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2004年夏 - 奥秩父・東沢釜ノ沢[1/2]


2004年7月18日(日)〜19日(月)
場所
山梨県東山梨郡三富村/奥秩父
ルート
7月17日
大岡山=高尾=JR中央本線笹子駅(泊)
7月18日
JR中央本線笹子駅=JR中央本線塩山駅=西沢渓谷バス停…東沢出合…釜ノ沢・国師沢二俣…両門の滝…1700m付近(泊)
7月19日
1700m付近…木賊沢出合…甲武信小屋…甲武信ヶ岳…甲武信小屋…戸渡尾根…西沢渓谷バス停=JR中央本線塩山駅
参加者
戸部(M2)、中山(M1)、永谷(M1)

甲武信ヶ岳周辺の地図

はじめに

 言わずと知れたナメで有名な沢。ことの起こりは俵田さんが戸部さんと永谷君がどこか沢に行こうと計画したことに始まる。6月下旬にその3人で釜ノ沢に行ったのだが、寒かったにもかかわらず誤って東沢下部を遡行してしまい体が冷えてしまったので、敗退して帰ってきたことがあった。その次にということでこの7月の休みにとりあえず戸部さんが「どこ行く」と掲示板に書き込んだところ、俵田さんは胃潰瘍のため不参加。代わりに私が行きたいと手を挙げた。どこに行くかは公共交通機関を使うという条件から釜ノ沢になった。3連休で、できれば上越の沢に行きたいところだったが、まだ雪が残っていると考えて奥秩父になった。

0日目

2004年7月17日

大岡山=高尾=JR中央本線笹子駅(泊)

 バスの都合上、私は自宅を朝発ちすると間に合わないので、一人前夜発で無人駅の笹子駅に泊まった。いろいろとお世話になることの多い駅だが、寝たのは初めてだった。寝る場所を考えたが、改札外。明るいので寝るには適していなかったが、それ以上に人がときどき行き来するのがよくなかった。しかし、他はなんだか床が湿っていてよくないのでそこで寝た。ホームも寒いし。

1日目

2004年7月18日

JR中央本線笹子駅=JR中央本線塩山駅=西沢渓谷バス停…東沢出合…釜ノ沢・国師沢二俣…両門の滝…1700m付近(泊)

1日目コースタイム
西沢渓谷バス停9:15
西沢・東沢二俣9:45
10:00
ホラの貝ゴルジュ入口10:35
10:45
乙女の滝あたり11:15
11:30
西のナメ沢出合12:15
12:34
釜ノ沢・国師沢
二俣
12:55
13:10
魚留めの滝上13:15
13:25
両門の滝13:55
14:13
1700mあたり14:55
19:45就寝

 始電に乗る人に起こされぬよう、早めに起きて始電で塩山駅へ向かう。改札を出てベンチでうつらうつら寝る。8:08のバスに乗って西沢渓谷へ。

 またバスで眠り、気がつけば西沢渓谷バス停に着いた。適当に準備をして出発。天気は快晴、気温も高く沢日和である。とことこ歩いていくとヌク沢を渡り、甲武信ヶ岳への登山口を分けて西沢・東沢の二俣。東俣にかかる吊橋を渡ってすぐ右手に「東沢は熟達者向けです」という看板がある。横を通り、踏み跡をたどって河原に出た。木陰で沢装備に着替える。着替えている間も2パーティーほど下ってきた。

 はじめ堰の上で伏流している河原を歩いていくとまた水が出てきた。鶏冠谷出合でちょっとだけ鶏冠尾根の入り口を探してみたがそのときは見つからなかった。鶏冠尾根については2ヵ月後に下ることになったが、鶏冠尾根の入り口は鶏冠谷に少し入ったところである。詳しくはそっちの記録を参照してほしい。

 鶏冠谷を分けて少しで右手に巻き道が見つかるのでこっちを行く。前に俵田さん、戸部さん、永谷君の3人で来たときはこの巻き道に気がつかず水量の多い東沢本流下部を遡行し、俵田さんが体を冷やして戻ったという。一つ目の巻き道はしばらくでまた沢に下る。そしてまた巻き。今度は長い。下に見える深い淵は見ているだけで寒くなりそうだ。沢に入っている人がいたかどうかは覚えていない。

入渓
7/18 入渓点の笛吹川東沢西沢の二俣にて。奥に吊り橋が見えます。吊り橋からだと堰堤に見える所です。
ホラの貝ゴルジュ
7/18 ホラの貝ゴルジュにちょっとだけ顔を出す。

 狭いホラの貝沢にかかる古びた橋は渡れそうにないので下に下る。ちょうどホラの貝ゴルジュの入り口にあたるところである。面白いので一本とる。ホラの貝は眺めると青く黒く、奥は岩に隠れて見えないゴルジュであった。ザックを置いて淵の中に泳ぎに行く。すぐ足が着かないほど深くなるのですぐ帰ってくる。休んでいる間に5人パーティーが通過していった。

危なげなハシゴ
7/18 危なげなハシゴ。ホラの貝沢にかかる橋だが、朽ちているので下から回る。
河原
7/18 東沢のほとんどは河原です。

 さて、ホラの貝沢にかかる橋は渡れないので、下から岩を引っつかんで登る。不安定ながら登ることができ、その後巻き道はどんどん高いところを登っていき、やがて下っていくと山の神に着く。5人パーティーが休んでいたので横を通る。

