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2007年春 - 西上州・大上峠〜碓氷峠[3/3]


2007年4月28日(土)〜30日(月)
場所
長野県南佐久郡佐久穂町・佐久市・北佐久郡軽井沢町・群馬県甘楽郡南牧村・下仁田町・安中市/西上州・佐久の山
コース
4月27日
高尾=(JR中央線)=小淵沢(泊)
4月28日
小淵沢=(JR小海線)=羽黒下=(羽黒下タクシー)=大上峠…広小屋山…余地峠…1337.4m三角点峰(泊)
4月29日
1337.4m三角点峰…霊仙峰…荒船山トモ岩…内山峠…物見山…矢川峠…八風山(泊)
4月30日
八風山…日暮山分岐…和美峠…入山峠…矢ケ崎山…碓氷峠…軽井沢駅
参加者
単独行
参考文献
07西上州・大上峠〜碓氷峠の地図

3日目

2007年4月30日(月) 快晴

八風山…日暮山分岐…和美峠…入山峠…矢ケ崎山…碓氷峠…軽井沢駅

コースタイム
八風山
三角点峰
3:30起床
4:26
レイクニュータウン1140m峰6:31
妙義荒船林道7:00
7:10
日暮山分岐7:28
黒岩山1132.4m三角点峰8:13
和美峠8:27
8:38
桜堂山1170m9:39
9:50
入山峠10:35
10:38
1098m峰10:49
11:00
矢ケ崎山11:47
11:58
碓氷峠12:22
12:26
軽井沢駅12:50

 3:30に起きる。夜中は暑くて何度か起きた。昨日とは大違いだ。それでも外に出ると寒い。4:26に出発する。今日はラジオでFM軽井沢を付けっぱなしで歩く。まずは軽井沢へ下る分岐まで戻る。そこから獅子岩への踏み跡をたどる。獅子岩の山頂は南面の展望が優れているが、これから向かう東面はよく分からない。直接東に降りるには急なのでいったん分岐まで戻って獅子岩の東面を巻く。

 ちょうど急な斜面にぶつかり、ここを県境と判断する。そこから東へ広い尾根を下っていく。丈の低い笹があるが歩きやすい。が、ここで南側により高い尾根を発見する。県境稜線の南に顕著な尾根はないはず、つまり間違って北寄りの支尾根を歩いていることに気づく。しかたがないので引き返す。50mほど無駄に下ってしまった。

 目指す県境稜線はどこだかよく分からない。地形図でもどこから稜線が出ているのかよく分からない。獅子岩の直下まで戻って偵察すればよいのだが面倒だ。そう思いながら歩いていると南へ伸びる急な支尾根を見つけたのでこれをたどることにした。

 この支尾根はかなり急だが下ることができ、下り着くと隣の県境稜線のすぐ脇に出た。どうやら県境稜線は獅子岩のやや南から派生しているようだ。それを登り返す気も起きず、ここから東へ向かう。

急な支尾根
4/30 県境稜線へ乗り換えるべく急な支尾根を下る。
県境稜線
4/30 県境稜線ははじめ細くヤブがうるさい。

 はじめはかなりの笹ヤブ。いきなりつらい。地形図には道が書き入れられているが、今も昔も道はなかったのではないだろうか。しかし下り着いたあたりは整地された跡があり、ここから軽井沢へ下る道もあるので一部は確かに道があったようだ。

 そこからは道があったりなかったりするところを行く。2回ほど間違えて長野側の支尾根を下ってしまう。高いところをたどると山腹から派生する県境稜線に気づかないのでけっこう難しい。ヤブのために何度か靴ひもが解けたがその度に結び直す。

 やがて一度車道に下りる。この車道は物見山から続く妙義荒船林道である。林道は県境を横切っており、この先群馬側を走っている。私は林道を少し歩いて県境稜線に取り付きまた登り始める。コブを一つ登るとそこには小屋がある。どうやら軽井沢レイクニュータウンという別荘地の端らしい。コブから下るとかなりやせたキレットがあり、どうやっていこうか悩む。幸い木の根が張り出していたのでそれにつかまりながらトラバースした。その裏側には妙義荒船林道の舗装道があるので、われながら変わったことをしていると思った。

県境稜線の広いところ
4/30 県境稜線の広いところ。ときどき尾根を間違えて長野側に下りそうになる。
軽井沢レイクニュータウン
4/30 1140m峰付近に建つ軽井沢レイクニュータウンの別荘。

