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2004年夏 - 南ア・荒川三山〜茶臼岳[2/6]


2004年8月22日(日)〜27日(木)
場所
静岡県静岡市、長野県下伊那郡大鹿村、上村/南アルプス南部
ルート
8月21日
東京=小田原=静岡=東静岡
8月22日
東静岡=静岡=畑薙第一ダム…椹島(泊)
8月23日
椹島…蕨段…千枚小屋(泊)
8月24日
千枚小屋…千枚岳…荒川岳…中岳避難小屋…荒川小屋(泊)
8月25日
荒川小屋…大聖寺平…赤石岳…百間平…大沢岳…中盛丸山…兎岳避難小屋(泊)
8月26日
兎岳避難小屋…聖岳…聖平…上河内岳…茶臼岳…茶臼小屋(泊)
8月27日
茶臼小屋…横窪沢小屋…ウソッコ沢小屋…ヤレヤレ峠…畑薙大吊橋…畑薙第一ダム…静岡駅=帰京
参加者
中山(M1)、荒井(B2)

南アルプス南部の地図

2日目

2004年8月23日

椹島…蕨段…千枚小屋(泊)

2日目コースタイム
椹島3:00起床
4:20
千枚岳登山口4:40
1300m付近5:20
5:39
旧道と合流6:37
6:53
1600m付近7:47
8:05
清水平9:10
9:28
蕨段10:25
10:50
2350m付近11:51
12:10
2530m付近13:10
13:20
千枚小屋13:30
17:45就寝

 3時起床。天気はくもり。テントにかける札を返しに受付に行ったが電気も付いておらず人はいなかった。4:20出発。

 しばらく車道を歩き、牛首峠から下ってくる車道といっしょになると赤石岳への道を分ける。車道は滝見橋で大井川を左岸に渡り二軒小屋へ向かっていく。千枚小屋への道は橋の手前で分かれ右岸に沿っていく。しばらくで大井川を離れ奥西河内という川に入っていく。この奥西河内を橋で渡ってから千枚岳までずっと登りになる。

 はじめは奥西河内の左岸を登っていくが、途中で右からガレがあり道はここで引き返すようにして登っていく。尾根に取り付いたあたりで一本。樹林帯にいても明るくなってきたのでヘッドランプをはずし、着ているものも一枚脱ぐ。歩き始めて荒井がヘッドランプを忘れたと残念がるが次の一本でザックの横ポケットに入れていたことが分かり安堵していた。

 道は尾根沿いに登り、鉄塔なんかのある広い山頂を越えると下りになる。道はやせ尾根になるが、25000分の1地形図の道とまったく異なっており不安になる。鞍部でまた一本とる。そこには看板があり、どうやら古くは山頂などに出ず奥西河内を渡ってから斜面をからんでこの鞍部に出ていたようだ。おそらくその道が崩壊し、新しく付け替えられた道がこの尾根沿いの道なのだろう。地形図では古い方の道を示し、昭文社のエアリアマップでは新しい方の道を示している。雨が降り始め、カッパを着る。この日は一日雨であった。道が分からなかった不安もあって荒井はけっこう疲れているようだった。

 登る。やがて平たいところに出ると小石下。何が小石なのか分からないがただの植林帯だった。この小石下で千枚小屋から下ってきた集団とすれ違う。ちょうど同時刻にたくさんの人が千枚小屋を出発したらしく、20人くらいに会った。小石下の少し上で休む。

椹島から2本目
8/23 椹島から2本目。道が25,000分の1地形図と異なり、疲れる。
小石下
8/23 小石下付近。平ら。このあたりで上の千枚小屋から来た人たちとすれ違う。

 登っていくと車道を横切る。車道は右が登り、左が下りだったので、ここより下で一度車道を横切っているはずだが気づかなかった。車道を横切ってしばらく水平な道もあるが、登りの道になる。地形図と異なる道でどこ歩いているのかよく分からないが、清水平について一本とる。ぜんぜん平らではないのだが小さな沢が流れており水を確保することができる。

