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2006年秋 - 箱根・金時山


2006年10月21日(土)
場所
静岡県利御殿場市、駿東郡小山町、神奈川県足柄下郡箱根町、南足柄市、小田原市
コース
10月21日
新宿=(小田急箱根高速バス)=乙女峠バス停…乙女峠…金時山…矢倉沢峠…明神ヶ岳…宮城野バス停=(箱根登山鉄道バス)=小田原
参加者
天気
くもり
参考文献
06箱根・金時山の地図

はじめに

 金時山は箱根の外輪山の一つである。外輪山の中でも最も高く(1212m)、富士山、箱根駒ヶ岳、芦ノ湖などの展望がよいことから人気の高い山である。登路は3つあり、東側に仙石原から矢倉沢峠を経由する道、南西側に乙女峠からの道、北側に足柄峠からの道がある。この中でも交通の便の良い仙石原と乙女峠をそれぞれ起点・終点とするルートがよく登られているようだ(例えば「アルペンガイド21 東京周辺ワンデイハイク」や「東京付近の山—花と展望の23山域300コース」の紹介)。

 私たちは今回乙女峠から登り、金時山を登った後、金時山から東に4kmほどの明神ヶ岳まで歩いた。明神ヶ岳も箱根の外輪山の一つであり、やはり「アルペンガイド21 東京周辺ワンデイハイク」にも載っている山である。明神ヶ岳の後は宮城野へ下り、風呂に入った後バスで小田原に下った。

日帰り

2006年10月21日(土) くもり

乙女峠…金時山…明神ヶ岳…宮城野

コースタイム
乙女峠バス停9:08
9:11
乙女峠9:43
10:02
金時山10:55
11:15
仙石原分岐11:42
矢倉沢峠12:00
963m峰12:15
12:29
明神ヶ岳14:06
14:18
車道に出る15:27
宮城野バス停
・勘太郎の湯
15:40
16:45

 6:30新宿集合とする。7:00新宿発のバスに乗って乙女峠へ。今回、乙女峠から宮城野へ抜ける道をとったが、逆コースをとらなかった理由はこのバスのためである。乙女峠へ行くこの小田急箱根高速バスは全席指定席なので、帰りに座れない可能性があり、確実に座れるよう行きに指定券を取った上でこのバスを用いた。結果的には金時山への急な登りも思ったより楽に登れ、一石二鳥だった。

 乙女峠バス停は乙女トンネルの静岡県側に位置し、標高は800m。乙女峠は1005m、金時山は1212mなので金時山まで400mの登りになる。金時山に登る人が多いのか、バスの乗客の半分ほどが下車した。登山道の入口は分かりにくいが、トンネル入口の左手にあり「火の用心」をはじめとして看板が多いので間違えることはない。道は杉の植林帯の中で薄暗いが、足元には植物が多く、母はサルトリイバラなど多くの植物を見つけていた。道は周囲より深さ1mほどえぐれており、足元は石が転がっていて少し歩きにくかった。

乙女峠バス停
10/21 乙女峠バス停から金時山に登る。
乙女峠から金時山
10/21 乙女峠から金時山の登り。
※デジタルカメラの損傷により写真にノイズが入っています。

 30分ほどで乙女峠。残念ながら稜線の両側ともガスで富士山も仙石原も駒ヶ岳も見えない。それでもベンチの脇に野地菊のような菊が咲いており、殺風景というわけではない。峠には茶屋があり、飼っているらしい犬がうろうろしていた。

 乙女峠から金時山に向かう。最初は急登。これまでと同様両側えぐれた道を登る。ただし足元は土の斜面なのですべりやすい。この斜面で母がリンドウを見つけて喜んでいた。リンドウはつぼみで昼になると花を開くらしい。登り着くと長尾山。広くなっていて休むのに良さそうだ。このあと金時山まで細かい登り下りがある。アセビや不気味な赤いサルスベリのような木、紅葉が始まった木などいろいろな木があった。途中でリスのような機敏な動きをする小動物を見かけた。最後に鉄パイプのフェンスのある火山岩の露出した急登を終え、少しなだらかになると金時山山頂に着いた。

 金時山山頂は晴れていれば富士山や芦ノ湖など非常に眺めが良いのだが、この日はガスで仙石原が少し見えただけだった。山頂は人が多かったので山頂の少し下で休んだ。仙石原からガスが吹き上げていく様子はまるで3000m級の山のようであった。休んでいると少し寒かった。しかしそれでも母は満足だったようだ。

金時山山頂
10/21 金時山山頂。ガスで展望はなし。
金時山からの下り
10/21 金時山からの下り。

 金時山で休んだ後は矢倉沢峠へ下る。長く続く急な下り道でしかも下からたくさん人が登ってくるので時間がかかった。しかし途中で仙石原へ下る道を分けると人は半分以下になり、すいすい進めるようになった。露岩のある土の斜面を下り、笹の中の道を下ると矢倉沢峠に着いた。峠には茶屋があったがシャッターが閉まっていた。

