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2020年夏 - 奥多摩・大岳山


2020年6月28日(日)
場所
東京都西多摩郡奥多摩町・青梅市
ルート
JR奥多摩駅…愛宕山…鋸山…大岳山…御岳山…ケーブルカー御岳山駅=滝本バス停=JR御嶽駅
参加者
中山、S氏
参考文献

はじめに

 三宅島から内地に帰ってきてどこかの山をウロウロしようかと思ったら、4月7日に新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発令されてしまった。外出自粛が申し伝えられ、休日は買い物以外ほとんど家から出ることがなかった。5月25日に緊急事態宣言が解除されてから島でボルダリングをしていた仲間を誘って雲取山にでも行こうかと思ったが、鴨沢バス停が県境の向こう側とあって自粛した。その後も東京アラートが発令されたりして、お出かけは難しい雰囲気が続いた。6月19日に県境をまたぐ移動が解禁されたが、梅雨時期とあって雨が登攀意欲を削ぐ。

 青梅市に転入手続きした人に渡される河辺の梅の湯の無料入浴券も6月末までと期限が示され、雨が降っていても行くかと思い、山に行くことにした。

 当初は雲取山を予定していたが、6月28日は昼まで雨の予報で面白くない。日程変更してもよかったのだが、仕事の都合、日曜日に連絡が来ないようにしてもらったので日程を再調整するのもめんどくさい。雨降っていても足慣らしと体力測定にしようと思い、遅いホリデー快速おくたま5号に合わせて10時に奥多摩駅を出発して鋸山、大岳山、御岳山を縦走することにした。早出早帰りが登山の原則とは分かっているが、雨を避けるため仕方がない。

 大岳山は多摩川と北秋川に挟まれた1266mの山。遠方からは北側が肩のようになだらかになっている様子が見え、青梅市内からは見つけやすい。やや奥まった山でどこから登っても御岳山など山を越えて行く必要がある。

 大岳山には1999年に三頭山から御岳山までの縦走、2004年に海沢探勝路から馬頭刈尾根までの縦走で訪れて以来、16年ぶり3度目の来訪である。

日帰り

2020年6月28日(日) 雨のちくもり

JR奥多摩駅…愛宕山…鋸山…大岳山…御岳山…ケーブルカー御岳山駅=滝本バス停=JR御嶽駅

コースタイム
奥多摩駅9:54
10:02
726m標高点下10:55
11:06
1046.7m三角点12:04
鋸山12:20
12:30
大岳山13:37
13:52
芥場峠14:30
鍋割山14:41
奥の院14:57
御岳山参道15:29
御岳山ケーブル駅15:46
16:10

 雨でしかも一番遅い時間のホリデー快速とあって、列車には1両に数人しか載っていない。終点奥多摩駅で下車して改札前で集合する。トイレが新しく建て替えられていて驚く。ポリタンに水を汲もうとするが、自動水栓の流しが浅くて1リットルくらいしかくめなかった。カッパを着て歩き出す。

 3回目の大岳山だが、奥多摩駅から鋸山までの間は初めて歩く。愛宕山の取り付きがわからず駅前の地図を見て昭和橋へ向かう。昭和橋からは多摩川と日原川が合流するところが見えた。これも地図では合流するのを知っているが見るのは初めてだ。

昭和橋から見る日原川合流点
6/28 昭和橋から日原川合流点を見下ろす。
愛宕神社の階段
6/28 愛宕神社の強烈な階段。

 昭和橋を渡ると右手に愛宕神社の登山口がある。園地っぽく整備された道を登っていくと金比羅山もびっくりの石段が現れた。げんなりするがゆっくり登り始める。久しぶりの運動だからか、息も切れるし喉もつらい。

登計峠
6/28 登計峠で車道を横切る。
送電線の刈り払い
6/28 送電線の刈り払い帯を横断する。

 愛宕神社でお参りし、下ると登計峠で車道が通じている。東側へ巻いていく車道を歩くと尾根に登る階段があり、尾根に取り付く。木の階段の整備されている植林地にはときどき植林を示す環境局の看板がある。途中、送電線が尾根をまたいでいるところは刈り払いされているが、ガスで眺望はない。岩山を巻いて1時間歩いたので休む。地図を見るとあまり進んでいない。

