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2007年秋 - 浅間山周辺・鼻曲山


2007年11月23日(金・祝)
場所
長野県北佐久郡軽井沢町、群馬県碓氷郡松井田町、群馬郡倉淵村、吾妻郡長野原町/浅間山周辺
コース
23日
軽井沢駅…新碓氷峠…旧碓氷峠…鼻曲山…国境平…国道146号線県境バス停
参加者
単独行
天気
くもりのち晴れ
参考文献
07浅間山周辺・鼻曲山の地図

はじめに

 鼻曲山は長野・群馬県境にある一峰。浅間山の東、碓氷峠の北に位置し、日帰りハイキングで人気の山である。

 県境の山であり、今年の5月の連休の大上峠〜碓氷峠の縦走の続きとして計画した。鼻曲山は以前一回登ったことがあるのだが、いまいち記憶が薄く、加えて前に登ったときは真夏だったので、登るにはちょうどいい機会であった。

日帰り

2007年11月23日(金) くもりのち晴れ

軽井沢駅…新碓氷峠…旧碓氷峠…鼻曲山…国境平…国道146号線県境バス停=軽井沢駅

コースタイム
軽井沢駅7:31
碓氷峠7:50
旧碓氷峠8:50
9:10
留夫山10:08
10:18
鼻曲峠
霧積分岐
10:52
鼻曲山大天狗11:00
11:06
鼻曲山小天狗11:08
11:18
1471m峰11:42
1382.6m
三角点峰
11:58
国境平12:08
12:12
県境バス停13:07
13:10
浅間白根火山ルート13:17
県境バス停13:25
13:29

 新宿から山手線で上野に向かい、長野新幹線に乗り換え。11月末、6時台の東京はまだ薄暗かった。上野から約1時間で軽井沢駅。朝、東京を出て7:30に軽井沢をうろうろできるとは新幹線は実に速い。

 今回のルートは起点が軽井沢駅、終点が国道146号線の県境バス停である。バスは本数が少ないし、寒い中バス停で何十分も待っているのはつらいので、本当は逆にしたいのだが、バスの便がない(7:20の次は9:00)ためこの起点・終点にした。

 軽井沢駅を出て碓氷峠へ向かう。旧中山道の通る旧碓氷峠ではなく、国道18号線の通る碓氷峠に向かう。前回大上峠からの縦走で下り立ったのが国道の碓氷峠であり、今回その続きを歩くためだ。風が冷たい。天気もくもりだ。吐く息が白く、氷点下くらいの寒さに感じる。

碓氷峠
11/23 国道18号線の通る碓氷峠。今年の5月は右側の矢ケ崎山から下山した。今度は左へ登る。
基準点
11/23 碓氷峠からすぐ登ったところにある軽井沢町の基準点。

 軽井沢駅から20分で碓氷峠。晴れていれば見えるはずの妙義山もくもりで見えない。前回下ってきた南側の道を確認し、これから登る北側斜面を眺めた。碓氷峠は切り通しでもなく、稜線は緩やかに登っており、難しくはなさそうだ。北へ旧碓氷峠へ向かう。

 20mほど登りきると軽井沢町の基準点とそれを示す赤テープが木にぶら下がっていた。この軽井沢町の基準点はこのあと何度も見かけた。道はあるが、尾根の広くなるところははっきりしない。ただ木もまばらだし、葉はすべて落ちているので、歩きにくくはない。ちょうど碓氷峠南側の入山峠から矢ケ崎山までの道と似ている。1163m三角点峰までは急な登りも多い。西風が強く、吹きさらしの顔が冷たい。

 1163m三角点峰付近では西側に別荘地があり、県境近くにも別荘があった。1163m三角点峰を過ぎてからはなだらかな道が続き、歩きやすい。「関東ぐるり一周山歩き」は8月の記録で「踏跡が分かれる度にどんどん荒れ、イバラや倒木が増える」との記述があるが、晩秋にはヤブはなく気持ちよく歩ける。意外に速く旧碓氷峠に出られた。はじめに旧碓氷峠南の展望台。でも東側の天気はくもりでうっすら妙義山が見える程度。雪もちらちら降っていて寒い。展望台の脇のトイレに寄り、峠に出る。峠には車道が走っており、茶屋があったがシーズンオフだからか朝だからか営業していなかった。車道を離れて群馬・長野県境にある熊野神社に詣でる。階段の東側が群馬、西側が長野で管理団体も2つあるそうで賽銭箱も2つあった。境内のベンチで一休み。テルモスの紅茶が温かい。朝飯抜きで来たので、朝飯代わりのパンをがつがつ食べる。

