山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2007年山行一覧>北アルプス・裏銀座〜槍穂縦走[1/3]
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今年は都庁山岳部に新人のSさんが入ったので新人合宿を行うことになった。場所はSさんの希望する穂高岳。適当に5日間と日にちを決めて穂高岳を登るルートを探したところ、裏銀座から槍ヶ岳を経由して穂高岳に至るルートに決まった。
0日目 |
2007年8月14日(火) |
立川=(快速ムーンライト信州車中泊)
快速ムーンライト信州81号の車内で集合とする。私だけ新宿で乗車、KさんとSさんは立川で乗車。時期はお盆と重なるにもかかわらず、車内は2/3ほどしか埋まっていなかった。照明の消えない車内で睡眠。
1日目 |
2007年8月15日(水) 晴れ |
信濃大町=高瀬ダム…ブナ立尾根…烏帽子小屋(泊)
高瀬ダム | 6:42 |
6:54 | |
1600m付近 10番の看板 | 7:51 |
8:05 | |
6番の看板 | 9:02 |
9:17 | |
2208.5m三角点峰 4番の看板 | 9:54 |
3番の看板 | 10:17 |
10:30 | |
烏帽子小屋 | 11:10 |
11:40 | |
烏帽子岳 | 12:35 |
13:04 | |
烏帽子小屋 | 13:41 |
19:15就寝 |
信濃大町手前で起床。5:08、信濃大町駅で下車。例によってタクシーの運ちゃんが販売攻勢をかけてくるが無視。なぜなら七倉のゲートが6:30にならないと開かないから。と思ってトイレ行って駅の待合室で二度寝。6:00、改めてタクシーの運ちゃんに高瀬ダムまで頼む。そしたら七倉のゲートは昨年から5:30に開くようになったことを教わる。道理で駅前に登山者がいないわけだ。約1時間のロスタイムにがっかりしながらタクシーに乗車。七倉で登山届けを提出し、高瀬ダムの堰堤上で下車。8,200円。
天気は晴れ。運ちゃんの紹介で堰堤の西端の展望台から槍を望む。穂先が見えるが遠くて小さい。今回の山行であそこまで行くのかとがっかりしながら入山。
ダムの端からトンネルを抜け、不動沢に出る。そこでボーイスカウトか何かの団体がテント泊の準備をしていた。その先の台地はヘリの発着場になっているらしく、ヘリコプターが南からやってきて着陸していた。不動岳の尾根を回り込んで濁沢を吊り橋で渡る。濁沢右岸は砂利で道が分からず、少し迷う。水場の横を通り過ぎ、ブナ立尾根に取り付く。
8/15 高瀬ダムからブナ立尾根を望む。 |
8/15 ブナ立尾根の登り。はじめは急登。 |
ブナ立尾根は裏銀座縦走路の烏帽子小屋から高瀬ダムに伸びる小さな尾根。裏銀座縦走路に取り付くために使われるルートだが、標高差は約1250m、登り所要時間5時間30分(アルペンガイドによる)とかなり厳しい登り。アルペンガイドには「北アルプス三大登りの一つ」と紹介されている。ほかはどこだか知らない。
ブナ立尾根に取り付いてすぐ12番の看板がある。ブナ立尾根には烏帽子小屋の0番までこの番号が続いているのでどのくらい登ったかの目安にちょうどいい。はじめの一本は10番の看板まで。ジグザグに鉄の階段が続き、標高差はかなり大きい。烏帽子小屋から下ってくる人もいるが、すれ違うのが大変なくらい狭い道だ。休む場所も少ない。
10番の看板のところで各自、適当に開いたところを見つけ、休む。意外に下り客が多い。下山した先の高瀬ダムにはバスはなく、タクシーしか交通手段がないのだが、人気のようだ。
10番の看板を過ぎると道は濁沢沿いのジグザグから尾根道となる。急傾斜は変わらないが、道は予想していたよりもよかった。ザレているところもなく、ロープを伝って歩くようなところもない。ただ黙々と登ればよい。表銀座に比べると人の少ない裏銀座縦走路なので道はあまり期待していなかったが、この道のよさはありがたい。
やや傾斜が緩くなってきた6番の看板で休む。狭い尾根だが、ここは広くなっている。残念だが、樹林帯に覆われて展望はない。6番の看板からまた急登。2208.5m三角点峰まで急登は続く。2208.5m三角点峰には4番の看板があった。アルペンガイドによれば槍見台というそうだ。しかしガスで展望はない。ここからしばらくは傾斜の緩やかな道を行く。途中でヘルメットを持ったパーティーとすれ違う。このあたりで沢といっても黒部川上の廊下しか思いつかなかったので聞いてみると、赤木沢だそうだ。
8/15 2208.5m三角点峰を過ぎると登りは緩やかになる。 |
8/15 烏帽子小屋に到着。 |
