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2006年夏 - 丹沢・水無川本谷


2006年7月8日(土)
場所
神奈川県秦野市/丹沢
コース
小田急渋沢駅=(神奈川中央バス)=大倉バス停…戸沢出合(本谷山荘)…水無川遡行…塔ノ岳…大倉尾根…大倉バス停=(神奈川中央バス)=小田急渋沢駅
参加者
K、K、H、中山
天気
くもり
参考文献(ただし現地では参考文献なし)
関連
06丹沢・水無川本谷の地図

はじめに

 この週の中ごろにHさんから日帰りの沢を誘われた。日帰りという予定はHさんの都合によるものらしい。とりたてて用事のなかった私はすぐ行くことを決めた。メンバーはHさんが声をかけてKさんが来ることが決まり、後にKさんも来ることになった。

 場所は初め勘七の沢とか源次郎沢とか二転三転したが結局水無川本谷に落ち着いた。水無川本谷は私が大学1年のときに登って以来なので6年ぶり、それも初めての沢登りが水無川本谷だった。初めてとあって覚えていることは少なく、もう一度行ってみたい沢の一つでもあった。

日帰り

2006年7月8日(土) くもり

小田急渋沢駅=(神奈川中央バス)=大倉バス停…戸沢出合(本谷山荘)…水無川遡行…塔ノ岳…大倉尾根…大倉バス停=(神奈川中央バス)=小田急渋沢駅

コースタイム
大倉バス停8:10
8:15
戸沢出合(本谷山荘)9:34
9:54
F5上11:10
F8下11:55
F8上12:15
12:36
F8下13:28
表尾根に出る11:54
12:01
塔ノ岳13:33
14:00
大倉バス停15:38
15:55

 朝5時半に起き、6時の列車に乗って渋沢へ。渋沢には7:50発のバスに間に合うようにという計画だったが、Kさん、Hさん、私は7:29着の列車で、Kさんは一本遅い列車でやってきた。バスはほぼ満席で数人の立ち客がいたが、沢登りの格好をした人はいなかった。

 大倉バス停に着いて少し準備して歩き始める。吊橋を渡り、水無川の林道を歩く歩く。久しぶりに歩いたがやはり長い。約1時間半で戸沢出合に到着。本谷山荘から水無川に入ったところで入渓準備。源次郎沢の出合はどこだったかと気になった。

本谷山荘上で入渓準備
7/8 本谷山荘上で入渓準備。
本谷F1
7/8 本谷F1。

 そして出発。正面の堰を越えて河原を歩くといくつか堰が出てくる。左から越える堰はロープが垂れており、ここは覚えがある。しばらくでF1。私が先頭を歩いていたので巻くのか直登なのか後ろの様子を見たがはっきりしないので巻いた。というか直登はルートが全く見えなかった。

 F1上で右にセドの沢を分ける。すぐF2。左に鎖、右にシュリンゲが下がっているが、左は濡れそうだし、スタンスが見えない。右から取り付くが、ハング気味で途中で戻った。そこでザイルを使うことになる。今回はKさん・HさんパーティーとKさん・中山パーティーで来ているという考え方なのでKさんは左から、Kさんは右から越えた。Kさんは途中少し困っていたが、すぐ登って行った。あとで聞いたら簡単と言っていた。右を登っていたKさんは私が詰まっていたところで右にスタンスを見つけ、大股を開いて登って行った。私もそれに倣ってそのスタンスに足をかけると簡単に登れた。あともうちょっとで登れたので少し残念である。

本谷F2
7/8 セドの沢出合の横にある本谷F2。右からは登りにくい。左の鎖沿いが登りやすい。
本谷F3
7/8 本谷F3。「注意!滑落事故多発地点」の看板がある。

 両側に大岩のある門のような滝は左から越えようとしたが水流が強くて行けなかった。右からおとなしく巻く。Kさんが難しそうなところから登ろうとして50cmほど落ちていた。

