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2020年冬 - 大菩薩嶺


2020年12月5日(土)
場所
山梨県甲州市
ルート
JR甲斐大和駅=上日川峠…大菩薩峠…大菩薩嶺…上日川峠=やまと天目山温泉=JR甲斐大和駅
参加者
中山、S氏、O氏、Y氏
参考文献

はじめに

 Sさんと連絡を取る機会があり、易しい山に登ることにした。高尾山でよいかとも思ったが、簡単すぎるし混んでるしでやめてSさんの友人Oさん提案の大菩薩嶺にした。ルートは最も容易な上日川峠から大菩薩峠経由で登ることにした。

 大菩薩と呼ばれる山塊は北は柳沢峠で奥秩父と接続し、南は笹子峠で御坂山塊に接続している。

 大菩薩嶺を訪れるのは20年ぶり。1回目は高校2年生のとき大菩薩峠を越えて丹波に下った。2回目は大学3年生のときに源次郎岳から大菩薩嶺を越えて柳沢峠に下山した。どちらも記憶がほとんどなく、前者は福ちゃん荘でテントを張ったこと、富士見新道を歩いていたら道に迷って変な岩場で空き缶を見つけたことくらいしか覚えていないし、後者は下山してから通ったことを思い出すくらい覚えていない。2006年には小菅川本谷を遡行しているが、大菩薩峠には達していない。

 高校生のときは上日川ダムが建設中で交通機関も塩山から裂石までのバスだけであった。いまは上日川ダムが完成し大菩薩湖を湛えており、バスも甲斐大和から日川沿いに上日川峠まで出ている。便利になったものだ。

日帰り

2020年12月5日(土) くもり

JR甲斐大和駅=上日川峠…大菩薩峠…大菩薩嶺…上日川峠=やまと天目山温泉=JR甲斐大和駅

コースタイム
上日川峠10:00
10:17
福ちゃん荘10:42
10:48
大菩薩峠11:26
11:45
大菩薩嶺12:47
12:52
雷岩13:02
13:36
福ちゃん荘14:27
14:37
上日川峠14:51
15:00

 朝6時過ぎに起きると外は弱い雨が降っていた。山の天気が不安になるが、出発準備をする。家でお湯を沸かして紅茶を入れたり、リンゴを切ったりしていたら慌ただしくて駅まで急いで歩いた。青梅線と中央線はよく眠れたが、窓が開いていて少し寒かった。

 甲斐大和駅で下車する。駅前の風景に見慣れず初めて降りる駅だと思ったが、後から9年前に雁ヶ腹摺山に行くときに下車したことを思い出す。高校のころは顧問の先生に登った山を覚えていないなんて、と悪態をついていたがもう私も悪態をつかれる方の歳になってしまったようだ。

 前日塩山に宿をとったSさん、Oさん、私同様朝東京を出たYさんと合流し、上日川峠行きのバスに乗る。40人くらい乗れそうなバスの座席は8割ほど埋まっており、来週で終わりにしては盛況であった。バスに揺られて上日川峠に向かう。道は上日川ダムをやや遠回りして巻いていて、堤体のそばや湖畔を走ることがない。地形もなだらかだし、景色も良さそうなものだが、管理する東電か自然公園の管理者が一般人が近づくのを嫌がったのかもしれない。

 終点上日川峠で下車。1,020円。上日川峠は30台ほどの自家用車が並び、山荘の前もバスの降車客でにぎわっていた。峠という割になだらかで車道も多く、方向感覚が失われる。加えて2度来ているはずだが全く景色に覚えがない。とりあえずトイレを済ませる。水場は見当たらなかった。そこそこ寒く、フリースを1枚だけ脱いだ。

上日川峠
12/05 人が多く、道も複雑な上日川峠。
福ちゃん荘
12/05 福ちゃん荘で休む。

 今回のコースを皆さんに説明し、出発する。福ちゃん荘へは登山道と細い舗装道の2つがあり、せっかくなので登山道を選ぶ。前にも後ろにも人が多く、人気の山と認識させられる。高校生のときも晩秋だったがこんなに人がいた記憶がない。千葉発だと時間が遅かったからだろうか。途中、体温調整でひと休み。私もセーターを脱ぐ。

 福ちゃん荘でまた休む。皇太子、雅子妃が通ったと看板が掲げられていた。SさんとOさんが2週間前に行った京都で勧められたという塩小豆の飴をもらう。なんとなくテント場の印象は高校の記憶と相違ない気がする。

大菩薩峠
12/05 大菩薩峠への登山道は広い。
標高770m
12/05 大菩薩峠に立つ介山荘が見えてきた。

 大菩薩峠へ向かう。幅の広い道を5分ほどで富士見山荘。戸締りされていて開いていないようだ。樹木も生い茂っているからか富士山も見えない。左手には賽の河原(旧道)の看板がある。橋を渡って勝縁荘。こっちは樹林の中の沢のほとりで景色はない。車は止まっているが人の気配はなかった。勝縁荘からも幅の広い、しかし出だしは急な道を登る。その後は山腹を巻く道を登り、やがて左手に稜線が見えてくると大きな介山荘が建っているのが見える。小屋とトイレ休憩舎の間に出て小屋の合間を抜けると大菩薩峠の看板にたどり着く。

