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2005年夏 - 奥多摩・大雲取谷[1/3]


2005年6月18日(土)、19日(日)
場所
東京都西多摩郡奥多摩町/奥多摩
ルート
6月17日
JR青梅線奥多摩駅=(タクシー)=日原渓流釣場…八丁橋…日原川林道900m付近(泊)
6月18日
日原川林道900m付近…富田新道入口…大雲取谷遡行…小雲取谷出合…1400m二俣(遡行終了)…大ダワ…雲取山…小雲取山…小雲取山・1845m峰鞍部(泊)
6月19日
小雲取山・1845m峰鞍部…小雲取谷下降…小雲取谷出合…大ダワ林道…日原川林道…東日原バス停=(バス)=JR青梅線奥多摩駅
参加者
中山(M2), 澤(B1), 栗山(B1), 植松(B1)

奥多摩・大雲取谷の地図

はじめに

 予定では6月の始めに丹沢の水無川流域に行き、土日で2本の沢を登ろうと思っていたのだが、ばやぼやしているうちに6月も真ん中を過ぎてしまった。合宿をにらむとあんまり悠長なこともしていられないのでここで沢の中で一泊と沢の下降を行っておくことにした。

 場所は奥多摩か奥秩父を考えた。奥秩父だと下降に使える短めの沢がないので奥多摩にした。その中でも私が行ったことがなく、人気の高い沢である大雲取谷を登ることにした。下降には小雲取谷を使うことにした。ここだと大ダワ林道がエスケープに使えるので都合がよい。

 メンバーは筆者中山+荒井+1年生全員の7人を想定していたのだが、辛島と菊地は都合が悪く、荒井はカゼをひいてしまい、4人で行くことになった。

0日目

2005年6月17日

JR青梅線奥多摩駅=(タクシー)=日原渓流釣場…八丁橋…日原川林道900m付近(泊)

コースタイム
JR青梅線奥多摩駅22:05
22:10
日原渓流釣場(小川谷橋)22:33
22:37
八丁橋23:00
日原川林道900m付近23:25
23:42

 7時に部室に集まる。ちょうどみんなパッキングをしているところだった。私も少し調整してから出発。溝の口駅で植松と合流しJR南武線に揺られる。そこそこの込みで立ちながらフランクル「夜と霧」を読み終える。立川で青梅線に乗り換え。この時間は奥多摩行きは少なく青梅乗り換えになる。青梅から奥多摩まではみんな寝ようと努力したが熟睡はできなかったようだ。

 奥多摩駅について京王タクシーを捕まえて日原川林道に向かう。すでにバスはなく、また今日のうちに入渓点近くまで入っておきたいからだ。「日原川沿いに入れるところまで」というと「あー、じゃ日原鍾乳洞までだな」と言われる。それじゃバスの終点ではないか、全然短縮にならないと思う。何でも死体遺棄事件と強盗事件があったから警察が林道のゲートを閉めているとのことだ。タクシーは大型のバンのような車だった。聞くと最大で8人乗せたことがあるとか。

 天祖山登山口の八丁橋あたりまで入ってくれるかと期待したが、ぜんぜんだった。小川谷橋を渡り日原川に沿って200mほどの日原渓流釣場で降ろされた。「すぐ先にゲートがあるから」ということだった。奥多摩駅から3220円。

 おとなしく歩き始める。私は最近買ったヘッドランプを初めて使った。発光ダイオードを用いたもので明るさは電球の比ではない。また発光ダイオードなので電池の減りも遅いらしい。電球のオーソドックスなヘッドランプを使う1年生はその威力に驚いていた。歩き始めるとなんだか霧雨が降ってきて嫌な感じだ。私だけサンダルで歩き始めると日原川を左岸から右岸に渡る伊勢橋のあたりで水たまりが多くなり困る。

