山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2011年山行一覧>八幡平・葛根田川北ノ又沢[2/2]
八幡平・葛根田川北ノ又沢[1/2]←|→奥秩父・笛吹川久渡沢ナメラ沢
2日目 |
2011年8月16日(火) 雨 |
北ノ又沢支流920m付近…八瀬森山荘…小畚山…三ツ石山荘(泊)
北ノ又沢支流920m付近 | 5:22起床 |
7:12 | |
北ノ又沢支流二俣930m | 7:24 |
北ノ又沢支流右俣20m滝 | 8:05 |
北ノ又沢支流右俣10m滝 | 8:21 |
北ノ又沢支流右俣1050m二俣 | 8:36 |
八瀬森山荘 | 9:08 |
10:08 | |
関東森 | 10:33 |
1283m標高点 | 11:19 |
1384m標高点 | 11:50 |
1415m付近 | 12:06 |
12:25 | |
大深岳分岐 | 12:46 |
小畚山 | 13:29 |
1448m三角点峰 | 13:46 |
三ッ沼上 | 13:52 |
14:12 | |
三ツ石山 | 14:36 |
三ツ石山荘 | 15:00 |
20:30就寝 |
明け方から雨。気温は高く、シュラフカバーに入らずに朝を迎えた。天気を様子見しながら朝ごはんを炊く。その間に外でガチャガチャと金属を鳴らす音と話し声が聞こえた。下に泊まったパーティーが通過したらしい。雨の中テントを畳み、7:12出発。
8/16 標高930m付近の二俣。右俣を行く。 |
8/16 ナメ滝や滑床が続く。 |
出発して12分で二俣。水量は1:1。右へ入る。ところどころナメがあり、歩きやすい。右側が崖になっているところがあり、滝がかかっていた。出発から約1時間で20m滝。道が見えず、一応ハーネスを装着する。左手のルンゼから上がると小尾根に出る。気づかなかったが西隣に枝沢が滝をかけていた。標高1030m付近だろうか。雨でズルズルした踏み跡を上がり、20m滝の落口に出た。
8/16 20m滝。左から巻く。 |
8/16 10m滝。少し戻って右から巻く。 |
さらに少し歩くと10m滝。少し戻って右から巻く。滑りやすい笹の斜面を上がり、滝の上に出る。地形を見るとここで大きく右へ曲がっている。そろそろ大場谷地へ上がる枝沢を上がったほうがいいだろうと探すとよさそうな谷が見える。沢床に下ってからその出合を探し、その枝沢をたどる。
8/16 細くなった支流を遡る。 |
8/16 大場谷地に出た。 |
入るところはヤブがかぶっていてあまりよくなさそうだが、左へ左へ曲がっていくのを見ると道は合っていそうだ。もうごく小さな流れになり、傾斜が緩やかになるとヤブっぽい草地に出た。流れに沿って抜けるとそこが大場谷地であった。ギボウシの咲く湿原を抜け、登山道に出た。登山道を左にたどり、八瀬森山荘に着いた。ここで一休み。
8/16 二階建ての八瀬森山荘。 |
8/16 八瀬森山荘でお茶を沸かして飲む。 |
八瀬森山荘は立派な2階建ての小屋で、中には同じく葛根田川を遡行した2人パーティーが休んでいた。外は雨で体はずぶ濡れ。気温が高いので寒くないのが幸い。Sさんに湿原に水を汲みに行ってもらい、今後の予定をWさんと話す。今日も雨がやまないので、予定の大深沢は中止。大深岳方面へ縦走する。大深岳まで行って大深山荘に泊まるか、さらに三ツ石山荘へ足を延ばすか決めることにする。明日雨が止めば岩手山方面の縦走を目指す。小屋にいた2人組も明通沢を下って車を回収する予定らしいが、沢を下るかどうかは考え中だそうだ。はるばる滋賀から来たとか。
Sさんが水を汲んで戻ってきたので、お茶を沸かす。2人組は先に関東森方面へ出発した。お茶を飲んで雨が小康状態になったときに出発した。大場谷地を過ぎて森に入ると、ブナやらシダやら笹やらの混生した深い森。傾斜はほとんどなく道なりに歩いていく。あまりに平らな上、樹林帯で視界がないので道がないと迷うだろう。ところどころ泥んこになったところもあり、沢タビで通過する。
