山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2008年山行一覧>丹沢・水無川本谷
4月末の連休始めに剱岳小窓尾根に登って以来、雨が降ったり、不幸ごとがあったりして5月は山に登らなかった。この前の週も大学の後輩と水無川本谷に行く約束をしていたが雨で中止した。この週末は土曜日に雨が降ったものの、日曜日には晴れたため水無川本谷にいくことにした。
水無川本谷は2年ぶり3回目である。はじめは他のところがいいと思っていたが、1回中止になり、もうどこでもいいから行きたくなった。晴れたし楽しかったし、今年初めの沢としてはよかった。
日帰り |
2008年6月1日(日) くもり |
小田急渋沢駅=(神奈川中央バス)=大倉バス停…戸沢出合(本谷山荘)…水無川遡行…塔ノ岳…大倉尾根…大倉バス停=(神奈川中央バス)=小田急渋沢駅
大倉バス停 | 8:00 |
8:10 | |
戸沢出合(トイレ) | 9:20 |
戸沢出合(本谷山荘) | 9:30 |
9:45 | |
F2下 | 10:05 |
F5下 | 10:45 |
F8上 | 12:00 |
12:10 | |
塔ノ岳 | 13:00 |
13:40 | |
大倉バス停 | 15:17 |
15:25 |
朝4時に起き、5時の列車に乗って渋沢へ向かう。千葉の実家へ戻ったので丹沢が遠い。渋沢についたのは7:30。電車ではよく寝た。渋沢でバスに乗り換えるが、接続するバスはすでに満員で次のバスを待った。バスは10分ほどでやってきたのですぐに乗れた。
大倉バス停に着く。今日はいつもと違って大倉に身軽な人が多い。何だろうと思ってみると横断幕があってどうやら山岳マラソンが行われるようだ。丹沢ボッカ駅伝競争大会というらしい。大倉から花立の間を4区に分けて歩くようだ。花立までの間とはまた中途半端な気もする。トイレに寄ろうとしたが、このイベントのためか混雑していて入れなかった。
吊橋を渡り、水無川の林道を歩く。しゃべりながら歩く。意外なことに栗山も辛島も水無川本谷は今回がはじめてらしい。塔ノ岳も登ったことがないとか。塔ノ岳なんか沢登りするとしょっちゅう登りそうなものだけど。約1時間半で戸沢出合に到着。派出所併設のトイレで用を済ます。用を済まして戻ると警察の人に話しかけられた。「どこ行くの?」「水無川本谷です。」「山頂まで?」「はい」「F8が崩壊していて危ないから気をつけてね。昨日も雨降ったし。巻くより直登した方が楽かも分かんない。F5までは鎖があるから問題ないけどね」という会話を交わした。F8は確かに巻きルートが崩壊しているけど、直登も崩壊していて登れないと思う。本谷山荘から水無川に入ったところで入渓準備。昨日の降雨にも関わらず水位はいつもどおりだ。
6/1 大倉バス停を出発。 |
6/1 本谷F2。 |
そして出発。堰をいくつか越えて川原歩き。やがてF1。リーダーの栗山曰く、辛島がトップらしいので先を登らせる。辛島に続いてF1を登るとF2に10人くらいのパーティーが取り付いていた。右の鎖ルートにも左の残置シュリンゲルートにもザイル出して取り付いている。どうやらどこかの山岳会の初心者講習のようだ。どっちにしてもすぐには登れないのでしばらく待つ。やがて左ルートがあいたのでノーザイルで登る。さほど難しくなかった。
大パーティーを追いかけながら歩く。両側に大岩のある門のような滝は大パーティーが右のバンドから越えようとしていたので左から水流に沿って登った。6月とはいえ全身濡れるとさすがに寒い。
両岸狭くなってF3。おととし登ったときは一見登れないように見えた滝だ。でも今度はルートも分かっているので右からザイル出して登る。辛島はすっかりビビってしまったので栗山リードで行く。ザイルを出しているとすぐ後続の大パーティーが追いついてきたのであわてて用意する。辛島にビレイさせながら栗山に登らせる。直登してトラバースに移るところで栗山がしばらくとまどっていた。確かに登りにくいところだ、と思っていたが、あとで聞くとそこで足がつったと言っていた。次に私がランニングビレイをとりながら登り、最後に辛島が末端で登る。
ザイルをしまっていると後続の慣れた人が私たちと同じルートで登ってきた。左岸の鎖フィックスルートは落ち口に下りるのが難しそうだった。
F4は気がつかずに通り過ぎる。
