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2007年秋 - 奥鬼怒・金精峠〜物見山[2/2]


2007年10月6日(土)〜7日(日)
場所
栃木県日光市(含、旧・塩谷郡栗山村)、群馬県利根郡片品村/奥鬼怒
コース
5日
新宿駅=栗橋=東武日光駅(泊)
6日
東武日光駅=湯元温泉バス停…金精峠…念仏平避難小屋…湯沢峠(泊)
7日
湯沢峠…燕巣山…物見山…大清水バス停=沼田=新宿
参加者
単独行
天気
6日、7日とも晴れ
参考文献
07奥鬼怒・燕巣山の地図

2日目

2007年10月8日(日) 快晴

湯沢峠…燕巣山…物見山…大清水バス停=沼田=新宿

コースタイム
湯沢峠4:50起床
5:50
2045m峰6:35
6:40
2083m峰7:24
7:35
「湯沢峠>」の看板8:09
燕巣山8:40
9:05
2100m峰10:01
10:16
2098.7m三角点峰10:42
2098.7m
三角点峰先
10:55
11:03
2091m峰11:31
11:48
物見山手前1990m鞍部12:09
物見山13:04
13:24
湯沢徒渉14:20
14:27
車道終点14:37
大清水バス停15:02
15:08

 4時に起きて5:30ごろ出発したかったが4:50に起きた。まあよく眠れたし、寒くて外に出たくなかったのでよしとする。シュラフにくるまっていればそんなに寒くもなかった。5:50に出発する頃にはすっかり明るくなっていた。

07奥鬼怒・燕巣山の地図

↑この地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図(三平峠)を使用したものである。

 まずは2045m峰手前の鞍部に下る。濃い笹ヤブを登ってヤブの薄い道を下る。湯沢峠から赤テープが登場し、見つけられるところでは頼りになる。下りきってから2045m峰までいきなり95mの急登である。朝の一本目にはかなりつらい急登で眼前はしじゅう笹。笹を分けては踏んづけて登る。東の空には根名草山とうろこ雲が見えた。今日も天気はよさそうだ。約40分の登りで2045m峰にたどり着いた。2045m峰付近は平坦で笹ヤブも薄く歩きやすい。とりあえず北側の急な斜面のきわに出る。例によって背中に栂の枯れ葉が入るのでシャツからかき出す。今日は休むたびにかき出し作業をしていた気がする。

2045m峰の登り
10/7 2045m峰の登り。急斜面の上、笹が生い茂っていて登りにくい。
2045m峰の山頂付近
10/7 2045m峰の山頂付近。平坦で笹が薄い。

 2045m峰から平坦な稜線を行く。笹ヤブが行く手に生えているが、平均して腰くらいの深さでそんなにつらくない。しかし、2083m峰に登るところから背丈を越えて歩きにくくなる。その上、笹が夜露に濡れていてシャツも下に履いているジャージもぐっしょり濡れてしまった。平坦な2083m峰を過ぎて下り始めるところで一本とる。体はびしょぬれで寒い。指先も冷たい。ほどほどに休んで先を行く。

物見山と鬼怒沼山
10/7 2045m峰を過ぎて遠くに物見山と鬼怒沼山が見える。
2083m峰の登り
10/7 2083m峰の登り。笹は背丈ほど。露で笹が濡れていてびしょ濡れになる。

 2083m峰の下りはヤブが薄く、楽に歩ける。ときどき踏み跡らしきものもある。鞍部の丸沼から沢が伸びているあたりでは眺めの良いガケになっていて丸沼と笠ガ岳が見えた。丸沼温泉の建物も見える。でも向こうから私は見えないだろうななどと思う。

