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2005年冬 - 西丹沢・大室山〜篭坂峠[3/3]


2005年1月8日(土)〜10日(月)
場所
神奈川県津久井郡津久井町、足柄上郡山北町、山梨県南都留郡道志村、山中湖村/丹沢
ルート
1月8日
JR中央本線藤野駅=神ノ川キャンプ場…鐘撞山…大室山…加入道避難小屋(泊)
1月9日
加入道避難小屋…白石峠…モロクボ沢の頭…畦ヶ丸往復…モロクボ沢の頭…城ヶ尾山…菰釣避難小屋(泊)
1月10日
菰釣避難小屋…油沢の頭…石保戸山…石棚の頭…高指山…切通峠…三国峠…三国山…大洞山…篭坂峠=JR御殿場線御殿場駅
参加者
中山(東工大ワンゲルM1)、荒井(東工大ワンゲルB2)、善養寺(千葉高山岳部2年)、鈴木(千葉高山岳部1年)
参考文献
「アルペンガイド11 丹沢」(山と渓谷社,2000)

西丹沢・大室山〜篭坂峠の地図

3日目

2005年1月10日

菰釣避難小屋…油沢の頭…石保戸山…石棚の頭…高指山…切通峠…三国峠…三国山…大洞山…篭坂峠=JR御殿場線御殿場駅

3日目コースタイム
菰釣避難小屋5:00起床
6:18
菰釣山1348m6:43
6:50
油沢ノ頭7:27
7:47
西の丸(石保土山)1297m8:42
大棚の頭分岐9:12
9:25
富士岬平10:00
高指山1174m10:15
切通峠10:34
10:45
三国峠11:49
12:00
大洞山13:13
13:31
篭坂峠14:28
15:10発車

 5:00起床。この日は8時間ほどの長丁場になるので自分で米を炊き、スピードを確保する。食べ終わった順に寝床を片付けてもらう。静かにやっているつもりだったが、2人さんを起こしてしまった。今度はテントもないので1時間と少しで出られた。

 夜は明けていない。まだ薄暗い中をヘッドランプをつけて歩く。しかし雪明かりも明るく菰釣山に着く頃にはヘッドランプはいらなくなっていた。天気はくもり。長く連なる稜線の向こうに山中湖が白く見えた。雲が低く、期待した富士山は見えなかった。せっかくなので、荒井の許可を得て「ピカチュー」と叫ぶ。菰釣山には気象観測の装置があり、荒井に研究室で山にも観測装置を置いているのか聞かれる。うちの専門は都市気象だから、という。しかし、こんな山の中に置いてデータ回収が大変だなと話した。簡単に体温調整だけして、先へ進む。

菰釣山から大棚の頭方向
1/10 翌朝、天気はくもりだった。菰釣山(こもつるしやま)山頂から大棚の頭方向を望む。奥に山中湖が見える。
菰釣山から下る
1/10 菰釣山から下る。夜が白んでくる。

 菰釣山からも平凡な登り下りの尾根が続く。尾根は細い。大きな登り下りはないので、距離だけは稼げる。途中たくさん名前のついている山を通るが、他の名前のついていない山と変わりがないように感じた。ただ、名前のついているピークにはテーブルがあり、休みやすいようになっていた。最初のブナの丸で道志川への道を分ける。次の油沢の頭までで道に大きな倒木があり、「この真ん中をつっきるくらいが知床のヤブだな」といったら善養寺が無理矢理そこを通っていた。また油沢の頭までの途中で荒井のスパッツがはずれた。何か調子が悪いようで、油沢の頭で私のスペアスパッツを貸した。

 油沢の頭で一本。振り返ると菰釣山が見える。気がつかなかったが雪が降っているらしく、鈴木がザックの黒い腰当ての上で雪の結晶を見つけて写真に撮っていた。油沢の頭の北面には明らかに道でないところになぜか赤テープが見えた。荒井がスパッツを変えるのを待ち、出発。