 単調な登り。だいたい稜線の西側を登っていくが、稜線に近づいたところでショベルカーが見えた。雨はしとしとと降っており森は霧に覆われている。同じような苔むしたまっすぐの木々が立ち、立ち止まって眺めていると先を歩く荒井の姿がだんだんかすんでくる。千枚小屋を最後に出たというおっちゃんと話を交わし、蕨段に出る。

深い森
8/23 南アルプスの深い森。
千枚小屋
8/23 千枚小屋到着。標高差が1500mあるだけでなく、水平距離も10km近くあるので疲れた。

 蕨段は平坦地で湿地帯の間を通る。湿地帯は窪地になっていた。ずっと登り、しかも天気は悪く、つらいがそれでも千枚小屋までは半分を過ぎている。地形図を見ると傾斜はずっと緩いので油断していたが、椹島から千枚小屋まで標高差が1500mあるだけでなく、水平距離も10km近くあった。蕨段の先、見晴台からは何も見えなかった。駒鳥池は道の下のほうにあり、そばを通らなかった。道を歩いていると真上をロープウェイのようなものが横切る。おそらくは車道の終点から千枚小屋に運ぶ荷物用のロープウェイなのだろう。2度休みやっと千枚小屋に到着した。時刻は13時半。コースタイム7時間のところ、9時間かかってしまった。

 千枚小屋に着いてテント泊の手続きをすると小屋のおっちゃんから小屋前のあずまやで昼飯作っていいと言われる。でも一回腰をおろすと動きにくいのでテント場に移動した。テント場までは5分ほど離れているが途中荷物用のロープウェイが真上を通過していた。

千枚小屋のテン場
8/23 千枚小屋のテン場。小屋から3分ほど。

 テント場はそこそこ広くいくつかテントの張れる領域が仕切られている。20張りほどか。天気が悪く、他にテントを張っている人はいなかった。1人600円。テント場のあたりは樹林帯だが、天気がよければ眺めがありそうだった。

千枚小屋
幕営可能数15張りくらい
水場幕営地から徒歩2分、蛇口。
トイレ幕営地から徒歩2分、紙あり。
料金1人600円。

3日目

2004年8月24日

千枚小屋…千枚岳…荒川岳…中岳避難小屋…荒川小屋(泊)

3日目コースタイム
千枚小屋2:00起床
5:55
千枚岳6:42
7:08
丸山・東岳コル8:05
8:20
荒川岳東岳8:47
8:55
中岳避難小屋9:53
10:05
荒川小屋11:10
18:00就寝

 この日から本格的な縦走が始まる。それに伴い起床時刻は2時。が、夜中から強い雨が降っており二度寝を決め込む。朝にはガスが晴れてくもりになった。カッパを着込んで5:55出発。

 まずは千枚岳。千枚小屋から登り始めると樹林帯の高さは人の高さほどになりやがてハイマツになる。これまで風を防いでいたものがなくなるため強風にあおられながらの登りになった。登っている分には体は温かいが止まると冷えそうだ。山頂近くで私のザックにかけていたザックカバーが飛ばされ、あせった。

 千枚岳の山頂で一本とる。はじめは白峰南嶺の山のうち、南東の笊ヶ岳あたりや富士山が見えていたがやがて見えなくなってしまった。荒川岳東岳や赤石岳といった名だたるピークは白い霧の中である。層状の岩が見られるため千枚というのだろう、と荒井が言っていた。休んでいると寒くなるので出発。

 千枚岳は2880m、次は荒川岳東岳は3141mとまだ登りが続く。とりあえずは丸山3032m。やせ尾根の南側を登っていくが鞍部からは広い稜線を行く。丸山の山頂を過ぎ、丸山・荒川岳東岳のコルで一本。