2083m峰の下り
10/7 2083m峰の下り。ヤブは薄い。
燕巣山の登り
10/7 燕巣山の登り。何となく踏み跡がある。

 ヤブはあるが概して南側がヤブが薄く、南側にルートをとりながら進む。また、地形図では2083m峰先の鞍部から緩やかな登りが続くように見えるが、実際には小ピークが3つほどあり、現在地がつかみづらい。地形図に載っていない最後の鞍部を過ぎて燕巣山の登りに取りかかる。やっぱり南側に踏み跡がところどころあり、できるだけ踏み跡をたどる。だいぶ登って少し平らになったあたりでなぜか「湯沢峠>」と書かれた看板が出現する。ここまで湯沢峠を示す看板はなかったのにずいぶんと唐突だ。そのあと踏み跡をたどり、踏み跡がなくなると背丈を越える笹ヤブを漕ぐと燕巣山にたどり着く。看板から20分。今回の山行の目的地でもあり,数少ない名のあるピークだ。ここで大休止をとる。

「湯沢峠>」の看板
10/7 「湯沢峠>」の看板。湯沢峠〜燕巣山間でこの1つしか見なかった。
燕巣山山頂
10/7 燕巣山山頂。

 天気はよく、登ってきた笹原の向こうに白根山がよく見える。四郎峠・四郎岳方面は刈り払いがあってこれなら楽に登れそうだ。これから向かう物見山方面に目を向けるとわずかな踏み跡の先に笹原の下り斜面があり、その先に鬼怒沼の湿原が見えた。道がついていれば3時間ほどであの湿原にたどり着けるのだろうなと思いながら地図を見る。物見山まで速くて4時間、標準で5時間といったところだろう。

鬼怒沼山を眺める
10/7 燕巣山の北斜面から鬼怒沼山を眺める。手前に2098.7m三角点峰のザレ。
燕巣山の北斜面の笹原
10/7 燕巣山の北斜面の笹原。左手群馬側がヤブが薄い。

 燕巣山で25分じっくり休んでから出発。踏み跡はすぐになくなり笹に没する。鬼怒沼方面の展望を望む人が往復するだけのようだ。はじめは展望があってよい。2098.7m三角点峰の南側斜面には滑り台のように落ちるザレがあり特徴的だ。下りは胸ほどの深さの笹ヤブだが、足下が見えないのでつるつる滑る。何度かこけながら歩くうちに群馬側のヤブが薄いのに気づき、群馬側を下る。

07奥鬼怒・燕巣山の地図

↑この地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図(三平峠)を使用したものである。

 2130m峰の登りでは群馬側の踏み跡をたどることができる。2130m峰で群馬側に小尾根を分け、下りになると笹がかぶってくる。2100m峰の登りに取りかかるとシャクナゲのヤブが濃い。群馬側を歩くが,群馬側も栂のヤブになったり、傾斜が急になったりして歩きにくい。稜線を歩いていると露岩もあり、木をつかみながら下ったりもした。なんとか2100m峰にたどり着いて一本とる。燕巣山〜物見山の距離にして1/3くらいか。思ったより進むので気をよくする。

一の滝
10/7 2130m峰の登り。群馬側は何となく踏み跡がある。
2098.7m三角点峰の登り
10/7 2098.7m三角点峰の登り。露岩を左から巻く。急な登り。ヤブも深い。

 次は下って2098.7m三角点峰。樹間から三角点峰が見えるが何だか遠く見える。三角点峰まではいろいろと厳しかった。下りはそこそこヤブが濃い。登りに取りかかると白い露岩にぶつかる。これはちょっと登れない。左へトラバースし、露岩の隣のルンゼからはい上がる。等高線でも分かる通り、かなり急な登りだ。木がなかったら登れないかもしれない斜面を這うように登る。でも木があったらあったでかなり邪魔だ。やっとなだらかになってくると赤い実のついているトゲのないカラタチのような低木が行く手をさえぎる。泳ぐようにしてヤブを越えると2098.7m三角点峰。傾いた三角点が迎えてくれた。三角点のところだけ1m2くらい広くなっている。展望もあり、根名草沢をはさんで根名草山と大嵐山が見えた。

2098.7m三角点峰山頂
10/7 2098.7m三角点峰山頂。傾いた三角点が迎えてくれた。
2091m峰の登り
10/7 2091m峰の登り。ヤブは薄い。

 だいぶつらい登りで一本とろうかと思ったが、歩行30分、水平距離300mほどとまだそんなに進んでいないので先を行く。しばらく下りだから何とかなるだろう。幸い三角点峰の先はヤブが薄い。三角点峰すぐ先の2100m峰あたりで靴ひも結び直しと背中の枯れ葉除きで軽く休む。

