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2005年春 - 奥多摩・川苔谷逆川



2005年5月14日(土)
場所
東京都西多摩郡奥多摩町/奥多摩
ルート
JR青梅線奥多摩駅=川乗橋バス停…入渓点…逆川遡行…F6大滝…ウスバ林道…大ダワ…大根ノ山ノ神…JR青梅線鳩ノ巣駅
参加者
中山(M2)、荒井(B3)、澤(B1)、菊地(B1)、辛島(B1)、善養寺(千葉高3)、鈴木(千葉高2)、渡邊(千葉高2)
天気
くもり

川苔谷逆川の地図


はじめに

 ことの発端は昨年2004年12月23日に御前山に登りにいったとき、奥多摩駅で高校での後輩の善養寺に会ったことにはじまる。沢を登りたくないかと私から誘ったのではないかと思う。私は高校のとき沢登りをしたかったが、技術がなかったため諦めていた。そして大学に入ってから沢登りをやるサークル、ワンダーフォーゲル部に入ったのだ。同じ思いをしている人間がいないだろうか、機会がない為に諦めている人間がいないだろうかという私なりの思いから沢登りに誘ったのだった。幸い、善養寺の反応は上々で夏になったら沢に行こうと話がまとまった。

 そして2005年5月。沢のシーズンがやって来た。ゴールデンウイークの前から善養寺に連絡をとり、日程を決めた。始めは新入生もほとんど入ってこないだろうという読みから中山+荒井+千葉高生というパーティーを考えていたが、今年は3人の新入生を獲得したので彼らも連れていくことにした。計8人の近年ワンゲルにおいてはまれに見る大パーティーである。そして中山、荒井を除く6人が沢登り初めてという変わったパーティーになった。

 場所は千葉高生を連れていくことを念頭においていたので奥多摩にした。千葉からは丹沢より奥多摩のほうが近いのである。奥多摩の沢で初心者を連れていけるところを考えた結果、川苔谷逆川に決めた。初級〜中級の沢であり、ザイルを出さなくても登れそうだからだ。

 計画書はかなり前から書いておき、その後道具や防水の仕方など細かい指示をあたえた。ちょうどその週は水文・水資源学会のポスター発表に出す概要を書いており、忙しかったので前もって準備しておいたことが幸いした。

日帰り

2005年5月14日

JR青梅線奥多摩駅=川乗橋バス停…入渓点…逆川遡行…F6大滝…ウスバ林道…大ダワ…大根ノ山ノ神…JR青梅線鳩ノ巣駅

コースタイム
JR青梅線奥多摩駅9:15
9:30
川乗橋バス停9:45
9:48
入渓点で迷う10:15
10:30
川床でギア装備10:35
11:00
F1-11m11:15
11:35
650m付近11:55
12:00
F4-7m13:38
13:50
F6大滝14:10
14:43
熊野神社15:55
16:15
JR青梅線鳩ノ巣駅発17:20

 さて、当日。天気はくもりのち雨。気温は低め。沢登りするには良くない条件が揃ってしまった。でもいってみないと分からないので集合場所の奥多摩に向かう。新宿に停車していたホリデー快速奥多摩行きで3人固まっていた千葉高生達を見つけ、一緒に座った。ちょうど鈴木がx->0のときのsin(x)/xの極限が1と等しいことをはさみうちの定理を用いて善養寺に説明していた。なお、鈴木は2年生になったばかり、善養寺は3年生になったばかりである。奥多摩駅へつくまでの間に鈴木に「コルとかサドルとかってどういうところだ」と聞くと、「偏微分したときにどの方向もゼロで、2回偏微分したときに…」と答えていた。なんと不気味な高校生だろうか。

 ホリデー快速が終点奥多摩駅に着く。改札に向かう間に東工大ワンゲルの澤達を見つける。駅前はけっこう混んでおり、全員トイレに行かせてから集合、顔合わせ。始めはお互い他人なので別々のグループになっていた。懸念していた天気は晴れ間が見え、うまく予報を裏切ってくれた。奥多摩駅9:30発東日原行きは2本出たようで、2本目に座っていく。川乗橋バス停でほとんどが下車。着ているものを調整して出発。