3番の看板の少し先で休む。北側、濁沢側が崩壊していて狭い。崩壊地に立つがガスっていて何も見えない。3番の先はまたジグザグの急登となる。1番の看板が現れてもう小屋が近いかと思ったが、そこから烏帽子小屋まで15分かかった。どうやら小屋は0番という扱いらしい。
稜線を越えて少し下ったところに烏帽子小屋はあった。西側が開けており、東沢谷流域の山が見える。テント場は少し登って裏銀座縦走路を南へ5分ほど下ったところに点々とあった。一番下の池のそばのテント場に幕営する。水は小屋で買う。200円/リットルであった。
テントを張って烏帽子岳を往復。いったん小屋まで戻り、さらに北へ向かう。ニセ烏帽子へ緩やかに登っていく。烏帽子小屋から烏帽子岳にかけては二重山稜になっており、谷間に池や雪渓がある。残念ながらそれらは飲用の水にはならないようだ。高山植物が多い。とりわけザレの中のコマクサが目立っていた。ニセ烏帽子から下って鞍部で分かれ道。縦走路から烏帽子岳の往復の道に入る。ぐるりと烏帽子岳の北側に回り込み、鎖のぶらさがった花崗岩の壁を登って烏帽子岳の山頂。
8/15 烏帽子岳の登り。花崗岩の岩場がある。 |
8/15 烏帽子小屋のテント場。一番下の池のほとりに張ったら虫が多かった。 |
烏帽子岳の山頂は狭く、最高点付近は3人くらいしか立つことができない。そこからは赤牛岳らしき山が見えた。あちこちに積雲が浮かんでおり、明日行く南の方は見えない。山頂は日差しが強く、焼けそうだった。
約30分、のんびり休んで小屋に戻る。小屋で水を12リットル(=2,400円)買い、テントに戻る。テント場では日差しが強く、木の影で調理した。池のそばだったためか夕方から虫が増えてきて、テントにこもって晩飯&晩酌とした。
幕営料 | 1人500円 |
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水 | 1リットル200円 |
トイレ | チップ式100円 |
備考 |
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2日目 |
2007年8月16日(木) 晴れ |
烏帽子小屋…野口五郎岳…鷲羽岳…三俣山荘(泊)
烏帽子小屋 | 3:30起床 |
5:11 | |
三ツ岳鞍部 | 6:16 |
6:36 | |
野口五郎小屋 | 7:35 |
7:53 | |
野口五郎岳 | 8:10 |
湯俣分岐 | 8:37 |
2833m峰手前 | 9:06 |
9:20 | |
東沢乗越 | 9:52 |
水晶小屋手前の峰 | 10:12 |
10:24 | |
水晶小屋 | 10:49 |
10:55 | |
水晶岳 | 11:24 |
11:44 | |
水晶小屋 | 12:12 |
12:19 | |
ワリモ岳 | 13:05 |
13:28 | |
鷲羽岳 | 13:56 |
14:15 | |
三俣山荘 | 15:00 |
19:30就寝 |
3:30起床。夜明け頃テントをたたみ、三俣山荘へ向かって出発。明け方は東側にガスがかかり、幻想的な日の出を拝めた。稜線の高さに雲がかかり、雲の間から日が差していた。ときどきガスが晴れると足下に高瀬ダムが見えた。
30分も歩くと夜はすっかり明け、稜線を歩く私たちの影が西隣の尾根に映っていた。太陽を背にしながら三ツ岳の北の肩に登る。三ツ岳の北の肩には三角点に似た花崗岩の標柱があった。ただ突端は丸く角が取れており、三角点ではない。富山県の測量点か何かだろうか。アルペンガイドによればこの北の肩が三ツ岳の北峰らしい。
8/16 三ツ岳の北の肩に出たところ。背後に船窪岳、爺ガ岳。 |
8/16 三ツ岳から野口五郎岳にかけての裏銀座縦走路。 |
三ツ岳は名前の通り3つの山頂に分かれている。アルペンガイドによれば三角点のある2844.5m本峰、その北に北峰、西に西峰があるようだ。登山道はどのピークも登らず、その間をうまく巻いて行く。本峰と西峰の間のコルで一本とる。今日は日差しが暑そうなのでさっそく日陰で休む。コルからは道が2つに分かれており、西峰へ登る展望ルートと西峰の東を巻く花畑ルートがあるが、登るのがめんどうなので花畑ルートをとった。コルは植物がなく、北に立山や剣岳が見えた。
三ツ岳からゆるく下って、野口五郎岳までゆるい登り。ハイマツが生えていたり、雪渓があったり、巨岩がゴロゴロしていたり、いろいろなところがあった。途中、ヘルメットを持ったパーティーとすれ違ったので話を聞いたら上の廊下と言っていた。今年は水量が多いそうだ。野口五郎小屋の直前で向こうから来た人たちに小屋の場所を尋ねる。地図上では小屋が近く、岩砂漠のような見通しのよいところなので、小屋が見えそうなのだが見つからなかったからである。そしたらその人たちは小屋の人たちらしく「あと2kmくらいですよ」と茶化されてしまった。実際には2分で着いた。