油沢ノ頭へ
1/10 前方のピーク、油沢ノ頭へ。
油沢ノ頭で一本
1/10 油沢ノ頭で一本。ところどころこのようなテーブルがあり、休みやすい。雪が降り、鈴木が雪の結晶を観察していた。

 大棚ノ頭へ向かう。依然としてくもり空で、雲の高さはかかっている山の高さから1500mほどだった。境界層が上がるまでまだ時間があったので、今日はまだしばらくくもりが続くだろうと言ったら善養寺に「じゃあ、はずれたら弁償して下さい」と言われた。図々しいやつだ。この一本はその他、ゆっくり歩くと疲れないだろうという話や、善養寺が教員という職業には絶対就かない話とか大学の話とか、「ぼのぼの」には「春おじさん」という春を呼ぶキャラクターがいる話をした。急な登りもあったものの長く続くものではなく、ゆっくり歩いていたので話す余裕があった。特に西の丸(石保戸山)付近は平坦だった。この辺まで来ると山伏峠から来る人も多い。いく人か単独行の人と挨拶をかわしたが、驚きは猟師だった。猟銃を背負い、猟犬を連れていて、その通った跡にはうんこがぽつりぽつりと置いてあった。猟師は2人見かけた。御正体山を撮るポイントを探しながら歩いたが、枝が多く結局うまく撮れなかった。ときどき富士山が見え、石保戸山の下りで1枚いい写真が撮れた。また、相模湾が太陽光を反射して輝いている写真も撮った。

富士山へ向かって歩く
1/10 富士山へ向かって歩く。時間が経過するに従って、晴れてきた。
大棚の頭の手前の道から富士山
1/10 大棚の頭の手前の道から富士山を望む。

 金山沢からの道を合わせるところは急な下りの手前で眺めがいい。送電線の鉄塔のある鞍部に下る。急だったので下るのが遅い善養寺、鈴木を抜いてしまう。荒井に追い付いたら怒られてしまった。石棚の頭へ登る。道は巻くようについており、山伏峠と高指山の分岐で一本とる。石棚の頭は山伏峠方向にあるが、面倒なので行かなかった。樹間から富士山が大きい。

 高指山へ。歩き始めてすぐ送電線のある山が見える。ちょうど急なロープのある下りがあったので、そこで善養寺を捕まえてあの山が何山か判断させる。私は送電線の位置から高指山と判断したのだが間違っていた。地形図に載っていない送電線を指していたので、その山は名前のない山だった。高指山の手前のピークは富士岬平という名前がついており丸いピークだ。木がなくススキの枯れ野原なので、眺めがいい。もちろん富士山も見えたが富士山は雲に隠れ始めていた。善養寺と富士山が「しまわれる」と話す。足元には山中湖の盆地が近く、谷の深い神奈川県側と対照的だった。切通峠から先の鉄砲沢の頭、三国山、大洞山がよく見えた。そしてずっと遠くに篭坂峠らしき峠も。山中湖へ下る道もあった。

大棚の頭分岐から高指山へ
1/10 大棚の頭分岐から高指山へは急な下りもあるが、やがて緩やかな登り下りになる。
富士岬平にて中山と荒井
1/10 富士岬平にて中山(左)と荒井(右)。手前から高指山、鉄砲沢の頭、大洞山。ゴールの篭坂峠は写真右端あたりか。このあと、切通峠まで山中湖への道がいくつも分かれる。

 今度こそ地形図に載っている送電線をくぐり高指山。富士岬平と似たようなところだ。眺めもいいのでこの辺で一本とってもよかったのだが、時間的に篭坂峠まで行けるかどうかが怪しかったので、切通峠まで行くことにする。切通峠までいくつか山中湖への道を分けた。山中湖側はなだらかな斜面なのでどこからでも下れそうだ。雪面には人の足跡だけでなくウサギか何かの足跡が横切っていた。1050mほどの切通峠で一本。神奈川側の谷は深く下までは遠そうだったが、足跡はあった。地図を広げるとこれから行く大洞山が今日の最高点だと思っていた菰釣山より高くてへこむ。時間の都合、荒井と相談して12時までに三国峠に着かなかったら三国峠で平野に下山することにする。

