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2005年冬 - 箱根外輪山[1/2]


2005年2月11日(土)、12日(日)
場所
静岡県駿東郡小山町、御殿場市、裾野市、三島市、神奈川県足柄上郡山北町、南足柄市、足柄上郡箱根町/箱根
ルート
2月11日
JR御殿場線駿河小山駅…県境の沢(敗退)…ゴルフ場…770m峰…万葉公園(泊)
2月12日
万葉公園…足柄峠関所…金時山…乙女峠…長尾峠…湖尻峠…三国山…山伏峠レストハウス…箱根峠道の駅
参加者
中山(M1)、永谷(M1)
参考文献
なし

はじめに

 国境稜線縦走を続けるべく、箱根の外輪山に着手した。予定は駿河小山からJR東海道本線湯河原駅までの35km。結局予定の約2/3の22kmだけ歩いて帰ってきた。とりあえずは私一人の単独行の予定だったが、永谷君がいっしょに行きたいというので2人で行くことになった。

箱根外輪山の地図

1日目

2005年2月11日

JR御殿場線駿河小山駅…県境の沢(敗退)…ゴルフ場…770m峰…万葉公園(泊)

1日目コースタイム
JR御殿場線駿河小山駅10:17
10:31
名も無き沢の下
(撤退決定)
11:43
11:53
ゴルフ場最奥13:05
ゴルフ場最奥の稜線13:25
13:38
万葉公園14:51
18:10就寝

 朝5時起き。予定の列車に乗る。が、すぐに睡眠に入り、八千代台で乗り換えるはずの特急に乗り換えられず、そのまま普通上野行きに乗ることになる。さらに新橋で東海道本線に乗り換えるが、東海道本線も新橋〜品川の信号機故障とかで遅れることが確定。永谷君にわびのメールを入れ、列車に乗ってまた寝る。

 国府津で御殿場線に乗り換え。3両列車に土日祝日と思えないほどの人が乗るが、隣の下曽我でみんな下車する。梅園が有名らしい。確かに沿線に梅の木が見え、いくらか咲いている。今年は1月のうちから梅が咲き、例年よりずっと早い。

 駿河小山の駅が近づいてくると、雪が降り始めた。もともと天気はくもりだったのだが、こうなるとかなり行く気は失せてくる。列車から登り口になる沢を観察すると、フェンスのようなものが二重にあった。入るなと明に主張している。

 駿河小山駅で下車するとちょうど永谷君がカッパに着替えていた。軽く言葉を交わしながら私もカッパに着替える。ガス缶を持ってもらおうとしたが、「ガス缶は持ってきた」と言うので、結局ガス缶、食糧、テントと全部私持ちになってしまった。永谷君はどこかで水を汲んできていた。近くにトイレか何かあるらしい。上下カッパにスパッツ付きと揃えて出発する。

 しばらく車道を歩いて車窓からも見た沢に来る。鉄道橋と高速道路橋をくぐると、フェンスがある。一つ目のフェンスのそばには廃屋があった。そのあと特にフェンスはなく車の通れる幅の砂利道を行くともう一本の高速道路の手前に広いところがある。どうやらこの高速道路を作るときに拓いたところらしい。さらに道は続き、目的の沢の入り口でなくなる。右手に沢、左手は岩の壁が続く。ここから入渓

 入渓といっても水はなく、ただの薮がちな谷の地形だ。幅は狭く、V字谷の様相を呈している。登るごとに傾斜が増し、薮が邪魔になる。両手使って登るようなところになると、薮は少ないが、岩がもろく、登れなくなってくる。永谷君が「こんなところ登ったバカがいるのか」とあきれる。永谷君が右のほうに引き込まれていったが、動けなくなる。そこで後続の私が左手のルンゼに入ろうとするが、左足の岩が崩れ、落ちる。

 グラウンドフォールではなく、ずりずりとうつぶせのまま落っこちた。胸、両肘が痛み、しばらく落ちたままの姿勢で痛みをこらえる。ただ暗い空から雪が降り、このまま帰ろうかとも考える。

県境の名も無き沢
2/11 JR御殿場線駿河小山駅から東に約1km。一応県境になっている名も無い沢がある。高速道路をくぐり沢に取り付く。雪の降る中でしんどい。しかも尾根まで300mくらいなのに、ホールド細かく岩がもろいためこの沢から登ることを断念。私中山はずり落ちて左手の爪が割れた。冬も凍らないので、たぶん登れません、この沢。
ゴルフ場
2/11 しかたないので、いったん撤退し、一つ西の沢から登る。ここは道がついていて、ゴルフ場の片隅の焼却炉に出た。そこからゴルフ場にそって歩く。

 動き始める。永谷君が「そこの右岸の木から登れないか」と言う。彼がやる気を失っていないことは幸いだった。私一人だったらそのまま帰ってしまったかもしれない。ゆっくりと下りながら、その木を確認するが、やはり不安定だ。永谷君もそれを察し、とりあえず入渓点まで下ることにする。下る途中、左手人差し指の爪の先端が2mmほどはがれ、とれそうになっているに気づく。痛みで感覚が麻痺していたので、ちぎっておいた。その後、山行中もこれを記している今も痛い。