 千葉高生達は2ちゃんねるなどのマニアックなネタで勝手に盛り上がり、1年生達はそれと別に話している。完全に2グループ化していた。川苔谷は木々に覆われており、現在地を把握しにくい。この車道をたどっていくとある百尋ノ滝にはすでに3度行っているが、毎回どこが下降点かわからないままであった。地形図と見える山のようすとコンパスから今回はだいたい現在地を掴むことができ、ガイドブックにあるカーブミラーと車1台駐車できるポイントにたどりついた。ただ確証が持てない。荒井を先に偵察に行かせ、善養寺を下らせて逆川出合があるかどうか調べさせる。どちらもはっきりした答えが返ってこない。ただこの先に逆川の谷の形が見えるところがあるのでそっちを見ることにした。行ってみると確かに谷の地形が分かるが、この先は行き過ぎであるので先ほど善養寺が下ったところに戻り、そこから川苔谷に下った。

逆川入渓点
5/14 逆川入渓点。逆川の場所がよくわからず、迷う。
出発準備完了
5/14 出発準備完了。左が菊地、右が澤。林道からの下降点でギアを装備したあと。

 下についてから荒井に逆川を探しに行かせ、残りにギアを装備させる。鈴木はハーネスが初めてでうまく履けていなかった。装備のできた者から荒井のいる出合に行ってもらう。11時出発、かなり遅い出発だ。はじめはみんなヒザまで水につかって「冷てえ」などとはしゃいでいた。

逆川出合
5/14 「冷てえ」。川乗谷の逆川出合でヒザまで浸かる。最近のワンゲルには珍しく、8人の多人数による遡行開始。
F1-2段11m
5/14 F1-2段11m。下段3mはヒザを濡らしながら登る。巻道は左岸。

 入渓してしばらくでF1-2段11m。パッと見ると登れなさそうだが、荒井が取り付いていき登っていった。8人パーティーと大人数なので直登組と巻き組に分けようと考え、善養寺を巻かせたがみんな滝に取りかかってしまった。F1下段はシャワークライムとガイドブックにはあったが、ヒザが濡れる程度だった。水量が少ないのかもしれない。上段は右から巻いた。上部はトラバースで滝の上に戻った。けっこう時間がかかったように思う。

F1上部
5/14 F1上部。右側から巻く。けっこう時間がかかった。
ゴルジュ帯
5/14 ゴルジュ帯。まだ寒いので巻きます。

 またしばらく歩いていくと隊列が離れて来たために先頭集団が一本取る。後ろもそれにつられて一本。すでに12時近く、けっこうあせる。全員一列になって登るので時間のかかるところはとことんかかる。自分の登りたいところを登るのがいいのであんまり口うるさくはいいたくないが、「前のやつと同じところを登る必要はないぞ」とハッパをかける。3筋に分かれた滝があり、そこで他人の肩を使って登るよう千葉高3人組にそそのかしたが、上の渡邊が次のスタンスを悠長に探し、下の鈴木が「重い」と言ってつぶれてしまった。そして夏ならば泳ぐ釜を左から巻き、その後のゴルジュも難なくこなす。泳ぐ釜がたくさんあるらしいが、顕著な釜は一つしか見なかった。やはり水量は少ないらしい。

 ゴルジュ帯最後の滝。水流沿いと右から巻きと2つルートがあった。水流には残置シュリンゲがあったが、上部でヒザをついてしまうと登りにくい。また、右の巻きは第一歩が出せず、誰かが肩を貸さないと難しい。水流沿いでは菊地と澤がヒザをついてしまい、固まってしまったが、何とか登った。巻きははじめに鈴木がトライ。善養寺の肩を借りて登った。善養寺は私の肩を借りて巻いた。しかし、辛島が単独で斜めのスタンスにうまく乗っかり、自力で右から巻くことに成功した。これはけっこう驚いた。私は無難に水流沿いを行ったが、上部は立つことのできる傾斜でホールドをつかめれば難しくなかった。

