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2005年夏 - 奥多摩・日原川鷹ノ巣谷


2005年6月12日(日)
場所
東京都西多摩郡奥多摩町/奥多摩
ルート
JR青梅線奥多摩駅=東日原バス停…鷹ノ巣谷遡行…鷹ノ巣山…稲村岩尾根…東日原バス停=JR青梅線奥多摩駅
参加者
中山(M2), 辛島(B1), 栗山(B1)

奥多摩・日原川鷹ノ巣谷の地図

はじめに

 5月14日に奥多摩・川苔谷逆川を登って以来、カゼひいて調子が悪かったので久しぶりの沢登りになる。どこにしようか考えて、初級の鷹ノ巣谷を登ることにした。沢登り初めての栗山もいるし、アプローチも近いし、人気度も高いので遡行を楽しめるだろうと期待した。実は去年の秋に登ろうとしたが、寒くて当日に奥多摩駅の裏の除ケ沢に変更した経緯もあってこの沢を知っていた。

 実際に来た辛島、栗山のほかに澤と菊地が来る予定だったが、2人は来られず、3人の小パーティーで登ることになった。

日帰り

2005年6月12日

JR青梅線奥多摩駅=東日原バス停…鷹ノ巣谷遡行…鷹ノ巣山…稲村岩尾根…東日原バス停=JR青梅線奥多摩駅

コースタイム
JR青梅線奥多摩駅8:23
8:30
東日原バス停9:00
鷹ノ巣谷出合9:17
9:35
700m付近10:35
大滝下10:55
大滝上11:05
11:08
水ノ戸沢・金左小屋窪出合11:35
1150m付近12:20
12:30
1651m峰13:43
鷹ノ巣山14:00
14:32
東日原バス停16:00
16:17

 前日、澤からカゼひいて行けないことを伝えられる。この日は飲み会で辛島と栗山は出ていたようだった。私は家にいて翌週の大雲取谷の計画書を作っていた。翌朝始電に乗るために4時に起きなければならなかったのだが、その日正午まで寝ていたせいでなかなか寝つけなかった。

 7時に立川まで来て辛島と栗山を発見する。菊地はどちらも見ていない。しかも昨日は実家に帰ったという。念のためにメールを出してみると、やっぱり実家にいたままで沢登りには来られないと言うことだった。結局3人で登ることになる。奥多摩駅でバスに乗ると2台同時発で出ているにも関わらず、かなり混んでいた。川乗橋バス停まで堪えてあとは東日原までのんびり行く。

 終点東日原バス停で下車。ほとんどは鷹ノ巣山ないし三ツドッケに登ると思われる集団だったが、一人だけヘルメットを持ってきている人がいた。帰りのバスを確認したり、トイレによったりして出発。10分ほど日原鍾乳洞への車道を行き、稲村岩の見えるあたりで登山道に入る。私は下山用にスニーカーを用意していたのだが、巳ノ戸橋までに泥になっているところがあり難儀した。日原川にかかる巳ノ戸橋を渡り、日原川に沿って50mほど下ると鷹ノ巣谷出合

 沢タビやヘルメットハーネスなどを装備する。装備しているとバス停で見かけた単独行の人がやってきた。この人も鷹ノ巣谷を登るらしい。この日曜日、おとといまで予報では雨だったが、ときどき晴れ間の差すくもりでほどほどに暖かく沢日和となった。単独行の人と晴れてよかったと話し、先に出発する。

 いきなり小滝が連続する。はじめは地蔵の滝10m。どれだか分からなかったが、できるだけ水流に沿って登っていった。この辺で単独行の人に先をいってもらう。堰が現れると右から越える。しばらくワサビ田のある河原を歩く。途中で蛇を発見し撮ろうと思ったが、だんだんと草の中に隠れ、ついにはワサビ田の石垣に入ってしまい撮れなかった。

稲村岩と出発写真
6/12 鷹ノ巣山登山口にて稲村岩と出発写真。
最後の水場
6/12 鷹ノ巣沢入渓。巳ノ戸橋を渡り日原川を50mほど下ったところ。

 1年生2人のスピードがなかなかのものでまた単独行の人に追い付きそうになる。シャワークライミングするところがあり、単独行の人がちゅうちょしていたので、ここで先を行かせてもらう。でもそのあとの滝で直登しようとして手こずっていた私達を抜いていった。ちょうど残置ロープが下がっているあたりである。