 両岸狭くなってF3。見るからに登れそうもない滝だ。左には丁寧に巻くための鎖が付いている。巻くのだろうと思ったらKさんもKさんも無言でザイルを出していた。ただそれだけで私とのレベルの差を見せつけられた。はじめにKさんが登るのだが、私が写真を撮るのに躍起になっている間にKさんはズイズイ進んで行き、「ビレイして」とKさんに諭された。Kさんは中間部で一度止まったが無事登りきった。一応右から登れるようだ。

F3
7/8 F3を登るHさん。
Hさんを確保
7/8 Hさんを確保するKさん。

 セカンドが私で登らせてもらう。私が登った後、Kさんがまたトップで登るので、中間支点を回収するかどうか聞いたら、回収してと言われた。私だったら無用の危険を避けるためにも時間の節約のためにも中間支点を残しておくが、完全に2人パーティー+2人パーティーという考え方のようだ。

 私が取り付くと、Kさんが困った中間部でやはり困った。1分ほど止まっているとKさんがザイル付けて追いついてきた。あせるが落ち着いてホールドを探すと奥にガバホールドがあったので何とか乗り切った。その中間部以外は難しくなかった。

 続いてKさんがやはり少し止まった後登りきり、Hさんを上からビレイしてF3突破。このF3を登れたのはよかったが、実力の差に自信をなくしてしまった。

 F4は2段で傾斜が緩く簡単に登れた。

 F5は右に鎖が付いており、鎖に沿って登って行く。いざとなれば鎖をつかめば大丈夫なので安心して登れそうだ。前に来たときはもっと暗くて緩やかな壁だったように記憶しているが、思いのほか明るく傾斜もあった。Kさんトップで登りだす。F3同様途中で少し詰まるがすぐ登ってしまった。Kさんが登る写真を撮ろうとしたがビレイで撮れなかった。その意図を汲んでHさんが写真を撮ってくれた。続いて私。途中でちょっと詰まるが一段下にスタンスを見つけ簡単に登れた。鎖があるから安心と思っていたら、鎖が邪魔であった。Kさんが登るときはビレイヤーのHさんが手をザイルから離して写真を撮っていた。

 F5上で書策新道と交差。1197mという標高らしき数字が書かれていたが、地形図上ではその地点はかなり上。「戸沢出合からの水平距離?」と私が発言したらKさんに「違うでしょう」と言われた。確かに1m単位まで水平距離を示すことはあまりない。

F5をリードするKさん
7/8 F5をリードするKさん。
F8大滝を眺める
7/8 F8大滝を眺めるメンバー。

 しばらくゴーロを登って行く。本谷は右に曲がり、正面に木ノ又大日沢を分ける。沢はそこで直角に右に曲がりF6を向かえる。チョックストーンでまともには登れない。右のハングを残置ロープに頼って腕力で越える。その後の落ち口へのトラバースがスタンスが斜めで私は苦労したのだが、Kさんは簡単に登ってきた。

 その後ガレに埋まってしまったのか全然難しくないF7を越えて左に金冷シ沢を分ける。そこからガレた河原を登って行くとF8大滝。昔は登れたらしいが落差が大きく、たとえ昔でも私は直登したくないと思った。前に来たときはもっと広かったような気がするが、記憶があやふやなためかそんなに広くなかった。ここで休むかと思ったらF8上で休むらしく、右のルンゼから越えて行く。ルンゼは崩れやすいが、明瞭な巻き道に入ると足下はしっかりしている。何カ所か道を示すためか手がかりとするためか残置ロープがいくつか付いていた。

 本谷に戻って遡行を続ける。右から枝沢が入ってくるところで一本とる。4週連続で山に登っていることを言ったら驚かれた。でも先週一人で小菅川本谷に行ったことを言ったら、山に行くときは小さい山行でも必ず計画書を誰かに提出して在京連絡者になってもらうようにとKさんに言われた。もっともなのでそうしようと思う。