 さらに歩くと726m標高点。天狗の像2つと社がならんでいる。休んだ場所が726標高点だと思っていたので、ちょっと疲れる。その先で鎖場と巻道に分かれ、鎖ばを選ぶ。今回の山行の核心部の鎖場は凹角だが、真ん中に木の根が張っていて足の置き場所に困り、濡れているので滑る。うまく足場を選べれば木の根はつかめるので慎重に登る。

726m標高点
6/28 726m標高点にある社と天狗。
726m標高点先の岩場
6/28 726m標高点先の岩場はすべりやすい。

 核心部を過ぎると特色のない植林帯を登る。829m標高点を過ぎて雨もやみぎみになったのでカッパを脱いだ。1046.7m三角点で1時間歩いたのでどうするか同行のS君に聞く。やや遅れ気味のS君だが、あと15分か20分で鋸山なのでもう少し歩きたいと話すと鋸山まで来てくれた。

 鋸山は名前ほど切り立っておらず、ベンチも3つほどある。ベンチは濡れているので脱いだカッパを敷いて休んだ。雨はだいぶ止んだが木から雫が落ちてくる。休んでいる間にS君に歩き方を教える。歩幅は小さく、足の裏全体で地面をつかむ、下りは重心を落として、など。

鋸山
6/28 鋸山に到着。休みを取る。
アセビ
6/28 鋸山から大岳山にかけて見られるアセビ。
大岳山
6/28 雨が上がり木漏れ日に緑が明るい。
海沢探勝路分岐
6/28 閉鎖された海沢探勝路。

 鋸山から大岳山の間はさほどの急登はない。S君にアセビが分かるかなど問いながら歩く。雨はやみ、歩いているとときどき木漏れ日がさす。特徴のない尾根は地図を見ても現在地がよくわからない。途中、下を向いて歩く単独行氏とすれ違い、あいさつすると驚かれた。馬頭刈山への道を分けひとしきり登ると海沢探勝路への道を分ける。指導標はあるが、海沢探勝路の文字は塗りつぶされ、道には枝が積み重ねられ、閉鎖されていた。前はここから登ったんだけどなあ、と郷愁にふけるが、あとから調べたら14年も前で驚いた。もう少し登ると、大岳山の山頂に出た。

 山頂ではカップルが何かを調理していた。あまり広くない山頂だが、全部で4人しかいないので広々使える。看板にはソーシャルディスタンスを取りましょうと注意書きがある。南側が開けているがガスで何も見えない。浅間尾根と笹尾根と富士山があの辺かなあと想像で景色を補う。大岳山には2mの石柱が立っており、記念写真を撮る。島の職場でこれを建てたと言っていた人がいたなあと思い出すが、名前が出てこない。S君と2人で名前を思い出そうとするが、なかなか思いだせず、下りながら思い出すことにする。

大岳山
6/28 大岳山にて私。
大岳山
6/28 大岳山の下りの岩場で転び手にすり傷を負った。

 大岳山から少し下るといやらしい岩場の下りがある。前向きに転んで手をついたら血が出てしまった。低山と思ってなめていたが、しっぺ返しを食らった気分だ。社まで下り、すべりそうな石段を下ると大岳山荘。人の気配はなく閉ざしているようだ。御岳山に向かって少し歩くと水場がある。すりむいた手を洗い、ひと口水を飲む。S君が「これ飲める水ですか」と聞くので「知らん」と答える。「ていうか『飲める水』の定義って何?」と水道法なら蛇口で塩素が検出されることという伝聞を説明すると「食品衛生法上は何らかの消毒がされているか、検査して細菌などが検出されないこと」と返事がきた。異分野の人と話すと勉強になる。芥馬峠まではときどき岩場も出てくる。