F5は右に鎖が付いており、鎖に沿って登って行く。今度は私トップ。栗山ビレイで登る。鎖があるから安心して登れるだろうと思ったが、途中の鎖の支点にランニングビレイをとろうとしたら支点が動く。支点が頼れないのを見てとたんに焦る。みると鎖があるからか他に残置ピンがない。たよりない鎖の支点にランニングビレイをとって先を進む。岩自体はそんなに難しくなかった。
6/1 本谷F5。 |
6/1 本谷F6。右手のハングから登る。 |
F5を登りきってザイルを束ねる。後続はまだ来ない。大パーティーだからF3でも時間がかかるのだろう。ひょっとしたら上まで登らず、書策新道で帰るのかもしれない。それにしても人がいない。水無川本谷と言えば丹沢でも一二を争う人気の沢だが、大パーティーしか見ていない。昨日雨降ったからみんな避けているのだろうか。F5の上で書策新道と交差。栗山と「しょさくしんどう」か「かいさくしんどう」かで揉める。アルペンガイドによれば「かいさくしんどう」であった。
しばらくゴーロを登って行く。本谷は右に曲がり、正面に木ノ又大日沢を分ける。沢はそこで直角に左に曲がりF6を向かえる。チョックストーンの右のハングを残置ロープに頼って腕力で越える。栗山は依然としてチムニーとか狭いところを登るのが苦手で、なんか下から見ていると岩から足が生えてもがいているようだった。
6/1 F6を登る栗山。 |
6/1 崩壊の進むF8。 |
F7気づかず過ぎて金冷シ沢を分ける。看板までくっついていたが、こんな沢があったかどうか覚えていない。そこからガレた河原を登って行く。左側の歩きやすいところを登っていたが、沢に下れず少し戻って登り返した。そしてF8大滝。戸沢出合でおまわりさんが言っていた崩壊したF8である。今日見ても直登はできるように見えない。このあたりで一本とりたかったが、栗山に落石が怖いから、と上まで登るよう言われる。右から巻く。ザレを登り、踏み跡を直登してからルンゼを2本渡る。2本目のルンゼは足下が崩れそうで怖かったらしく、辛島はザイルを固定するための補助ザイルに沿って上へ登っていた。
本谷に戻って一本とる。入渓から2時間半。ちょうどいいペースだ。でも天気はくもりでいまいち。
6/1 F8の巻き道に入る。 |
6/1 F8の巻き道でトラバース。 |
歩き始めてすぐ沢が2分する。水量はほぼ同じなのでここは右をとる。ガイドブックには直進すると行き止まり、ここで右をとるよう書かれているし、分岐の雰囲気もおととしと似ていた。しかし、進んでみると様子が違う。確か分岐に入ってすぐ左に曲がり、F9があったはずだがしばらくまっすぐに小滝を登っていき、土壁にぶつかってから左に曲がってガレ場で水が涸れてしまった。
このままガレ場を登ることはできないので左の尾根に取り付き、トラバースする。一本となりの沢に出る。上部はガレ、下部はヤブのかかった沢。上部には壊れた堰の跡もないし、下部の沢にはずいぶんヤブがかぶっている。どうもわからない。疑わしいのでさらにトラバース。さらにとなりの沢には急で下りられず、しかも奥に滝が見えたので下るのは諦めて直前の尾根を登る。この尾根は登っていくと踏み跡が明瞭になってきて歩きやすくなってきた。やがて右手から人の声も聞こえるようになってきて表尾根の縦走路に出た。
表尾根縦走路を左へ少し、一回看板の横を通って塔ノ岳山頂に着いた。後から考えてみると登ったルートは正しいルートのようだ。枝分かれの沢を1本間違えたらしい。
6/1 ヤシオツツジの咲く大倉尾根。 |
6/1 花立下から見た大倉尾根。 |
3年連続の塔ノ岳山頂である。下で駅伝をやっていたので駅伝の人たちで込んでいるかと思ったら普通の登山者しかいなかった。沢登りの人もいない。天気はくもりで相模湾は見えなかった。しかし、西に富士山が頭だけ見せていた。富士山はまだ白いが、いく筋か青い地肌の筋が見えていた。ここで栗山がしょい上げた発泡酒を飲む。いい気分で40分間山頂に滞在し、大倉尾根を下った。
久しぶりの晴れだからか混雑した大倉尾根を下る。赤いミツバツツジがところどころに咲いていた。花立の下ではガスが晴れ、大倉尾根の全容が見えた。大倉までまだ長い。途中辛島が土で滑って手をケガしていたので水で消毒した。長い大倉尾根を下って大倉バス停にたどりついた。
渋沢のスーパーでビールを買い、電車で飲んで大岡山へ向かう後輩と相模大野で別れた。私は千代田線に乗り換えるために途中の代々木上原で降りるべきだったが、起きたら新宿だった。その後も東西線・東葉高速で寝続けた。
前回は自分にクライミング能力がないなあと思った山行だった
が、今回は無事F5でもリードを務められよかった。何よりも登っていて楽しかった。
(2008年6月1日記す)