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2004年秋 - 上武国境・赤岩尾根[2/2]


2004年11月27日(土)、28日(日)
場所
埼玉県秩父郡大滝村、群馬県多野郡上野村/秩父
ルート
11月27日
西武池袋=西武秩父駅…お花畑=秩父鉄道三峰口駅=出合バス停…小倉沢集落…赤岩峠…大ナゲシ往復…赤岩峠(泊)
11月28日
赤岩峠…赤岩岳…1589m峰(P1)…諏訪山…志賀坂峠…魚尾道峠…二子山…股峠…西秩父林道=秩父鉄道樋口駅=寄居=東武池袋
参加者
中山(M1, 単独行)

上武国境・赤岩尾根の地図

赤岩尾根詳細図(クリックすると拡大します)

2日目

2004年11月28日

赤岩峠…赤岩岳…1589m峰(P1)…諏訪山…志賀坂峠…魚尾道峠…二子山…股峠…西秩父林道=秩父鉄道樋口駅=寄居=東武池袋

2日目コースタイム
赤岩峠4:30起床
5:38
赤岩岳6:02
6:12
1583m峰7:00ごろ
赤岩尾根
最低鞍部
7:14
7:25
P3-P2鞍部8:00ごろ
P28:06
志賀坂峠分岐8:20
P18:25
8:35
志賀坂峠分岐8:39
8:44
1160m
八丁峠車道
9:48
10:00
諏訪山10:22
10:25
志賀坂峠
鉄塔下
10:57
11:08
二子山12:40
13:50
股峠14:20
倉尾林道14:25
秩父鉄道樋口駅16:15
16:36発車

 月明かりがあまりに明るく21時ごろに起きる。起きたときは時計が9時をさしているのを見て朝まで寝てしまったのかと思った。驚いてツェルトから顔を出すと丸い月がこっちを見ていた。落ち着いてみるとツェルトの中も見えるくらい明るかった。この分なら少し早く出ても月明かりで歩けるだろう。そう思ってまた寝た。

 4:30起床。ラーメンを作って食べるが胃が小さいようで気持ち悪くなる。明るくなる前にツェルトをたたみ、出発。赤岩岳に向かう道をたどると稜線から北にはずれトラバースしていく。やがてルンゼに出て、これをたどり赤岩岳の北稜に突き上げる。ルンゼにはロープが垂れ下がっており、あんまり頼りにはならないが暗い中で道を知るにはちょうどよかった。この北稜をたどって赤岩岳に登頂する。北稜はなかなか怖い尾根で何度か戻れるかどうか確認しながら登った。上に登りついてから東に向かうようにしていくと赤岩岳山頂。

赤岩岳のルート
11/28 前日大ナゲシから撮った写真で見る赤岩岳のルート。赤岩峠から東へ向かい、すぐ岩の基部を北へトラバース、ルンゼを登り、北稜に取り付いて北稜沿いに登る。ルンゼにテープあり。

 赤岩岳山頂は下から見て予想したほど狭い山頂ではなかった。東西に細長く10人くらいまでなら休めそうだ。東を見ると両神山の山の端が赤く染まり夜明けが近いようだった。ここから赤岩尾根の縦走に向かう。すぐとなりのピークから迷い尾根が伸びており踏み跡もあった。そこを北東に稜線を伝って歩く。道はちゃんとある。1530m峰で稜線は真東に折れ、1583mピーク手前のピークを見て下るようになる。

赤岩岳山頂
11/28 赤岩尾根の西端に位置する赤岩岳山頂。ここから赤岩尾根の縦走が始まる。
1583m峰
11/28 1583m峰。核心部らしい。南側の写真の赤線(写真の上に描いた線で実際にはない)沿いに登る。赤ペンキ、ロープあり。

