山ノ中ニ有リ山行記録一覧2015年山行一覧>上越・魚野川万太郎谷[2/2]

2015年夏 - 上越・魚野川万太郎谷[2/2]


2015年8月22日(土)〜8月23日(日)
場所
新潟県南魚沼郡湯沢町・群馬県利根郡みなかみ町(旧水上町)/上越国境の山
ルート
8月21日
立川駅=入渓点(泊)
8月22日
土樽駅=茂倉新道登山口…吾策新道登山口…関越トンネル通気口…オキドウキョのトロ…一ノ滝…二ノ滝上1130m付近(泊)
8月23日
二ノ滝上1130m付近…三ノ滝…谷川岳肩の小屋…一ノ倉岳…茂倉岳…矢場の頭…茂倉新道登山口
参加者
L. 鈴木、中山、道場、石井、山田
参考文献

2日目

2015年8月23日(日) 晴れ

二ノ滝上1130m付近…三ノ滝…谷川岳肩の小屋…一ノ倉岳…茂倉岳…矢場の頭…茂倉新道登山口

コースタイム
二ノ滝上1130m付近4:00起床
5:28
三ノ滝下5:46
三ノ滝上7:47
1330m二俣8:21
8:37
1670m水汲み9:30
10:00
谷川岳肩の小屋10:40
11:13
一ノ倉岳12:30
12:45
茂倉岳13:02
1683m峰13:50
14:05
矢場ノ頭14:38
標高1305m付近15:09
15:18
茂倉新道登山口16:22
16:50

 夜1時頃、強い雨が降る。朝は小雨であった。周りはガスであんまり天気はよくない。昨日ビールを冷やしておいた沢の片隅もザブザブと水が流れていた。昨日より増水しているようだ。テントをたたんで準備のできている石井と先へ行く。遠目に落差の大きい滝が見えてきて、三ノ滝ってこんなに大きかったっけ、と思ったらそれは枝沢で手前に三ノ滝があった。急な便意に耐えられず取り付く前にキジ打ちする。

 三ノ滝1ピッチ目はザイルを出して石井にトップをやらせる。私は前回トップやっているので譲った。はじめの一歩が石井の長い足を使ったムーブで参考にならない。上の方が傾斜が緩やかだがスラブが濡れていて苦戦していた。石井が登りきったあたりで鈴木たちが追いついてきた。鈴木、山田、道場、ラスト中山の順で登る。はじめの一歩、中間部の凹角、上部のスラブと各自適当に苦戦する。道場は上部のスラブでズルリと滑っていた。確かに上部のスラブは滑りやすくて怖かった。

三ノ滝
8/23 三ノ滝全景。雨で濡れて難しそうに見える。
三ノ滝
8/23 1ピッチ目、凹角を登る石井。

 三ノ滝2ピッチ目は右から高巻き。前回は本流のバンドを右へトラバースし、右から入ってくる枝沢沿いに登っていたが、今回は増水していて本流に入れない。手前から枝沢ごと巻く。枝沢へのトラバースがやはりスラブのトラバースでいやらしい。立木にロープをフィックスし、トップの鈴木が2箇所でランニングビレイをとる。後続はフィックスロープにカラビナをかけてトラバースする。ラストに私がザイルを回収しながら登った。1段下りるところが滑り落ちそうで怖かった。枝沢を少し登り、ヤブをトラバースして万太郎谷本流に戻った。結局三ノ滝攻略に2時間かかってしまった。

三ノ滝
8/23 2ピッチ目、左岸のスラブを高巻く鈴木。
万太郎谷
8/23 増水した沢を登る。

 本流に戻っても沢は増水している。左にノゾキ沢を分けて1330m付近の二俣で休む。増水しているからか1:1にみえる二俣が多い。沢が一度ヤブに覆われてそれを抜けると、その先で左に曲がる。スラブが続き、ヤブこぎはないが、急でつらい。途中で水汲み休憩。道場とこんなスラブの沢登った記憶ないな、と話し合う。記憶になかったのだが、写真を見返していると同じ岩の写真があったので、同じところを登っていたらしい。ただ、前回はもっと下で水涸れであり、普段はこんな上部のスラブまでは水が流れていないようだ。

万太郎谷
8/23 1330m付近の二俣で休む。
万太郎谷
8/23 水は尽きない。
万太郎谷
8/23 振り返ると沢は左へ曲がっているのがわかる。
万太郎谷
8/23 まだ水の流れるスラブを登る。こんなところを登った記憶がなかったが、あとで探したら全く同じ場所で撮った青木の写真があった。そのときは水は流れていなかった。mouseoverで2006年の写真表示。
水汲み休憩
8/23 水が少なくなり水汲み休憩とする。
万太郎谷
8/23 水を汲んだ後は谷が不明瞭になり笹薮を漕ぐ。

