山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2020年山行一覧>奥多摩・鹿倉山
3連休なのに何の予定もなく、どうしようかと考えていたところ、前の週の14日に飲み会をしてUさんと雲取山にでも行こうかという話になった。しかしUさんに聞くと奥多摩駅発8:35が朝家を出て最初に乗れるバスだと聞き、鴨沢から歩行時間を足すと終バスギリギリだし、日が暮れてしまうのでやめた。
地図を見て替わりに見つけたのが鹿倉山である。奥多摩の山はだいたい登ってしまっているが、鹿倉山は登ったことがない。Sさんも誘ったら来るというので3人で行くことにした。
鹿倉山は奥多摩湖の上流にある1288mの山。大菩薩嶺から東に派生する尾根にあり、丹波川と小菅川を分けている。西側は大丹波峠、東側は奥多摩湖深山橋で分けられている。
アルペンガイドは丹波から深山橋に向かって縦走するコースを紹介していたが、逆コースにして丹波山温泉に入る計画にした。しかし、Sさんから丹波山村ウェブサイトの鹿倉山登山道通行止めを示されコース変更を余儀なくされた。
鹿倉山登山道は、マリコ橋から大丹波峠までの区間が土砂流出のため通行止めです。
2019年10月20日 鹿倉山登山道 通行止めについて
登山道のない尾根を下ることも考えたが、2人に相談し、日が暮れるのも早いので登山道と車道をたどって小菅に下ることにした。小菅の湯までは車道歩きが少々長いがしょうがない。
日帰り |
2020年11月21日(土) くもり |
JR奥多摩駅=深山橋バス停…大寺山…鹿倉山…大丹波峠…小菅の湯=JR奥多摩駅
奥多摩駅 | 8:21 |
8:30 | |
深山橋バス停 | 9:05 |
9:12 | |
大寺山 | 10:05 |
10:12 | |
大成峠 | 10:24 |
1178m大マトイ山 | 10:55 |
11:03 | |
1250mオオヤマト山 | 11:21 |
鹿倉山 | 11:36 |
11:48 | |
大丹波峠 | 12:37 |
小菅の湯 | 13:36 |
14:49 |
家を出てから普段履きのスニーカーを履いていることに気づく。せっかく玄関に登山靴を置いていたのにうっかりしていた。少し悩むが、そのまま登ることにした。青梅でホリデー快速を待っていると女の子が1人青梅駅の看板の前でスマホを片手に何か高い声でしゃべっていた。あれが流行りのYouTuberだろうか。
青梅でホリデー快速おくたま1号に乗るとえらく混んでいる。ホリデー快速に乗るときはだいたい新宿から座っていびきをかいているので立っているのは気持ちが折れる。御嶽駅で1/3くらい下車するが、席は埋まったままなので立って外を眺める。
6両編成のホリデー快速が全席埋まるくらいだから奥多摩駅についてもやっぱり人が多い。奥多摩湖方面のバスは行列をなしている。予定していた8:35発の丹波行きの前に臨時の鴨沢西行きが発車するとのことでこれに乗る。運よく座ることができた。バスは水根、奥多摩湖である程度人を降ろし、深山橋でも私たち以外に5,6人下車した。
11/21 明るい深山橋の向こうに大寺山の尾根。 |
11/21 鹿倉山大寺山登山口の看板から登る。 |
下車してちょうど紅葉の季節ということに気づく。山の広葉樹の部分が赤く色づき植林帯の真緑とコントラストをなしている。ああ、紅葉で3連休初日で快晴ならみんな出かけるのも無理はない。深山橋を渡り、渡ってすぐ右にある指導標に従い、湖沿いの道を行く。もみじに足を止める2人組を抜き、鹿倉山大寺山登山口の看板に従い尾根に登る。いきなりきつい急坂でゆっくり歩く。途中5,6人の休んでいるパーティーを2つ追い抜く。もともと混雑の嫌いな私だが今回は人気の少ない鹿倉山なら大丈夫だろうと踏んでいた。しかし、同じことを考える人がいるのか意外に人が多い。
11/21 大寺山の登山道は急な登りから始まる。 |
11/21 標高770mから明るい広葉樹林。 |
標高770mまで登ると南から明るい日がさす広葉樹林になる。急坂を登ったり、岩が出ているところを登ったりする。枯れ葉が積もっていて道が分かりにくく、足元がすべりやすい。
11/21 大寺山の仏舎利塔。 |
11/21 紅葉の赤が映える。 |
やがて大寺山山頂。大寺山は県境縦走の過程で登った15年ぶり2回目。白亜の仏塔が立っている。上の方は足場が組まれて補修か塗装をしているようだ。東西南北に階段があり、せっかくなので階段を登って仏様に手を合わせる。南の階段を下ってベンチで休む。日差しが当たって暖かい。
11/21 大成峠らしき看板。 |
11/21 1178m標高点の手前で南側を巻いてしまい尾根に戻る。 |