 この前衛峰が一癖あって1583mピークそのものと思っていたので、写真を何枚か撮ろうとしたが木が重なり本で見たような写真が撮れない。その辺でこの前衛峰が1583mピークではないことに気づけばよかったのだが、ぜんぜん気が付かずどこかにいい撮影ポイントがあるのだろうという程度にしか考えていなかった。岩壁にたどり着いてから南側をトラバースする。1583mピークについては稜線南側のルンゼか右の斜面を登るとあったので、ビビりながら木をつかみ斜上する。岩はもろく人の通った跡はない。ときどきザックが木につかえ登りにくい。やっと稜線にたどり着いてみるとしっかりした道がついている。そして道は稜線沿いに北側に下っている。どうやら北側を巻いて登るところを南からむりやり登ってしまったらしい。ちょっと疲れた気分になる。このピークからは1583mピークがよく見えた。

 前衛峰から下っていくと鞍部近くには下りにくいところがあり、黄色と黒の工事用ロープがフィックスされていた。鞍部に立ってみると南側斜面にところどころ工事用ロープがぶら下がっており今度は間違えず登れそうだ。前衛峰で変なところを登った分、核心部の1583mピークは難なく登れた。一見すると急な斜面だが、取り付いてみるとそんなに急ではなかった。岩壁を名乗るにはちょっと足りない。

 1583mピークには小さな看板が打ちつけられていた。ピークからは北側に巻いて下る。そのまま下っていけば最低鞍部かと思ったが岩峰が一つあり、直登か巻きか迷う。ここが最低鞍部かと思い、南側に巻き道を探すがそれっぽい踏み跡は続かない。直登道に踏み込んでみるとテープがあり安心して登れた。

 それを下ると最低鞍部。大便をしたくなったので一本とる。ちょうど赤岩岳から1時間。タイムとしては悪くない。コースタイムなら1時間45分だ。北側で大便をしてから稜線をながめるとずいぶん急な岩壁になっている。道を探し、南側の道に入る。道はS字に折れ曲がって難なく稜線にたどり着いた。このあたりがP4にあたるが看板はなかった。

 P4からP3に向かうと本にも載っていた小キレットがあった。といっても北アルプスの大キレットや南アルプス鋸岳の小ギャップとはスケールが違う。飛び越せるし、隣から巻くこともできるくらいのサイズだった。「ハイグレードハイキング」には飛び越せると書いてあったので、飛び越した。周りもすっかり明るくなり暑くなったので途中でカッパを脱ぐ。続くP3のあたりは尾根が広くなっており迷う。ここも看板がなく確証はもてなかった。

P4-P3の小キレット
11/28 P4-P3の小キレット。「ハイグレードハイキング」には飛び越すなんて書いてあったから、かなりビビっていたが、なんてことはない、埋まってました。左から巻けます。
P2からP1
11/28 P2からP1。赤岩尾根も大詰め。P4, P3は看板がないが、P2は看板があるので、それとわかる。P1は埼玉側の右から巻ける。というか道なりに歩いていたら巻いてしまった。でも本当にこの正面を登るのだろうか。

 さらにP2。南側を巻くような道があったが岩壁が続くだけで直登。ここは看板があった。P2は木が少なくP1の壁もよく見えた。ずいぶん難しそうな壁である。そして赤岩尾根東端のP1に取りかかるが、道に従っていくとP1を南から巻いているうちに完全に巻いてしまった。ちょうど志賀坂峠への分岐があるところである。しかたがないのでここにザックを置いてP1を往復する。

 その道も何だかよくわからないまま北側斜面に出てしまい変なところを登った。1589mのP1は広い山頂でやはり東西に長い。赤岩尾根側の展望がよく今まで歩いてきたところがよくわかる。下りは道を見つけ下ったが、それも何だかはっきりしない道だった。

P1から赤岩尾根を振り返る
11/28 巻いた先からP1を往復。赤岩尾根を振り返る。
両神山から赤岩尾根の眺め
去年行った両神山から赤岩尾根の眺め。赤岩尾根の様子がわかるので、載せました。

 戻って志賀坂峠の方角を見る。看板には示されているものの、道がない。踏み跡すらない。唯一小鹿野山岳会の黄色い標柱があるのでその方向に行けばいいことがわかる。でも道はない。

