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2015年秋 - 南アルプス・茶臼岳


2015年10月10日(土)〜10月12日(月・祝)
場所
静岡県静岡市葵区/南アルプス
ルート
10月9日
立川駅=井川ダム(泊)
10月10日
畑薙第一ダム沼平駐車場…畑薙大吊橋…横窪沢小屋…茶臼小屋(泊)
10月11日
茶臼小屋…茶臼岳…茶臼小屋(泊)
10月12日
茶臼小屋…横窪沢小屋…畑薙大吊橋…沼平駐車場=帰京
参加者
中山、K、S
参考文献
「山と高原地図42 塩見・赤石 聖岳」(昭文社, 2003)

はじめに

 今年の冬にどこに行くか相談しながらその候補として聖岳・光岳が挙がった。その偵察のために飯田市側から入り、易老渡から聖岳、光岳を周回するコースを考えたのだが、9月に降った雨で易老渡に通じる市道が崩れてしまい、通行止めになってしまった。飯田市役所に電話すると年度内は復旧の見込みがないということで易老渡には行けない。仕方ないので静岡市側の畑薙第一ダムから入山することにした。茶臼小屋、聖平小屋に泊まり、聖岳へ登る行程を計画した。

 しかし、3連休の中日の天気が悪く、茶臼小屋に2泊し茶臼岳に登って帰ってきた。茶臼岳に登るのは11年ぶり2回目。あんまりよく覚えていないが、聖岳、上河内岳の写真を見ると8月にもかかわらずカッパを着ているので寒かったようだ。

0日目

2015年10月9日(金)

立川駅=井川ダム(泊)

 立川に10時に集合し、畑薙第一ダムへ向かう。圏央道経由で新東名を西へ進み、新静岡ICから下道を井川ダムまでたどりついたところで2時を過ぎ、ダムサイトで仮眠した。富士見峠を越える道でカモシカを2回、ウサギを1回見かけた。

1日目

2015年10月10日(土) 晴れ

畑薙第一ダム沼平駐車場…畑薙大吊橋…横窪沢小屋…茶臼小屋(泊)

コースタイム
沼平駐車場7:42
8:02
畑薙大吊橋8:35
ヤレヤレ峠8:56
9:10
ウソッコ沢小屋9:48
10:02
中ノ段10:34
10:40
横窪沢小屋11:02
11:23
水呑場12:07
12:20
茶臼小屋13:06
16:20就寝

 6:40にダムサイトにサイレンが響き渡った。放流かなんかのサイレンのようだ。外は少し寒く、また車を走らせ畑薙第一ダムへ進む。畑薙第一ダムを過ぎてゲートのある沼平駐車場に着く。ここに車を置き、茶臼小屋へ向かう。ゲート脇の小屋にいたおじさんに水はないか聞いたらホースから出している水をもらった。沢水で出し始めだそうで少しゴミが浮いていた。天気はくもりだが高い雲なので雨は降らなさそうだ。眠いがはじめは車道なのでふらふらと歩く。

沼平駐車場
10/10 沼平駐車場から出発する。
畑薙大吊橋
10/10 畑薙大吊橋を渡る。

 東海フォレストのバスが2台ほど追い抜いていく。3連休初日とあっていずれも満席であった。一般車通行禁止だが、工事用車両かそこそこ車通りはあった。30分ほどで畑薙大吊橋に着き、大井川を渡る。橋の下には濁水が出ていて水はあまりきれいでなかった。長い吊り橋で揺れるし怖かった。それでも11年前の木板1枚に比べるとかなり補強されている。

吊り橋
10/10 上河内沢を渡る吊り橋。
仮設階段
10/10 急な仮設階段を登る。

 畑薙大吊橋からしばらく登りでヤレヤレ峠。沼平駐車場から1時間ほどなので一休みする。昨日長く運転していたKさんは眠いようでしばらく横になっていた。ヤレヤレ峠から下って上河内沢沿いの道をいく。吊り橋を何度か渡りながらの道で大門沢小屋に至る道に似ている。急な仮設階段を登って吊り橋で枝沢を渡るとウソッコ沢小屋に着いた。中は真ん中に廊下があって両側に板の間があるクラシックな山小屋の形。快適そうだが、水場は近くの沢まで行くのだろうか。

ウソッコ沢小屋
10/10 ウソッコ沢小屋で一休みする。
上河内沢
10/10 ウソッコ沢小屋の先で上河内沢を渡る。
上河内沢
10/10 上河内沢の清冽な流れ。
鉄階段
10/10 上河内沢を渡って鉄階段を登る。