 八丁橋の手前、右手に採石場への道を分けたあたりで右手に赤いランプが見えた。車のテールライトのようだが、一つしか見えない。ちょうどタクシーの運転手がバラバラ殺人の話をしたあとで少し恐くなる。

 八丁橋を渡るとゲートがある。が、ゲートは開いていた。「閉じているから入れない」と言ったタクシーの運転手にぶつぶつ文句を言いながら歩く。八丁橋のあとは左岸がガケで落石の危険があるため、テントを張れる適当なところがない。八丁橋を渡って25分歩いたカーブの所にテントを張って仮眠をとった。

1日目

2005年6月18日

日原川林道900m付近…富田新道入口…大雲取谷遡行…小雲取谷出合…1400m二俣(遡行終了)…大ダワ…雲取山…小雲取山…小雲取山・1845m峰鞍部(泊)

コースタイム
日原川林道900m付近4:50起床
5:20
入渓点(富田新道から)6:10
6:30
長沢谷出合6:55
第二崩壊地+泳ぎ7:45
権衛谷出合8:05
1100m付近9:15
9:30
小雲取谷出合9:50
1310m付近
8m二条滝
10:50
11:15
三俣11:40
11:53
日向窪・大ダワ林道交差点
(遡行終了)
12:05
12:23
大ダワ13:05
13:15
雲取山14:07
14:35
小雲取山・1845m峰鞍部15:02
18:00就寝

 夜中、2台ほど車が横を通った。シュラフカバーの中でまどろみながら大雲取谷に行くのだろうかと考えた。下がコンクリートでけっこう寒かった。

 翌朝4:50起床。予定は4:30だったが私が目覚まし代わりの携帯電話をセットした際に「平日」というオプションを付けていたため携帯電話は鳴らなかった。おとなしく起きてテントをたたむ。けっこう明るい。

 歩き始める。前日は真っ暗な中歩いていたのでどこだかわからない。しかし明るくなっても谷の下で地形はつかみにくい。富田新道の入口までそう遠くないだろうと思っていたが、50分かかってしまった。富田新道入口から日原川に下っていく。やがて沢が3つに分かれるところに出て、富田新道は北の沢を吊り橋で渡る。地形図で調べるとこれが目的の大雲取谷だった。手前の左岸から河床に下る。

 下ったところは狭いゴルジュでわずかに河原がある。この河原でハーネスやヘルメットを装備する。上流を見ると凹字になったゴルジュが待ち構えており、険悪そうな雰囲気が感じ取れる。また水は冷たく遡行意欲を減衰させる。沢登り初めての植松は明らかに道ではないところを登ろうとしていることに不安を感じているようだったし、沢登り2回目の澤と栗山はやる気のようだった。出発写真を撮って遡行開始。

 この出発時に写真を撮ったが、写真を撮る際にカメラを「夜景モード」に指定しておくとスローシャッターになって暗いゴルジュでも明るく撮れることが分かり、今回の山行ではほとんど全ての写真を夜景モードで撮った。そしたらほとんどが手ブレしていた。扱いが難しい。デジタルカメラだから普通のオートで撮ってPhotoshopで調整した方がよいのだろうか。本格的にやるなら三脚が必要なのだろう。

富田新道から入渓
6/18 富田新道から入渓。いきなりゴルジュが控えている。
950mにある小魚留めノ滝
6/18 950mにある小魚留めノ滝。いきなり巻きを強いられる。右から。

 遡行を始めると沢は右に曲がっていきなり小魚留めノ滝が登場する。広い釜を持ち、滝までのアプローチが難しい。右から小さく巻いた。幸先悪いスタートだ。植松の沢登り不信感も高まっているように見える。もっともこのゴルジュでやっかいなのはこれだけで、しばらくで河原の長沢谷出合。地形図で場所を確認し、左の大雲取谷に入る。植松に地形図と方位磁針の使い方を教えたが、教えている途中であることを思い出す。植松はボーイスカウトに所属していたので地形図の読み方は知っているのではないか。「地図上の北とコンパスの北を合わせて、って知ってる?」「あ、はい知ってます」。なんかちょっと気まずいまま先を進む。