8/16 野口五郎小屋で一本。 |
8/16 野口五郎岳から見た裏銀座縦走路の風景。 |
野口五郎小屋で一本。この小屋は以前幕営地でもあったが平成16年から幕営禁止となったそうだ。長い裏銀座縦走路で貴重な幕営地だったと思うのだが残念である。天気は非常によく、小屋の前ではふとんが干してあった。その先にカール状の地形があって上にはなだらかな野口五郎岳があった。
野口五郎岳へは西へ少し回り込むように尾根に登り、尾根伝いに山頂へ登る。といっても尾根を登りきってからは平坦な尾根歩きで、岩のゴロゴロした河原のような尾根を歩くと少しの登りで野口五郎岳山頂に着いた。山頂はガレ場のように植物がなく、いささか殺風景である。小屋で一本とっているのですぐ下ってしまう。
野口五郎岳からはガレ場の中の道をジグザグに下って行く。太陽がだいぶ上がってきて少し暑い。真砂岳を西から巻く。途中、真砂岳へ登る道が分かれたが、面倒なので登らない。そこからしばらくで竹村新道の分かれ道。竹村新道は湯俣に下る道。Kさんは上の廊下を登ったとき、下降路として竹村新道を歩いたことがあるそうだ。伊藤新道と同様、利用する人が少ないように思っていたが、なるほどそういう使い方もあるかと思った。竹村新道分岐を過ぎて何度か湯俣川の谷から硫黄のにおいのするコルを過ぎる。2833m峰の手前で一本とる。
8/16 野口五郎岳の下り。 |
8/16 水晶岳(黒岳)へ空身で往復。 |
日差しが暑いので岩陰で休む。今日は雲がほとんどない。歩いていると首筋に強い日射を感じる。2833m峰を通過して東沢乗越に下る。道にはところどころイワギキョウが咲いていた。東沢乗越にはちょうど東沢谷を登ってきたパーティーがいた。少し話を聞いたら滝もなく、初めのゴルジュで少し泳ぎがあっただけで難しいところはなかったそうだ。水を烏帽子小屋で買った話をしたら、30分ほど下ったところで水流れてるから汲んで来たらと言われた。ちょっと遠いし、今日は水のある三俣山荘に泊まるので水を汲む必要はない。
東沢乗越から登り返して水晶小屋手前の峰で一本とる。水晶小屋の建っている峰は赤岳ともいい、名前の通り赤い斜面がこちらを向いていた。けっこう遠くに感じる。それでも25分で水晶小屋に着いた。
水晶小屋から水晶岳まで空身で往復する。水と食べ物少量を私のザックの天蓋に詰めて天蓋持って出発。はじめはなだらかな稜線歩きだが、水晶岳が近づくとハシゴもある急な登り。途中、巻くべき道を小ピークまで登ってしまい、迷う。東沢谷側に大きなカールを見て過ごし、水晶岳の山頂に着いた。天気はよく、槍ヶ岳から三俣蓮華、黒部五郎、薬師岳、立山らしき山まで見えた。ここまで歩いて来た烏帽子岳から野口五郎岳へ至る稜線も見える。景色を堪能し、グレープフルーツを食べて山頂を辞す。
水晶小屋に戻ってから鷲羽岳経由で三俣山荘へ向かう。2002年に上の廊下を登ったついでに槍穂縦走をしたので、ここからは歩いたことがある。まずは岩苔乗越の分岐まで。水晶小屋から下って二重山稜の湿地帯のようなところを過ぎて登り。岩苔乗越分岐で雲ノ平方面への道を分ける。さらにワリモ岳に登る。道はワリモ岳の山頂を西側から巻いており、その岩陰で一本とる。黒部の源流には少し雪が残っていた。例年通りだろうか。
8/16 水晶岳から見た槍ヶ岳。 |
8/16 鷲羽池と槍ヶ岳。 |
ワリモ岳から下って鷲羽岳。さすがに百名山だけあってけっこうつらい登りだった。なにより日差しが暑い。鷲羽岳山頂で槍ヶ岳を見ながら過ごし、三俣山荘まで最後の一本を下った。途中で鷲羽池への道を分けて下る。浮き石があり足下が不安定で下りにくい。下りきった鞍部のあたりで廃道の伊藤新道を分けるが、その分岐点は看板もなく踏み跡もはっきりしなかった。ただ湯俣の谷に伸びるトラバース道ははっきり確認できた。
8/16 鷲羽岳の下りから見る三俣山荘と三俣蓮華岳。 |
8/16 三俣山荘のテント場から見た鷲羽岳。 |
三俣山荘に着いて幕営の手続き。水を汲んで三俣蓮華岳寄りのテント場に向かう。雲ノ平、黒部五郎岳や槍ヶ岳などから道が続いている場所柄、多くのテントが張ってあった。割と上の方にテントを張る。この日は一日天気がよく、山行中一番日焼けした日だった。その分疲れも多く、行ければ双六小屋までという考えは鷲羽岳ですっかりなくなっていた。烏帽子小屋ー三俣山荘間に幕営地はないため、テント泊であればきつく、天候が悪いとかなり難しい日程だと思った。
幕営料 | 1人500円 |
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水 | 無料 |
トイレ | 小屋の中(幕営者は無料) |
備考 |
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