滝
5/14 ゴルジュ帯のあとにあった滝。水流沿いと右から巻きと2つルートがあった。水流には残置シュリンゲがあったが、上部でヒザをついてしまうと登りにくい。また、右の巻きは第一歩が出せず、誰かが肩を貸さないと難しい。しかし、辛島が斜めのスタンスにうまく乗っかり、自力で右から巻くことに成功した。
橋
5/14 大ダワ沢出合の下。造林用のものだろうか、橋がかかっていた。

 その後、大ダワ沢出合の下で橋がかかっていた。造林用のものだろうか。この先、どちらも道が続いているようには見えなかった。コンパスをきるとまだ東へ向かっており、なかなか進んでいない。けっこうあせる。大ダワ沢を分けると水流も細くなるが、地形図上ではまだまだ距離がある。善養寺と私で場所を選びながら登る。岩と岩の間に丸太がひっかかっており、これをつかんで私は登ったが、同じことをしようとした善養寺が丸太をつかむとぶらさがってしまい、あと5cm身長がほしいと嘆いていた。

 大ダワ沢出合ののちは順調に進み、トイ状F4-7m。上部を手足を突っ張って登る。一部は右から巻いていき、トップバッターの荒井を回りこんだ菊地がすくいあげていた。直登を試みる渡邊が途中で固まり、危なかった。善養寺は手足を突っ張らず、左の壁をうまく直登していた。その後少しで逆川F6大滝10m。右から登れるらしいが、すでに14時と時間がおしているので巻く。巻きは左の土の斜面からで岩がもろくぼろぼろ崩れていく。間隔をとって登る。前のやつが登る間、大滝を眺める。右から行くのだろうとか、あそこにテープ見えませんか、とか。水流の左に取り付いた善養寺が滑って落ち、くせえっと叫んでいた。F4ですっかり疲れた渡邊は勝手に休んでいた。

トイ状F4-7m
5/14 トイ状F4-7m。上部を手足を突っ張って登る。渡邊が途中で固まり、危なかった。
F6-大滝10m
5/14 F6-大滝10mと鈴木。右から登れるらしいが、時間がおしているので巻き。

 大滝を巻き終えるとウスバ林道に出た。川苔山西の肩と川苔山〜本仁田山最低コルの大ダワを結ぶ巻き道である。トップの荒井が大滝を登った直後のパーティーと会って話をしたところ、すでに逆川を登ったことのあるパーティーでこの先山頂までは大滝並みの悪い滝が続くので、大滝を巻くようなら下山した方がよいとアドバイスをいただいた。すでに14:30と遅いのでありがたく忠告に従うことにする。全員に沢タビを脱いで靴に履き替えるよう指示する。鳩ノ巣まで一本で下りたいのでここで水・行動食も全て摂っておくように言った。

靴に履き替える
5/14 ウスバ林道で沢タビから靴に履き替え下山。ちょうど大滝を登り終えたパーティーに出会い、この先難しい滝が続くことを聞き、下ることにする。時刻も14:10。
ウスバ林道
5/14 ウスバ林道をたどる。途中、造林中の裸地があり、トラバースにとまどった。

 ウスバ林道を大ダワへ向かう。意外と登りが多い。緩やかに登りながらトラバースしていく。やがて造林のためか木が全て切られて見晴しのよいところがあり、このトラバースが嫌らしかった。斜面が乾いた砂のようになっており、崩れる。ひとりひとり慎重に渡っていくと時間がかかった。ちょうど大ダワや瘤高山などの位置がよく分かるところで、千葉高生達は前の人間が行くのを待つ間、やまびこを聞いて楽しんでいた。このトラバースを終えると大ダワ

 大ダワから先は早足、ときどき走って下った。幸い、走れるようなところがあり、忍者のように枝をよけながら下った。止まれないところなんかがジェットコースターにも似ている。大根ノ山ノ神は7年ぶりに訪れたが、車道が西側から来ており、以前と全く変わっていた。さらに下り、鳩ノ巣上段の熊野神社に到着。社の下が小広くなっており、多摩川に向かって舞台のようになっている変わったところだ。ここで着替え、ソバ屋に入ってソバをおごって帰った。17:20発の列車で遅く出たので家には21時に着いた。もう少し早く出発すればよかったなと思う山行だった。でも全員沢登りにはそこそこ満足しているようだったのでよかった。

(2005年5月15日記す)


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