山ノ中ニ有リ>山行記録一覧>2005年山行一覧>奥秩父・笠取山〜飛竜山[1/2]
荒井および1年生が合宿へと旅立ってしまった。これまでちょくちょくと1年生を誘って沢に登ってきたが、とたんにメンバーがいなくなってしまった。とりあえず、永谷君に連絡をとってみるが、今週末は無理と。そのかわり、来週湯檜曽川本谷に行くことになった。さて、どうしようかと考える。天気予報は週末晴れを告げているので、下界で日本の夏を味わうのはクーラーで弱った体には危険である。研究室に行こうにもこの土日は設備点検のため停電。やはり山に行こうと決める。
どこに行くか。このシーズンは沢登りを選びたいところだが、一人で沢登りをしてもあまりおもしろくない。おとなしく縦走にする。改めてどこに行くか。谷川岳方面と奥秩父を考える。谷川岳は前日に土合に詰めておかなければならない。金曜日は都合があって前夜発ができないので、奥秩父にした。場所は奥秩父主脈縦走路の雁峠〜飛竜山。奥秩父主脈縦走路は山梨県の北側の県境を構成しているが、部分部分しか歩いておらず、ここは抜け落ちていたからだ。調べていると将監峠〜飛竜山の間は縦走路が南側の山腹を巻いているらしい。せっかくなので稜線の竜喰山、大常木山も登ることにした。どちらも沢登りでは聞く名前の山だ。竜喰谷と大常木谷であり、どちらも行ったことはないけれど。
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2005年8月6日 |
大岡山=二子玉川=長津田=八王子=塩山=新地平…雁峠…笠取山…唐松尾山…将監峠(泊)
新地平バス停 | 9:15 |
9:25 | |
1330m付近 | 10:24 |
10:37 | |
雁峠 | 11:37 |
11:51 | |
笠取山 | 12:25 |
12:28 | |
唐松尾山西の鞍部 | 13:24 |
13:35 | |
唐松尾山 | 13:55 |
14:00 | |
山ノ神土 | 14:25 |
牛王院平 | 14:32 |
将監小屋 | 14:45 |
17:40就寝 |
朝5時、部室でもそっと起き、寝ぼけ眼で電車を乗り継ぐ。田園都市線は渋谷で徹夜した人を乗せてきているのか、座れなかった。八王子から普通松本行きに乗り、寝る。けっこう混んでいた。勝沼ぶどう郷駅でまたもそっと起き、塩山で下車。バスを待つ。ヘルメットを背負っている人を見かける。私も沢登りしたいなあと思う。西沢渓谷行きのバスに乗りまた寝る。
バスが広瀬ダムに差し掛かったあたりで起きる。通過した広瀬というバス停で川を渡る。その橋に「広川」とあるのを見る。「広川」って今回たどる沢の名前じゃないか。あたふたしながら気がつけば隣のバス停、新地平。ここで下車。他に単独行の人が2人下車した。着ているものを着替えたりして出発。地図を見ると広川谷はこの新地平バス停より下流側にあるらしい、と塩山駅へ向かってしばらく歩く。5分ほどで広川谷林道起点となる沢、谷渡沢がないのに気がつき、引き返す。新地平バス停から西沢渓谷に向かって1分も歩かないところに広川谷の林道の起点があった。看板は草をかぶっていてはっきりしなかった。
8/6 雁峠入口。新地平バス停から西沢渓谷側に50歩ほど歩いたところ。看板に草がかぶっていて分かりにくい。 |
8/6 亀田林業所の林道を歩いて行く。 |
林道をしばらく歩いて行くとゲート。手前に1台車があった。ゲートのすぐ先に亀田林業所の作業場。看板を見て通り過ぎる。この林道歩きは長い。広川谷を何度か渡りながら歩く。広川谷は名前の通り広い谷で、滝もなく川のようだ。ところどころナメもあり、のどかな沢登りが楽しめそうだが、堰も多い。広い谷で林道に沿って木が切られているので暑い。やはり沢登りにしておけばよかったかとすこし後悔する。
途中で一本とる。枝沢が入ってきているところで水を飲む。冷たくてうまい。
沢はところどころで枝沢を分けていく。林道もところどころで分岐する。谷が広く、川が蛇行しているために現在地がつかみにくいが、要所要所に看板があり、雁峠への道が分かるようになっている。
やがて道は車道から登山道に変わる。このまま車道が雁峠まで続いているのではないかというおそれはなくなった。だいぶ細くなった広川谷の右岸を歩いて行くが、2度ほど渡り返す。平坦な地形で車道が通る前の柳沢峠の多摩川側はこんな感じだったのではないだろうかと思う。やがて5mほどの急登。そして東へトラバースし、そのまま斜上して行くと雁峠についた。
8/6 長い車道歩きのあと、沢を渡りながら歩く。適当なところで水を補給しておかねばならない。 |
8/6 雁峠が見えてきた。広い峠だ。 |
雁峠には2人の単独行がいた。少し話を聞くと、雁峠近くにある雁峠小屋は5年ほど前に廃業したとか。ここまで大した登りではなかったが、時間もかかったし、暑いのもあってペットボトルの水を一気に飲み干す。そのあと、雁峠には水がないという事実に気がつく。来た道を戻って水を汲んでくるか、笠取小屋に寄り道しなければならない。まあでも将監峠まであと3時間くらいだから水を飲まなくても何とかなるだろうとそのまま進むことにする。笠取山のあたりが黒い雲で覆われ始め、単独行の一人は降られる前に笠取小屋にテントを張る、と去って行った。