8/16 森の中の道を歩く。 |
8/16 関東森。平らで山頂という感じではない。 |
25分ほどで関東森。三角点もある山頂だが、平らで展望もなく、山頂らしくない。少し急な、水の流れる道を登り、1233m標高点。さらに緩やかに登ると1283m標高点の湿原。標柱が立っており、青い花が咲いていた。
8/16 1283m湿原。湿原が繰り返し出てきた。 |
8/16 沢のように水の流れる道を行く。 |
湿地を過ぎるとまた森に入り、葛根田川側が急な斜面になっているところを歩く。1384m標高点から急な下りでまた湿原に出る。クルマユリが咲いていた。雨が弱くなり、樹林帯に入ったところ、標高1415m付近で一休み。八瀬森荘から2時間の行程だ。道の北側でザーザー水の流れる音がすると思って笹を開いてみたら本当に水が流れていて驚いた。稜線なのだが、本当になだらかな山稜のようだ。
8/16 1415m付近で一休み。 |
8/16 大深岳分岐。大深岳へは行かずに三ツ石山荘へ向かう。 |
出発してしばらくすると大深岳から下ってくる単独行のおじさんがいた。この天気であんな泥んこの道へ行くなんてよっぽどの湿原フェチだなとWさんが評していた。休んだところから20分で大深岳の分岐。大深岳は今回の山行の最高点なのだが、まだ先もあるので往復はやめた。
三ツ石山荘へ向かう。降っていた雨はやみ、代わりにガスになり西風が吹く。秋田・岩手の分水嶺だから天気が変わるのだろうかとWさんが言っていた。ここまで私がトップを務めていたが、ここからWさんがトップを務める。小畚山への道は急で土が滑る。Sさんと私は何度も転びながら下った。気づくとWさんがだいぶ先を歩いている。下りきるあたりで沢を渡る。八瀬森山荘で汲んだ水はゴミが入っていたのでここで水を汲み直す。
8/16 小畚山の登り。 |
8/16 小畚山。周囲はガス、西風が吹く。 |
鞍部から小畚山へ登る。小畚山は本日一番の急登でハイマツの斜面を登り小畚山へ登頂。まわりはガスで何も見えない。小畚山からは緩やかな稜線を行く。晴れていれば気持ちのよい稜線歩きなのだろうが、西風が強く、ガスであんまり面白くない。飯豊連峰の縦走に行ったときもこんな感じだったのを思い出す。1448m三角点から少し下った三ツ沼の手前で風が避けられたので一休み。
8/16 三ツ沼のほとりは木道になっていた。 |
8/16 三ツ石山山頂。岩手山の眺めはなし。 |
エアリアマップを見るとまだ1時間半ほどかかりそう。適当なところで休みを入れましょうと私が言った。三ツ沼のあたりは木道になっていて歩きやすかった。緩やかな登りの後、大きな岩が見えてきて、その左を巻く。しばらくで平坦な三ツ石山の山頂であった。エアリアマップには岩手山絶好の展望地とあるが、真っ白で何も見えない。トップを歩くWさんは足を止めずに下っていた。
三ツ石山から雨が降り始めた。沢みたいな道を下る。雨は下るにつれ強くなり、まだかまだかと思いながら歩くとやっと三ツ石山荘についた。三ツ石山荘は湿原の真ん中にあり、これも八瀬森山荘同様二階建ての立派な小屋だ。中に入るとすでに2パーティーが休んでいた。
8/16 二階建ての立派な三ツ石山荘。 |
8/16 三ツ石山荘でWさんが揚げた天ぷらをいただく。 |
とりあえず外で屋根からの雨水を集める。今日一日雨が降っていたからか屋根の汚れはなく水はキレイだ。なお、正規の水場は滝ノ上温泉方面へ1分ほど木道を歩いたところにあった。やがて雨はやんだが、その後も降ったりやんだりを繰り返した。