大菩薩峠
12/05 大菩薩峠の看板。
大菩薩峠
12/05 大菩薩峠を振り返る。

 塩山側は青空が見えており、南アルプスの一部と富士山の端っこが見える。多摩側はガスっていて何も見えない。北には見通しのよい笹の尾根が伸びており、歩いている人も多い。

 大菩薩峠から展望のよい尾根を歩く。登り切った親不知の頭でも賽の河原にある休憩舎でも休んでいる人が多い。妙見の頭を巻いて振り返ると顕著な道が賽の河原に登る顕著な道が見える。富士見新道ってあれだっけ、でも迷ったからあんなにわかりやすくはないと思うんだけど、と思う。後からアルペンガイドを見ると富士見新道はもっと雷岩よりに出るようだ。尾根筋には分岐の看板は見つからなかった。

賽の河原
12/05 賽の河原の休憩舎にも人が多い。
大菩薩嶺
12/05 なだらかな尾根を登る。

 ちょっとした岩場を通りながら標高2000m地点を通り過ぎる。2000mを過ぎると木に雪がくっついていて日射で溶けて落ちてくる。朝方青梅で降った雨はここでは雪だったのだろうか。道がぬかるんでいるところもあり、霜柱が溶けたのかもしれない。

標高2000m地点
12/05 標高2000m地点の看板。
雷岩
12/05 雷岩に着く。

 雷岩に着いてそのまま大菩薩嶺に向かう。すぐ樹林帯に入るとガサガサ音がしてみると鹿が2頭いた。稜線から10mほど離れて倒木の皮か何かを食べており逃げない。少し遠いが写真を何枚か撮り、大菩薩嶺に向かう。

シカ
12/05 雷岩から大菩薩嶺に向かう途中シカを2頭見た。
大菩薩嶺
12/05 展望のなく地味な山頂の大菩薩嶺。2週間前の鹿倉山と同様だ。

 大菩薩嶺に着くが展望もなく休んでいる人はいない。写真を撮って雷岩に戻る。風が吹くと木に積もった雪がパラパラと落ちて日射を浴びるとキラキラ光る。見た目は吹雪のようだ。

落雪
12/05 木から雪が落ちてきてキラキラと輝く。
南アルプス
12/05 南アルプスの連なりが見えたがどれが何山かはわからなかった。

 雷岩で大休止とする。展望のよい雷岩で休む人、南風を避けて北側斜面で休む人がおり、私たちは北側斜面で休んだ。みんなが持ってきた食べ物を交換し、私は朝入れた魔法瓶の紅茶を配った。Sさんからもらった京都みやげという抹茶のラスクが上品な甘さでおいしかった。上日川ダムが明るく輝き、右手には南アルプスの山が連なっているが、どれが何山かはよくわからない。休んでいるうちに富士山も雲から顔を出し、景色はよかった。

富士山
12/05 雷岩で休んでいるうちに富士山の雲が取れた。
唐松尾根
12/05 急な唐松尾根を下る。

 雷岩からの下山路はけっこう急だった。登山道には礫が転がっていて歩きにくい。SさんとYさんは持参したストックを使っていた。皆さん慎重に下るので私は振り向き待ちながら下った。特にSさんが一番後ろで見え隠れする。ぼんやり待ちながら歩いていると、電話をしながら歩く単独行の人もいて電波状況がよいようだ。私も雷岩でLINEの通知がきた。

 時間をかけて福ちゃん荘に戻ってくる。Sさんは下りが足に来たようで休みを取った。上日川峠からタクシー呼んで塩山に出た方が安上がりという話も出たが、当初の予定通りバスでやまと天目山温泉に入り、甲斐大和駅に下山することになった。

 車道をダラダラ歩いて上日川峠に到着。10時には満車になっていた自家用車の駐車場は1/3くらいに減っていた。ロッヂ長兵衛では何かを注文して食べている人たちがいていい香りがした。財布とマスクを出してバスに乗車する。15時発のバスは半分ほど座席が埋まっており、たぶん1本前の便の方が人が多かったのだろう。

 やまと天目山温泉で入浴し、またバスに乗って甲斐大和駅で下車。駅前の「雅」というお店でほうとうを食べる。バスはそこそこ混んでいたのに誰も客が入っていなかった。普通列車立川行きに乗って、大月で特急に乗り換える3人と別れた。あとは空いた列車でよく寝て立川で乗り換えた。

おわりに

 久しぶりの大菩薩嶺だったが、ほとんど記憶がないおかげで初めての山行並みに楽しめた。天気がよく12月にもかかわらず人が多いのが意外であった。富士山も南アルプスも見られてよかった。

 小金沢連嶺はほとんど歩いたことがないので一度歩いてみたいものだ。

 関連:2021年冬 - 大菩薩・大菩薩連嶺

(2020年12月5日記す)


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