千枚岳
8/24 千枚岳。層状の岩が見られるため、千枚と言うのだろう、と荒井が言ってました。
荒川岳東岳(悪沢岳)
8/24 荒川岳東岳(悪沢岳)山頂。日本百名山の一つ。ふつう、前岳、中岳、東岳の3つで荒川三山と呼んでいるが、深田久弥がこの山が特に立派だから、という理由で「悪沢岳」という名前で日本百名山に載せたため、悪沢岳という名称もだいぶ一般的である。

 荒川岳東岳へはトムラウシ北の奇岩群のようなところを通り抜ける。東岳に着くころには何となく明るくなってきたが、一瞬中岳の方が見えた。けっこう下って登りそうだ。荒川岳は東から東岳、中岳、前岳の三山で構成されているのだが、深田久弥が日本百名山の中で東岳を取り上げて「悪沢岳」として取り上げているためにこの名前で呼ばれることもある。千枚小屋から前後するおじさんに少し遅れて出発する。下り始めは比較的平坦な道だった。歩いていると中岳の方から空身で走ってくる若者2人がいた。この山行の大部分で前後することになる京都産大の人たちである。

東岳の下り
8/24 まわりがガスっている東岳の下り。外界から切り離されたような感覚になる。ここで空身で走ってくる京都産業大学ワンダーフォーゲル部の人たちとすれ違った。彼らは塩見岳から光岳までの縦走で、荒川岳前岳から東岳をピストンしていた。
荒川小屋のテント場
8/24 荒川小屋のテント場。小屋のすぐ近く、水場もそう遠くなく、快適でした。けど、私ナカヤマは風邪ひいて頭痛に襲われ、食べた晩飯を戻してしまい、しんどかった思い出があります。翌日完全復活したけど。

 東岳からコルまでは急な下りだったが中岳の登りは緩やかであった。中岳山頂近くで戻ってきた京都産大に抜かれる。中岳山頂に建つ中岳避難小屋は小さな小屋で軒先で一本とる。このガスにもかかわらずシャッターチャンスを狙うおじさんが一人いた。がんばるものだ。休んでいる間にサクマドロップスを取り出すとチョコレートが出てへこんだ記憶がある。私はチョコレートを飴にするのは断固反対である。

 中岳から荒川小屋へ下る。荒川小屋までは1時間の行程だ。途中のお花畑が有名らしいが、ガスで覆われており花は見えるが花畑は見えない。そして頭痛がしてきた。道は稜線の東側につけられており、沢の源頭のようなところも通る。荒川小屋に着くころには疎な樹林帯の中で霧の中歩いていると小屋が現れた。この次の百間洞山の家までは時間が足りないし、そもそも天気が悪いので12時前だったが荒川小屋で泊まりを決定。

 小屋でテント泊の手続きをするが、小屋にはまだほとんど人はいないようだった。1人600円。小屋のすぐ下にテントを建てて荒井に水を汲みに行ってもらう。水場は3分ほど下ったところらしい。トイレも1分ほど下ったところ。昨晩の雨でテントがぐっしょり濡れているのでテントに入る前にガス缶を空焚きし乾かせるだけ乾かす。先行していた京都産大の2人パーティーもテントを張っているはずだが見当たらなかった。テント場がけっこう広かったからだろう。

 ほどほどに乾いたところでテントに入り、昼飯代わりに予備のインスタントラーメンを食べる。そして昼寝。15:40にまた起きて荒井は気象図をとり、私は飯を作る。頭痛がひどくなりトイレに行き若干の胃液を吐く。その後、飯は根性で食べたものの、すべて戻してしまった。「明日もだめだったら悪いけど赤石岳登って椹島に下るかもしれない」と荒井に弱気な発言をしながらシュラフを広げて就寝。テントにいる間は保温のためガスをずっと空焚きしていた。

荒川小屋
幕営可能数20張りくらい
水場幕営地から徒歩3分くらい。
トイレ幕営地から徒歩1分、紙なし。もう一つは徒歩2分、紙あり。
料金1人600円。

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