F8の巻き道
7/8 F8の巻き道。ロープがついていた。
F9
7/8 F9。岩が脆く、登りにくい。

 歩き始めて沢が2分する。水量はほぼ同じ、ここは右をとる。すぐに本谷最後の滝F9。逆層の上、岩が脆く簡単に崩れる。またトップを務めてくださったKさんは右から一段登ったところで止まってしまったが、いくつか浮き石を下に捨ててから上へ登ってしまった。続いて私。いきなり立つところが見つからず、しばらく静止してから落ちる。落ちると言っても50cmほど。気を取り直して水流よりのスタンスに足をかけると一段登ることができた。そのあとははっきり覚えていないが、眼鏡が水滴でくもってしまい、がむしゃらに登ったと思う。Hさんも苦労していたらしく、時間をかけていた。このF9はまったく前回の記憶にない。前に来たときは今回F9の下の一本とったところで分かれた支流を登ったのではないかと思う。

 F9を越えてしばらくで水涸れ。ガレを登って行く。「東京周辺の沢」にあるような古い堰堤はすでにガレに埋まってしまったらしく見当たらない。その代わりに石を詰めた金網かごはいくつか見つかったのでそのどれかが古い堰堤なのだろう。

F9上のガレ場
7/8 F9上のガレ場。金網かごが埋まりつつある。
本谷のツメ
7/8 本谷のツメ。正しいルートをとれば踏み跡がある。

 しばらく崩れやすいガレを登り、左手の小尾根に取り付く。小尾根の向こうもガレ沢でF9下の二俣で左を選べばこちらのガレ沢に出たものと考えられる。そのガレの向こうはガスでよく見えないが木も茂っていて人の声も聞こえず大倉尾根ではないらしい。歩いている小尾根はかなり急な傾斜でしんどいが道が付いているのでなんとかそれなりのペースで登れた。

 しばらくがんばって登っていると表尾根の縦走路に出た。前に来たときは違う道をとってしまったためにもっと苦労したが、今回は思ったより楽だった。Kさんも前に来たときは違う道だったらしくこんな楽だったかなと言っていた。表尾根縦走路を左へ少しで塔ノ岳山頂に着いた。

 6年ぶりの塔ノ岳山頂である。いまいち記憶がとぼしく、前と同じとか違うとかは思い出せなかった。沢登りのメッカ丹沢の主峰の一つなので沢登りしている人が他にいないか探したが見当たらなかった。この日は行きのバスも遡行中も下山中も帰りのバスも沢装備の人を見かけなかった。この時期はみんな奥秩父や南アルプスに遠出しているのだろうか。

 KさんとHさんはだいぶ遅れてやってきた。足下を見ると沢タビから普通の運動靴に変わっていたので途中で履き替えていたらしい。雨の降り始めた塔ノ岳山頂を辞して快調なペースで下る。1時間40分ノンストップで大倉バス停にたどりついた。

 帰りは小田急が珍しくガラガラで悠々と座ることができた。たぶん隣の新松田始発なのだろう。缶ビールで打ち上げる。列車はすぐに混んできてビールはすぐにあけ、隣のKさんとおしゃべりをした。大倉バス停で風呂屋をしたら絶対儲かるだろうとか。登戸で南武線に乗るKさんと別れてすっかり寝てしまい、下車する下北沢でHさんに起こされてしまった。朝早くてだいぶ眠かったらしい。

 その日は家に帰って洗濯を済ませた後、すぐ実家に帰って実家で寝た。忙しい一日だった。

おわりに

 自分にクライミング能力がないなあと思った山行だった。仮に私が一人で水無川本谷を登ってもほとんどの滝を巻いただろう。その滝群をKさんもKさんもトップで登って行った。私にはとても登れずトップは務まりそうにない。小草平の沢に行ったときに勘七の沢F1を見ても感じたが、クライミングの能力は磨かないとこれから先、沢登りをやっていて危険だと感じた。水無川本谷くらいの難しさの沢を繰り返して登るしかないなと感じた。

(2006年7月9日記す)


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