高指山から山中湖・富士山
1/10 高指山から山中湖・富士山。富士山は隠れてしまった。
高指山から切通峠へ下る
1/10 高指山から切通峠へ下る。向かうは前方の鉄砲沢ノ頭。

 切通峠から緩やかな斜面を登っていく。地形図では東側に車道があるはずだが、全く見えなかった。比較的雪が多くところどころ足跡が分かれていたが、迷うほどではなかった。山一つ登り、やがて鉄砲沢の頭に至る。木がなく眺めがいいが、富士山は見えない。墓標のようなものがあり、善養寺が「オレの墓がある」とわけ分からんことを言っていた。鉄砲沢の頭からの下りは急な火山岩で、小さな沢が深く削れていた。もとは道だったらしいが、下りにくい。荒井は隣のヤブの中を歩いていたが「植生を守りましょう」という看板があり、そこで道に戻った。高校生たちは写真を撮ったりしていて遅かったので置いていったが、下ると平たくなりススキに隠れて向こうが見えなくなってきた。声で呼ぶとすぐそばにいた。

鉄砲沢ノ頭で富士山を眺める一行
1/10 鉄砲沢ノ頭で富士山を眺める一行。富士山は依然として隠れたまま。墓標のようなものがあり、「オレの墓がある」と善養寺。いったい何言い出すんだ。よくわからん。
三国峠へ下る
1/10 三国峠へ下る。ススキの斜面で美しいが、足元は火山岩のザレで深いミゾが出来ており下りにくい。

 三国峠に出る。2日ぶりの車道である。けっこう車通りは多く3台くらい通った。チェーン規制が張られていた。12時10分前に着いたので大洞山まで行くことにする。私は気付かなかったが何でも車の運転手から変な目で見られていたとか。三国山の登りに取りかかる。けっこう急な登りだ。しかし雪の斜面にもかかわらずスニーカーの足跡が。強者はどこにでもいるものだ。ひとしきりの登りのあと三国山山頂に着く。しかしその実体は山頂ではなく、まだ大洞山方面に登りの斜面がある。御殿場方面、箱根の山も木の間から見え、休みには良さそうなところだ。

三国峠
1/10 三国峠。静岡県の駿河小山から神奈川県の一部を経て、山梨県の山中湖を結ぶ車道が走っている。10分休んでいて5台くらい通った。私は見ていなかったが、変な目で見られていたらしい。
三国山から大洞山へ
1/10 三国山の登りでは雪の斜面にスニーカーの足跡を見つける。どんな強者かと思いを馳せながら登った。三国山から大洞山へはなだらか。ここでフィルムが切れてしまった。

 三国峠からさほど歩いていなかったので続けて歩く。できれば大洞山を目指して歩く。三国山からはえらく平坦な登りで楽だ。ちょうど平野からと富士スピードウェイからの道が交わるところに何とか峠という名前がついていたが、鞍部でもなくただの広い稜線だった。そこで大洞山からのおばさんたちとすれ違った。石棚の頭からはこの何とか峠まで人に会わなかった。やはり切通峠のあたりは丹沢と大洞山の接続点に当たり、人が少ないのだろう。それからはやっぱり平坦な1353mピークを過ぎ、大洞山への鞍部へ下り切る。この鞍部もはっきりしない。このへんの山は富士山の噴火で積もった山なのだろうが、沢が発達していないため稜線が丸い。

 大洞山へのゆっくりとした、でもそこそこの登りのあと山頂についた。大洞山山頂は樹林帯の中で富士山も箱根の山も見えない。善養寺、鈴木のバカっぽい写真を撮りたかった私は、私が菰釣山で「ピカチュー」と叫んだことを引き合いに出して、2人にバカっぽい行動をするよう強要した。2人とも嫌がったが落っこちていた看板を用いてポッキーゲームの真似をしてくれた。思った以上の収穫だった。