 地形図上、三角点峰の先はゆるく下りになっているが、実際には小さな登り下りであまり下っている感じはしない。それでもヤブが薄い分、歩きやすい。2091m峰の登りになってもヤブは薄く、比較的楽に山頂に着いた。鬼怒沼湿原の台地も近くに見える。物見山も見えないが近いはずだ。

2091m峰からの下り
10/7 2091m峰からの下り。踏み跡あり。
物見山手前1990m鞍部
10/7 物見山手前1990m鞍部。笹ヤブに覆われている。右に一里沢が近いはずだが確かめていない。

 2091m峰からの下りはだいたい踏み跡があるが、2040m付近で笹が深い。物見山手前1990m鞍部も笹が濃い。東へ水平距離で150mも下れば一里沢の源頭だが、笹ヤブがうっとおしくて探しに行く気が起きない。物見山へ登る。

 物見山の登りは長かった。前半はただ長いゆるい登り。ときどき急な登りもあっていよいよ物見山山頂の登りかと期待させるが、すぐゆるい登りに戻ってしまい気をもませる。はじめは笹の中に踏み跡があるが、そのうち踏み跡はなくなる。後半は山頂の急な登り。背丈を越える笹ヤブでかなり厳しい。あえぐように登っていく。いつまでたっても山頂に着かない苦しみはヤブ漕ぎでも最も苦しい。

物見山の最後の登り
10/7 物見山の最後の登り。背丈を越える笹で苦しい。
物見山山頂
10/7 物見山山頂。予定の県境縦走はこれにて終わり。

 そんなラスボスにふさわしい物見山も傾斜が緩やかになり、山頂に着いた。これで無事念仏平〜物見山の県境縦走は終了である。4度目の挑戦にしてやっと達成することができた。疲れと達成感から地べたに大の字になって寝そべる。

 物見山は静かな山頂で人がいない。名前のわりに展望も悪く、北東方向が少し見えるだけだ。計画では鬼怒沼の巡視小屋に一泊して下山することになっているが、明日は天気が悪そうなので今日のうちに下ることにする。物見山からの下山路には女夫渕温泉への道と片品村・大清水への道があるが、後者の方が短いので、大清水に下る。これまで遠くから眺めてきた鬼怒沼の湿原を散策したいが、沼田行き最終バスの時刻が2時間半後の15:50なので鬼怒沼の散策はカットする。

 物見山で休んでいると鬼怒沼方面から単独行の人がひとり歩いてきた。何でも大清水から日帰り往復だそうだ。エアリアマップでは鬼怒沼巡視小屋までの往復で7時間40分、標高差950mとけっこうつらいと思うのだがそういう人もいるもんだ。

 物見山新道の名前のついた大清水への下り道はずっと急な尾根道。ときどき燧ヶ岳の双耳峰や四郎岳から燕巣山、物見山に至る稜線が見える。まわりの山より低くなってくると少し登りがあって湯沢の渡渉点に出る。大木が倒れて沢を横切っているので、まさかあの上を渡るのかと思ったらすぐ下に小さな橋があった。でも出水すればすぐ流されてしまいそうだ。

 湯沢を渡り、よく整備された道を下れば大薙沢出合で車道終点。車道をたどって大清水バス停。到着は15:00、物見山から1時間半で着いた。すぐ沼田経由上毛高原行きのバスが来たのでそれに飛び乗った。

おわりに

 4回目にしてやっと天候に恵まれ、念仏平〜物見山間を縦走できた。達成感ともう行かなくていいという安堵感で二重にうれしい。

 ここを縦走しようという人はあまりいないと思うが、アドバイスとして日帰りで小分けに登った方がいいと思う。なぜならザックが大きいとヤブに引っかかるから。また水が手に入らず背負って歩くと重たいから。細かいルートの難易については本文中を参考されたい。

(2006年10月8日記す)


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