 その先で車道とショベルカーを見つける。ここもレイクニュータウンの一部らしい。しばらく車道を登り、途中から山に入って登る。別荘の横をこそこそと通過し、1140m峰に到達。ピークにも別荘がある。30度くらいの斜面に3階建てで、ここにこの別荘を建てた大工さんの苦労が忍ばれる。車道は50mくらい下だが、別荘のすぐそばには林業用のモノレール軌道があり、これを使って建てたのかもしれない。

 1140m峰から急な斜面を下り、レイクニュータウンのきわを抜ける。途中、上信越自動車道の荷倉沢橋が眼下に見えた。下りついたところは妙義荒船林道。群馬側はゲートが閉まっていた。ここで一本。

 まだ先へと縦走する。また別荘地の横を通りながら小ピーク1090mにつく。ここから南に日暮山1207.2mへの道が続いているが、ずいぶん下って、ずいぶん登るように見える。県境稜線でもないので往復は避けた。ところでこの群馬県境稜線はなぜ稜線から離れたところに稜線より高いピークがあるのだろうか。大ナゲシ、ククリ岩、田口峠南の1200m峰、和美峠東の愛宕山など。群馬県側が概して急な崖なのと関係があるのだろうか。

日暮山への分岐
4/30 日暮山1207.2mへの分岐付近。
黒岩山
4/30 黒岩山1132.4m三角点峰。株式会社コクドの標が立っている。

 小ピークから下ると電波塔の基礎部分みたいなところに出る。またレイクニュータウンが近く、犬に吠えられる。別荘地の横を通り過ぎてレイクニュータウンとは分かれ、黒岩山1132.4m三角点峰に登る。地形図には日暮山から和美峠まで登山道が載っているが、道はない。ただヤブは薄いので歩きやすい。黒岩山で三角点の脇に「株式会社コクド」の標を見つける。軽井沢といえばやはり西武・堤王国のお膝元か、とその開発っぷりに感心する。黒岩山から150mの急な下りで和美峠。ここで一本。

黒岩山下り
4/30 黒岩山から和美峠への下り道。
和美峠
4/30 和美峠。上信越自動車道からの車が多い。

 和美峠は上信越自動車道の碓氷軽井沢ICから軽井沢に抜ける道でもあるのでそこそこ車通りがある。日差しが暑いのでタオルをかぶって端で休んでいる私はさしずめ乞食かなんかのように見えるだろう。付けっぱなしのラジオは軽井沢発東京行きの新幹線あさまの指定席予約状況を伝えていた。ローカルなラジオはその土地の特徴があって面白い。

 和美峠から愛宕山方面へ向かう。急な道を登り、配水池の横を通ってまた急な登り。途中で桜が咲いていた。愛宕山へ向かう途中、愛宕山北の切り通しに採石場があり、そこは下りられそうだし、その方が県境稜線に近かったので愛宕山には行かず切り通しに下る。

 この切り通しも和美峠同様、碓氷軽井沢ICから軽井沢へ抜ける道なので車通りが多い。特に群馬側から飛ばしてくる車がアクセル踏みっぱなしなので加速してきて怖い。国道を渡ろうとするネコの気分でピャッと駆け渡った。

和美峠からの登り
4/30 和美峠からの登り。
桜堂山
4/30 上が桜堂山、下が愛宕山西の採石場。その間に切り通しの車道。

 桜堂山1170mへ登る。稜線に登るには擁壁を直登するか、群馬側の擁壁のきわを登っていくかだが、さすがに直登すると110番に通報されかねないので擁壁のきわを登る。擁壁には草が植えられているが、木はないので日差しが暑い。

 擁壁を離れて稜線の登り道になると、電線のケーブルが引いてある。最初の小ピークには変な形のアンテナ(?)があってケーブルはそこにつながっていた。アンテナは一般的な八木アンテナやパラボラアンテナではなく、水平方向にクルクルと伸びた形をしていた。表現しにくいがドラゴンボールのどどんぱの軌跡に似ている。これならスカラー波でも何でも受信できそうだ。むしろなんか送信できそうだ。

切り通し
4/30 切り通し。車が速く、渡るのが怖い。
変なアンテナ
4/30 桜堂山の登りにあった変なアンテナ。

 登りついた桜堂山1170mは狭いヤブのあるピークだが、東側の展望が良い。手前に高岩、奥に裏妙義、表妙義が控えており、中国の桂林のようだ。なかなか登高意欲をそそられる。妙義山はいつか行ってみたい。