 ウソッコ沢小屋から少し下って上河内沢にかかる吊り橋を渡る。上河内沢は吊り橋の前で滝をかけており険悪そうだ。登山道は一山越えて枝沢の横窪沢に出ているので、沢沿いは悪いのだろう。上河内沢を渡ってからは赤い鉄製の階段を登る。急に高度を稼いでいき中の段というところで少し緩やかになる。ベンチがあったのでそこで少し遅れるKさんを待つ。エアリアマップではウソッコ沢小屋から横窪沢小屋まで2時間だが、中間地点の中の段まで30分で着いてしまった。Kさんは調子を取り戻してきたようで中の段のベンチを通過し横窪沢小屋へ向かっていったので追いかける。

急登
10/10 ウソッコ沢小屋からは急登である。
中の段
10/10 中の段で急登はひと段落する。
横窪峠
10/10 横窪峠で尾根を乗っ越し横窪沢に下りる。
稜線
10/10 横窪峠から見た稜線。上河内岳のあたりだろうか。紅葉している。

 トラバース道になってくると横窪峠。ここから下って横窪沢小屋に着いた。横窪沢小屋は営業小屋だが、今年の営業はすでに終えているようで正面玄関は開かず、冬季小屋の戸だけあいていた。8帖ほどの広さで快適そうだ。小屋の目の前の蛇口は回しても水が出なかったので横窪沢まで水を汲みにいった。眠くてふらついてあやうく沢に落ちるところだった。

横窪沢
10/10 横窪沢を鉄の橋で渡る。
横窪沢小屋
10/10 横窪沢小屋は営業しておらず、水も出ていなかった。

 横窪沢小屋から痩せ尾根のような道を登り、だんだん急になる。ところどころ標高2000mなどの看板が立っていて励みになる。なだらかなところに出ると倒木ベンチ。そろそろ1時間と思ったが5人パーティーが休んでいたので先をいく。倒木ベンチから少しで水呑場に着いた。斜面の中腹に金物の板が差さっていてちょろちょろと水が流れていた。水を汲むにはかなり根気がいりそうだ。私の2003年のエアリアマップでは「水量少ない」のコメント、最近の2015年のエアリアマップでは「水涸れている」のコメントでちょうど中間くらいのようすであった。眠いので休みながら横になる。さっきの5人パーティーが追いついてきたので先をいく。5人パーティーは水を汲んでいるようすだった。

横窪沢小屋
10/10 横窪沢小屋からまた急登。
水呑場
10/10 水呑場はチョロチョロしか出ていなかった。

 水呑場から急登を行き、樺段を過ぎて道はややなだらかになる。トラバース道になると樹林帯も切れてきて茶臼小屋が見えた。横窪沢の源頭を渡り、茶臼小屋に到着した。茶臼小屋も今年の営業を終えており、壁に「小屋締めにつき飲料大特価」と書かれた料金表が残っていた。SくんとKさんを待ち、冬季小屋に入る。冬季小屋は階段登った2階で、入ると下駄箱のある前室があり、さらに扉を開けると居室になっていた。居室は営業時の客室を兼ねているようで、真ん中に廊下、左右に2段の棚になっていてハシゴで登る。下の段はすでに人が入っていたので、上の段に入った。他にも外でテントを張っているパーティーが4張ほどあった。水場は外階段を降りてすぐ、トイレはその下にあり、快適な小屋だ。くもり空ながらも東の空には富士山が見えた。

茶臼小屋
10/10 トラバース道になると茶臼小屋が見えてきた。
茶臼小屋
10/10 茶臼小屋も営業していなかったが、冬季小屋が開いていた。

 夜は鍋を食べて酒を飲み、早めに就寝した。ラジオを聞くと明日は昼まで雨、西の風ということであった。早めに雨が上がり聖岳へ行けることを祈る。寝始めると少々暑く、トイレに合わせて着ているものを脱いだ。

2日目

2015年10月11日(日) 雨のちガス

茶臼小屋…茶臼岳…茶臼小屋(泊)

コースタイム
茶臼小屋4:28起床
6:32
茶臼岳北分岐6:47
茶臼小屋7:00
11:00
茶臼岳北分岐11:20
茶臼小屋11:31
12:21
茶臼岳北分岐12:32
茶臼岳12:48
茶臼小屋13:08
17:00就寝

 4:28に起床し、出発準備をする。外は弱い雨が降っていてときおり雨が小屋に当たる音がする。外は寒くてなかなかトイレまで行く気が起きない。明るくなった6時に小屋を出発し、聖岳へ向かう。しかし稜線に出たところで強い西風にあたり、躊躇する。まわりもガスで見えず、雨も横殴りである。いったん小屋に引き返し、様子を見ることにする。

 小屋に戻って10時まで待機。仮眠したりホットポカリを飲んだりして過ごす。外でダンロップV6を張っていたパーティーは中の2階に逃げ込んでいた。今日は停滞と決めているようでぐっすり寝ている様子であった。

茶臼岳稜線
10/11 1回目、茶臼岳稜線に出て雨と風のため引き返す。
茶臼岳稜線
10/11 2回目、茶臼岳稜線に出てガスと風のため引き返す。

 11時に雨がやんだようなので再度稜線に出てみることにする。雨は止んだものの、ガスはやまず、西風は強くなっており、体を傾けながらでないと歩けない。足元もふらつくので小屋に戻る。