 大洞山まで来てしまえばあとは下りなので一本で篭坂峠まで下れる。大洞山の次の1366mピークの下りにとりかかると正面に大きな富士山が見えた。雲もすっかりなくなっている。これだよ、今回の山行で見たかったのは。残念なことに私はフィルムを使い切っていたので善養寺と鈴木に写真を撮って家に帰ったらメールか何かで送ってほしいと頼んだ。薊平という名前のついた鞍部に下る。さらにこの先の山に登る道があったが、もうここで篭坂峠へ下ってしまうことにする。やや登りの巻道に入ってすぐ紫色のとげのある植物があり、善養寺が「ハーミットパープルだ」といっていたのが受けた。やがて尾根を乗っ越し削れた登山道に入る。道はボブスレーのコースのように谷状になっており雪が積もっていなかったら歩きにくそうな道だった。巻いた山から下ってくる道を合わせるとだいぶ平坦な道になった。ややもすると墓地の片隅に出た。下界到着。

 墓場の中の凍ったアスファルトを歩いていくと篭坂峠に出た。車道が走っており、ひっきりなしに車が通る。富士吉田に下るか御殿場に下るか考えていなかったので、善養寺と鈴木に聞くと御殿場に行くことになった。三井君が余らせた18きっぷを1人1500円で提供すると話したのがよかったらしい。気温は電光掲示板によると-1℃。バスが来るまで30分ほどあったので、鈴木はレトルトの粥を食べていた。ガス出して温めようかと言ったが、必要ないようだった。バスは10分ほど遅れてやってきた。

 バスに乗るときバス共通カードを使おうと思ったら運転手に「東京のカードは使えないよ」と言われた。同じような機械で山梨・静岡には別のカードが存在するらしい。バスはそこそこ混んでいたが、各自2人分の席が確保できた。善養寺がザックを座席の上に置いていたので降ろすよう言い、私は地図でどこを走っているのか見ていた。富士山から下ったときはずっと寝ていたからだった。鈴木は気持ちよく寝ていた。

 御殿場の駅に着いて駅前のマクドナルドに入る。そして若者2人に好きなだけおごる。善養寺はてりやきマックバーガー2つ、鈴木はビッグマック2つとてりやきマックバーガーとずいぶんな量を食べていた。もっともそれでこそおごる甲斐があると言うものだ。レジに並ぶあいだザックを背負っていたので、他の客に迷惑をかけてしまった。バーガーを食べていると鈴木が携帯電話を忘れたと言う。どうやらバスに忘れたらしく食べ終わるとすぐ営業所へ向かった。マクドナルドの窓から見えるので善養寺と2人で観察していた。やや挙動不振な行動を見せたあと営業所に入っていった。もうバスは発車しているだろうから郵便か何かで送ったもらうことになるだろうなと思った。鈴木のことを善養寺に任せ、荒井と駅へ。

 駅で切符を買うとちょうど鈴木と善養寺が来た。なんでもバスは車庫に入っていたので携帯はすぐ見つかったらしい。よかったよかった。駅の売店で私は研究室におみやげを買い、善養寺はあれだけ食べたにもかかわらず寿司を買っていた。三島方面の列車が来たのでおみやげを買う荒井をせかし乗車。なお、このあとの国府津行きの列車でも同じ東海道本線だったので荒井をせかす必要はなかった。乗車して善養寺はさっそく寿司を食べていた。

 戸塚のあたりで心配した父から電話がかかってくるというアクシデントがあったものの、無事荒井は川崎で下車、私は浅草線に乗るため新橋で下車した。列車では写真を送ってほしいと頼んだり、性能のいい善養寺のヘッドランプの型番を聞いたり、春になったら沢に呼ぶことを約束したりした(参照:奥多摩川乗谷逆川)。

(2005年2月21日記す)


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