山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2007年山行一覧>足尾・松木沢
6月中旬、都庁山岳部では足尾の松木沢で岩登りの練習を行っている。場所は松木沢右岸の中倉山北尾根である。ここには穂高のような立派な岩場があり、書籍によっては「日本のグランドキャニオン」と表現しているものもあるそうだ(Iさんの話)。
ここで以下の練習をした。
懸垂下降などほとんどのことはやったことがあったのでできたが、フレークの登りはまったくやったことがなく、ひとり大苦戦した。結局登ることができたが、どうやって登っているのか自分でも分からず、いまいち釈然としない。
14日の梅雨入りにもかかわらず天気は最高によく、遮るもののない岩場では日に当たってみんな日焼けしてしまった。
0日目 |
2007年6月15日(金) |
立川駅集合=銅親水公園(泊)
22:30立川駅集合。圏央道、関越道、北関東自動車道を経由し、銅親水公園へ。銅親水公園には26時着。駐車場にテントを張り就寝。空は快晴で天の川がよく見えた。
1日目 |
2007年6月16日(土) 快晴 |
銅親水公園…松木沢840m付近…登攀練習…松木沢840m付近(泊)
銅親水公園 | 7:00起床 |
7:40 | |
松木沢840m付近 | 8:35 |
9:00 | |
登攀練習 | 9:45 |
14:00 | |
フレークの練習 | 14:30 |
15:30 | |
松木沢840m付近 | 16:00 |
22:00就寝 |
7時起床。テントを撤収してサイトへ向かう。銅親水公園の上部にある足尾砂防ダムを越えると、土砂が溜まった平地になる。そこは真ん中に本流の松木沢、右に久蔵沢、左に仁田元沢の三俣になっている。久蔵沢川から巻いて松木沢沿いに林道を歩く。833m付近からは林道は廃道となり、歩行者のみ歩ける道になる。左手、松木沢右岸に大きな岩山が見えてきたところで幕営。ちょうど苔が広がる平坦地で幕営に都合がよい。
6/16 銅親水公園の上部にある足尾砂防ダム。 |
6/16 松木沢の岩場。 |
必要な装備だけもって岩場へ。松木沢を渡る。今回サンダルを持って来なかったのだが、裸足で渡渉すると足の裏が痛い。渡ってから道のはっきりしないガレの上を登っていくと岩場の基部に着いた。ここから右のルンゼへ回り込みさらに登る。ルンゼは複雑に曲がっている上、ガレが随所にあって不安定である。ところどころ三点支持で登るところもあり、下りが気になる。基部から15分ほどで練習場所に着いた。中倉山の稜線が近いところである。
6/16 松木沢を渡るIさん。 |
6/16 岩場から見下ろした松木沢全景。奥に足尾銅山のボタ山みたいな斜面が見える。 |
そこには15mほどの高さの岩がそびえたち、角度はほぼ垂直に見えた。「ここ登るんですか?」とKさんに聞いたらやっぱりここをのぼるらしい。登れそうにないなあと思いながらクライミングシューズを履いたりして準備。やがてHさんとKさんが遅れてやってきた。
はじめに懸垂下降の練習。岩の裏側に回り、岩角にザイルをフィックスしてそれを支点にして懸垂下降。Kさんから「10回懸垂下降。岩登りでの事故はほとんどが懸垂下降中の事故だから」と言われ、10回懸垂下降する。3本のザイルを使って他の人と重ならないように下っては登り下っては登る。最後の方ではIさんから仮止めで停止する方法を教わる。そのときはハーネスとエイト環の間が離れていてエイト環がくるくる回り、なかなか仮止めできなかった。
6/16 3人並んで懸垂下降。 |
6/16 懸垂下降する中山。 |
正確には数えていなかったが、10回ほど懸垂下降したあと昼飯。パンとサラダを食べる。
昼飯の後はクライミングの練習。15mほどの高さの岩を登る。最初に左端の凹角を登る。最初にKさんが登る。どうやって登るのかよく分からなかったが、登ってしまった。次に私。取り付いてみるとところどころスタンスがあった。Kさんのようには行かないが、何とか登ることができた。
もう一度その凹角を登り、その次に右隣のカンテを登った。途中、スタンスにするには不安なところがあり、1分くらい躊躇したがひと思いに足をかけて登った。登れたが、危なかった。クライミングシューズでなければ3回ほど落ちていただろう。