 トラバースを続けると黄色い標柱をもう一本見つけ、小さな尾根を越えたところでもう一本見つけた。ルンゼを下りその隣の尾根に取り付く。なんとなく道があるように見え、その隣も急でトラバースが難しいように思えたのでこの尾根を下る。かなり急な下りでだいぶ下ってから尾根を間違えているのに気づく。1400m付近で車の音が近く、車道も見えてきたからだった。国境稜線ならこんな近くに車道は見えないはずである。登り返すのは大変なのでトラバースを試みる。初めは獣道のようなものをたどっていたが、やがてルンゼを渡るところに出るとそんなものはなくなり、適当に下りながらトラバースする。目的に国境稜線に出ると踏み跡があった。ほっとする。

志賀坂峠分岐
11/28 志賀坂峠分岐。西にP1ヘの道、南にP1巻き道、東に八丁峠への道、北に志賀坂峠ヘの道と交差点になっています。正面はP1への道。看板はさびていて読めませんでした。奥の看板は「至ル志賀坂峠・二子山」と読めました。昔は道あったんやね。
志賀坂峠への道
11/28 志賀坂峠への道。つーか道はすっかりない。完全に廃道。写真中央の黄色い小鹿野山岳会の標柱がないとどっちに踏み出せばいいのかすらわからない。

 続けて蓬莱山1377m峰に登る。1377m峰から下るときに間違えて西隣の尾根に入り、木の葉の斜面を引き返す。さらに車道のある鞍部に下るときにも1250mピークから車道側に下る踏み跡があった。テープもなく迷いやすい。車道に出て休む。さほど車の行き来はない。さらに諏訪山へ向かう。何となく道はさっきよりはっきりしているように見える。目の前の1212mピークを登ると諏訪山が見える。そしてその奥には二子山が白い石灰岩の山体を見せている。他小さなピークを踏んでから諏訪山の登り。群馬側の谷からおばさんの声が聞こえるような気がするが道でもあるのだろうか。それとも志賀坂峠からの道でも声が通るのだろうか。

道に復帰
11/28 P1東の肩からトラバースすると、さらに一つ黄色い小鹿野山岳会の標柱を見つけた。そのあたりから尾根を下ったら、10分程でP1東北東尾根を下っているのに気付き、潅木の中を西へトラバース。正しい道に復帰したところ。しかし、そのあとまた1377m峰から北西尾根へ引き込まれた。
諏訪山と二子山
11/28 いったん、八丁峠車道に出てから諏訪山へ向かう。左が諏訪山、右の岩山が二子山。この辺まで来ると道がある。

 諏訪山にたどり着くと社があった。ここは尾根が十字に交差しており国境稜線をたどるには右に90度曲がる必要がある。山頂にいると社の裏側北西側から鈴の音が聞こえるような気がした。やはり沢沿いに登ってくる道があるのかもしれない。

 確実にコンパスをきって東に歩き出すと木でできた土止めの続く道になった。どうやら志賀坂峠から諏訪山までは道が整備されているらしい。そうすると二子山までは道をたどることができ、だいぶ楽である。下り始めてすぐ中高年夫婦が登ってくるのに会った。尋ねると志賀坂峠から来たとのこと。この道を下れば志賀坂峠に下れる。下っていくとけっこう人が登ってくるに気づく。地形図には道は載っていないがこの山を紹介する本でもあるのだろうか。整備された道なのですいすい進み、志賀坂トンネルへの下り道まで順調にこられた。途中、駐車場まで沢沿いの道と稜線沿いの道と分かれるところがあったが、もちろん稜線をとった。そこからぐるりとピークを巻き、送電線の鉄塔に出た。そこで一本。

 あと二子山まではおまけみたいなものである。地図を見ると1090mピークまで250mの登り。最後の登りらしい登りである。うまく行けば12時半の坂本のバスに乗れるかもしれない。下の車道が近いらしくバイクの音がうるさい。おにぎりを食べようかと思ったがかちかちに固まっているので食べる気をなくし食べなかった。