別荘地の横
11/23 別荘地の横も通る。
熊野神社
11/23 長野・群馬県境にある熊野神社。左側が長野、右側が群馬。

 一休みが済んだところで熊野神社を辞す。熊野神社の裏手にも県境が続くので、長野側に回り失礼とは思いながら神社の裏側を登る。しばらく広い尾根を登る。道はない。半分倒れたような木もあって適宜迂回しながら登る。やがて右手から登山道が登ってきたのでそちらに乗り換える。ひとしきり登ったあたりが一ノ字山だが、最高点ではなくなだらかな斜面の片隅なので気づかずに過ぎてしまった。一ノ字山からはほぼ平坦な道が続く。林の中はガス。粉雪が道沿いに積もっていて、白いじゅうたんが延々と伸びているようだ。足跡もなく静かな道を歩く。ときどき指先が冷たくなるので手袋から指だけ抜いて拳で暖める。顔も寒いので持ってきたタオルをほっかむりにして耳を暖める。

一ノ字山
11/23 一ノ字山付近のなだらかな道。
留夫山
11/23 留夫山山頂。展望はいまいち。

 尾根が細くなり1419m峰にさしかかると急にガスがなくなり、晴れた。いったん鞍部に下り、留夫山に登る。標高差240mの今日一番の登りだ。土が流出し溝になっており、脇に踏み跡がある。ひとしきりの登りののち、留夫山に着いた。空はすっかり青く晴れ、気持ちがいい。狭い山頂の片隅に腰を下ろす。ここも人がおらず静かな山頂だ。時刻も10時になりだいぶ気温も上がってきたようで、もうテルモスでなくても飲める。残念ながら木が茂っていてこの先の鼻曲山は見えない。

 鼻曲山へ向かう。まずは留夫山から150m下り。留夫山の下りはけっこう急で、しかも北側斜面のため雪がついているので滑りやすい。スニーカーで来てしまったのでつるつる滑りながら下る。鞍部に下りついてから鼻曲山に登り返し。鼻曲山手前の金山に登る。鞍部からは南側斜面なので雪はなくなり、登りやすい。右側群馬側が急な斜面を登る。ほどけやすい靴ひもを気にしながら歩いて行くと、3mほど先でガサガサッと大きな音がしたので度肝を抜かす。何かと思えばカモシカであった。カモシカが群馬側の笹の斜面からこちらをじっと眺めている。カメラを向けても逃げない。まだ若そうなカモシカで私を見て「こいつは何なんだろう」と不思議そうな顔をしている。しばらくにらみ合った後で、写真を撮り終わった私が退いた。今まで北鎌尾根と穂高岳でカモシカを見かけているが、日本アルプス以外の山でカモシカに会うとは予想外の収穫であった。

カモシカ
11/23 金山の登りで見かけたカモシカ。
鼻曲山大天狗
11/23 鼻曲山大天狗から東の眺め。左から雨坊主山、角落山、剣ノ峰。奥に榛名山。

 やがて金山を越えて鼻曲峠に下りつき、霧積温泉からの道を合わせる。ちょうど霧積温泉から3人パーティーが登ってくるところだった。軽井沢から歩いてきて最初の登山者だ。鼻曲山の登りにかかるとちらほらと登山者を見かける。急な登りの後、鼻曲山の大天狗。鼻曲山の2つの小ピークの一つである。東側の眺めが良い。角のような形の剣ノ峰、角落山、雨坊主山と奥に榛名山が見える。もう一つのピーク、小天狗に移動する。小天狗からは浅間山の眺めがいい。小浅間山の上から白く冠雪しており、美しい。浅間山は成層火山なので同形式の富士山に似た美しさがある。南には歩いてきた留夫山と奥に妙義山、北には浅間隠山が見える。山々をカメラに収めるが寒さのためかカメラの電池が切れてしまう。カメラをあっためてだましだまし撮影。ここ小天狗で一本。

