山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2020年山行一覧>奥秩父・和名倉山二瀬尾根
2日目 |
2020年10月25日(日) くもり時々雨 |
千代蔵ノ休場…二瀬尾根…造林小屋跡…大洞橋…秩父湖バス停=大滝温泉遊湯館=西武秩父駅
千代蔵ノ休場2010m | 5:00起床 |
6:13 | |
二瀬尾根1845m | 6:55 |
7:02 | |
二瀬尾根1684m標高点 | 7:18 |
二瀬尾根1550m造林小屋跡下り口 | 7:32 |
造林小屋跡 | 7:47 |
7:24 | |
1369m三角点峰下反射板跡 | 8:40 |
8:50 | |
1007m標高点 | 9:13 |
大洞橋吊り橋 | 9:39 |
秩父湖バス停 | 10:05 |
10:42 |
夜は持ってきたものをすべて着込んだので寒くはなかった。ただ、狭いからかときどき起きて寝返りを打った。夜の間に鹿の鳴き声を聞きそうなものだが、まったく聞かなかった。
5時に起きるとツェルトの内側が結露していて不快だ。ツェルトの中で即席麺をゆでる。幕営時には2リットルあった水は1リットル弱残った。ラーメンを食べてツェルトをたたむころにはもう明るい。今日も晴れだ。ラジオは秩父地方に濃霧注意報と伝えていたが、霧も雲も見えない。放射冷却で冷え込んだという。和名倉山はアルペンガイドにも「奥秩父主脈からぽつんと離れた気になる秘峰」と評されているが、ラジオはNHK第一、第二、文化放送などいくつかのAM放送が入り、少し秘峰感が薄れる。
パッキングを済ませてザックを背負う。水が減ったからか軽く感じる。二瀬尾根は昨日歩いた感じだとヒルメシ尾根よりは道が分かりやすそうだ。昨日たどった二瀬分岐から二瀬尾根1950mコルまで少し赤テープを探しながら歩く。苔むした樹林帯に朝日が差すと美しい。二瀬尾根1950mコルからは和名倉沢側を巻く。1913m標高点も巻き、1845m付近で尾根に出る。1845m付近は少し広くなっており、テントも張れそうだ。せっかくなのでひと休みする。
10/25 二瀬尾根1950mコル付近の苔むした樹林帯に朝日が差す。 |
10/25 二瀬尾根1845mが少し広いので休む。 |
19年前、和名倉沢を登ったときは最後まで遡行せず左岸のスズタケのヤブを漕いで尾根に出た気がするのだが、スズタケのヤブが見当たらなかった。羽根田治「ドキュメント 道迷い遭難」の2005年和名倉山の項でも「いきなり背丈を超えるササ藪」という表現が出てくる。枯れちゃったのだろうか。
尾根伝いにずっと下る。1684m標高点付近は広くなっており、赤テープを探しながら歩く。その下で二重山稜になるあたりも赤テープを探す。ヒルメシ尾根は赤テープを探しても見つからないことが多かったが、二瀬尾根は赤テープを探せば見つかるので安心だ。とはいえ、ガスっていたら下るのはかなり難しいだろう。
10/25 二瀬尾根1684m標高点。少し上は平たくなっている。 |
10/25 二瀬尾根1550mの造林小屋跡下り口。 |
造林小屋跡への下り口には看板がある。やや下りにくい道を行くと沢を渡って造林小屋跡に出た。前に来たときは酒瓶が散らばっていた気がするが、枯れ葉が覆い隠しているのかほとんど見当たらない。500mlほどに減ったポリタンに水を足す。
10/25 沢に出るとそこが造林小屋跡の水場。 |
10/25 造林小屋跡は以前ほど酒瓶などが見えなかった。 |
10/25 1350m等高線に沿った森林軌道跡を歩く。 |
10/25 森林軌道跡は反射板跡で終わりここから尾根を下る。 |
造林小屋跡からは1350m等高線に沿って歩く。道幅があり、レールが落ちているところを見るとおそらく森林軌道の跡だろう。ときどき沢を渡るところで道が流されており、がれ場を慎重に渡る。やがて1369.6三角点登尾沢ノ頭下の反射板跡に着く。木の間から三峰観光道路が見える。
10/25 反射板跡から三峰観光道路が見えた。 |
10/25 1007m標高点から植林帯が多くなる。 |
反射板跡からの下り道は急だ。枯れ葉で足を滑らせないよう慎重に下る。1007m標高点を過ぎると植林帯で視界がない。スギの木に網が巻かれているところを見るとシカの食害対策に人の手が入っているようだ。急な下りに飽きてくるとずっと下に砂地のようなものが見えてきて、それが秩父湖の湖畔だった。しっかりした吊り橋を渡り、左へ歩くと車道に出た。三峰神社へ向かうらしい車がひっきりなしに通る。二瀬ダムの堤頂の道を渡って秩父湖バス停についた。
10/25 大洞橋という吊り橋はしっかりしていて安心できる。 |
10/25 車道から1369.6m三角点登尾沢ノ頭下の反射板跡を振り返る。 |
バスは10:42の大滝温泉行きと10:50の急行西武秩父行きがあったので前者に乗ることにする。30分ほど時間があったのでトイレに行ったり靴を脱いだり山で飲まなかったビールを飲んだりする。車の往来も多いが、バイクも多い。雁坂トンネルを抜けて塩山まで行くのだろうか。大滝温泉遊湯館で汗を流し、12時のバスで西武秩父駅へ帰った。
正直、ヒルメシ尾根をなめていた。自分のルートファインディング能力を過信していた。今まで道のないところで尾根を外さずに歩くというルートファインディングは県境縦走を中心によくやってきたが、今回のような中腹を巻く仕事道をたどるのはあまり経験がない。無駄に標高を稼がないように、また休める平地や水場を縫って合理的な道のりになっているのだろうが、巻き道は特色に欠け、ヒルメシ尾根は下草も生えていないのでどこでも歩けてしまう。現在地がはっきりしないので、スマホを取り出し、YAMAPで現在地を確認しながら歩いた。とにかく登れば尾根にたどり着けると確信していることだけが精神安定剤だった。また、久しぶりのツェルト泊の荷物だったこともあせりにつながった。
対して二瀬尾根は赤テープが多く、踏み跡もわかりやすく、ヒルメシ尾根で失った自信を取り戻すことができた。
初めて和名倉山に登ったが、静かで薄暗い深い山という印象であった。会った人は和名倉山山頂付近での男性2人と女性1人だけだったので、当初の目的の1人静かにテント泊は達成できたのでよかった。
(2020年10月25日記す)