 歩き始めてすぐ坂本への道を分け、1090mピークへの登りに取りかかる。地形図では道が示されているが、あまりはっきりしない。諏訪山のほうが人も多いししっかりした道だった。登っているとなぜか犬が追ってきている。人はいない。つい「おまえどっから来たんだ」と話し掛けてしまう。吠えないところを見ると飼い犬のようだ。猟犬なのだろうか。気が付くとどこかへ行っていた。1090mピーク近くになると木が切り開かれたところに出る。そのきわを歩きピーク。西の叶山の方へ向かう道もあるようだった。もっとも叶山は全山崩されてなくなっているのでどこまで続くのかわからないが。二子山への縦走に入る。12時半のバスを目指してやや早足で歩く。稜線はなだらかでいくつか上り下りはあるものの歩きやすい。その割に人はおらずほとんどの人は志賀坂峠からは登って来ないようだ。1043mピークまで来るとだいぶ二子山が大きい。石灰岩の白い岩壁が屏風のように連なっており、果たして登路はあるのかと心配になる。

 魚尾道峠のあたりは切り開かれており坂本からの道を合わせる。また下にはさらに分岐がありローソク岩への道もあるようだった。樹林帯に突っ込み岩壁を西へトラバースするようにしていくと登り口があった。これは確かに急だ。鎖がついており、上から人がたくさん下りて来る。うまく行き来しながら登っていく。

諏訪山と二子山
11/28 諏訪山山頂。西上州にはもう一つ有名な諏訪山があるらしいが、これはマイナーな方。地形図には載っていないが、志賀坂峠から道が整備されている。車道コルから来ると、道が90°曲がるので注意。
二子山から振り返る赤岩尾根
11/28 二子山から振り返る赤岩尾根。誤ってフィルムが感光してしまったが、山の形を見るのによいので、載せました。帰りは頼んで車に乗せてもらい、秩父鉄道の駅で下ろしてもらいました。

 稜線についてからも緊張するところは続く。地形図ではわからなかったが西岳まで登りが続く。岩峰を登ったり下ったりする感じではなくずっと登りである。二子山西岳の山頂まで休まないと心に決めていたのでだいぶばてて二子山西岳山頂にたどり着いた。

 たどり着いた山頂は眺めがよかった。天気は晴れで両神山から大ナゲシまで多くのピークが指呼のうちにある。特に八丁峠から西側は今朝から歩いてきたところであり、感慨が深い。見ると志賀坂峠はだいぶ低く、ずいぶん下ってずいぶん登り返したものだと思った。時は12:40。バスは行ってしまったので次のバスは16:30。待っているのも嫌なので登ってきた夫婦に車に乗せてもらうようお願いしたらOKだった。ただ山頂で昼食を食べたいとのことだったので、それが済むまで待つ。待っている間隣のピークでクライミングをしている人を見る。初めは一人しか見えなかったのだが、尾根の向こう側から一人二人とやってくる。やがてトップはそこのピークにたどり着き、私もうれしくなった。明るく暖かい山頂のひとときだった。

 クライミングを見終わるころ先方のご夫婦もご飯を食べ終わったようでいっしょに下る。西岳には登路が2つありクライミングしていたピークを越えて来る上級者コースと北側から巻いてくる一般コースとある。このご夫婦は山を始めてしばらくだそうで一般コースを登ってきて、一般コースを下る。一般コースといえども急で下りにくい。下りつくと広い股峠。北側に下るとすぐ林道についた。これはずいぶんと楽な登山口だ。車でヒュッと来て200mも登れば山頂に着く。もっとも乗せてもらうので文句は言わないし、山行が無事終わってほっとした。

 車に乗せてもらう。奥さんが運転手だった。予定では御荷鉾山に行くはずだったが、何だかいろいろとあって志賀坂峠で猟師さんにこの林道を聞いて二子山に来ることにしたとか。西秩父林道を下り坂本経由で下る。鉄道の走っているところならどこで下ろしてもらっても構わないと言ったので寄居で降ろしてもらうことになる。しかし、ちょうど荒川流域が紅葉の時期で車道は渋滞しており、長瀞駅付近はすごい人手だった。しかたないので途中で降りて樋口駅で秩父鉄道に乗ることにした。

 寄居で東武東上線に乗り換えたが途中の小川町行きで、寝ていたら池袋行きの接続の列車が行った後だった。すっかり日が落ちて暗いホームでがっかりしながら次の列車を待ち、帰途に着いた。

(2005年2月26日記す)


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