった。周囲は火山だけあって植物は少なく地獄のようである。そこに生えている植物は他の植物に先駆けて入ってくるという意味で「パイオニア植物」と呼ばれると看板に書いてあった。

芳ガ平への緩い下り
9/30 白根火山バス停から芳ガ平への緩い下り。
クロマメノキ
9/30 クロマメノキ。

 やがて芳ガ平ヒュッテが見えてくる。振り返れば笹の斜面に紅葉したダケカンバが美しい。その奥には地肌を見せた白根山。よい撮影ポイントらしく、何人か三脚抱えた人を見た。

 芳ガ平ヒュッテについてからKさんとMさんが豚汁を調理し、私たちは芳ガ平の湿原を散歩する。湿原は部分的に乾いて笹が生えているが、なかなか見事な景色である。ちょうど渋峠から下ってきた人たちもいて芳ガ平ヒュッテのあたりは混雑していた。

芳ガ平が見えてきた
9/30 芳ガ平が見えてきた。
芳ガ平ヒュッテ
9/30 芳ガ平ヒュッテ。

 芳ガ平ヒュッテに戻って豚汁をいただく。豚汁はだいぶたくさんあったがすぐなくなってしまった。芳ガ平ヒュッテでトイレ休憩をはさんで出発。その間に2班が先に出発した。2班は途中で休まなかったのでバスの待つ天狗山スキー場下まで会わなかった。

 天狗山スキー場への下り道はずっと緩い下り道で歩きやすい。はじめは遠くに草津の街が見えた。30分で大平湿原への道を分ける横笹。さらに下って飲めない水の流れる毒水沢を渡る。見かけは普通の水であった。

芳ガ平の池塘
9/30 芳ガ平の池塘。
常布の滝
9/30 常布の滝。

 沢をぐるりと巻く大周りで一本。青葉山への廃道が分かれていたが、ロープで塞がれ道自体も笹で覆われて野に帰ろうとしていた。そこからしばらくで常布の滝展望台。遠目に見る常布の滝は周囲の土が削れ、急な直瀑となっていた。とても登れそうにない。

 常布の滝展望台からすぐ地形図に載っていない車道に出る。どうやら谷沢川の林道が伸びて稜線に達したものらしい。あとはこれを下るだけだ。と思ったら車道は稜線を離れて谷沢川へ下って行く。稜線沿いはロープで立ち入り禁止になっていて、笹に埋もれた看板は道から見えないようになっている。地形図とエアリアマップに載っている稜線沿いの道は怪しいので谷沢川林道を下ることにする。ところどころ土砂崩れで岩のゴロゴロしている道を下って行くと谷沢川の立派な堰に出る。あとは林道沿いに下って行き、国道292号線に出たところがバスの待つ天狗山スキー場下であった。

 あとは西の河原露天風呂(500円)に立ち寄り、一路東京へと帰った。

おわりに

 赤城山も草津白根山も山頂近くまで車道が通じているのでいつでも行けると思い、ずっと避けていた。今回都庁山岳部の登山大会という機会で初めて行ったが、どちらもなかなかいい山であった。赤城山はそれなりの登りもあったし、草津白根山は湯釜や芳ガ平の湿原など珍しいものを見ることができた。たまにはこういうのんびりした登山もいいと思った。

(2006年9月30日~10月1日記す)


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