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2015年冬 - 南アルプス・赤石岳〜聖岳[1/5]


2015年12月26日(土)〜12月31日(木)
場所
静岡県静岡市葵区/南アルプス
ルート
12月25日
立川駅=富士見峠(泊)
12月26日
富士見峠=畑薙第一ダム沼平ゲート…椹島(泊)
12月27日
椹島…赤石小屋(泊)
12月28日
赤石小屋…ラクダの背…小赤石岳…赤石避難小屋(泊)
12月29日
赤石避難小屋…百間洞露営地…大沢岳…中盛丸山…兎岳避難小屋(泊)
12月30日
兎岳避難小屋…聖岳…奥聖岳…白蓬の頭…聖岳東尾根ジャンクションピーク(泊)
12月31日
聖岳東尾根ジャンクションピーク…出会所小屋跡…聖沢登山口…畑薙第一ダム沼平ゲート=立川駅
参加者
中山、K、H、S
参考文献

はじめに

 赤石岳は名前からして赤石山脈の盟主であろう。標高3120mで日本第7の高峰、堂々たる山容、山の奥深さなどいずれも第一級の山である。深田久弥「日本百名山」によれば赤石沢の赤褐色の岩石に由来するそうだ。

 聖岳は南アルプス南部に位置する標高3013mの山である。日本第21の高峰であり、日本で最も南にある3000m峰である。気高い名前の山だが、これまた日本百名山によると悪い沢の山腹をヘズって(トラヴァースして)行かねばならず、ヘズリ沢と呼ばれたことによるという。赤石岳、聖岳とも2004年夏、本山行の偵察に続く3回目の登頂である。

 夏季には椹島や赤石小屋に小屋番が入り、三伏峠から縦走してくる人も多い。しかし、冬季には畑薙第一ダムから徒歩でアプローチするか、伝付峠を越えて大井川流域に入るしかない。アプローチの悪さもあって北岳や燕岳のような賑わいはなく、自らトレースを刻んでいく喜びが残されている。

 10月に茶臼岳に登り、冬季の南アルプス南部の可能性を探り、11月に赤石岳から聖岳まで縦走し、偵察及びデポを行った。11月は雪が少なく、天気もよく順調であった。

 年末山行では椹島、赤石小屋、百軒洞山の家、聖岳東尾根の4泊5日の計画としたが、実際には1泊加えて5泊6日の行程となった。

0日目

2015年12月25日(金)

立川駅=富士見峠(泊)

 立川に9時半に集合し、畑薙第一ダムへ向かう。圏央道経由で新東名を西へ進み、新静岡ICから下道を走り、途中の富士見峠に1:30頃到着。テントを張り、朝まで仮眠する。夜は寒くて翌日が不安であった。

1日目

2015年12月26日(土) 快晴

富士見峠=畑薙第一ダム沼平ゲート…椹島(泊)

コースタイム
畑薙第一ダム沼平ゲート8:30
9:09
畑薙大吊橋9:42
9:48
ボッチ薙向かい10:43
11:02
藤島沢〜赤石渡間11:54
12:12
聖沢登山口12:54
13:15
椹島登山小屋13:52
18:45就寝

 富士見峠から畑薙第一ダムへ移動する。他に3台ほど車が停まっていた。ゲート横のポストに登山届けを提出する。見渡す限り雪のない様子にワカン必要かなと話すが、ワカンなしのラッセルに不安があり、みんなワカンを持った。沼平ゲートでは他にも1パーティー出発準備をしていた。出発準備中にメガネの右レンズが何の衝撃もなく落っこちて驚く。のちにテーピングで固定した。

 椹島までの長い林道を歩く。天気は晴れ、所により風が強い。歩いていくと暑くなる。仕事で望遠鏡をのぞいている人がいた。リニア中央新幹線に伴う環境アセスメントだろうか。聖沢を渡ってモルタル吹き付けが壊れているところがあったが、車1台通れる幅は除石されていた。牛首峠から見る赤石岳は雲を被っていたが、上部は雪で真っ白であった。4回休んで椹島に到着した。

