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2006年夏 - 丹沢・四十八瀬川小草平ノ沢


2006年6月11日(日)
場所
神奈川県秦野市/丹沢
コース
小田急渋沢駅=(神奈川中央バス)=大倉バス停…四十八瀬川・勘七の沢出合…小草平の沢遡行…大倉尾根…大倉バス停=小田急渋沢駅
参加者
東工大ワンゲル栗山(2)、松井(1)、道場(1)、横山(1)、澤田(1)
天気
参考文献(ただし現地では参考文献なし)
06丹沢・四十八瀬川小草平の沢の地図

はじめに

 本来は澤が計画した沢登りで澤+1年生4人で勘七の沢に行く予定であった。それが前日になるとなぜか澤が誰かとクライミングにいくことになり、代わりに文登研帰りの栗山が登ることになった。私は澤が計画した時点で私も行きたいと手を挙げていたので、リーダーの変更に伴い栗山と勘七の沢に登ることになった。しかし、実際には当日悪天であり、勘七の沢の隣の短くて簡単な小草平の沢を登って帰った。

 勘七の沢は私が大学2年のときに行って以来、登っていないし、そのとき難しいと感じたので今のレベルでもやはり難しいと感じるかどうか確かめたくて、行こうと思った。その目的の結果だけ言うと、偵察に行った勘七の沢F1がいきなり難しいと感じたので私のレベルはあまり変わっていないと感じた。

日帰り

2006年6月11日(日)

小田急渋沢駅=(神奈川中央バス)=大倉バス停…四十八瀬川・勘七の沢出合…小草平の沢遡行…大倉尾根…大倉バス停=小田急渋沢駅

コースタイム
大倉バス停7:30
7:41
四十八瀬川・勘七の沢出合8:45
9:17
勘七の沢・小草平の沢二俣9:26
9:35
F2通過10:01
3条3m滝10:24
4mCS滝11:02
標高800m付近11:28
11:39
大倉尾根
堀山の家下
11:54
12:01
大倉バス停13:03
13:38

 朝起きると雨だった。山に行くどころか家から出たくない天気であった。なので念のためにリーダーの栗山に「雨降っているけど登るの?」とメールで聞いた。栗山の返事は迷っていて、迷っている間は現地に向かうことになった。雨は降り続け、町田辺りまで私は栗山の「山行中止メール」を心待ちにしていた。

 渋沢について栗山を待つ。栗山は大山川に続いて夜更かしをしていたらしく、1本遅い列車に乗ってきていた。渋沢の駅ではまだ迷っていた。バスに乗って大倉へ。大倉バス停では雨はパラパラ降っていた。四十八瀬川へ向かって歩き始めると、いよいよ雨は本降りになりこの先が危ぶまれた。1時間ほどで四十八瀬川・勘七の沢出合に着き、木の下で栗山の判断を待つ。

 雨は本降りのまま。水量は平水。入渓者はほかにいない。車でやってきて傘さして登る集団が2つほど。栗山はすでにこの雨で勘七の沢を諦めていた。選択肢として考えていたのは結局登った勘七の沢となりの小草平の沢、もう一つは鍋割山縦走。どっちにしても雨なのでしんどそうだ。特に小草平の沢は資料がなく、私が3年前に下ったときの記憶を頼りに登らなければならず危険であった。ここででっかい松井が綿を含んだシャツを着ている上にカッパを持ってきていないことが判明。今回の山行の反省点となる。

 結局栗山の判断により小草平の沢を登ることにした。入渓準備をして出発。しばらく歩いて10m堰。右から越える。道は明瞭。四十八瀬川・勘七の沢出合から10分で勘七の沢・小草平の沢二俣。勘七の沢も小草平の沢も左に曲がっているが、勘七の沢はぐるりと巻くように方向を変えている。ここで地図講習で少し止まる。ついでにすぐ見える勘七の沢F1を見に行く。やはり記憶通り最初がつらい。左から登るのだが、スタンスがない。残置シュリンゲがあるのでこれを使うのは分かるが、どうやって登るのだろうか。記憶はない。永谷君はよくもこれをフリーでひょいひょい登ったもんだと思う。

勘七の沢・小草平の沢二俣
6/11 勘七の沢・小草平の沢二俣。現在地確認。
F1-5m
6/11 F1-5m。

 戻って小草平の沢を登る。小草平の沢は3年前下ったが、そのときの記憶は以下のようなものである。上流部は小滝をうまい具合にクライムダウンで下ることができすいすい進めた。しかし、勘七の沢に出る前の連続した滝群が結構めんどうで、ザイルをつなげての懸垂下降を強いられた。