 金山沢・釜ノ沢二俣まではときどきナメの現れる河原歩きが続く。いくつもの沢が分かれているがどれが何沢かよく分からない。右側は鶏冠尾根の末端らしく、急峻な崖が上方に見える。とりあえずホラの貝ゴルジュから30分歩いた乙女の滝あたりに第一ナメ床を発見し、また一本とる。傾斜が小さく滑ることはできなかった。

 歩き始めてすぐ東のナメ沢。どこまで続くのかよく分からないナメ沢が上のほうまで続いている。他の学生パーティーが東のナメ沢を登るのか、出合で休んでいたので通過したが、人がいなければまた一本とって滑り出したに違いない。

一本とって
7/18 東のナメ沢手前で一本とる。
水死体
7/18 水があまりに青いので、つい浮かんでしまう永谷、それを見る戸部。

 東のナメ沢を過ぎても左岸にナメっぽいところがある。助走をつけて登ろうとするが、緩やかなカーブを描いているため途中ですっころんでずるずると下ってしまう。あとには沢タビの足跡とこけてずり落ちている跡が濡れて残る。西のナメ沢出合に着いて思わずザックを放り、滑ってみる。意外と傾斜がありスピードがつく。傾斜のためにあまり高いところまで登れなかったが、戸部さんが上方からぶら下がる錆びたワイヤーを発見し、これでかなり高いところまで行けるようになる。しかし、あまり高いところから滑ると、尻を打つし水しぶきで鼻に水入るしでよろしくないので高さ5mくらいからの滑走でやめておいた。遊んでいる間に学生パーティーが過ぎていった。

西のナメ沢
7/18 西のナメ沢もなかなかのすべり台。傾斜が大きいのであまり高いところから滑れないのが難点。
釜ノ沢・金山沢二俣
7/18 金山沢・釜ノ沢二俣。本流は左の金山沢。右がこれから行く釜ノ沢。

 さてまた歩き始めて20分、釜ノ沢と金山沢の二俣に出る。この分岐だけで判断すると金山沢の方が河床が低く流量も多いので本流に見えた。釜ノ沢は暗い出合になっており、黒部川の赤木沢出合を思い出した。先行するパーティーが釜ノ沢は行ってすぐの魚止めの滝か千畳のナメで休んでいると考え、ここでまた一本。時間はあるのでだらだら遊びながらのペースである。

魚留めの滝上
7/18 釜ノ沢入ってすぐの魚留めの滝では大パーティーが休んでいたので、先に行く。と、極上のナメを発見!
すべり台をすべる永谷
7/18 ナメのすべり台をすべる永谷。

 釜ノ沢に入る。やっぱり魚止めの滝下で学生パーティーが休んでいた。ちょうど一枚岩があり、寝っ転がって日差しを受けることができるので休むにはいいところだ。魚止めの滝の左にはロープがぶら下がっておりごぼうで登る。そのまま林の中に入って滝の落ち口に出た。魚止めの滝の上はこれまた良質の滑り台で釜ノ沢でもっとも滑り台に適した地点であった。またザックを投げ出し、滑る。滑走距離、水量、傾斜、すべてにおいて完璧である。上越ナルミズ沢においてもこのような滑り台はない。私の「ザ・ベストオブ滑り台ランキング」のトップに鮮やかに現れた瞬間であった。この滑り台、面白いことに中間部でわずかにずれることにより流される先が変わってくる。場所によっては尻が痛い。各人4回か5回くらい滑って満足し、後ろから学生パーティーが来たので出発した。

すべり台をすべる戸部
7/18 追って戸部さんも滑走。
滑りつかれた
7/18 滑りつかれたので、ひと休み。

 出発するとすぐ千畳のナメ。湯檜曽川東黒沢に似た両側木に覆われたナメである。これもまたよい。思わずほお擦りしたくなるナメだ。灰色の岩にはところどころシームしたように白い筋が入っており、「山梨県がコンクリートで継ぎ合わせてるんじゃないか」とはやしながら歩いた。千畳のナメは5分ほどで終了。長さで言えばナルミズ沢の方が上だ。スラブ滝を越えて、曲がり滝ははじめ登ろうかと思ったがやめて右から巻いた。道としてはしっかりしておらずいやらしい巻きだった。退屈な河原を登っていくと両門ノ滝

千畳のナメ
7/18 滑り台の滝の上から千畳のナメが始まる。
両門の滝
7/18 一回滝を巻いたりしながら河原を歩くと両門の滝。右俣へ。

 両門ノ滝は東俣と西俣が両方ともナメで下ってきている滝だ。広い釜を持っており、下流は河原になっている。ちょうどいいので一本とる。ここでは他にも休んでいる人が多かった。

 メジャーな東俣を行く。沢の右から樹林帯を登っていく。その上はまた退屈な河原が延々と続く。ところどころ島みたいに木がある。男1、女2のパーティーを抜いたが「女と山登ってみてーな」と話をした。この河原は長いらしいので河原が続く限り歩き、1700m付近で一本とった。ここで先に行くかどうか話し合うが歩き始めてかなり沢が狭くなってくるので左岸にキャンプ適地を見つけ、そこで泊まることにした。私は先の水師沢出合まで行きたかったが、ここもなかなかの適地だった。

だめツェルト
7/18 河原が狭くなったあたりで左岸に適当な幕営地を見つけ、ツェルトをタープ代わりに張る。シュラフカバーだけだと寒かった。
たき火
7/18 沢のだいご味、たき火。綿パンツを履いてきてしまった戸部さんは、たき火にあたって乾かしていた。

 私のツェルトを広げたが、完全に広がらず尻すぼみのタープになってしまった。木を集め、河原で焚き火をしてパンツを乾かした。だらだらと酒を飲み、すっかり暗くなった19:45、就寝した。


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