沼平ゲート
12/26 沼平ゲートにて出発準備。
赤石岳
12/26 牛首峠から見る赤石岳。ガスと雪に覆われている。

 椹島登山小屋に到着し、水汲みに行く。神社の近くにあるみたいだが、見つからなかったのでテント場から大井川本流に下りて水を汲んだ。後で椹島登山小屋に単独行氏がやってきて私たち同様赤石岳に向かうそうだ。焚き火をしたが、寒くて小屋に引っ込んだ。Kさんが持ってきた肉を焼いてくれて明日への英気を養った。小屋内の板の間にテントを張り、就寝。

2日目

2015年12月27日(日) 快晴

椹島…赤石小屋(泊)

コースタイム
椹島登山小屋3:57起床
6:33
大倉尾根1420m
赤石小屋まで1/5
7:21
7:36
大倉尾根樺段8:29
8:49
大倉尾根2050m
赤石小屋まで3/5
9:42
10:03
大倉尾根歩荷返し11:04
11:15
赤石小屋12:15
12:50
富士見平14:13
14:25
赤石小屋14:56
19:30就寝

 薄暗いうちから出発する。出だしは枯葉の積もったジグザグ道を登る。単独行氏の後ろを歩くが、途中道迷いがあったようでいつの間にか私たちの後ろについていた。稜線に出たところで西風が強く、稜線東側に一段降りて休んだ。

 林道跡の樺段から積雪が見られるようになる。Hさんがやや遅れ気味で待った。雪が全面を覆うようになるが、足が沈むほどではない。赤石小屋まで4/5の看板を見てから歩荷返しまで行こうと登るが、意外と長くてバテる。歩荷返しの登りを終えて積雪が増え、20cmほどになる。赤石小屋に着く頃にはHさんに追いつかれていた。

樺段
12/27 樺段を過ぎると表面は雪に覆われる。
赤石小屋
12/27 赤石小屋に到着。

 今年の赤石小屋冬季小屋は建て替え中とのことで、本館の2階の一部を開放していた。梯子を上った先の小部屋に入る。奥行き7mほど、幅1.75m、ベニヤ板で仕切られた部屋だ。窓がなく、真ん中に柱が3本ほどあり、やや狭く感じるが、天井は高い。

 水汲みなどはHさんとS君に任せて、Kさんと2人で偵察に出かける。Hさんからストックを借りるとずいぶんと歩きやすいことを知る。ストックは重くなると思って普段持たないが、雪にストックをつくと程よく固定されて支持になる。つぼ足で歩くと膝近くまで埋まり、ばててしまった。Kさんに先に登ってもらい、後から追いかける。やや広くなったところでワカンを履くとバテも少しおさまった。

富士見平
12/27 富士見平まで偵察に出かける。奥には赤石岳。
小赤石岳ラクダの背
12/27 小赤石岳ラクダの背を仰観する。Mouseoverで私たちが通った冬道表示。

 富士見平に立つと赤石岳が大きく立ちはだかる。夏道のルンゼは白い絹布をかけたように雪で覆われていた。椹島では雪が少なければ夏道を登ってもいいねと話したが、淡雪がなだれそうで登れそうにない。冬季ルートのラクダの背を見ると2950m付近の雪稜が所々岩が出ていて難しそうだ。ただ近づいてみないとわからない。そんなことを話して赤石小屋に戻ることにした。振り返るとやや雪の少ない富士山と雪の見えない白峰南嶺が東側に見えた。

 下りは自分たちのトレースをたどり30分ほどで到着した。単独行氏も赤石小屋にたどり着いていた。薄暗い小屋はドアが開くたびに寒風が吹き込んできた。夜中は時々強い風の音が聞こえたが、寝ている空間はさほど寒くなかった。


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