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2006年秋 - 上武国境・父不見山[1/2]


2006年10月28日(土)
場所
埼玉県秩父郡小鹿野町、秩父市(旧・秩父郡吉田町)、群馬県多野郡神流町(旧・中里村、万場町)
コース
10月27日
新宿=所沢=飯能=西武秩父(前夜泊)
10月28日
西武秩父=小鹿野役場バス停=坂本バス停…股峠…987m峰…矢久峠…坂丸峠…父不見山…土坂峠…塚山…馬立沢下降…太田部入口バス停
参加者
単独行
天気
くもり
参考文献
06上武国境・父不見山の地図

はじめに

 群馬県と埼玉県の県境である上武国境は西の端で尾根を境としている。上武国境の西の端は奥秩父の三国山であり、そこからほぼ東北東へ向かって帳付山、赤岩尾根、二子山、父不見山、塚山を起こし、神流川に下っている。

 私はすでに三国山〜赤岩峠赤岩峠〜二子山を歩いているのであと二子山〜塚山を歩けば上武国境稜線はひととおり歩いたことになる。そこで今回この二子山〜父不見山〜塚山を実行した。しかしこの計画を実行するのはこれが初めてではない。2回目である。1回目は2005年に計画したが、2月で雪が多く二子山で敗退した。前回は1泊2日の予定だったが、今回は日曜日に用があったので夜行日帰りで実行することにした。結果的にヤブ山の9時間行動とけっこうきつい山となったが、達成感のある山行になった。人が少ないのもよかった。

0日目

2006年10月27日(金)

新宿=所沢=飯能=西武秩父(前夜泊)

 職場から家に戻り、21時頃出発する。本当は土曜朝発ちとしたいのだが、西武秩父駅発の始バスの時間が7:03、西武秩父駅に最初に到着する列車が7:06と間に合わないため、前夜発とした。

 飯能まではほとんど立ち。飯能から西武秩父までは終電に乗り、座れたのでぐうぐう寝ていた。西武秩父駅に着いて秩父鉄道御花畑駅へ向かうアーケードの畳敷きで寝る。ベンチとして畳が置いてあるので銀マット無しで眠れるのがうれしい。畳の一つでは若者4人ほどが話をしていた。置いていたヘルメットを見ると岩登りだろうか。あるいは場所柄、ケイビングかもしれない。シュラフカバーに潜って24:30には就寝した。

日帰り

2006年10月28日(土) くもり

西武秩父=小鹿野役場バス停=坂本バス停…股峠…987m峰…矢久峠…坂丸峠…父不見山…土坂峠…塚山…馬立沢下降…太田部入口バス停=(日本中央バス)=JR上越線新町駅

コースタイム
坂本バス停8:13
二子山登山口8:26
8:31
股峠9:03
西秩父林道に出る9:07
群馬・埼玉県境に出る9:15
987m峰9:41
982m峰10:25
10:37
矢久峠11:03
11:05
坂丸峠11:29
大塚(長久保の頭)12:00
父不見山12:11
12:26
杉ノ峠12:48
大久保山980m峰13:14
土坂峠13:53
上の峠14:13
竹ノ茅山978m峰14:20
14:37
塚山15:18
15:20
神流川沿いの道に出る16:44
太田部入口バス停17:08
17:36

 朝5時過ぎに寒くて起きる。カッパを着てまた寝る。改めて朝6:30に起きる。すでに始電は出ているのでそれ以前からパタパタと人の歩く音は聞いていた。さっさとシュラフカバーを片付け、バス乗り場へ。

 7:03発の小鹿野車庫行きのバスに乗り、寝ようとするが眠れず。小鹿野役場で便意を催し、わずかな乗り換え時間でトイレに寄る。小鹿野役場7:40着、7:42発。坂本行きのバスの客は始点から終点まで私だけであった。8:13終点坂本着。

 すぐ二子山へ向けて出発する。天気はくもり、前回と同様二子山は雲に隠れて見えない。失敗した前回と同じ天気であることに嫌な予感がする。一方で振り返れば両神山八丁尾根の西岳新道の尾根がよく見えた。

