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2015年秋 - 南アルプス・赤石岳〜聖岳[1/3]


2015年10月31日(土)〜11月3日(火・祝)
場所
静岡県静岡市葵区/南アルプス
ルート
10月30日
立川駅=畑薙第一ダム(泊)
10月31日
畑薙第一ダム=椹島…赤石小屋…赤石岳…赤石避難小屋(泊)
11月1日
赤石避難小屋…百間洞露営地…大沢岳…中盛丸山…兎岳…前聖岳…聖平小屋(泊)
11月2日
聖平小屋…聖沢登山口…椹島
11月3日
椹島=畑薙第一ダム
参加者
中山、K
参考文献
「山と高原地図42 塩見・赤石 聖岳」(昭文社, 2003)

はじめに

 前回の茶臼岳に続き、年末山行の偵察に南アルプスに行った。日本雪山登山ルート集を参考に赤石岳から聖岳の縦走を歩いてみることにした。この稜線を歩くのは茶臼岳同様、11年ぶり2回目

 畑薙第一ダムから椹島までの歩きを短縮するため、椹島登山小屋に泊まることにした。東海フォレストの営業する小屋に泊まる客は送迎バスに乗ることができるためである。前夜発だとその日のうちに稜線に取り付いた方がよいため、下山して椹島に1泊する計画とした。

0日目

2015年10月30日(金)

立川駅=畑薙第一ダム(泊)

 今回も立川に10時に集合し、畑薙第一ダムへ向かう。圏央道経由で新東名を西へ進み、新静岡ICから下道を走り、畑薙第一ダムには2:20頃にたどりついた。車の隣にテントを張り、朝まで仮眠する。

1日目

2015年10月31日(土) 快晴

畑薙第一ダム=椹島…赤石小屋…赤石岳…赤石避難小屋(泊)

コースタイム
畑薙第一ダム7:05
7:33
椹島8:25
8:42
東尾根1570m9:39
9:55
東尾根2050m10:57
11:10
東尾根2350m12:00
12:14
赤石小屋12:51
13:07
富士見平13:40
13:51
2700m水場14:41
15:00
小赤石岳分岐15:54
16:03
赤石避難小屋16:30
19:15就寝

 3日前に椹島に電話してバスと宿を予約したときは「畑薙第一ダムの堰堤を渡ったところで乗車」と教えられたが、それらしき車も人もいない。そのうちデリカが1台静鉄のバス停の前に泊まったので、運転手さんに聞いたら「中山さんですか」と声をかけられた。今日は私たち以外に単独行のおじさんが1人の計3人が乗客で、このデリカが送迎バスであった。月曜日休めば4連休なのでマイクロバス1台か2台くらいの客が集まるのかと思っていたのでちょっと肩透かしを食らった気分だ。3,000円で宿泊施設利用券を購入する。

 運転手のおじさんは要所要所で「あれが聖岳」「ここが聖岳東尾根の登山口」などと解説してくれていたが、私は眠かったのでほとんど寝ていた。未舗装の道は悪く、ときどきゴトゴトと車が揺れて起きた。

 椹島に着いて車を降りる。トイレはあちら、と運転手のおじさんが教えてくれた。11年ぶりの椹島だが、前回は薄暗くなってから到着し、薄暗いうちに出発したのでほとんど覚えていない。3日後に泊まる予定の椹島登山小屋の様子を見に行き、トイレを済ませて出発した。同じ車に乗っていたおじさんは赤石岳へ向けてすぐ出発していた。

椹島
10/31 椹島から階段を登って赤石岳東尾根に取り付く。
林道
10/31 古い林道を交差する。

 大倉喜八郎男爵の像の横を通り、山道を歩く。すぐ車道に出てまた階段で登山道に入る。取り付きはかなり急だ。前回ほどではないといえ睡眠不足だし、荷物も重いのでゆっくり歩く。天気はくもりで少し風が吹いている。立ち止まると寒い。針葉樹と広葉樹の混在する尾根を行く。廃れた林道と2回ほど交差する。歩荷返しの看板で12時となりここで休む。一度は単独行のおじさんを抜いたがここで追い抜かれ、赤石避難小屋まで追いつかなかった。

歩荷返し
10/31 歩荷返しで一休み。時刻も12時。
赤石小屋
10/31 赤石小屋に到着。

 歩荷返しの急登を終えて赤石小屋に出る。南側が開けていて日差しが暖かい。小屋の前に立つと右手に赤石岳と小赤石岳が並んで見える。風も吹いてこない。ハシゴを登って2階の冬季小屋の様子を見てみると狭い。幅は私が寝っ転がるとちょうど頭をぶつけるので175cm、奥行きは5mくらいだろうか。天井高さも2mはないくらい。真ん中に柱があって居住性は悪い。純粋な冬季小屋のようで、夏季に客の部屋としている様子はなかった。水場があるみたいだが、今日は赤石避難小屋まで行くので確認しなかった。