茶臼岳稜線
10/11 3回目、茶臼岳稜線に出てガスと風のため聖岳行きをやめ、茶臼岳を往復する。
茶臼岳
10/11 茶臼岳にて私。

 12時過ぎに3度目の正直で稜線に出る。ガスと西風のようすは変わらないため、今日は聖平行きを取りやめ、茶臼小屋に泊まることにする。3回も稜線往復するだけなのももったいないので茶臼岳のピークを踏みに行く。強風の中登っていくと、ハイマツ帯に入り風は弱まる。山頂のあたりはさほど風は強くなかった。写真を撮って小屋に戻る。小屋への分岐のあたりは特に風が強いようであった。風がコルに集まって抜けていくのだろうか。

 濡れた荷物を置いて飲み物飲んで温まる。夜は畑薙から登ってきた客などで小屋の中はごった返していた。明日の行程を上河内岳、聖平、赤石ダム経由で沼平駐車場に戻る強行軍と定めて寝た。仮眠したからか、なかなか眠れず最後に時計を見たのは21時であった。みんなあまり眠れないようであった。

3日目

2015年10月12日(月・祝) ガスのち快晴

茶臼小屋…横窪沢小屋…畑薙大吊橋…沼平駐車場=帰京

コースタイム
茶臼小屋2:00起床
4:20
横窪沢小屋5:35
5:49
ウソッコ沢小屋6:31
6:45
畑薙大吊橋7:48
沼平駐車場8:27
8:38

 1時に向かいのパーティーが起きて畑薙第一ダムへ下っていった。我々は2時に起きてラーメンを食べ、外に出る。雨は止んでいるものの、ガスと風は止んでいない。しかもまだ真っ暗。聖平へいく予定だが、しばらく小屋で待機する。そんな中、朝横久保沢小屋を出てきたという単独行氏が登ってきた。横窪沢小屋は星空が見えたので出てきた、今日は光小屋までと言っていた。そのうちいなくなったので稜線に登って行ったのだろう。4時を過ぎても風は弱まらず明るくもならないため、我々は下ることにする。

横窪沢小屋
10/12 横窪沢小屋まで下ると明るくなってきた。
中の段
10/12 ウソッコ沢小屋へ急な下り。
鉄階段
10/12 下りの鉄階段は踏面が狭くて怖い。
吊り橋
10/12 上河内沢に架かる吊り橋を渡ればウソッコ沢小屋はすぐである。

 ヘッドランプを使って横窪沢小屋へ下る。一度歩いているし、割にわかりやすい道だが、暗いので1歩1歩が小さくなる。登りの記憶も寝不足でふらふらしていたのであんまり覚えていない。水呑場までの道が妙に長く感じた。暑かったので倒木ベンチで1枚脱ぎ、下る。横窪沢小屋に着く頃には明るくなり、ヘッドランプもいらなくなった。

名前のわからない花
10/12 秋でも咲いている花があった。
鉄階段
10/12 鉄階段を下る。
名前のわからない花
10/12 ヤレヤレ峠付近にて名前のわからない花。
畑薙大吊橋
10/12 畑薙大吊橋に着いた。

 横窪峠からの急な下り道はこれほど急だったかと思いかえしながら下る。途中で5人パーティーを追い抜く。ウソッコ沢小屋で休み、追いつかれたので出発する。何枚か吊り橋の写真を撮りながらヤレヤレ峠を経由し畑薙大吊橋に着いた。何人か登り客とすれ違ったが、デイバッグ1つの単独行氏は茶臼岳日帰りなのだろうか。畑薙大吊橋でも2人の登山客とすれ違い、林道を下った。林道もあんまり覚えておらずこんなに長かったっけ、とSくんと話しながら沼平駐車場に下った。

畑薙大吊橋
10/12 畑薙大吊橋から見た大井川上流。
沼平駐車場
10/12 沼平駐車場に到着。

 帰りは赤石温泉白樺荘で汗を流した。露天風呂から快晴の空に茶臼岳が見えて朝のガスは取れたのがよくわかった。残念なような仕方ないような気持ちで眺めながら風呂に入った。長い下道を走り、新東名を走って14:30ごろ立川駅で解散した。

おわりに

 聖岳を目指したものの、結果的に茶臼岳往復となった。3連休の中日が荒天だったので仕方ない。冬の偵察も兼ねていたのだが、茶臼小屋、横窪沢小屋、ウソッコ沢小屋のようすを調べただけでも意義はあった。茶臼小屋には都合2泊して快適であった。

 他のパーティーは荒天にもかかわらず光岳、聖岳方面へ向かっていったので、みんな忍耐強いと思い、また光岳、聖岳っていい山なんだろうなと思った。

(2015年10月12日記す)


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