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3日目 |
2016年5月1日(日) くもりのちガス |
滝倉山・ウドの頭コル…平杭乗越…西谷の頭…毛勝山…釜谷山・猫又山コル(泊)
滝倉山・ウドの頭コル | 2:30起床 |
5:28 | |
ウドの頭 | 7:01 |
1900m付近 | 7:50 |
8:02 | |
平杭乗越 | 8:23 |
8:42 | |
西谷の頭 | 9:14 |
2015m | 9:43 |
10:02 | |
2345m | 11:22 |
11:39 | |
毛勝山付近 | 12:00 |
毛勝山西2370m峰付近 | 12:10 |
12:15 | |
2286mコル | 12:46 |
釜谷山 | 13:30 |
釜谷山・猫又山コル | 13:50 |
19:15就寝 |
朝には雨は止んだ。くもりの中ウドの頭へ登る。昨日懸垂下降するときはどこから登るのか想像つかなかったが、正面の雪壁を登るらしい。コルから一旦西側に下りて雪壁を登る。ある程度行き詰まったところでザイルを出して登る。1ピッチ目中山、雪壁を直上してシュルンドに下りるまで。ボディビレイをしていたが、スペースが狭くて手間取り、ザイルをたるませてしまう。2ピッチ目Kさん、段々のある雪壁をてっぺんまで。途中、Hさんが木に乗っかって段を越えるところに手こずる。結局私が先に登ってザックを持ち上げて空身で登った。
5/1 ウドの頭の雪壁を登る。 |
5/1 ウドの頭の雪壁はザイル2ピッチで登れた。 |
5/1 周囲の急な崖に反してウドの頭の山頂は割に丸い。 |
5/1 ウドの頭の下りはヤブ。ナタ目を探して下る。 |
登りきったところでザイルを回収し、西側の雪面を歩く。稜線に戻って少し登るとウドの頭であった。やはり看板の類はない。そのまま平杭乗越に下る。ヤブの痩せ尾根だが、急なので道はわかりにくい。ただ、ナタ目があるので目印になる。ザイルを出してコンテで2ピッチほど下って休む。最後は笹薮を北側に出て雪面を下って平杭乗越に出た。滝倉山から平杭乗越までが長い核心部であった。
5/1 下りつけばウドの頭と毛勝山の間の平杭乗越。 |
5/1 毛勝山の登りはずっと急な雪面。 |
平杭乗越でしばらく休む。天気はくもりだが風もなく過ごしやすい。着ているものを1枚脱いで登る。去年は片貝川東又谷から登ったトレースがあったとのことだが、今年はトレースがない。ところどころ段々になった雪壁を登る。S君をトップに歩かせるが、どうも彼の歩幅は広くて私の歩幅に合わないので途中で横から先に出る。西谷の頭は北側から巻く。西谷の頭から急登して2015m付近で休む。北風が吹いてきて寒い。高さ2mほどの岩場を登って稜線北側のルンゼを登る。その後ガスの中に突っ込む。シュルンドの空いたところをザイル出して左から巻いて登り、2345m付近で尾根が平らになる。
5/1 西谷の頭は北側から巻く。 |
5/1 毛勝山登りの途中、岩場を北側ルンゼから巻く。 |
視界10mくらいのガスガスで道が見当たらずいったん風を避けられる雪の段で防寒着を着る。コンパスを切って毛勝山の方角、西南西に合わせて歩く。うっすら左手に雪のリッジができていたのでそれに沿って登る。なだらかな地形なので雪庇が発達していることはないはずだ。やがて登りきって全く平らになってしまう。右手にトレースがあるのでそれに立つ。ガスのせいで高さ低さや遠近感が全く失われてしまったので、このトレースに沿って西へ歩く。あとで地形図を見てみると毛勝山三角点の東側ギリギリを巻いてしまったのではないかと思う。
5/1 毛勝山山頂に近づくにつれ傾斜が緩くなり、ガスが濃くなる。ザイルつけて見失わないように歩く。 |