中の1階は2パーティーが使っていたので私たちは2階に上がる。入り口にヘルメットがあったのでおや、と思ったら、2パーティーとも葛根田川であった。1つは滝ノ又沢出合に泊まったタープ3人組(たぶん品川ナンバー)、1つは八瀬森山荘で会った滋賀から来た2人組だ。これに加えて私たちと、この日の宿泊者はすべて葛根田川を遡行した人であった。タープ組も大深沢を予定していたが、あきらめて縦走してきたそうだ。
快適な小屋に入り、濡れたものを吊るしたりして休む。天気図を書くと北海道からモンゴルにかけて停滞前線が伸びていた。この影響で北東北は天気が悪いようだ。最終的には翌朝の天気を見て決めるが、晴れれば岩手山方面の縦走、雨が降れば林道から網張温泉へ下山とした。
どちらにしろ、この三ツ石山荘が最後の宿泊地なので、ここで明日使う予定だったハヤシライスの具で天ぷらを作った。Wさんが持ってきた具材に天ぷら粉をつけ、フライパンで調理し、だし汁をつけて食べた。山で食べる天ぷらはうまい。おかげで予定の豚汁は消化できたが、ご飯は残ってしまった。それは明日に回す。
もう明日下山なので静かな声で酒を飲み続け、20:30就寝。外はときどき雨が小屋に吹き付けていた。
3日目 |
2011年8月17日(水) 雨 |
三ツ石山荘…大松倉沢橋…網張温泉=小岩井農場=盛岡=(東北新幹線)=東京
三ツ石山荘 | 4:30起床 |
7:55 | |
県道212号分岐 | 8:17 |
県道212号登山口 | 8:25 |
県道212号車止めゲート | 8:51 |
休暇村岩手網張温泉 | 9:50 |
12:15 |
明け方も雨。岩手山方面の縦走をあきらめると、今日は林道から網張温泉へ下るだけで時間があまる。ゆっくり寝ていようと思ったが、4時半頃から1階のパーティーが動き出した。いつもの私ならそのまま寝ていられるのだが、起きてしまった。しばらくラジオを聞いたりしながら寝ていたが、5時半頃から起きてコーヒーを作った。昨日の残りのご飯を炊き、ラーメンを1袋分作った。
そのうち1階の2パーティーが滝ノ上温泉へ出発。外は以前雨。しばらくすると単独行が小屋に入ってきた。若い人で大深山荘から来たそうだ。岩手山までの縦走の予定らしいが、この雨と風でどうしようか悩んでいた。松本から来た山岳ガイドの人で、秋に来るのに偵察をしているらしい。結局岩手山方面へ縦走していた。私たちはのんびり支度して7:55に三ツ石山荘を出発。
8/16 三ツ石湿原を歩く。 |
8/16 三ツ石山荘から25分で林道分岐。 |
木道を伝って少し登り、急な下りで林道分岐。1人おばさんが三ツ石山荘へ登っていった。こんな天気なのに。林道へ向かい、また下ると立派な舗装の林道に出た。登山口の看板を見ると「奥地等産業開発道路(奥産道) 県道(212号)東八幡平線」とある。松川温泉にも赤川沿いに道があるところを見ると三ツ石湿原を乗っ越す林道を作るのだろうか。
8/16 林道に出たところに掲示されていた地図林道地図。 |
8/16 網張温泉に到着。 |
あとは林道を1時間半かけて下る。ときおり晴れ間がのぞくが雨も降った。3台の車が過ぎていった。網張温泉に出て沢タビを脱ぎ、ザックを玄関において風呂に入る。1人500円。硫黄の香りの強い温泉であった。12:15発の盛岡バスセンター行きに乗車。
途中、小岩井農場に寄ってジンギスカンを食べ、牛舎を見てバスに乗ると、松本からの山岳ガイドさんが乗っていた。岩手山まで行き、御神坂駐車場に下ったそうだ。風は思ったほど強くなかったとのこと。
バスで盛岡に出て盛岡城跡を観光し、晩ご飯とお酒をいただく。夜行バスは空席が見つけられず、最終の新幹線で帰京した。
葛根田川は北東北の沢らしくおだやかで楽しめた。天気が悪く、予定の大深沢は宿題に残ってしまった。また大深沢目指して行ってみたい。お盆だからか人が多かったのが意外であった。
幕営適地は大石沢出合、滝ノ又沢出合、北ノ又沢支流910m〜920m付近。
三ツ石山荘は二階建てでトイレは室内、紙があった。水は滝ノ上温泉側へ1分ほど。