赤石岳
10/31 赤石小屋から見た赤石岳。まだ遠い。
赤石岳
10/31 富士見平から見た赤石岳。Mouseoverで夏道表示。

 トイレの横を通って富士見平に向かう。富士見平に着くと赤石岳がずいぶん大きく見える。これから通る夏道も冬季のラクダの背もよく見えるのでザックを降ろして休む。冬の尾根道は途中に小ピークがあり、乗っ越すのが面倒くさそうだ。小赤石岳の頂上は陰でよく見えないが、急な部分が2箇所見える。岩が出ているかどうかはわからない。夏道はカールの中のハイマツを横断する道は見えるが、他は見えない。水が流れているかどうかもわからない。振り返れば富士山がよく見えた。

赤石岳冬季ルート入口
10/31 赤石岳冬季ルート入口。
赤石岳夏道
10/31 単管パイプの桟橋が多い。

 富士見平を出発する。冬季ルートは入口に看板があった。看板があるということは積雪には埋まらないのだろう。一応赤布を付けておく。その先、単管パイプで作られた桟橋が続く。途中、ここなら尾根まで上がれるな、という場所を見つけた。2769m標高点の東のコルである。雪が少なければトラバースしてここから冬季ルートに取り付くのがいいだろう。

赤石沢北沢源頭
10/31 夏道は赤石沢北沢源頭に入る。
赤石沢北沢源頭
10/31 赤石沢北沢源頭で水汲み。沢には氷も張っていた。

 岩場を切って作ったような道を歩き、小尾根を巻くと赤石沢北沢源頭に入った。1箇所休むのによい小広いところを過ぎ、沢沿いの道になる。水がチョロチョロと流れていて、そろそろ水が尽きるかというところでザックを降ろして水を汲んだ。すぐ上では水が凍っていた。手持ちのポリタン1、テルモス2を満たし、さらに雪袋2枚に水を2リットルずつ入れて背負う。山行初日とあってただでさえ重いザックに5kgもの重量追加でひどく重い。30kgはある。

 ゆっくり歩くとKさんに告げ、1歩ずつゆっくり歩く。段差がなければ続けて足を出せるが、段差があると息を整えてからでないと足を挙げられない。沢の上部を左岸から右岸に渡り、小尾根に取り付く。小尾根を登りきったあたりでKさんが待っていた。ちょうど日暮れどきで薄ら寒いが、日の当たる箇所はさほどでない。目の前の赤石岳を見ながら最後の休みとする。

赤石沢北沢源頭
10/31 赤石沢北沢源頭の上部を左岸から右岸に渡る。
赤石岳稜線
10/31 赤石岳稜線に出たところ。西風が強く寒い。

 稜線に出ると強烈な西風が吹いてきた。ふらつくほどではないが、どんどん体温を奪っていく。ズボンはジャージ1枚しか履いていない私はひどく冷えるが、ザックを降ろしてカッパを出している余裕もない。速く歩くこともできず耐えながら登り赤石岳に登頂した。赤石岳山頂ではKさんが写真を撮ってもらおうと待っていた。写真を撮ってすぐ下の赤石避難小屋に入る。

赤石岳山頂
10/31 赤石岳山頂で待っていたKさん。
赤石避難小屋
10/31 赤石避難小屋の冬季小屋は2階だった。

 赤石避難小屋は2階建てで2階が冬季小屋になっている。グレーチングの階段を登り、中に入った。営業小屋の客室に使われているらしく、広く寝床には番号が振られていた。単独行のおじさんは奥の方に引っ込んでいた。寒いのでまずは持っているものを全部着て落ち着いた。宿泊客は単独行のおじさんと私たち2人だけなのでテントを張って温まる。テント内で火を焚いても暖かいと感じないくらい冷えていた。おじさんはこの季節にしては暖かい方だ、と言っていたが夜中小屋備え付けのシュラフのようなものを取っていったようだった。高山病のようで息が切れてため息ばかりする。食欲もあまりない。作った豚汁もゆっくり時間をかけて食べた。今日の標高差2,000mを登ったのだ。ひどく疲れた。

 外のトイレは冬季はすべて閉まっていた。夜も風は強かったが、星空は美しかった。寝るときもしばらく口呼吸しないと酸素が足りず寝つきにくかった。夜は寒く、何度か寝返りで起きては呼吸を整えて寝た。小屋にはなぜか枕があったので使わせてもらった。


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