5/1 2400m峰でトレースは南に折れる。樹林帯を縫って歩く。 |
ガスが濃くてもトレースがあるのでとりあえずは安心して歩ける。しばらく釜谷山へ向かって西へ歩いていくと毛勝谷から上がってくるトレースがあった。みんなここから登ってくるようだ。だが、姿は見えない。途中1回休み、2400m峰から南へ下る。樹林帯の中、曲がりながらトレースが付いていた。トレースが迷わずに猫又山を目指しているところを見ると、最初にトレースをつけた人は視界のあるときに通過しているようだ。ありがたい。2286mコルを過ぎると樹林帯の東側を歩く。釜谷山の山頂には看板が出ていた。
5/1 毛勝三山の最高点、釜谷山山頂にて私。 |
5/1 釜谷山・猫又山コルに幕営する。 |
釜谷山から下って猫又山とのコルに達する。時間は早いが、猫又山を過ぎてもガスで尾根のはっきりしないブナクラ乗越には下れないのでここで幕を張る。西風が強いので、東側に逃げて雪を切り崩す。時間があったのでキレイに整地できた。ただ積み上げたブロックは風で何度か壊されてしまった。夜もガスは取れなかった。
4日目 |
2016年5月2日(月) 快晴 |
釜谷山・猫又山コル…猫又山…ブナクラ乗越…赤谷山…白萩山…赤ハゲ…白ハゲ…大窓…池の平山(泊)
釜谷山・猫又山コル | 2:04起床 |
5:05 | |
猫又山 | 5:40 |
2005m付近 | 6:23 |
6:40 | |
1910m標高点 | 6:57 |
ブナクラ乗越 | 7:17 |
7:45 | |
1826m標高点 | 8:09 |
2020m付近 | 8:48 |
9:09 | |
赤谷山 | 9:52 |
10:12 | |
白萩山2269m | 10:44 |
赤ハゲ | 11:20 |
11:37 | |
白ハゲ | 12:20 |
白ハゲ南2360m付近 | 13:07 |
13:26 | |
大窓2120mコル | 14:30 |
14:40 | |
2500m峰 | 16:05 |
2561m標高点 | 17:20 |
2561m標高点・池の平山コル | 17:45 |
池の平山 | 18:30 |
22:00就寝 |
明け方ガスが取れて天気はくもりであった。朝っぱらトイレの最中に落としたサンダルが小黒部谷へ向かってヒューっと滑っていき、裸足で取りに行ったときはひとりでヒヤヒヤした。猫又山に登ると、正面に剱岳が大きく構える。剱岳はもやがかっていてまだそのベールを外そうとしない。トレースに従って南へ下る。やがてトレースは西へそれて樹林帯に突っ込む。ちょっと方角がずれるな、と思ってみたらこのトレースは大猫山へ向かっているようだ。少し引き返してトレースのないブナクラ乗越に下る。
5/2 猫又山の下り。いよいよ剱岳が大きい。 |
5/2 猫又山の下りは東側の雪をつないで下る。 |
ブナクラ乗越へははじめ尾根がはっきりしない。雪の斜面を斜めに下り、尾根に出る。やがて尾根には雪がなく、東側斜面に雪が溜まる斜面になるので、東側を巻きながら歩く。ところどころ尾根を歩くところは夏道を探す。ややヤブっぽいがロープやピンクテープが見られる。一応エアリアマップにも破線が載っている道だ。途中2050m付近で休んでいると、天気は晴れてきて後立山連峰もよく見える。剱岳のベールも取れて山頂付近にわずかに残った雲が、風が強いのを示している。
1910m標高点を下ったところで単独行のおじさんに会う。荷物を見て宇奈月からと看破されてしまった。地元の人だろうか、慧眼である。1910m標高点から雪のないルンゼの踏み跡を下る。最後は岩場の基部の道を歩くのだが、S君はそのままルンゼを下ってしまった。S君を呼ぶと藪から返事が聞こえたので登り返して道まで戻ってもらった。その間私たちはブナクラ乗越で休んでいた。赤谷山から3人組が下ってきてしばらく休んでいた。この後赤谷山から先はトレースがなかったので、彼らは赤谷尾根を登ってブナクラ乗越から馬場島に帰るのだろうか。