桜堂山
4/30 桜堂山山頂。東側の眺めが良い。
妙義山
4/30 桜堂山から見た妙義山。

 桜堂山から少し下り、1169.1m三角点峰に登り返して入山峠に下る。道はないがヤブがないので歩きやすい。また群馬側が急な斜面になっているので道を間違えることもない。ただ、1169.1m三角点峰の下りで二重山稜があり、誤って群馬よりを歩いてしまった。入山峠に出るあたりで茶色の林に咲く、コブシかなにかの花を見た。

 入山峠から矢ケ崎山へ向かう。入山峠には碓氷バイパスの旧道のような車道がバイパスに絡むようにあり、いったんその車道に出る。現在は工事中で砂利敷であった。そこから矢ケ崎山へ向かう未舗装の道路のようなものを見つけ、これは楽できるかもと期待したが、道路はすぐやせ細り、踏み跡になって消えてしまった。登りついた1098m峰で一本。

入山峠
4/30 入山峠。
入山峠〜矢ケ崎山
4/30 入山峠〜矢ケ崎山の稜線。ヤブは薄く、平坦だが、群馬側がガケ。

 日差しが強く、疲れる。水もたくさん飲む。昨日荒船山一杯水でくんだ水ももう500mlほどしか残っていない。あと矢ケ崎山まで1本、軽井沢駅まで2本とゴールは近い。

 じわじわと矢ケ崎山に登っていく。途中地形図に示された「かまど岩」はよく分からなかった。おそらく崖下の群馬側から見るとよく分かるのではないだろうか。矢ケ崎山の南面は100mくらいの急な登り。馬側には岩が見え、矢ケ崎山の登りも岩が出ているのではないかと不安になるが、取り付いてみると岩はなかった。そのかわり、軽石のような火山岩がコロコロしていた。浅間山の噴火で飛んできたのだろうか。矢ケ崎山は傾斜が厳しいために、そのうち直登できなくなってくるので長野側に斜上する。矢ケ崎山西尾根に出たところはちょうどプリンスホテルスキー場の最上部であった。あとは西尾根をたどって矢ケ崎山1184.0m山頂に着く。

矢ケ崎山の登り
4/30 矢ケ崎山の登りは急なので西側へトラバースぎみに登る。
軽井沢の街と浅間山
4/30 矢ケ崎山から見た軽井沢の街と浅間山。

 ここまで来ると浅間山まで遮るものもなく、軽井沢の町と浅間山がよく見える。真北に鼻曲山も見える。南から見ると緩やかな山体だ。その手前には今回のゴールである碓氷峠。送電線が峠まで続いているので道もありそうだ。山頂には「安中の山に登ろう会」の設置した看板があった。ここで水をすっかり飲み干し、最後の1本を歩き出す。

 下り道は山頂三角点から少し南に戻ったところから長野側に下る。急な道を下っていくとスキー場に出た。つい歩きやすいスキー場の方へ行くと人工雪の融け残りがあった。15cmほど積もっているがもう汚い雪だ。それでも今回の山行で唯一の雪だ。

 道を少し誤ってしまったので送電線塔に向かって直接下る。送電線塔に出たところから道が続いていたのでそれに従って下る。途中2回ほど小さな登りも加えながら碓氷峠に出た。時刻は12:22。ちょうど休んでいたライダーの方に写真を撮ってもらった。

矢ケ崎山〜碓氷峠
4/30 矢ケ崎山〜碓氷峠への道。
碓氷峠
4/30 碓氷峠に下山。

 というわけで今回の30kmほどの県境縦走もこれにて終わり。あとは国道18号線をぺたぺた下って軽井沢駅に出た。歩いていたら観光客のおじさんに声をかけられて「これからどこ行くんですか?」と聞かれた。確かにこのあたりで登山者は珍しいだろう。もう下山したことを告げて別れた。車道に出ると日差しが一段と暑い。車道からは矢ケ崎山がよく見えた。12:50、軽井沢駅到着。山行終了。

 新宿までの切符を買い、峠の釜飯を買い込んで新幹線に乗って帰京した。3連休最終日にも関わらず、時間が早かったからか座ることができた。

おわりに

 無事予定通り大上峠から碓氷峠までの縦走を終えることができてよかった。ルートファインディングとヤブ漕ぎのレベルは三国峠〜大上峠より一級落ちる気がするが、それでもけっこうつらかった。なんにせよ天気に恵まれたのは良かった。

 これで群馬県の県境稜線で西上州の領域(塚山〜三国山〜荒船山〜碓氷峠)はすべて歩いたことになる。この先も続けて距離を伸ばしていきたい。

(2007年4月30日〜5月6日記す)


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