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2005年夏 - 奥多摩・小常木谷[3/3]


2005年6月25日(土)、26日(日)
場所
山梨県北都留郡丹波山村/奥多摩
ルート
6月24日
大岡山=二子玉川=溝の口=立川=青梅=JR青梅線奥多摩駅(泊)
6月25日
JR青梅線奥多摩駅=丹波バス停…余慶橋…小常木谷遡行…岩岳沢出合(泊)
6月26日
岩岳沢遡行…岩岳尾根…花ノ木沢出合…余慶橋…丹波山温泉バス停=JR青梅線奥多摩駅
参加者
中山(M2), 永谷(M2), 俵田(D1)

奥多摩・小常木谷の地図

2日目

2005年6月19日

岩岳沢遡行…岩岳尾根…花ノ木沢出合…余慶橋…丹波山温泉バス停=JR青梅線奥多摩駅

コースタイム
岩岳沢出合3:30起床
5:15
F7巻き失敗一本6:15
6:26
岩岳沢二俣7:08
7:20
岩岳?8:09
8:40
花ノ木沢北尾根1250m9:07
9:10
花ノ木沢出合10:22
10:35
懸垂下降10:45
10:58
750m付近11:20
11:30
大常木林道に出る11:50
余慶橋東詰12:15
12:30
丹波山温泉13:15
14:23バス発車

 3:30起床。2度寝ののち、5:15出発。歩き始めて2分ほどでF7-10m。これも置草履の悪場に加えたいほど十分険しい滝で直登不可。ガイドブックには右から巻くとあるので滝の向かいにあたる右の小尾根に登る。が、上方は岩で登れない。やむを得ず、懸垂下降で戻る。右岸を簡単に見た俵田さんは行けそうとのことだった。右岸は笹が密集して生えているので笹をつかみながら登ることができるし、滝の落ち口にも出やすそうだった。しかし、あんまり時間をかけたくなかったのと、ガイドブックからはずれた行動をとりたくなかったのでここで遡行を打ち切り、岩岳沢を遡行することにする。

F7-10m
6/26 F7-10m。ガイドブック通り右から巻こうとするが、途中で行き詰まり、懸垂下降で戻る。右岸が笹がたくさん生えていて登りやすそうだったのだが、あんまり時間をかけたくなかったので、遡行を打ち切り岩岳沢登ることにする。
岩岳沢遡行
6/26 岩岳沢を遡行する。急な沢で最後は急なササやぶになった。

 テントを張ったところへ戻り、さらに50mほど下流へ戻る。わずかな水しか流れていない狭い岩岳沢を登る。一枚岩のところが多く、登っていくと急な沢だ。いくつか沢が分岐するが水量の多いところをたどる。登りにくい滝がいくつか出てくるが、手足を突っ張って何とか登っていく。一回右から巻いた。

 40分歩いて疲れたので一本とる。ちょうど二俣っぽくなっていて、水が涸れそうなところだ。日が登り始めて周りの木々に日光が当たり始めた。しばらく休んで右の沢を登る。すぐ登れない壁にぶつかり、左手の尾根を登る。尾根といってもただの斜面でササヤブを漕ぎながら木を掴みながらの登りにくい斜面だ。

 50分後何とか稜線にたどりつく。岩岳沢という名前から類推するに登りついたところが岩岳なのだと思うが、山頂を示す看板はない。ただ稜線というのは明らかだった。沢装備を解除、この推定・岩岳尾根を下ることにする。道はなく、急な尾根を適当にたどっていく。俵田さんの提案で5文字しりとりを行いながら下る。単に5文字の言葉だけでしりとりをするのだが、けっこう難しい。「イ」「ウ」「カ」「ム」などが繰り返し出てくる。途中でマムシらしい蛇を見たがまったく動かなかった。

岩岳沢をつめて稜線に出た
6/26 岩岳沢をつめて稜線に出たところ。看板もなく、ここが岩岳かどうかはわからない。
岩岳尾根?の下り
6/26 岩岳尾根?の下り。急。

 あまりに急な尾根なので一本とる。車の音がどこからか聞こえ、コンパスをきると尾根が東を向いていることからかなり下っているのではないかという憶測をする。が、地形図の地形からは想像もできないほどの急な尾根だ。各自疑念を抱きながらも希望的観測を信じていた。

 落石を発生させながらも尾根を忠実にたどり、沢に降り立つ。そこは左手に小常木谷、右手に花ノ木沢の合流する花ノ木沢出合であった。小常木谷と丹波川の間を歩き、出たところは小常木谷出合だと信じていた私達はかなりがっかりした。しかたがない。小常木谷を下ることにする。唯一の救いは置草履の悪場の下であること。この下流には顕著な滝は少ない。結果的に岩岳沢を使って大きく置草履の悪場を巻いたことになる。また沢装備を装着。