 入渓点でさらに東側の壁が登れないか検討する。壁といってもコンクリートではないし、垂直でもない。沢と同じようなもろい岩でできた木がまばらに生えている自然の壁だ。東側に何とか歩ける道が伸びており、それに沿ってようすを見に行くが、登れそうにない。その先でさらに広い谷があるが、そこまで調べる気は起きなかった。戻って地図を広げ、西隣の沢沿いの道を登ることにする。ここはゴルフ場の一角まで道が伸びていることが地形図から確認できる。

 先ほど歩いてきた道を戻り、その沢沿いの道に入る。幸い道に迷うことなく南側の高速道路もくぐることができた。そこらへんは休耕田ばかりでここでテントを張りたくなったが、永谷君がどんどん進んでいくので、それに着いていった。やっぱり頼りになる。

 車道終点からはっきりしない山道が沢の東側にある。杉林で人の手が入っていることがうかがえ、適当に道っぽいところを歩く。やがて道っぽくなってくると、道は180度変わり、ゴルフ場へ登っていく。登りつくと、そこはゴルフ場の一角の焼却炉で、そこからゴルフ場のきわにそって歩く。厳密には稜線が県境で、ゴルフ場のきわはやや東よりなのだが、人間歩きやすいほうを歩いてしまう。

 雪はまだ降っており、当然ゴルフ場には人影はない。ゴルフ場最奥にたどり着くと、そこから稜線に向かって登る。谷と尾根と斜面のあるはっきりしない地形で地図を見てもどこを歩いているかわかりにくい。笹ヤブに突入し、小沢を渡り、斜面を登っていく。藪はないが、ツルがザックに引っかかり、また斜面もそこそこの傾斜があるので、しんどい。稜線も近いあたりで一本とる。ひとしきりの体は温まるが、5分もするとかなり寒い。持ってきたおにぎりを食べる。

ヤブ突入
2/11 ゴルフ場最奥からヤブに入り、県境の尾根を目指す。ザックが大きくて難儀した。
633.7m三角点峰から先
2/11 633.7m三角点峰から先、25000分の1地形図には道が記されているが、道なのかそうでないのかははっきりしない。ただ、三角点峰には缶コーヒーの空き缶があったので、どこかから登路はあるのだろう。

 稜線からはヤブもなく、歩きやすいが、道があるわけではなく、えっちらおっちら登っていくと653.7m三角点峰。三角点がなければそれと疑ってしまう山頂だ。なぜか缶コーヒーの空き缶が落ちており、林業関係者か誰かが入っているらしい。缶コーヒーの空き缶は人の入っていないところに落ちていることが多い気がする。地形図上ではこの三角点峰から道がついているのだが、道ははっきりしない。仕事道といえば仕事道かもしれないが、ところどころヤブっぽいし、踏み跡はない。ただ稜線ははっきりしているので、たどることはできる。いくつか枝尾根があるので、下りにとる場合はルートファインディングがかなり難しいと思う。われわれは登りだったのでそんなことを気にすることもなく、770m峰に着く。

 この770m峰、われわれの来たゴルフ場から足柄峠への道と矢倉岳への道の分岐になっており、つい矢倉岳の方に引き込まれそうになる。コンパスきって正しい道をみて足柄峠へ向かう。

笹ヤブ
2/11 しばらく植林帯の中を歩く。770m峰で東の矢倉岳方面に引き込まれそうになるが、コンパスきって足柄峠への道を確認。この770m峰から笹ヤブがあるが、足元はヤブが刈られているため、道らしくなってくる。しかし、笹から雪がくっついてくるので、冷たい。
万葉公園
2/11 道のようなものをたどっていくと、万葉公園の「通行止め」という看板の裏側に出る。この万葉公園にこっそりテントを張る。稜線なので、水はなく駿河小山で汲んだ水を使う。

 この770m峰からは笹ヤブの中の道が続く。笹ヤブの足元に何も生えていないことからどうやら整備されているらしいが、もちろん看板はない。比較的平坦だが、笹に雪が乗っかっており、通ると頭、首、ザックに雪が移ってくる。ところどころ笹がトンネル状になり、四つんばいのようになって歩くところがあって、雪だらけになる。 その笹ゾーンを抜けると、いきなり開けたところに出る。その境目には私たちが来た駿河小山の方角に「通行止め」の看板。そしてそこは万葉集の歌を記した看板がそこらにある万葉公園の端っこだった。永谷君は三角点峰に続き、その万葉集の看板のひとつを引き抜いていた。

 しばらく歩き、あずまやを発見したので、その中にテントが張れるかどうか見るが、ベンチがあってできない。しかたないので、そのそばにテントを張る。水場はなく、駿河小山で汲んできた水でやり過ごす。

 永谷君持参のココアを飲む。飲んでいると外で人の声が聞こえてくるが、特に触れられないことを祈りながら黙っていた。晩飯はごはんとレトルトの中華丼・親子丼。永谷君はコッヘルを部室におきっぱなしにしてしまったらしく、私のコッヘルで調理した。そして少し酒を飲んで18:10就寝。

 今回、雪の中で寝るのが初めての私は部室にあった薄手のシュラフを持参し、ダブルシュラフを実行する。さらに銀マット2枚敷き。割と暖かかった。ただ、一番最初の敗退した沢でザックや靴下が濡れてしまい、シュラフも何もかもしっとりと濡れたままで寝ることになった。テントを張ってからガス缶を空焚きしたがあまり効果はなく、軽いほうのガス缶がほとんど空になっただけだった。


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