私も先へと進む。途中、廃業した雁峠小屋に水はなかろうかと見に行くが、なさそうだった。少し登ると高原のようになったところに出る。空は暗くなり、雨が降り始めた。笠取小屋に逃げ込むかどうか考える。時刻はまだ12時。通り雨と判断し、将監小屋まで行くことにする。荒川・多摩川・富士川の分水嶺の標のある丘に出る。えらいなだらかな分水嶺だ。東を見ると笠取山が高い。道はまっすぐ直登するように付けられており、登っている人が確認できる。多摩川源流の碑があるという水神社ヘの道を分けて、私も笠取山にとりかかる。その頃には雨は止んでいた。
8/6 雁峠から笠取山。このあたりは奥秩父主脈縦走路でも将監峠と並んで平坦なところ。 |
8/6 笠取山の登り。一本調子の登り。 |
笠取山の登りは見えた通りの急登できつい。ペースを調節しながら登る。登っている人は多く、みんな日帰りの荷物を持っている。車を使えば一之瀬から日帰りできるので、縦走よりも日帰りの人の方が多いのだろう。ついた笠取山はけっこう人が多いのでもう少し奥に移動する。奥にはもう一つ山頂の標が立っていた。ここで息を整えて唐松尾山へ。
唐松尾山へはガイドブックにもあるので細かいところは割愛する。笠取山から下ると水神社への道を分け、平坦な道を行く。何面から少しずつ登り返して黒槐の頭2044m。しばらく平坦な稜線を歩くが、急に下ってコルで一本。かなりのどが乾くが、北から南に風が抜けていくので少しは楽になる。笠取山から全く人に会わない。唐松尾山に登り返す。唐松尾山は奥秩父主脈縦走路から10mほど北に入ったところ。三角点がある。看板も小さなものがあった。北へすこし道があったが、枝で塞がれていた。その手前は少し広くなっており、テントひと張りくらいできそうだ。
8/6 笠取山山頂。標の立っている場所が2カ所ある。 |
8/6 唐松尾山山頂。縦走路からちょっとだけ北にはずれたところ。 |
唐松尾山から将監峠へははじめ稜線沿いだが、やがて南面を巻くようになる。ところどころガレ場を通り過ぎるので水を期待したが、水は流れていなかった。やがて急に開けたところに出る。そこが山ノ神土であった。ここは北へ唐松尾山、西へ笠取小屋への巻き道、東に白石山(和名倉山)、南に将監峠と十字路になっている。南側は広く木が切られており、迷いやすそうだ。冬にガスに巻かれたらリングワンデリングしてしまうかもしれないと思った。また和名倉山の道はササヤブで覆われており、夏に行くにはヤブコギを覚悟しなければならなさそうだ。
8/6 山ノ神土。広い稜線なので積雪+ガスの条件下ならリングワンデリングもあるかもしれんと思った。 |
8/6 山ノ神土は白石山(和名倉山)入口でもある。笹がかぶっていて盛夏に行くところではなさそうだ。 |
道は平らな牛王院平の北側を巻いていく。上の方が木が刈られていて気持ち良さそうだが、迷いそうだ。やがて将監峠に出た。ここも木が切られている。防火帯なのだろうか。木のない領域は竜喰山へは延びていかず、下の将監小屋に下っている。広い道を下っていくと将監小屋についた。
8/6 将監峠。左へ行くと笠取山、右へ行くと飛竜山。防火帯なのか木が切られ、見通しがよい。 |
8/6 将監小屋。小さな小屋だが、水場もトイレも近く過ごしやすかった。 |
まず水場に駆け込み、のどの乾きをいやす。そのあと幕営の手続きを行った。1人500円。小屋は小さく、道の向かいに炊事場がある。道は下に三之瀬へ、東に飛竜山へと続いている。三之瀬から将監小屋まで車道が通じているらしく、軽トラックが停まっていた。飛竜山に向かって一段下りたあたりがテント場になっており、小屋との間に水場もある。稜線近くにもかかわらず水量は多い。トイレは小屋から三之瀬よりに少し下ったところである。
ツェルトを張ってしばらくのんびりしていると夕立が降ってきた。けっこう強い雨で炊事場の下に隠れる。もう一人のテント泊の人と通り雨だと思いますけどね、と話し合う。テント泊の人は昨日雁坂小屋、明日は飛竜山から下山ということだった。小屋には犬がいたが雨が降るとどこかへひっこんでしまった。せっかく雨が降らないというから山に来たのにツェルトはびしょびしょである。濡れて冷たいツェルトの中で寝るのかとがっかりする。
夕立がやんでツェルトの様子を見るとツェルトは水を弾いていた。雨の日はあまり使っていないからだろう。ツェルトから炊事道具を出して炊事場で飯を炊きながら天気図をとる。雨は局地気象の影響なので天気図には載らないが、台風9号は予定通り大陸へとそれていったようだ。飯を作っていると飛竜山から親子連れがやってきた。ちょうど夕立に降られたらしくカッパだった。今朝、丹波から飛竜山を経由し今日は将監小屋、明日は雁峠から新地平へと下山らしい。ほぼ私と逆コースだ。お互いのルートについて情報交換して別れる。今日将監峠に泊まるのはこの親子連れ2人、テント泊のおじさん、私と4人しかいないようだ。土日にもかかわらず少ないのは、この時期登山者はみんな北アルプスとかにいってしまうからだろうか。
夜中雨が降らないかと不安になりながら17:40就寝。