大岳山荘
6/28 閉鎖されているらしい大岳山荘。
鍋割山
6/28 鍋割山を通って御岳山に向かう。

 芥場峠でS君が「はね」と突然不思議な言葉を発し、驚くと「彼の名前…」と続けた。そのヒントで大岳山の石柱を建てた人の名前を思い出すことができ、すっきりした。

 芥場峠から御岳山には尾根伝いの鍋割山経由と沢伝いの綾広の滝経由に道が分かれる。谷に下りる方が登り下りがつらいんじゃないかと思い、鍋割山経由で歩く。多摩川側は晴れていて、北秋川側はガスっている。奥多摩と檜原で天気が違うと職場で聞いたことがあるが、1000mちょっとの山でも天気が変わるもんなんだなあと思う。

 奥の院の手前の山を登ったら巻道が正しい道のようだった。急な下りの下に奥の院が立っていた。奥の院からもずいぶん下る。番号札のついた木々を見ながら下り着くと水道局の御岳山浄水所。山上集落の水源ってどこなんだろうと不思議に思う。そこからは軽自動車が走れるくらいの幅の道を歩く。長尾平の茶屋までくると下界感が高まる。犬を連れて歩く人もいて登山客はいない。御嶽山の参道に出て今回はお参りを見送り、ケーブルカーの駅に向かった。

奥の院
6/28 奥の院の下りは急だった。
ケーブルカー御岳山駅
6/28 ケーブルカー御岳山駅で下山。

 自分の設計した都道沿いの法面に緑が生えてロープ伏などが隠れているのを見ながら歩く。ケーブルカー御岳山駅に着くと、ケーブルカーはちょうど出発したところだった。25分、ストレッチしたり、お土産を見たりして過ごす。雨の降った日曜日の夕方にしてはケーブルカーは全席埋まるほどに混んでいたが、乗り換えた滝本からのバスはガラガラだった。御嶽駅でホリデー快速おくたま号に乗り、河辺で下車して梅の湯に浸かって解散した。

おわりに

 久しぶりの山行は鎖場もあったし、ほどほどに筋肉痛ももらったし、雨にも降られたし、ちょっとケガもしたしで充実した山行であった。登山客には単独行氏と大岳山のカップルしか会わなかったので静かな山行を楽しめたのはよかった。もう少し足慣らしして長時間の山行やテント泊の山行にも慣れたいし、沢登りにも行きたいと思う。

 前回の山行でカメラをなくしていてどうしようかと思ったが、1月に新しく買ったiPhone11をカメラとして使ってみることにした。落っことさないか心配だったが、首からぶら下げ、ポケットに入れていたので落とさなかった。Live Photo機能がじゃまなので、帰ってから調べて機能を切った。

 また、地図の補助としてiPhoneでYAMAPを使ってみた。

地形図と高低図
↑地形図と高低図
要所の通過時刻
↑要所の通過時刻

 事前に登る山の地図をダウンロードしておく。今回は「大岳山・御岳山・御前山」をダウンロードした。奥多摩駅で歩き出す直前に地図を表示し「活動を開始」ボタンを押すと記録が始まるようだ。

 登山中はYAMAPを開くたびにたどったルートが表示される。何分かおきに自動で位置情報を取得しているのか、開くたびに位置情報を取得しているのかはわからない。ただ、GPSの精度不足でとんでもないところに位置が飛んだりはしていないので、ある程度既知の道に沿って位置情報に補正をかけているようだ。道のないところを歩いてどういう位置に飛んでいくのか調べてみたいと思う。

 下山後は上記のスクリーンショットのようにたどったルートや通過時刻を後から調べることができる。手書きでメモしなくてよいので楽だ。また、たどったルートをgpx形式でダウンロードできるため、Google Mapのマイマップ等に簡単に表示することができる。このページの地図表示もYAMAPからMacBookにダウンロードして作成した。

 今回の山行では電池は十分足りた。日帰りで登山道のある山を歩くなら地形図を持たなくてもよいかもしれない。何日間かの縦走だと電池切れが不安なので紙の地形図を主にした方がよいかもしれない。


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