 そしてそのF1-5m。F1は右から登る。前に懸垂下降したときはどうやって登るのか分からなかったが取り付いてみるとホールドスタンスともにある。上部はスタンスがなく、ホールドをつかんで登ることになるがそんなに難しくなかった。はじめはフリーで登っていたが、2人目が上部で苦戦していたので私が3番目に登り、ザイルを出した。支点が打ってあり、ザイルを扱う練習にはいい。続くF2-3段12mはF1のすぐ上であり、実質的に4段20mくらいに見える。F2の1段目はなぜか私だけスタンスが見つからず一人で苦戦していた。2段目は水流にスタンスを見つければ簡単。3段目は残置のハーケンにシュリンゲをかけて腕の力で登った。F2はすべて左側から登る。雨は降っているが特別滑るということもなく、あまり気にならない。

F1-5m
6/11 F1-5m。右から登る。
F2の1段目
6/11 F2の1段目。後ろが2段目。

 F2の後の4m滝は左から簡単に越えられる。その後も小さい滝をかけながら登っていく。途中沢が倒木で埋まり、荒れているところを通る。ゴルジュの中の3条3mの滝は2条5mくらいに見えた。これは右から巻く。栗山だけシャワークライミングで直登した。3条3mの滝の少し上で左から急な枝沢が下ってきている。ついでにここで現在地確認。地図をジップロックに入れている奴は少なく、雨でどんどん地図が濡れる。栗山はシャワークライミング時にすっかり浸水していた。場所は分かりにくいが沢が真東に向かう標高670m付近ではないかと思う。枝沢は地形図ではよく分からないが、雨が降ったから水が流れているだけかもしれない。

F2の3段目
6/11 F2の3段目。左から登る。
小滝
6/11 簡単に登れる小滝が多い。
荒れたところもある
6/11 荒れたところもある。
小滝
6/11 順々に滝を登る。

 その後も小滝が続き、どうということもなく楽しく進む。その後4mCS滝。これはチョックストーンの左側のチムニーを登る。スタンスがなく、ガバホールドをつかんで無理やり乗っかる。登ってみると残置ボルトと多数のシュリンゲがかかっていた。みんなこれつかんで登ったのかと考えたが、今考えてみると小草平の沢を下降した人が懸垂下降に用いたのだろう。私が以前下ったときはここをどうやって下ったのだろうか、よく覚えていない。道場が私のかけたテープを使わずに登ろうとしたが無理で結局つかんで登っていた。

2条の滝
6/11 2条の滝。
4mCS滝
6/11 4mCS滝をシュリンゲつかんで登る。

 4mCS滝上で右から枝沢が入る。その後顕著な二俣。左俣に水の流れる滝があり、右俣は笹をかぶったガレ場になっている。河床の高さで言うと右俣の方が低いのだが、笹薮のために明らかに登りにくい。左俣に進む。左俣の7mの滝は右から越える。そんなに難しくないが、帰ってから「東京周辺の沢」を見るとこれは7mの小草平の沢で一番難しい滝とあった。昔は難しかったのかもしれない。少なくとも前にきたときは無事下ったと思う。

 またいくつか小滝を越えていくがやがて滝もなくなり細い流れだけになる。平和になってきたあたりで、おそらく前回下ったとき大倉尾根から下りついたあたりだと思う。水流がなくなったところで一本。水を汲んでおく。標高800m付近で、四十八瀬川・勘七の沢の二俣から2時間10分。ここが最初で最後のしっかりとった一本だった。雨は依然として降り続いているが、そんなに寒くもなくたいして苦にならない。

 一本とったところからしばらく滝も水もない河原を歩く。両側は笹薮でこれを越えて尾根に出るのは容易でない。谷筋をたどり、谷沿いに尾根に上がる踏み跡を期待する。最後にどんづまりで急斜面の倒木帯を登り、右の小尾根に逃げると仕事道に出られた。この仕事道をたどれば1分ほどで大倉尾根の堀山の家の下に出る。遡行時間は四十八瀬川・勘七の沢の二俣から2時間40分。小さいけれども楽しい沢であった。

 時刻は12時。栗山はトレ山を意識しているのと自身がまだ塔ノ岳に登ったことがないので、ここから縦走を続けたいようだったが、全員のようすを考え(松井がカッパ着ていないとか)、下った。私はパーティーがどうしようと下るつもりだったので一緒に下った。

 久しぶりの大倉尾根。数えてみると前に勘七の沢に登ったときに下って以来なので実に5年ぶりである。あいにくの雨で道はどろどろ、滑りやすく、大倉尾根の階段は健在であった。雨にも関わらず歩いている人は少なからずいた。ランニング登山をしている人も見かけた。

 大倉バス停には1時間で着いた。着替えをしているとヒルに食われた奴多数。足から腹から血を出していた。幸い私は食われなかった。あとは渋沢駅について飯食って解散した。

おわりに

 雨は降ったものの、小草平の沢は十分楽しめた。この日は一日中雨だったので中止にしたらしたで「中止してよかったね」ということになったと思うが。行けてよかった。当初登る予定であった勘七の沢はF1でビビってしまったので機会を見つけて克服したいものだ。

(2006年6月11日記す)


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