長沢谷出合
6/18 長沢谷出合。左が大雲取谷、右が長沢谷。
第一崩壊地
6/18 1000m崩壊地。沢のガイドにも載っている第一の崩壊地。

 大雲取谷に入ってから下ってくる単独行のおじさんを一人見かける。写真を撮りに来たのか首からカメラをぶら下げていた。軽く挨拶をかわす。やがて第一の崩壊地。ガイドブックや地形図で確認できる崩壊地は標高1000m付近の右岸に一つしかないが、あとでもう一つ崩壊地が出てくるので便宜上第一崩壊地と呼ぶことにする。第一崩壊地は川が広がっており、右岸から土砂が堆積している。ある程度見通しの利くところだ。

第二崩壊地下端
6/18 沢のようすが変わってきた。沢の中に流木が詰まっている。第二崩壊地のはじまり。
淵を発見
6/18 第二崩壊地を通り過ぎると淵を発見。

 第一崩壊地をやり過ごしまた暗い沢に入る。両岸迫ってきて右に曲がるあたりが大変なことになっていた。流木が積み重なり壁のようになって流れをせき止めている第二の崩壊地だ。ジャングルジムのような流木をくぐり抜けて上に立つと、そこは第一崩壊地に負けないほどの崩壊地だった。やはり右岸が崩れている。標高1030m付近であろうか。不安定な砂利の上を越えていくとそこには深い青緑の淵があった。どうやら崩壊によって流れがせき止められ、淵ができたようだ。その水深、足がつかないくらい。私は一人で「泳げ泳げ」とはしゃいだが、1年生は泳ぐことにショックを受けているようだった。その証拠になかなか泳ごうとしない。とりあえず息継ぎができるようにヘルメットをはずさせたり、ラッコ泳ぎの例を見せたりすると、先陣をきって澤が泳ぎ始めた。右岸に沿ってへつるように。といっても足はつかない。途中で休んでまた向かっていった。続いて栗山、何とか平泳ぎで泳ぐ。そして植松。3人とも水の中に入っていった。最後に私がラッコ泳ぎで向かっていった。5mほど行ったところで進まなくなり、調べるとザックのひもが流木の枝にひっかかっていてあせった。

泳ぐ
6/18 泳ぐ栗山。振り返ってみる澤。足がつかない。
淵を振り返って
6/18 淵を振り返って。泳ぐ距離は20mほど。途中で側壁をつかんでいった。

 淵の向こう側は泥が堆積しており、見た目では30cmほどの水深なのが足を入れてみると腰まで沈む。植松は泥の粘性のために出るのが大変そうだった。淵の上の岩の上に立って全員で興奮を語り合う。澤は一回頭のてっぺんの毛の先まで沈んだと言っていた。澤のザックは防水が施されており、見た目ほとんど濡れていなかった。最後に振り返って写真を一枚撮って去る。かなり体が冷えた。なお、植松の記憶はこの泳ぎのあとしばらく途切れ、雲取山山頂までワープしたことになっているという。さすがに沢登り初めてで泳がされるのはショックが大きすぎたか。

小滝
6/18 淵をやり過ごしてから寒いので休まず歩く。小滝を越えていく。

 しばらくゴルジュを歩く。ゴルジュの中で左に権衛谷が分かれる。滝がかかっており、倒木で塞がれたようになっていた。やがて沢が開け、明るくなってくる。太陽も昇ってきて木々に陽射しが当たっている。河原になっており、ところどころテントが張れそうだ。沢が左にぐるりと回るところは川幅が狭くなり、小さな滝がかかっている。トップの澤は右から水線沿いに突破したが、他は左の巻き道から向かった。

(2005年6月21日記す)


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