 仁平沢沿いの登山道を行き、志賀坂峠へ通じる車道にいったん出る。民宿登人の先で西秩父林道に入る。すぐトイレがある。その反対側の小沢で水が汲めたと思ったが、導水するパイプが壊れていたので小沢に入って水を汲んだ。そこには車を停めて話し合う作業着の3人がいて私の行動を不思議そうに眺めていた。

 トイレの先で股峠への道に入る。道に入ってすぐ3人パーティーを追い抜く。道は沢沿いで二俣を右へ行く。ところどころ沢を渡っていて歩きにくい。それでも前回のように雪がついているわけではないし、日帰り装備なのでマシである。沢を離れて急登になってしばらくでロウソク岩分岐。ちょうどそこでクライマーの2人組を見かけた。どうやら股峠裏側の西秩父林道から来たらしい。股峠について二子山の2つの峰のうち、まだ行っていない東岳を行くかどうか考えるが、今回はスピードが必要なのであえてカットする。

 上武国境は二子山の西端を横断するようにかすめている。上武国境をたどるという趣旨から言えば二子山の西端を横断するように歩く必要があるが、二子山はクライマーのゲレンデになっている通り、表も裏も崖になっているので単独で横断するのは難しい。そこで今回は県境を厳密にたどらず二子山から少し離れたあたりで県境の稜線に登るよう計画した。

股峠
10/28 股峠。二子山東峰・西峰の鞍部。反対側へ乗っ越す。
標高880m付近のカーブ
10/28 林道の標高880m付近のカーブから上武国境稜線へ入る。捨てられた重機が目印。

 股峠裏側の西秩父林道に下りる。西秩父林道は私が登り始めた登山口から二子山をぐるりと回って股峠の裏側に達しているのだ。なお、起点はこれから向かう土坂峠にあり、志賀坂峠道との合流点が終点らしい。西秩父林道へ下りてからしばらく西秩父林道をたどる。すぐ駐車スペースがあってこれから二子山に登る人が準備をしていた。これから登る人たちの前であたかも二子山を登り終えたかのように西秩父林道を下って行く。

 林道の標高880m付近が群馬・埼玉県境に近いので、そこで出合う沢沿いに登って行く。入口はヤブに覆われており、残置されたショベルカーはそのヤブに覆われつつあった。このヤブの中に入って行くことはできないので左手から登り、沢に戻る。稜線が近いので沢には水は流れていない。傾斜も緩く、ヤブは入口だけなのでそんなに難しくない。思ったより簡単に上武国境稜線にたどり着いた。

上武国境稜線へ
10/28 上武国境稜線への登り道。ヤブはない。
上武国境稜線
10/28 上武国境稜線に出たところ。稜線上もヤブは薄い。

 稜線の向こう側は埼玉側と違って崖になっていて叶山の採石場の機械音がガスの中から聞こえてくる。向かう坂丸峠の方もヤブもなく歩きやすそうだ。後ろ側、二子山の方はしばらくは登って行けそうだが、山頂付近には白い崖が見え簡単には登れなさそうだ。

 ちょうど色づき始めた林の中を気持ちよく歩いて行く。ヤブはないが、987m峰までは登り下りが激しい。987m峰の下りには露岩があり、西上州っぽい。987m峰から下りきると登り下りは緩やかになり、992m峰まで続く。992m峰から下ると西秩父林道へ通じているように見える道が右に分かれていた。そのコルから埼玉側は植林帯となる。982m峰へ少し登ると群馬側にフェンスが設けられており、フェンスの中は木が少なかった。おかげで展望があり、赤久縄山らしき山が見えた。フェンス沿いに稜線をたどるがそこにはイバラが生えていて大変痛い思いをした。そこは埼玉側、群馬側とも植林のためか木を刈り払ったところである。いったん刈り払ったり山火事にあった後で、森林が再生して行く過程ではイバラが主に支配する時期があるような気がする。