 やがてゴルジュ。入口の淵では腹まで浸かってしまう。直前にカメラをウエストポーチからザックに避難させていた私はここでウエストポーチのファスナーを開けたままにしており、中に入っていた地図と記録帳を流されてしまった。幸いすぐ気がついたのですぐ取りに戻ると淵のよどみ点にジップロックの袋に入ったままプカプカ浮かんでいた。もっともかなり使い古したジップロックなので中は濡れてしまった。また2度腹まで濡れたのが寒かった。

水の中に入っていく
6/12 果敢に水の中に入っていく一年生たち。
鷹ノ巣沢最大水深
6/12 鷹ノ巣沢最大水深だった淵。腹くらいまで沈む。

 ゴルジュを突破するあたり標高700m付近でで右から枝沢が下っていた。辛島と栗山に現在地確認させる。栗山は初めてなので慣れないようだったが、辛島は何となく分かってきているようだった。ゴルジュを終えて大滝。遠くからも見える立派な滝である。

 大滝は2段20m。圧倒するような高さである。追い付いたのか待っていたのか単独行の人がおり、いっしょに登りませんかという。いいけど、いっしょにってどういうことだ?考えていると今度はウエストポーチをどこかに置き忘れていることに気がつき探しに戻る。これも大滝の写真を撮ったあたりですぐ見つけられた。戻ってみると単独行の人が「トップで登ってザイル出しますよ」という。いっしょにってそういう意味か。申し訳ないけど、先方の判断に任せることにする。

大滝全景
6/12 大滝全景。2段20m。けっこう迫力のある滝。
大滝登攀中
6/12 大滝登攀中の辛島。登ってみるとスタンスは広く、思いのほか簡単に登ることが出来た。

 単独行の人はすいすいと驚くほどのスピードで登っていく。下段を登りきるあたりで振り返って「楽勝ですよー」と。下から見ている分にはとてもそう思えないのだが。単独行の人は上段も軽々と登り、ザイル出しますかーと叫んでくれた。「お願いしまーす」と叫び返す。が、辛島がアスレチックにとりかかる感覚でノーザイルで取っ付く。単独行の人がザイルをほぐしはじめる頃には下段を登り終えていた。どうやらザイルはいらないようなので辛島経由でザイルを出さなくてけっこうと伝えてもらう。続いて栗山も難なく登ってしまった。単独行の人にはここであったのが最後だが、いろいろと迷惑をかけてしまったようで一言ありがとうございましたといっておきたかった。しかし、鷹ノ巣山山頂にも東日原バス停にもおらず結局会うことはできなかった。

 大滝を登り、今日の核心部を越えたので一本とる。直登が難しい場合は左岸のルンゼから登るらしいが、周りを見ると登ったはいいものの、トラバースが難しそうだった。この大滝の登りで思ったが、1年生2人の登攀意欲というか物おじせず滝にとりかかる様子には驚いた。ここ以外でもすすんで水の中を登っていくし、いい姿勢だと思う。

大滝上段を登る
6/12 大滝上段を登る栗山。下段と大して変わらない難易度だった。
水ノ戸沢・金左小屋窪出合
6/12 水ノ戸沢・金左小屋窪出合。ガイドブックによると金左小屋窪の方がヤブがましなようなので金左小屋窪を登る。

 体も冷えはじめてきたころに出発。しばらくで水ノ戸沢・金左小屋窪出合。金左小屋窪がガレており明るく開けている。水ノ戸沢はヤブこぎが激しそうなので左の金左小屋窪を登ることにする。これを登っていくと今度は赤ナギ窪の出合。右の金左小屋窪へ向かう。金左小屋窪もワサビ田の跡のある沢で割と平和な沢。

 金左小屋窪に入ってから珍しいものを見かける。岩の穴から水がこんこんと湧き出している。1枚の岩であり、ただの亀裂しかなく、どこから水が入っているのか大変疑問だ。とにかく水道のようにじゃぶじゃぶと水を吐き出しているその岩は不思議なものだった。

岩から水が!
6/12 岩から水が流れ出していた。めずらしい。
金左小屋窪の滝
6/12 金左小屋窪に入ってもいくつか滝がある。

 金左小屋窪にもいくつか滝がある。ここにのっけた写真があるが、水量はなかなか減らずそんな中を栗山も辛島も登っていく。ある滝は辛島が直登しようと試みたが、ホールド、スタンスとぼしく、木が挟まっていて結局登れなかった。5分くらい辛島も奮闘していたが、さすがに諦めて右から巻いた。そのへんから辛島のペースが落ち、栗山がトップ、辛島と私で平行して登った。