 「アルペンガイド21 東京周辺ワンデイハイク」では矢倉沢峠から仙石原に下っているのだが、まだ疲れていないので明神ヶ岳へ向かうことにする。矢倉沢峠付近は道がごちゃごちゃしていて分かりにくい。いったん仙石原側に行き峠越えの道に出て、矢倉沢側に1分ほど歩き、T字路を右へ行くと明神ヶ岳への道になった。T字路ををまっすぐ行くと矢倉沢峠のトンネル、金時隧道の矢倉沢側に出るようだ。両側笹に囲まれた道を登って953m峰で一本。

 矢倉沢峠を過ぎると人はめっきり少なくなる。15分ほど休んだがその間に人は来なかった。金時山の喧噪がうそのようである。ここで地図を見て明神ヶ岳へ行くには時間が足りないので明神ヶ岳手前のコルから宮城野に下ろうと決める。

矢倉沢峠
10/21 矢倉沢峠の笹原。
野菊の群落
10/21 野菊の群落。

 953m峰から946m峰の下りまでは笹の中の道である。足元に刈り払われた笹が落ちていて下りでは滑りやすい。それでもこの背丈より高い笹を刈ってくれていること自体が歩くにはありがたいので文句は言わない。

 946m峰からコルまで下りつき、988.5m三角点峰へ少し登りかえすと林相は大きく変わり、苔むした原生林みたいになる。それまで鳴りをひそめていた人も向こう側からやってくるようになった。トリカブトが花をつけていてそれを抜いている人もいた。その後は笹もあるものの明るい林の中のトラバース道となり、988.5m三角点峰は北から巻いた。この988.5m三角点峰の次の峰で稜線に戻る。戻ったところに看板があり、その辺りの山が火打石岳と呼ばれていると書かれていた。火打ち石になる石をここから採掘したらしい。現在ではヤブで露岩は見えない。

 この稜線に戻ったところの道は秋にもかかわらず花の多いところだった。野菊、野地菊、アザミ、リンドウ、カワラナデシコなど。ススキも広がっていて母は感動していたようだ。

 さて、25,000分の1地形図によればこのあたりに宮城野へ下る道があるはずだが道は見当たらない。道の着いているはずの小尾根分岐を通り越してから道がないのに気がついた。看板に気がつかなかったのか、廃道になってしまったのか分からないが、とにかく気がつかなかった。

 戻ってあるかないか分からない道を確かめるよりは明神ヶ岳に登ってしまった方が確実な道をたどれるし、ついでに明神ヶ岳も登れるので、予定を変更して明神ヶ岳へ登ることにする。明神ヶ岳の登りはなかなか急で土も削れているので登りにくい。それも100mほどの登りで道はなだらかになる。道がなだらかになるあたりで25,000分の1地形図には矢倉沢へ下る道が示されているがこれにも気がつかなかった。

 なだらかな道をのんびり歩いて行く。登りだがほとんど登っているような感覚はない。左手に崖崩れを見て明神ヶ岳手前の電波塔ピーク。送電線の鉄塔のようなものが建っていると予想したら10m x 10mくらいの反射板が2枚で拍子抜けした。電波塔ピークからは北へ最乗寺に下る道が分かれていたがヤブがかぶっていて歩きにくそうだった。そのあと大した登りもなく明神ヶ岳に至る。

明神ヶ岳手前の電波塔ピーク
10/21 明神ヶ岳手前の電波塔ピーク。
明神ヶ岳から見た強羅
10/21 明神ヶ岳から見た強羅。

 明神ヶ岳の頂上は土の表面で宮城野側からガスが登ってくる様子はだいぶ殺風景だ。休んでいると2パーティーほど山頂にやってきた。景色はなくあまり面白くもない。10分ほど休んで出発する。

 明神ヶ岳からはしばらくなだらかな道で走りやすい。3回ほど最乗寺に下る道を分け、急な下りになる。急な下りでは笹のトンネルを通過し、下り着くと宮城野へ下る道と明星ヶ岳へ行く道との分岐に至る。すでに14時過ぎと母が千葉に帰るには遅いので宮城野へ下る。

 やはり急な道を下って行くと堰の横に出た。ちょうど車道の終点にもなっているが車道と別に登山道が指定されている。もう一度車道と交差すると車道側は「私有地なので立入禁止」と書いてあった。登山道は斜面をまっすぐ下るように付けられている。その私有地は別荘地帯で登山道は別荘地帯の端をまっすぐ下っていた。あちこちの別荘を外から拝見しながら下る。別荘地帯を20分ほど歩いて公道の車道に出た。そこから看板に従って下って行き、宮城野バス停にたどりついた。バス停のすぐ近くにある勘太郎の湯という、温泉に限りなく近いことを主張するただの風呂(1000円/1人)に入って下山した。

 帰りは道が非常に込んでおり、バスは大平台の下から箱根湯本駅までで渋滞に巻き込まれた。おそらくなら30分程度で着く道が1時間ほどかかってしまった。小田原に着いたのは18時頃でそこで千葉に帰る母と分かれ、小田急線に乗って帰った。

おわりに

 紅葉を見るにはまだ早く、ガスで景色は見られず、金時山に人は多い、とかなりの悪条件にも関わらず母は花をたくさん見られて満足していたようだった。私だけだったら多分上記の悪条件でいい印象が残らないと思うが、母が花の名前を説明してくれたおかげで少しは良い印象を持てた。

 1年中いつでも登れる山だが、いつかと言えば人の少ない冬に登りたい山である。

(2006年10月21日記す)


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