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2009年夏 - 北アルプス・剱岳本峰&八ツ峰VI峰Aフェース魚津高ルート


2009年9月2日(水)〜6日(日)
場所
富山県中新川郡立山町・上市町
ルート
9月1日
立川=扇沢(泊)
9月2日
扇沢=黒部ダム…内蔵助平…ハシゴ谷乗越…真砂沢ロッジ(泊)
9月3日
真砂沢ロッジ…長次郎谷…熊ノ岩…八ツ峰VI峰Cフェース劒稜会ルート…熊ノ岩(泊)
9月4日
熊ノ岩…長次郎谷左俣…長次郎コル…剱岳本峰…熊ノ岩…八ツ峰VI峰Aフェース魚津高ルート…熊ノ岩(泊)
9月5日
熊ノ岩…長次郎谷右俣…池ノ谷乗越…池ノ谷ガリー…三ノ窓…チンネ左稜線…池ノ谷乗越…熊ノ岩(泊)
9月6日
熊ノ岩…長次郎谷…真砂沢ロッジ…ハシゴ谷乗越…内蔵助平…黒部ダム=扇沢=立川
参加者
K、中山
参考文献

3日目

2009年9月4日(金) ガスのちくもり

熊ノ岩…長次郎谷左俣…長次郎コル…剱岳本峰…熊ノ岩…八ツ峰IV峰Aフェース魚津高ルート…熊ノ岩(泊)

コースタイム
熊ノ岩3:00起床
5:34
長次郎谷左俣2715m6:14
7:25
長次郎コル8:03
8:11
剱岳本峰8:47
9:23
長次郎コル9:50
9:56
熊ノ岩10:35
10:57
八ツ峰IV峰Aフェース魚津高ルート取付点11:20
Aフェースの頭12:45
V・VIのコル13:30
13:40
熊ノ岩14:06
19:10就寝

 昨日の酒のせいか、朝は全くと言ってよいほど飯が食べられず、出発直前に戻してしまった。頭も痛い。標高が高く酒が回りやすかったようだ。

 この日はガス。岩場を登ろうにも取付点すら分からない。そのため剱岳本峰に登ってくることにした。剱岳本峰へは長次郎谷左俣を詰め、長次郎のコルを経て稜線を登る。一応登攀具を持って熊ノ岩を出発。

 途中までは踏み跡のようなものがあるが、20分ほどでなくなり、ガレ場を登る。雪渓は1本でコルまでつながっておらず、途中で切れ目があった。しかしガスのためよく分からずアイゼンを付けないで登れるところまで登る。やがてまわりが雪渓になるところ、標高2715m付近に出てアイゼンを履く。しかしガスは晴れず、地形は見える限り同じような急な雪渓である。どこを登ればいいのか分からないためここでしばらくガスが晴れるのを待つ。1時間ほど「山に関連する単語しりとり」を行なって時間をつぶす。

 1時間経ってもガスが晴れないため、とりあえず登ってみることにする。まっすぐ登っていくとクレバスのようなものが見える。ここではないだろう、と右へ右へ登っていくと雪渓が続いていそうだ。ここを登る。9月にも関わらず雪渓はだいぶ上まで続いており、コルの直下まで続いていた。長次郎のコルに出てアイゼンをはずし、剱岳本峰へ向かう。

長次郎雪渓左俣
9/4 長次郎雪渓左俣を登る。ガスっていて道が分からない。
第四尾根
9/4 長次郎のコルにいた雷鳥。(この日はこのあとの剱岳本峰の写真などがメモリから消えていた)

 長次郎のコルから少し登ったところでKさんが雷鳥を発見。カメラに収める。あまり動かない雷鳥で何枚か写真を撮った。コルからすぐ上で道に迷う。リッジ伝いに登るか、右手池ノ谷側を巻いていくか迷うが、リッジ伝いに登った。そこから岩に張られた白いテープに導かれながら登っていく。登りきったあたりで平坦になり、また雷鳥をみかけた。ガスで天気が悪いからよく見かけるのだろうか。そしてもうひと登りして黄色い×のペンキを越えると剱岳本峰に出た。

 本峰は険しい割に槍ヶ岳よりは広く、ほこらもずっと大きい。記念写真を撮り、大休止。天気はあまりよくないのだが、別山尾根か早月尾根から登ってきたのだろう。ガスは晴れず、展望はないが、剱岳本峰に登れたことがうれしかった。しかし残念なことにこの日の写真は雷鳥の写真のあとはAフェース魚津高ルートを登った後の写真までごっそり記録されていなかった。その後はSDカードに記録されていたのだが、どのようなエラーだったのだろう。

 帰りは来た道を戻った。長次郎のコルに下る道が少々怖かった。コルからはまたアイゼンを履いて下った。

 熊ノ岩に戻るとガスが晴れてきた。八ツ峰も見える。時間もまだ11時前なので、これから取り付くことになった。登るのはVI峰Aフェース魚津高ルートである。登攀具を用意して長次郎雪渓右俣を渡り、取付点へ。また北大3人パーティーが私たちに先立ち出発し、すぐ後ろを登ることになる。出がけに北大のテントキーパーとあいさつする。岩の上で文庫本を読んでいて優雅に過ごしていた。聞くところによると9月1日から11日まで11日間入山するとか。それは余裕ある登攀ができるだろう。

 岩の基部のルンゼを少し登って取付点。ここでビレイする。

魚津高ルート

↑八ツ峰IV峰Aフェース。マウスオーバーで魚津高ルートを表示。

 1ピッチ目。40m3級+(長さ、等級はクライミングジャーナル編集部編「クライミング・ガイドブックス 日本の岩場(下)」による)。Kさんリード。取付から左方向へ登る。途中岩の凹角を渡るようなところがあり、難しい。でも下山したのちの例会で難しいと言ったらKさんから「どこが難しいんだよ」と言われてしまった。

 2ピッチ目。40m3級。中山リード。いったん左に巻いた後、すぐ右に戻り、リッジの右側を登る。出だしですぐランニングビレイを長くとれと怒られる。リッジの右側に出たところで高度感があり、笑い声を出しながら「ひょう、怖い」と言ったらKさんに「真剣に登れ」とまた怒られた。リッジにはところどころスタンスが見当たらないが、ガバホールドが多く、セミになることなく登れた。テラスには北大がいたのでテラスの一段下でピッチを切る。

 3ピッチ目。40m2級。Kさんリード。テラスを左に移り、簡単な凹角を登る。その上で右に出て1級程度のフェースを登っていくとAフェースの頭付近に出た。

 Aフェースの頭からまたV・VIのコルまで下る。トラバース気味に下りていき、ハイマツの中に下降点を見つけて懸垂下降で下る。懸垂下降40mほどでV・VIのコルに下れた。コルで一休みし、熊ノ岩に戻った。

 テントに入り込むと急に強い雨が降ってきた。まだ水を汲んでおらず少々困る。しばらくテントで待機していると雨がテントに当たる音が変わった。テントの外を見るとひょうが降っていた。ラジオは上空に寒気が来ていることを伝えており、相当な寒気が来ているらしい。下界では大雨洪水警報が出ていた。しかし、昨日ほど激しい雷は鳴らなかった。

 夜はカメラのISO感度を最大にしてテントの明かりと八ツ峰などを撮って喜んでいたが、コンピュータの画面で見るとあまりに暗く、一様な色のはずのところに色ムラができてあまりいい写真にならなかった。


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