5/2 ブナクラ乗越へはルンゼの中の道を下る。 |
5/2 ブナクラ乗越から赤谷山に登り返す。 |
赤谷山へ登る。はじめは緩い登りだが、1850m付近から急になる。喘ぐように登って2020m付近で休む。その後は夏の登山道も織り交ぜながら登る。赤谷山山頂は丸く、広い。南側の展望のある箇所で休む。白萩山、赤ハゲ、白ハゲが並び大窓は見えない。山の名前に「ハゲ」ってひどい名前だなと、子どもの頃からエアリアマップを見て思っていたのだが、残雪期のためか裸地らしいところは見当たらなかった。
赤谷山からの雪壁の下りでS君のアイゼンが2度外れたので、面倒になってアイゼンを外して歩かせる。その間にKさんとHさんはだいぶ先行してしまった。幸い、赤谷山から白萩山2269m、赤ハゲまでは難しいところはなくただ歩くだけであった。
5/2 赤谷山から見た赤ハゲ、白ハゲ。 |
5/2 赤ハゲからロープをつけて進む。 |
赤ハゲでKさんたちに追いつくとザイルを出していた。雪稜を越えていくので難しいことはないが、パーティーのレベルを考えて一応出す。1箇所岩場があって右から巻くのかと思ったら直登であった。その後はルンゼを巻いて白ハゲに立つ。白ハゲの直下は垂直な雪壁になっており、直接下れない。白萩川側へ雪面を下り、50mいっぱいトラバースして稜線に戻る。去年はそのまま雪をつないで下って大窓に登り返したそうだ。ヤブに突っ込む直前で休む。
5/2 赤ハゲ・白ハゲ間に高さ2mくらいの岩場がある。 |
5/2 白ハゲ直下の雪壁は白萩川側から巻いてトラバース。 |
ヤブに入って痩せ尾根を下り、最後のコブは登らずに西側のルンゼを下る。ハイマツの藪こぎをしながらガレ場に出て一度アイゼンを外し、やがて雪面に下りる。再度アイゼンを履いてトラバースして大窓に到達した。
5/2 大窓へはルンゼを下る。 |
5/2 大窓から池の平山へ登り返す。 |
大窓で少し休み、池の平山へ登る。池の平山へは夏道が出ていてそれをたどる。ところどころ雪が詰まっていたり、ガレ場で道がはっきりしなかったりするが、基本的には岩や雪の技術ではなく、体力が求められる道だ。2500m峰についてザイルを出す。2ピッチはただの稜線歩きで岩峰を巻くときに気をつければ良いが、その後の岩峰の巻きがいやらしい。この岩峰だけ雪が付いておらず、しかもそそり立っているので直登ができない。Kさんトップで東側から巻く。いったんシュルンドに入り、シュルンドを抜けた後、雪の切れ目を避けてさらに一段下ってからトラバース、岩峰を巻いた先へ直上する。途中、Hさんが雪を踏み抜いて仰向けになってしまっていた。S君と2人で引っ張って起こす。
5/2 雪の付いていない2500m小ピークを東から巻く。 |
5/2 池の平山直前の下り。 |
岩峰を巻いた後、私がトップ。雪面を登るが、ズボズボと落ちてなかなか苦労した。登りついて2561m標高点だが、池の平山はまだ先だ。時刻も17時を回って焦ってくる。2561m標高点からザイルをつけたままいくつか小ピークをからんで下り、池の平山とのコルに立つ。ハイマツをつかんでジグザグに下ったので懸垂下降はいらなかった。
池の平山へは2ピッチで登った。1ピッチ目Kさんが、ルンゼの入り口まで登り、2ピッチ目中山がルンゼを直上し、池の平山に出た。上部は胸突きでけっこう苦しかった。私が稜線でザイルをたたんでいる間に、少し下で雪を整地し、無事日暮れまでにテントを張ることができた。
5/2 池の平山へはルンゼを登る。ザイル2ピッチ。 |
5/2 急いで池の平山に幕営地を整地する。 |
この日はみんな疲れてしまって晩飯も半分ほどしか食べなかった。お酒もそこそこに22時就寝する。