1200m付近で丹波側から砂利道が上がってきている。ほぼ尾根沿いだし、そっちの方が歩くのが楽なのでそちらを歩く。1250mオオヤマト山の手前は林道が網で閉じられていて尾根沿いの登山道に移る。北側が広く伐採されており、鹿避けらしい網で囲われているが、鷹ノ巣山から七ツ石山、雲取山が見える。オオヤマト山は小さい看板が木に打ち付けられていて、東を見ると大寺山の仏舎利塔の先に奥多摩湖、関東平野まで見える。このオオヤマト山が今回の山行唯一の展望箇所だった。砂利道の途中には白い車を停めている人がいて登山者ではなく何か作業をしているようだった。
オオヤマト山から下るとまた砂利道。平らな尾根を歩く。途中、南に下る砂利道が分かれ、どこへ下るのか少し気になったがすぐ戻る。
11/21 1250mオオヤマト山から東を見ると奥多摩湖が見える。 |
11/21 展望のなく地味な山頂の鹿倉山。 |
鹿倉山への登りにかかると、砂利道に「←鹿倉山」とある看板に従い、尾根道に入る。しかし尾根沿いの登山道のすぐ右下に砂利道が並走しており別に砂利道歩いてもいいんじゃないと思う。広い尾根を登り切るとパッとしない鹿倉山山頂についた。尾根は広く展望もないため高度感がない。誰もいないし、小さな看板と三角点がないと通り過ぎてしまいそうだ。
拍子抜けするような山頂だが、今回の山行の最高点でもあり、休む。時計を見て今後の行動を考える。現在時刻が11:40、小菅の湯まで2時間強と考えると14:00ごろ到着の見込み、14:49発のバスまで風呂に入るとすると少々慌ただしい。「じゃ、行くか」と10分休んで出発する。
ちょっと急な登山道を下るとまた砂利道に出る。砂利道は尾根沿いに伸びており、1257m標高点のあたりは地図で見るよりぐるっと南を巻いているような感覚になる。だんだんと下り坂が急になってきてジグザグになり、車で登れんのかなあと余計な心配をする。下りが退屈なのでUさんに面白い話を振る。青梅駅で見かけたYouTuberらしい女の子の話をしたら、兄妹でYouTube配信をする知り合いの事業家の話をしてくれた。収益は全然取れてないとか。
11/21 鹿倉山から尾根沿いの砂利道を下る。 |
11/21 複雑な地形の大丹波峠。 |
気づくと砂利道は尾根を外れて小菅側をジグザグ下る。1箇所分岐があって行き止まりの看板を見つけて反対側を下る。小広い複雑な地形に出ると大丹波峠であった。車止めのチェーンが張ってあって、端に貼り紙がある。「野生イノシシへのCSF(豚熱)感染拡大を防止するため、消石灰を散布しています」と書いてあった。Sさんが「クラシック・なんとか・フィーバーですね」と獣医師らしく解説をしてくれる。「でも石灰なんかあったか」「さあ」みたいな会話で終わる。葉っぱの下にあるか、雨で流れてしまったのかもしれない。丹波に下る道には「登山道崩壊のためこの先通行止め」と事前調べの通り看板があった。
大丹波峠からも砂利道を下る。けっこう荒れていてガタガタだが、途中おじさんが普通の車で登ってきた。私はエアリアマップに載っている沢沿いのショートカットの道を探したが、見つからずそのまま砂利道を下った。県道に入ると車とバイクが多い。意外と往来があるんだなあと驚く。
小菅の集落に降りると交番の前を曲がって小学校、役場前を通り、田元橋を渡る。小菅川は釣り堀になっていて太公望が見える。急坂を登り、途中車道をショートカットして小菅の湯に着いた。1時間の風呂時間を確保できたので、内外いくつかの風呂に入り、ビールを飲んで出た。バスまで時間があったので道の駅で地ビールを買って出る。これまた意外とお風呂も道の駅も混んでいて驚いた。松姫トンネル経由で大月へ抜ける人がドライブがてらに寄るのだろうか。
小菅の湯始発のバスは6人ほどが乗り、出発した。行きのバスが臨時便が出るくらい混んでいたので混雑するかと思ったが居眠りしてから奥多摩駅に着いてみると席は全部埋まっていなかった。それでも奥多摩駅のまわりは混んでいて、お土産買ったりして駅構内に入った。新宿まで乗り換えなしで行きたいS君は後発のホリデー快速に乗るということでここで別れた。
大寺山の登りで他に3パーティー見かけたので混んでいるのかと思ったが、その後誰とも会わなかった。結果として3連休で紅葉の季節にもかかわらず、静かに枯れ葉を踏んで歩く気持ちのよい山行になった。
鹿倉山は交通の便の悪さもあって今まで登ったことがなかったが、静謐な秋らしい山であった。砂利道が尾根沿いにあったのが意外だし、どこからこんな尾根まで伸びているのか気になったが、迷わずタラタラと歩けてよかった。その分半分くらい車道歩きをしていたような気もする。最後の温泉の時間も確保でき、入ったことのない小菅の湯に入ることができてよかった。
(2020年11月22日記す)