 この記録を書いている現在、地形図を見ると、そもそも私達は岩岳沢を間違えていたのではないかと思う。遡行中は1040mの滝記号をF5,F6ねじれの滝、1080mの滝記号をF7と判断し、その間岩岳1515m峰から右岸に流れ込む沢を岩岳沢と考えた。実際は900mの滝記号がF1兆子の滝、1000mの滝記号がF5,F6ねじれの滝、1040mの滝記号がF7だったのではないだろうか。1010mで右岸に注ぎ込んでいる沢は1080m付近で二俣に分かれ、左俣(南俣)は岩岳南の1430m峰に通じている。この峰からは主稜の岩岳尾根だけでなく南東に枝尾根を伸ばしている。この尾根の末端は花ノ木沢出合に通じている。岩岳尾根に出たのは本当に稜線に出た一瞬だけだったのではないかと思う。道がなかったため、岩岳沢を間違えていたために下りに失敗したのだと思う。

花ノ木沢出合
6/26 花ノ木沢出合に出たところ。稜線では青梅街道と思われる車の音も聞こえたのだが、なぜか花ノ木沢に下ってしまった。ゴルジュ帯の下なのでこの下はそんなに滝はない。小常木谷を下降する。
懸垂下降
6/26 小常木谷下降中、一回だけ懸垂下降した。

 下り始めてすぐの滝がクライムダウンで下れず、懸垂下降。支点の木が若干離れていたがザイルは足りた。ほかいくつか滝があったがクライムダウンで何とか越えられた。滝の一つは残置ロープがあり、これで下れた。途中で一本とる。そのすぐ下で昨日はいなかったはずのシカが死んでいた。首が違う方向に折れており、ハエがたかっていた。どこかから落っこちたのだろうか。足のつかない淵を越えたりして顕著な滝を発見。永谷君が滑る。5mほどの落差があるが滑りやすいとの主張に俵田さんも滑る。他の人が滑っている間に私は大常木林道を発見、これを下ろうとするが、2人から「エー」という非難の声を浴びて滑ることにする。滑ってみるとこれがなかなかよい。スピード、水深ともにほどよい。俵田さんがもう一度滑ろうかと迷っていたが、結局大常木林道をたどって下った。

下降中一本
6/26 途中で一本とる。
足のつかない淵
6/26 足のつかない淵。
大常木林道
6/26 大常木林道に出てこれをたどる。
火打石谷出合
6/26 火打石谷出合。左が小常木谷、右が火打石谷。少し広い河原になっている。

 大常木林道は予定ならば岩岳に出たあと下るはずだった道である。大常木林道は3回小常木谷を渡り、火打石谷出合から急な坂を登りはじめる。下山なのにどんどん高度を稼ぐ大常木林道。このまま飛龍山あたりまで登りついてしまわないかと不安になるが、やがて車の音も聞こえ始め、トラバース道になり、急な下りになって余慶橋東詰に出た。下山完了である。

登っていく大常木林道
6/26 火打石谷出合を過ぎると大常木林道は登っていく。どんどん登っていくので不安になる。
青梅街道の余慶橋東詰
6/26 青梅街道の余慶橋東詰に出ました。めでたく下山。

 沢装備を改めて解除し、永谷君は着替えていた。日曜日とあってライダーやチャリダーの多い青梅街道を東へたどり、1時間で丹波山温泉のめこい湯についた。先月新歓で飛龍山から下り、入った温泉である。ひとり600円。14:23発のバスに乗って奥多摩駅へと帰った。

終わりに

 小常木谷は「上級」というランクにふさわしい沢であった。兆子の滝、不動の滝、大滝、ねじれの滝と名のある滝はどれも難しいものであり、このメンバーでなければ来たくないものであった。どの滝でも直登・巻きに関わらずザイルを出した。メンバー全員がザイルの扱いに慣れていることが入渓の最低条件であろう。

 またリードとビレイヤーがどちらもその役目に習熟していることが必要であった。大滝でのリードの落下はそれ自体やむを得ないものであったが、ビレイヤーはリードの動きを注視し、すぐ動けるよう観察するとともに、普段から制動確保の練習をしておくべきだと思った。この点は反省しきりである。手に残ったキズを忘れないようにしたい。

 いっしょに来てくれた永谷君、俵田さんには感謝の念でいっぱいである。これから行こうと考えている人には月並みな忠告であるが「初心者だけでの入渓は避けた方がいい」。

(2005年6月28日記す)


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