987m峰の下りの露岩
10/28 987m峰の下りの露岩。西上州っぽい。
フェンス
10/28 フェンス。群馬側に展望があるが、イバラが痛い。

 登って行くと後ろの二子山の展望があった。東岳と西岳がフタコブラクダのようで変な形だ。二子山は両神山など南側からから眺めることはあるが、北側から眺めることはほとんどないだろう。そう思うと貴重な風景で誰も知らない二子山を独り占めしているようでちょっとうれしかった。

 登りきって982m峰。そこまでのヤブっぽい道と違って、薮のない平らな山頂である。ここで最初の一本をとる。特に名前のついていない山だが、中里村と万場町が合併して神流町になる以前はここが町村境だったところである。しかし特にそれを表すものはなかった。

二子山を振り返る
10/28 二子山を振り返る。
982m峰
10/28 982m峰。平らなので一本をとる。

 982m峰から急な道を下るとすぐ二重山稜みたいな所に出た。よく見るとその低い部分は道であり、その向こうにほこらがあった。どうやら昔の峠道らしい。残念ながら25,000分の1地形図にもエアリアマップにもその峠は載っていないので名前は分からない。群馬側の道はすぐヤブに覆われていたが、埼玉側の道は稜線の埼玉側を巻きながらほぼ稜線に沿って矢久峠に続いていた。道も広くかなりしっかりしていて、昔は馬も越えて行ったんじゃないかと思う。私はできるだけ稜線をたどって行ったので道とは何度か交差したり、たどったりしながら歩いた。906m峰のあたりから埼玉側が植林帯となる。下草は生えていないし、なだらかな稜線なので歩きやすい。

昔の峠道
10/28 稜線に沿った昔の峠道らしきもの。ほこらもあった。
矢久峠
10/28 矢久峠。林道が横切る。

 やがて矢久峠。ほこらがあり、埼玉側には西秩父林道が稜線と平行に走っている。群馬側には父不見山側に車道が伸びていた。また二子山側にも歩かれなくなった登山道らしき道が見られた。

 矢久峠から坂丸峠へ向かう。林道を少し群馬側に回ると登山口を示す看板がある。稜線に登ると観音様とアンテナがあった。矢久峠から坂丸峠までは25,000分の1地形図に登山道が載っているが、これまでに比べてヤブが多い。歩きにくいが稜線には枝尾根も少ないため迷うことはなく、登り下りも比較的少ないので容易にたどれると言えば容易かもしれない。

矢久峠から坂丸峠へ
10/28 矢久峠から坂丸峠へ向かう。少しヤブがある。
坂丸峠
10/28 坂丸峠。

 坂丸峠に出る。十字路を示す看板があり、群馬側、埼玉側とも峠道はしっかりしてそうだ。坂丸峠からの登りは矢久峠〜坂丸峠よりはマシな道である。最初の小ピークを埼玉側から巻いているが稜線通しに歩いて行くとそのピークのあたりが二重山稜になっていて少し迷った。さらに985m峰。道は南側を巻いているが、あえて直登する。傾斜は急で、倒木が多く、登りにくい。登り着いて登山道に戻る。途中で群馬側からガサガサ音がしたので驚く。手を叩いたりして獣よけとする。鈴を忘れたことを後悔した。

985m峰の登り
10/28 985m峰の登り。道の左のヤブに突っ込む。
ウルシ科ヌルデ
10/28 ウルシ科ヌルデ。かぶれないらしいが、枝の軸に沿って葉っぱらしきものが生えているあたり、私は生理的に受け付けない。

 そこから登って行くと大塚(長久保の頭)。ここで二子山以来最初の登山者に会う。単独行で長沢から歩き出し、坂丸峠で稜線に出て歩いているらしい。二子山から来て塚山まで行くと行ったら「健脚ですね」と言われた。しかし、まだ予定を完遂できるかどうかあやしい。この大塚で南側に「摩利支天」へ道が分かれている。「摩利支天」とは大塚にあった指導標によるが、何か珍しいポイントなのだろうか。残念ながら25,000分の1地形図にもエアリアマップにも「摩利支天」の表記はなく実態はよく分からない。


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