6/16 カンテを登るKさん。背景は松木沢上流。 |
6/16 懸垂下降するHさん。 |
最後に右へぐるりと回り込んだところを登って、ここでの練習を終える。ザイルを回収して岩の基部へ戻る。登るときは懸垂下降しないと下りられないかと思っていたがフリーで下ることができた。そこでフレークを登る練習。フレークとは岩に溝があり、手のかけられるところ。ただし、そこのフレークは鉛直方向に岩溝があり、手をかければぶら下がれるというものではない。スタンスも乏しく、ただ手と足を上へ伸ばしていくだけでは登れない。
そこをIさん、Kさん、Kさんはするすると、Hさんも苦戦しながら登っていった。で、私は全然登れなかった。手でぶらさがってそのうち腕が疲れて落ちてしまう。「溝に手をかけて、溝の外側に体重をかけて足で踏ん張れば落ちない」と言われてもできない。そもそもそんな行為、物理法則に反しているような気がする。とはいえ目の前で登られてしまっては登れるとしか言えない。結局この日は登れなかった。
6/16 フレークを登るKさん。 |
6/16 キャンプサイトに戻る。 |
岩場から下って松木沢を渡り、キャンプサイトへ。戻ってから登った岩場を見たが、いったいどこを登ったのか分からなかった。上からはテントが見えたのでテントからも登ったところが見えるはずだが、誰も分からなかった。テントについてからたき火をしたが、集めた木は非常に乾燥していたため、たき火は地面の苔や枯れ草に燃え移り、あやうくボヤになるところだった。この日は1日快晴で夜も満天の星が広がっていた。
2日目 |
2007年6月17日(日) 晴れのち曇り |
松木沢840m付近…登攀練習…松木沢840m付近…銅親水公園=立川駅(解散)
松木沢840m付近 | 7:00起床 |
8:40 | |
登攀練習 | 9:00 |
12:00 | |
松木沢840m付近 | 12:20 |
13:35 | |
銅親水公園 | 14:20 |
朝起きて飯を食べ、昨日のフレークの練習をしたところに登る。そこで私は昨日の宿題、フレークの練習の続き。2回ほど落っこちてからKさんによる研修を受ける。形だけ真似事をして「腕を伸ばして引っ張る…」とブツブツ反芻してから登ると、今度は登れた。どうやって登ったのか自分でもよく分からないが、確かに腕を伸ばして引っ張って、足も力を入れると落ちなかった。登れたが、何で登れたのかよく分からなかったので釈然としなかった。
私がフレークの練習をしている間にKさんとIさんは岩クズを詰めたズタ袋を使って確保の練習の準備をしていた。フレークの練習が終わって確保の練習。腰がらみ、中間支点を1か所付けたときの腰がらみ、確保器を使った確保の3つを行った。腰がらみははじめてだったが、けっこう体に食い込んだ。練習ではトップが落ちるのが分かっているが、実際には落ちるのは分からないので止めるのは難しい。その点でまだまだ練習が必要と感じた。
6/17 自己脱出(懸垂下降の登り返し)を行う中山。 |
6/17 難ルートを登るIさん。 |
最後に自己脱出(懸垂下降の登り返し)。ザイルにバッチマンでカラビナを固定し、登り返す。巻き結びでの登り返しはやったことがあるが、バッチマンは初めてだった。地道にハーネスに結んだテープと足掛けを上へ伸ばしていき、上まで達した。久しぶりにやると疲れる。
自己脱出が終わった時点で時刻は12時。これにて練習を終え、キャンプサイトへ戻る。昼飯を食ってテントをたたみ、銅親水公園の駐車場へ戻った。
帰りはわたらせ渓谷鉄道水沼駅の温泉センター(500円)で汗を流し、帰京した。
岩登りは文登研リーダー研修会くらいしか経験がなく、それも6年前なのでザイルの扱いを学ぶいい機会であった。またクライミングシューズを使うのも初めてだったのでクライミングシューズの性能も知ることができた。いろいろと得るものがあったのでこれからの山行でも生かしていきたい。
またこの松木沢合宿で私は都庁山岳部入部1周年になる。これで年間の主だった合宿、山行に出席したことになる。これからの季節、私の好きな沢登りが盛んなので精力的に活動したいと思う。