留夫山
11/23 鼻曲山小天狗から見た留夫山。奥にギザギザの妙義山。
浅間山
11/23 鼻曲山小天狗から見た浅間山。雪化粧してかっこいい。

 小天狗には長日向、二度上峠から登ってきている人がいた。どうやらみんな車で来て霧積温泉、長日向、二度上峠からの往復のようだ。鼻曲山はこれに加えて私の登ってきた碓氷峠からの道と西からの国境平からの道がある。私の目的は県境の縦走なので、この先県境の国境平へ下る。

 小天狗から少し北へ進み、すぐ二度上峠への道と分かれる。なんだかエアリアマップに載っている二度上峠の道より、載っていない国境平の道の方が立派に見える。でも足跡はない。国境平へは下手すりゃヤブ漕ぎかと思っていたので道があるのはありがたい。すぐ急な下りになり、積雪のためにまた滑る。今度はロープが伸ばしてあったので、ロープに頼りながらよたよた下る。靴の中に雪が入って靴下はしっとり湿っている。ひとしきり下りきるとあとは緩やかな下りで歩きやすい。やがて1471m峰。小さな祠と鳥居があるが、お互い尻を向けていて何だか配置がおかしい。変なお社だ。

鼻曲山小天狗
11/23 鼻曲山小天狗で記念撮影。
国境平への下り
11/23 国境平への下り。道はしっかりしている。

 1471m峰からはさらに平坦な道を下る。晩秋の散歩道といった雰囲気だ。1382.6m三角点峰から一気に下って国境平。あとは車道に沿って国道146号線まで6kmほど歩く。ゴルフコースの隣をてくてく歩き、浅間牧場-白糸の滝ハイキングコースの道と交差するところから浅間山が大きく見えてくる。近づいてみるとなかなか立派な山だ。やがて国道146号線に出る。

1471m峰先の平坦な道
11/23 1471m峰先の平坦な道。晩秋の散歩道といった雰囲気。
県境バス停
11/23 国道146号線の県境バス停。

 国道146号線にはその名も「県境」というバス停があり、草津と軽井沢を結ぶ草軽交通のバスが走っている。20分後に軽井沢駅行きのバスが来るが、その前に浅間山寄りの浅間白根火山ルートまで県境をたどっておく。時間がないので駆け足気味に原生林を抜け、浅間白根火山ルートの切り通しに出てからきびすを返し、ぱたぱたと県境バス停に戻ってきた。待つこと3分ほど、定刻にバスがやってきたので寒い思いをせずにすんだ。

 なお、浅間白根火山ルートから県境は浅間山に登っているが、現在浅間山は下降から4km以内が立入禁止となっており、登山はできない。このため浅間山の東側の県境はこの浅間白根火山ルートまでしかたどることはできない。

 バスは大型バスだったが、私以外にハイカーのおじさん1人しか乗っておらず、変な感じだった。しかし峰の茶屋から白糸ハイランドウェイに入ると白糸の滝や小瀬温泉で人を乗せ、旧軽井沢でコートを着たオサレな奥様、お嬢様方を乗せて座席は2/3ほど埋まっていた。一方私はジャージでしかも首に手ぬぐいを巻いていたのでだいぶ浮いていたに違いない。

 バスは終点軽井沢駅に着き、新幹線に乗って帰京。15:30には東京に着いていた。新幹線の速さを実感するとともに料金の高さ(上野-軽井沢往復約1万円)も身にしみた。

おわりに

 思いのほか寒く、雪も積もっていたものの、無事計画通り縦走できた。朝はくもりだったものの、昼からは青空で浅間山もよく見えてよかった。歩行距離と時間も18km・6時間と、ほどよい運動になった。

 来週は富士山の雪訓であり、今年はまだ雪を触っていなかったのでちょうどいい練習になった。

(2006年11月24日記す)


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