 水流がなくなるところで一本。辛島はザイルを背負っているだけでなく、家で汲んできた2リットルのポリタン2つが効いているようだった。水はもういらんから500mlだけ持っとけといい、捨てさせる。この水は日原川を流れ、多摩川を流れ、羽村堰で採水されて、浄水場でろ過・消毒され、水道管を経て、また辛島の家の蛇口にたどり着くことだろう。何なら辛島のザックと交換するか、と聞くと、いやこのままでいいです、とのことなので本人の意志を尊重する。

挑戦中
6/12 辛島、手がかりの少ない滝に挑戦中。けっきょくザックがひっかかって登れなかった。
水が涸れて
6/12 水が涸れそうな所で一本。すぐ水は無くなり、長いツメがはじまった。

 登り始めてすぐ水は消え、1250m二俣。本流の右をとる。ここで鹿のあご骨を見つけ、みんなでおびえる。骨に歯がついており、生々しかったのだ。そのあと、足と思われる骨があり、なんかの動物の毛が散乱しているところがあり、ここで鹿か何かが死んだんだな、とわかった。沢筋を忠実に登るつもりだったが、気がつくと1355m地点のある尾根に取り付いているようだった。左手に確かな谷がある。あとは尾根をたどるだけだが、笹がうすく生い茂っており、尾根に出るまで傾斜もそこそこあった。尾根に出ると仕事道か何か分からないが、踏み跡を見つけこれを登っていく。いったん平らなところがあった後、また登り返し。地形から場所が分かる。

 1651m峰東にあるわずかなくぼ地は笹が少なく、ここを登る。辛島はだいぶ疲れており、しばらく歩いて立ち止まるを繰り返す。くぼ地が二俣に分かれるところで左をとる。トップを務めている栗山が道を見失うが、左手の尾根に道を発見、登っていくと石尾根の稜線にたどり着いた。道についたら雄叫びをあげて、という私の指令通り、栗山から「うおー」という声が聞こえてきて私も辛島もだいぶ安心した。辛島が石尾根に出たところはまるでグリコのポーズだった。

1651m峰に出た
6/12 左岸を登り、1651m峰に出た辛島。1時間強のツメでだいぶまいっていた辛島は元気を取り戻した。
鷹ノ巣山へ
6/12 1651m峰から鷹ノ巣山へ。

 石尾根に出たところで一本とらず、上の鷹ノ巣山まで登って大休止とする。道に出て元気を取り戻した辛島だが、途中で足の筋肉が張ってきてつりそうと訴え、一時停止。といっても栗山にも私にもできることは少ない。山頂がもう見えるあたりということもあって楽になったら登ってこい、といって私が自分のザックと栗山のザックをダブルザック、栗山が辛島のザックを背負って上まで登った。頂上について勝手に一本とる。沢タビを脱いだりしてくつろぐ。鷹ノ巣山山頂には沢を登ったと思われるパーティーが1つ、ハイキングの中高年が2パーティー。残念ながら黄色いザックの単独行の人はいなかった。私達が山頂につくと沢登りのパーティーがちょうど日原に下るようだった。やはり鷹ノ巣谷だろうか。そんな山頂の様子を見ていたら辛島がやってきた。笑顔で無事そうだ。全員でくつろぐ。

足がつりそう
6/12 「足の筋肉が張ってつりそう…」辛島の足の調子がよくないのでストレッチしてやる栗山。
鷹ノ巣山到着
6/12 鷹ノ巣山到着。山頂はすぐそこだったので、辛島のザックをダブルザックで運び、待っていたら辛島がやってきた。
集合写真
6/12 集合写真。山頂にいたおじさんに撮ってもらいました。

 最後に山頂で3人の集合写真を撮って稲村岩尾根を下った。急な尾根で土が滑るところが多い。ひとり2回くらいずつこけた。山頂で見かけた沢登りパーティー以外にもヘルメットを持っているパーティーがもう一つあったので、今日は鷹ノ巣沢に私達を含めて3,4パーティー入っていたのだろう。やがて稲村岩にぶつかると、左から巳ノ戸谷へ下り、稲村岩を巻いて巳ノ戸橋。ここまでくれば安心と来た道をたどって日原の集落にたどり着いた。途中水が湧いているところで各自水をのみ、こけて汚れた手を洗い、バス停へ向かった。16:17のバスは2台出て無事座ることができた。私は東日原のバス停のトイレで着替えたが、1年生2人は風呂に入らないと着替えたくないというので着替えなかった。奥多摩駅で別れ、1年生は風呂を探して入るといっていた。私は奥多摩駅16:52発ホリデー快速新宿行きに急ぎ、すっかり熟睡して新宿まで運ばれた。

 辛島も栗山も好評価を下し、私も楽しめたいい沢だった。2人とも物おじせず果敢に滝を攻めていく姿は私も見習うところがあった。

(2005年6月12日記す)


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