 水汲みの後はそれっぽいルンゼをたどるが、周囲は笹に覆われて顕著なルンゼもなくなりただの斜面になる。最大で背丈ほどの笹ヤブになり、あえぐように登る。こんな激しいヤブこぎしたかなあと思いながら登る。疲れたと思うころ、三角屋根が見えてきてそれが谷川岳肩の小屋であった。前回は肩の小屋の仙ノ倉山寄りの風車の下に出たのだが、今回は小屋の真裏に出た。前回に比べて左に登っていたらしい。道場がばてていた。

水汲み休憩
8/23 肩の小屋のすぐ裏に出た。
一ノ倉岳
8/23 一ノ倉岳でばてた道場の荷物を分担する。

 肩の小屋のベンチで沢タビを脱いで靴に履き替える。ロープウェイから人が来るのかけっこう人が来た。あとは4時間茂倉新道を下るだけ。ばてている道場を先に歩かせ、すぐ後ろにつく。新人の山田君は全然元気なようだった。

 オキノ耳を過ぎて道場が2回ほど派手に転がり落ちる。濡れているスベスベした岩ですっ転んだようだ。1回は尾てい骨を打っていたようだ。ザックが重くて滑っても踏ん張れないようで、水などの荷物を持った。追いついてきた石井・山田コンビには一ノ倉岳まで先に行ってもらった。

 思いのほか急な一ノ倉岳をゆっくり登り石井・山田コンビに追いつく。ここまでくるとトマノ耳、オキノ耳の喧騒もない。かなりゆっくり歩いてきているが、すぐ追いつくから、と言っていた鈴木が追いついてこない。まさか肩の小屋から道間違えて西黒尾根とか下らないよな、と考える。鈴木が谷川岳登るのが初めてとは思えないが、とりあえずはフラフラの道場を下界まで下ろす方が優先である。道場の主だった荷物をすべて石井、山田、中山で分担した。1年生の山田は率先して道場の荷物を持ってくれた。道場が持っているのはもう銀マットとわずかな行動食と水だけだ。石井・山田コンビには鈴木を待ってもらい、道場・中山で茂倉新道を下る。

 荷物を軽くしたら道場もさほど転ぶことなく、そこそこのペースで歩いていた。茂倉岳では馬蹄型縦走をしている2人が今日初めての登山者に会ったと言っていた。今日は天気が悪いので人がいるのは天神平と谷川岳の間だけのようだ。茂倉岳避難小屋の立派な様子を見て、1回泊まってみたいと思う。その先、一ノ倉岳から1時間歩いたので1683m峰で休んでいると鈴木・石井・山田が追いついてきた。鈴木はだいぶ長く肩の小屋で休んでいただけらしい。心配させやがって。

 矢場の頭から樹林帯に入る。雨が強くなり、一度脱いだカッパを着る。尾根の下の方は黄色い土の斜面がそこここにあって、ズルッと滑る。私も何度か転び、1度は背中からドンと落ちたのでザックが泥んこになってしまった。私も疲れてしまって、明日仕事休みたいなあとぼやきながら歩く。道場と職場の休暇日数の話をして、仕事のぐちをこぼしていたら茂倉新道登山口にあっさり着いてしまった。とはいっても16:22とだいぶ遅い下山であった。

 鈴木を待って車に乗り、岩の湯に向かう。風呂から上がって携帯電話を見ると連絡人の黒沢から心配のメールがみんなに入っていた。無事であることを伝え、越後湯沢ICから3人で分担して運転し、大岡山に21時過ぎに着いた。ラーメン食べて帰ったら帰宅は日付を回っていた。

おわりに

 前回行ったときは晴れていたし、楽しいことしか覚えていなかったが、今回は雨で増水していて相対的に難しく感じた。スラブをフリクションで登るとか、増水した小滝を登るとか雨だと難易度の上がる箇所が多く、結果として下山時刻も遅くなってしまった。

 特に降雨時に難しくなると感じたのは核心部の三ノ滝であった。高巻きしながら前回どこ登ったかなと道場と話して、道場は下から枝沢を登ったと答えていたが、私はにわかに信じ難かった。水量が多く、晴れていても状況は変わらないと思ったからだが、帰ってから写真を見返してみると確かに栗山が枝沢を登っている写真があった。晴れと雨とで印象が違うと感じた。ツメもこんなスラブ登ったかと思ったが、同じところを登っていた。

 複数回登っている沢はあるが、晴れと雨で雰囲気が変わる沢だと感じた。雨とはいえ、比較的気温は高く、登れないこともない沢だったが、ほかに入渓している人を見かけなかった。たぶんみんな天気予報をちゃんとみて沢を避けたのだろう。

 一方で、1年生の山田にはその体力に驚かされた。1年生というと着いていくのがやっとで、雨降っていたらもう足元しか見ていないと思うのだが、滑り台でも楽しみ、淵でも先輩をシュリンゲで引っ張り、下山では先輩の荷物を持ち、と大活躍であった。私が1年生のときにはできないなあと感心した。

 全体的には雨でも楽しめる沢であったが、晴れに比べて1級難しく感じる沢であった。

(2015年8月27日記す)


山ノ中ニ有リ山行記録一覧2015年山行一覧>上越・魚野川万太郎谷[2/2]

inserted by FC2 system